「ワックスフラワー」
ワックスフラワー（Wax Flower）は、オーストラリアを原産とする常緑低木で、主に観賞用として利用されます。小さくて可愛らしい花が特徴で、切り花としても人気があります。
ワックスフラワーについて
科名：フトモモ科 (Myrtaceae)
原産地：オーストラリア
特徴：
【花色】 ピンク、白、紫など
【形】 小さな五弁花で、光沢のある花びらがワックスのように見えることが名前の由来です。
【用途】 生花やドライフラワーとしてアレンジメントに使用されるほか、庭木や鉢植えとしても栽培されています。開花時期: 主に春から初夏（地域によって異なる）
花言葉: 気まぐれ
「気まぐれ」という花言葉は、ワックスフラワーの小さな花が自由に咲く様子や、風に揺れる姿がどこか気まぐれで愛らしい印象を与えることからきています。
その他の花言葉
- 素朴な魅力
- 永遠の愛
- 知恵
ワックスフラワーは、結婚式やお祝いの花束にもよく使われる花で、その可憐な姿が見る人を和ませる存在です。また、長持ちすることからプレゼントにも適しています。
「ワックスフラワーの庭」
古びた洋館の庭に、ひっそりとワックスフラワーが咲いていた。庭全体は手入れが行き届いておらず、草が生い茂り、枯れた花も目立つ中、その一角だけがまるで時間を止めたかのように美しい。小さな花びらが風に揺れ、陽の光を浴びて艶やかに輝いている。まるで、気まぐれに訪れる誰かを待っているかのようだった。
ある日、この庭に少女が迷い込んできた。彼女の名はリナ。都会での日々に疲れ、気分転換に訪れた田舎道を歩いているうちに、偶然この洋館を見つけたのだ。
「こんなところに花が咲いてるなんて……」
リナはしゃがみ込み、小さなワックスフラワーをそっと指先で撫でた。その瞬間、背後から声がした。
「その花、触ると秘密がばれるよ。」
驚いて振り返ると、そこには小さな少年が立っていた。どこか不思議な雰囲気をまとったその少年は、庭の主のように自然にその場に馴染んでいた。
「秘密って……どういうこと？」
「この花はね、見た人の心を覗き込むんだよ。そして、その人が本当に求めているものを教えてくれる。でも、それは少し気まぐれなんだ。ちゃんと答えがわかるときもあれば、ただ曖昧なヒントしかくれないこともあるんだ。」
リナは半信半疑だったが、どこか心惹かれるものを感じた。都会の喧騒から逃れてきた自分を、この花が本当に理解してくれるのだろうか。彼女はもう一度、花にそっと触れた。
すると、風が一瞬止まり、庭の時間が静止したかのように感じられた。リナの目の前にぼんやりとした映像が浮かび上がる。それは、彼女が幼い頃、両親と一緒に過ごした時間だった。笑い声、温かな夕日の光、家族のぬくもり。
「これが……私の求めているもの……？」
少年は微笑んで答えた。
「気まぐれな花だけど、ときどき本当に大事なことを教えてくれる。君が忘れていた大切な気持ちを思い出させるためにね。」
リナは思わず涙をこぼした。この庭に足を踏み入れたのは偶然かもしれない。でも、この花と出会えたことは、きっと何かの導きだったに違いない。
「ありがとう、この庭も、この花も。」
そう言って立ち去るリナの背中を、ワックスフラワーの小さな花びらが風に揺れながら見送った。彼女の心には、忘れていた暖かな記憶がしっかりと刻み込まれていた。
そして庭はまた静けさを取り戻し、次に訪れる誰かを待ちながら、花びらを揺らしていた。