7月24日の誕生花「ユリ」

「ユリ」

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基本情報

  • 学名Lilium
  • 科名:ユリ科(Liliaceae)
  • 原産地:北半球の温帯地域(日本、中国、ヨーロッパ、北米など)
  • 開花時期:5月下旬~6月上旬(スカシユリ系)、6月中・下旬(テッポウユリ)、7月中・下旬(オリエンタル系)
  • 花の色:白、ピンク、オレンジ、黄色、赤、複色など多彩
  • 草丈:50cm~2m程度(品種による)
  • 香り:強い芳香を放つ品種が多く、切り花や香料としても重宝される

ユリについて

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特徴

  1. 凛とした立ち姿
    まっすぐに伸びた茎の先に大輪の花を咲かせる姿は、気品と高貴さを象徴します。
  2. 球根植物
    鱗片状の球根から生長し、植え替えや増殖が比較的容易です。
  3. 種類の豊富さ
    テッポウユリ、カサブランカ、スカシユリ、オニユリなど多様な品種が存在し、花色や形もバリエーションが豊かです。
  4. 強い香り
    特にオリエンタル系のユリ(例:カサブランカ)は濃厚で華やかな香りを持ち、花束やフラワーアレンジメントで人気があります。

花言葉:「純粋」

RalphによるPixabayからの画像

ユリの花言葉の代表的なひとつが 「純粋」 です。
この由来には以下のような要素が関係しています。

  • 白いユリのイメージ
    特に白ユリは、汚れのない真っ白な花弁を持ち、その清らかさから純潔・純真を象徴すると考えられてきました。
    西洋では「聖母マリアの象徴」とされ、神聖で無垢な心を表現する花とされます。
  • 古代からの宗教的象徴
    ギリシャ神話やキリスト教美術に登場するユリは、神聖さ・清らかさの象徴として描かれ、「純粋な愛」「高潔な心」といった意味を持つようになりました。
  • 気品ある立ち姿
    雨や風に負けず、凛として咲くユリの姿は、人の心の中にある“純粋な強さ”を思わせます。

「白きユリの約束」

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六月の終わり、梅雨の合間にのぞく陽射しが、庭の一角をやわらかく照らしていた。
その場所には、祖母が丹精込めて育てた白いユリが、今年もまっすぐ天を向いて咲いていた。

「純粋、って言葉はね、ユリにぴったりなのよ」

小学生の頃、祖母はそう言いながら私の髪を撫でた。
その時の祖母の声は、今でも耳の奥に残っている。

大学進学を機に都会へ出てから、私はほとんど実家に帰らなくなった。
仕事、恋愛、日々の雑務に追われるうち、何か大切なものを少しずつ手放しているような気がしていた。
そんな時に届いた祖母の訃報は、胸の奥にぽっかりと穴を開けた。

葬儀の日、庭に咲くユリが風に揺れていた。
真っ白な花弁は雨粒をはじき、どこか凛とした表情を見せていた。
その姿を見た瞬間、祖母がよく話していたユリの花言葉――「純粋」という言葉が胸に蘇った。

「汚れのない心を忘れないで生きなさい」

祖母はそう言いたかったのかもしれない。
私は手を伸ばし、そっと花びらに触れた。
冷たく、しかし優しく包み込むような感触があった。

Matthias BöckelによるPixabayからの画像

葬儀を終えて都会へ戻ると、日々はまた容赦なく過ぎていった。
上司に叱られ、同僚と競い、気がつけば自分が誰かの心を踏みにじるような言葉を吐いている。
夜遅く、部屋の片隅で一人きりになった時、ふと祖母の庭のユリを思い出す。
あの花は、どんな雨にも風にも負けず、真っ直ぐに咲いていた。
それは、私が忘れてしまった「純粋な心」の象徴だった。

翌年の春、私は祖母の家に戻った。
まだ残っていた球根を庭の土に植え、水を与え、季節の移り変わりを見守った。
そして夏が来ると、真っ白なユリがまた咲いた。
花弁に陽光が透け、まるで内側から輝いているように見えた。

「おばあちゃん、私ね、少しだけ変われた気がする」

そう呟いたとき、そよ風が花を揺らした。
まるで祖母が微笑んでいるように思えた。
その瞬間、胸の奥にあった重たいものが少しずつ溶けていくのを感じた。

ユリの花言葉は「純粋」。
それは、決して完璧な人間になるという意味ではない。
どれだけ傷つき、汚れても、もう一度真っ直ぐ立ち上がる強さを持つこと。
白いユリの凛とした姿は、それを私に教えてくれていた。

私は今、祖母の庭で新しいユリを育てている。
都会での生活に戻る日が来ても、きっとこの花の記憶が私を支えてくれるだろう。
純粋であり続けることは難しい。
でも、たとえ泥にまみれても、また光を求めて咲くユリのように、
私はもう一度、自分を信じて生きていきたいと思う。

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