5月18日の誕生花「キバナコスモス」

「キバナコスモス」

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基本情報

  • 和名:キバナコスモス(黄花コスモス)
  • 学名Cosmos sulphureus
  • 科名/属名:キク科/コスモス属
  • 原産地:メキシコ
  • 開花時期:6月~10月(地域により異なる)
  • 草丈:50〜150cm
  • 花色:黄色、オレンジ、朱赤など
  • 花の大きさ:直径4~6cm程度

キバナコスモスについて

grainlatteによるPixabayからの画像

特徴

  • 耐暑性に優れる:通常のコスモス(Cosmos bipinnatus)よりも暑さに強く、日本の夏でもよく育ちます。
  • 成長が早く、丈夫:乾燥ややせ地にも強く、手間がかからないことから、初心者にも育てやすい花として人気です。
  • 花びらの形状:一般的なコスモスよりも花びらが丸みを帯びており、やや肉厚。
  • 茎や葉:茎はややしっかりしており、葉は切れ込みが深い羽状複葉で、軽やかな印象。

花言葉:「野性美」

Golam KibriaによるPixabayからの画像

キバナコスモスの花言葉のひとつに「野性美(やせいび)」があります。

この言葉は、以下のようなキバナコスモスの特徴に由来すると考えられています:

  • 自然の中で力強く咲く姿:キバナコスモスは、痩せた土地でも元気に花を咲かせ、強い日差しの下でも鮮やかな色を放つことから、「手入れされた庭園の美しさ」ではなく「自然のままの美しさ」を体現しています。
  • 野性的で鮮やかな色合い:オレンジや黄色などのビビッドな花色が、他の植物と比べて野趣あふれる印象を与えるため。
  • 生命力の強さ:繁殖力が強く、野生でも広がることがあり、そのたくましさが「野性」を感じさせる要素となっています。

つまり、人工的な美ではなく、自然の中でひときわ輝くような「飾らない力強い美しさ」を表す言葉として「野性美」という花言葉がつけられたとされています。


「野性の色で咲く」

Bishnu SarangiによるPixabayからの画像

日が傾きはじめた校舎の裏庭に、ひときわ鮮やかなオレンジの花が揺れていた。

キバナコスモス──風にそよぐその姿は、まるで自由そのものだった。

「また咲いてるね」

菜摘(なつみ)は、その花を見つめながら小さくつぶやいた。

この裏庭に足を運ぶようになったのは、夏休み前のことだった。クラスになじめず、誰かと話すことも億劫になっていた菜摘にとって、ここは唯一の“逃げ場”だった。雑草交じりのこの場所には、他の誰も寄りつかなかった。

そんな場所に、ある日ぽつんと咲いていたのが、あのキバナコスモスだった。

最初は一輪だけだった。けれど、数週間もしないうちに、少しずつ増えていった。誰かが植えたわけではない。風に乗ってきた種が根付き、勝手に育ったのだろう。

──それでも、どこか凛としていた。

雨の日も、強い日差しの日も、折れもせず、堂々と咲いていた。

「きれいだな……」

誰に聞かせるわけでもない言葉が、ふと漏れた。

自分とは真逆の存在に思えた。人と上手に話せず、笑顔も作れず、居場所すら見つからない。そんな自分とは違って、何も求めず、ただ咲くことを選んでいるかのようだった。

ある日、裏庭に先客がいた。

Bishnu SarangiによるPixabayからの画像

黒い髪を短く刈り込んだ、無口そうな男子──クラスで目立つタイプではなかったけれど、名前は知っていた。「相馬(そうま)」という、理科が得意な静かな子だった。

「……この花、キバナコスモスって言うんだよ」

彼は花を見つめながら、ぽつりと言った。

「野性美っていう花言葉、知ってる?」

菜摘は少し驚いたように首を振った。

「人工的に育てられる美しさじゃなくてさ。どこにでも咲くけど、どこでもきれいで、強い。そんな花なんだって」

相馬の声は風にまぎれそうなくらい静かだったけど、不思議と菜摘の心にすっと染み込んできた。

「なんか、いいね……それ」

その日を境に、二人は裏庭でときどき言葉を交わすようになった。話題は花だったり、本だったり、空の雲だったり。多くは語らないけれど、その沈黙が心地よかった。

やがて夏が過ぎ、季節が秋に変わるころ。

裏庭のキバナコスモスは、見事に咲き誇っていた。

「すごいね……まるで、野生の絵の具みたい」

菜摘は笑った。こんなふうに、自然に笑えたのは久しぶりだった。

「ねえ、あの花……私も、ああなれるかな」

「なれるよ。だって、もう咲いてるじゃん」

相馬の言葉に、菜摘は驚いて彼の顔を見た。

「逃げ場にしてたこの場所が、咲かせたんだ。君の心にも、きっと同じ色の種があるんだと思う」

オレンジ色の光が、沈む太陽と重なっていた。

風が吹く。キバナコスモスが揺れる。

そして、菜摘の中にも、確かに何かが芽吹いたような気がした。

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