3月10日の誕生花「シャスタ・デイジー」

「シャスタ・デイジー」

基本情報

  • 学名:Leucanthemum × superbum
  • 分類:キク科フランスギク属(レウカンセマム属)の多年草
  • 原産:ヨーロッパを中心とした園芸交配種
  • 開花時期:初夏~夏(5~7月頃)
  • 花の色:白(中心は黄色)
  • 草丈:30~90cmほど
  • 名前の由来:アメリカのシャスタ山の雪のように白い花びらを連想させることから名付けられた

シャスタ・デイジーについて

特徴

  • 白い花びらと黄色い中心をもつ、シンプルで清楚なデイジー型の花
  • 丈夫で育てやすく、暑さ・寒さにも比較的強い多年草
  • 初夏の花壇を明るくする代表的な花
  • 一輪でも目立つが、群生すると爽やかな景観を作る
  • 切り花としても人気があり、長く楽しめる


花言葉:「忍耐」

由来

  • シャスタ・デイジーは、暑い初夏から夏の強い日差しの中でも元気に咲き続ける性質をもつ
  • 丈夫で環境の変化にも強く、長い期間花を咲かせ続ける姿が、耐えながら咲く花として印象づけられた
  • そのため、
    困難な環境でも静かに咲き続ける姿=忍耐強さ
    を象徴する花言葉として「忍耐」が付けられた


夏の光に咲く花 ― シャスタ・デイジーと「忍耐」

 初夏の陽ざしは、まだ柔らかいのにどこか強かった。
 六月の風は少し湿っていて、街の匂いと土の匂いを一緒に運んでくる。

 大学からの帰り道、由依は小さな公園の前で足を止めた。
 公園の花壇には、白い花が一面に咲いていた。

 白い花びら。
 中心は小さな太陽のような黄色。

 ――シャスタ・デイジー。

 そう書かれた小さな札が、花壇の端に立っていた。

 由依はしゃがみ込んで、その花をじっと見つめた。

 まぶしいほど白い花だった。
 だけど、どこか素朴で、強さを感じさせる花だった。

 「また来てるんだ」

 後ろから声がした。

 振り向くと、直哉が立っていた。
 同じ大学に通う友人だ。

 「うん。なんとなく」

 由依は笑った。

 この公園は、最近よく立ち寄る場所だった。
 理由は、自分でもはっきりわからない。

 ただ、この花を見ると、少しだけ気持ちが落ち着いた。

 直哉も花壇をのぞき込んだ。

 「デイジー?」

 「シャスタ・デイジー」

 由依は札を指さした。

 「へえ」

 直哉はしゃがんだ。

 「白くてきれいだな」

 風が吹く。
 花びらが静かに揺れた。

 その様子は、まるで何も考えていないように穏やかだった。

 けれど由依は、スマートフォンで調べたことを思い出していた。

 シャスタ・デイジーは丈夫な花だ。
 耐寒性もあり、環境の変化にも強く、厳しい自然の中でも花を咲かせる植物だという。

 そして、この花にはこんな花言葉がある。

 ――忍耐。

 由依は、その言葉が少し好きだった。

 華やかではない。
 だけど、どこか誠実な言葉だった。

 「忍耐、か」

 直哉は札を読みながら言った。

 「なんか意外だな」

 「どうして?」

 「もっと明るい感じの意味かと思った」

 由依は少し考えてから言った。

 「でも、この花、暑い時期でもずっと咲くんだって」

 「へえ」

 「強い日差しでも、ずっと咲き続けるらしい」

 風がまた吹いた。

 白い花びらが揺れる。

 由依は続けた。

 「だから、困難な環境でも咲き続ける姿が、忍耐の象徴になったんだって」

 直哉は花を見つめた。

 「確かに……」

 そう言って、少し笑った。

 「派手じゃないけど、強そうだな」

 由依も笑った。

 そのとき、遠くで子どもたちの声がした。
 公園の遊具の方で遊んでいるらしい。

 夏はもうすぐだった。

 由依は花を見ながら思った。

 忍耐という言葉は、つらいことを我慢する意味だけではないのかもしれない。

 静かに続けること。
 あきらめないこと。

 誰に見られなくても、
 ただ咲き続けること。

 シャスタ・デイジーは、そんな花だった。

 直哉が立ち上がった。

 「そろそろ行く?」

 「うん」

 由依も立ち上がる。

 二人は公園の出口へ歩き出した。

 ふと、由依は振り返った。

 花壇には、白い花が風に揺れていた。

 強い夏の日差しの中でも、
 きっとこの花は咲き続けるだろう。

 静かに。
 誇らしげでもなく。

 ただ、そこにあることを選ぶように。

 その姿が、忍耐という言葉の本当の意味なのかもしれないと、由依は思った。

 帰り道、直哉が言った。

 「また咲いてたら、見に来よう」

 由依は少し笑って答えた。

 「うん」

 それだけだった。

 でも、胸の中には、
 白い花のような静かな余韻が残っていた。

 夏の光の中で、
 忍耐という名の花が、今日も咲いている。

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