「ミヤコワスレ」

ミヤコワスレ(都忘れ)は、キク科の多年草で、日本や東アジアに自生する美しい花です。春から初夏にかけて咲き、紫やピンク、白などの可憐な花をつけます。
名前の由来
「ミヤコワスレ」という名前は、承久の乱(1221年)に敗れ佐渡に流された順徳天皇が、この花を見て都(京都)を思う気持ちを一時でも忘れられたことから名付けられたとされています。
ミヤコワスレについて

ミヤコワスレ(都忘れ)の特徴
🌿 分類・基本情報
- 学名:Aster savatieri
- 科名:キク科(Asteraceae)
- 属名:シオン属(Aster)
- 原産地:東アジア
- 開花時期:4月~6月
- 花色:紫、ピンク、白 など
- 草丈:
20~30cm程度
🌼 特徴
- 可憐な花姿
- 小さめの菊のような花を咲かせ、爽やかで上品な雰囲気を持っています。
- 丈夫で育てやすい
- 半日陰でも育ち、比較的耐寒性・耐暑性があるため、庭植えや鉢植えにも適しています。
- 乾燥には少し弱いので、適度な水やりが必要です。
- 多年草で毎年咲く
- 一度植えれば毎年春から初夏に花を咲かせるため、手間がかかりません。
- 株分けで増やすことができ、長く楽しめます。
- 和風の庭や茶花にぴったり
- 風情のある佇まいが、和風の庭や茶花(茶道で使われる花)としても人気があります。
- 花言葉にちなんだ贈り物にも
- 「また会う日まで」「しばしの別れ」といった花言葉を持つため、卒業や送別の贈り物としても使われます。
優雅で落ち着いた雰囲気のミヤコワスレは、日本の庭園や風情ある風景にぴったりの花ですね。😊
花言葉:「また会う日まで」

「また会う日まで」という花言葉は、別れの寂しさの中にも再会を願う温かさが感じられます。そのため、卒業や送別のシーンで贈られることが多い花です。ほかにも「しばしの別れ」「穏やかさ」「強い意志」といった花言葉もあります。
ミヤコワスレの優しい雰囲気と意味は、大切な人との別れや旅立ちの際に心を和ませてくれる花ですね。
「また会う日まで」

駅のホームに、春の風が吹き抜ける。桜の花びらが舞い、淡いピンクの絨毯を作っていた。
「体に気をつけてね、真由。」
「うん……涼介も。」
真由はスーツケースの取っ手を握りしめながら、目の前に立つ涼介を見つめた。彼の瞳には、どこか寂しげな色が滲んでいる。大学を卒業し、東京での新しい生活が始まる。二人は同じ地元で育ち、同じ高校に通い、同じ景色を見てきた。でも、今日からは違う道を歩む。
「これ、渡しておく。」
涼介は、小さな鉢植えを差し出した。そこには、小さな紫色の花が咲いている。
「……ミヤコワスレ?」

「うん。『また会う日まで』って花言葉なんだってさ。」
真由はそっとその花を受け取った。小さな花びらが風に揺れている。その意味を噛みしめるように、彼女は優しく微笑んだ。
「ありがとう、大事にする。」
電車の到着を知らせるアナウンスが流れる。静かなホームに響くその声が、二人に別れの時を告げていた。
「また、会おうな。」
「うん、また会う日まで。」
真由は一歩踏み出し、電車に乗り込む。窓越しに涼介の姿が小さくなっていくのを見ながら、ぎゅっと鉢植えを抱きしめた。
***

東京での生活は、想像以上に忙しく、慌ただしかった。新しい仕事、新しい人間関係。慣れない環境に戸惑いながらも、真由は少しずつ前に進んでいた。
部屋の窓際に置かれたミヤコワスレは、変わらず静かに咲いていた。その紫の花を眺めるたびに、あの日の駅のホームを思い出す。そして、涼介の言葉が心に蘇る。
「また会おうな。」
いつか、また会える日が来るのだろうか。そんなことを考えながら、真由はそっと花びらに触れた。
***
それから数年後。
春の訪れを感じさせる暖かい風が吹くある日、真由は久しぶりに地元へ帰ってきた。仕事がひと段落し、少しの休暇を取ることができたのだ。

駅を降りると、懐かしい景色が広がっていた。変わらない町並み、変わらない空気。そして、変わらない人。
「真由?」
声のする方を振り向くと、そこには涼介が立っていた。少し大人びた表情、でも昔と変わらない優しい笑顔。
「涼介……久しぶり。」
「おかえり。」
その言葉に、真由は思わず微笑んだ。
「ただいま。」
春風が二人の間を吹き抜ける。その風の中に、確かにあの日の約束が生きている気がした。
また会う日まで——それは、決して遠い未来の話ではなかったのかもしれない。