1月13日の誕生花「ローズマリー」

「ローズマリー」

基本情報

  • シソ科・マンネンロウ属の常緑低木
  • 地中海沿岸原産
  • 学名:Rosmarinus officinalis
  • 開花期:主に11月〜5月(地域や品種により差あり)
  • 花色:淡い青紫、白、ピンクなど
  • 料理用・薬用・観賞用として古くから利用されてきたハーブ

ローズマリーについて

特徴

  • 細く硬い針状の葉を持ち、強く清涼感のある香りを放つ
  • 乾燥や暑さに強く、比較的育てやすい
  • 一年を通して葉を茂らせるため、庭でも鉢植えでも存在感がある
  • 香りには集中力を高め、記憶を助けるとされる作用がある
  • 古代から「記憶」「誓い」「守護」の象徴とされてきた植物

花言葉:「変わらぬ愛」

由来

  • 常緑で枯れにくく、四季を通じて姿を保つことから「変わらない心」を象徴した
  • 香りが長く持続し、時間が経っても失われにくい性質が「永続する愛情」と結びついた
  • 古代ギリシャ・ローマでは結婚式や葬儀に用いられ、生と死を越えて続く愛や絆を表す存在だった
  • 中世ヨーロッパでは、恋人や夫婦の忠誠と誓いの象徴として贈られていた


「変わらぬ香りのそばで」

 石造りの小さな教会の裏庭に、一本のローズマリーが植えられていた。背丈は人の腰ほどで、細い葉は一年を通して深い緑を失わない。冬の冷たい風にさらされても、夏の乾いた日差しに焼かれても、その姿はほとんど変わらなかった。

 エレナは幼いころから、その木の前を通るたびに立ち止まった。祖母に手を引かれ、結婚式に向かう人々を見送った日も、黒い衣をまとった葬列が静かに通り過ぎた日も、ローズマリーは変わらずそこにあった。指先でそっと葉に触れると、強く澄んだ香りが立ちのぼる。その香りは、なぜか胸の奥を落ち着かせ、遠い記憶を呼び覚ますようだった。

 祖母は言っていた。「この香りはね、時間に負けないのよ。人の心が揺れても、忘れようとしても、ちゃんと残る」。エレナはその意味を、当時はよく理解していなかった。

 年月が過ぎ、エレナ自身が結婚を迎える日が来た。花嫁の支度を終えた彼女は、教会の裏庭に出て、あのローズマリーの枝を一本だけ折った。母は何も言わず、ただ静かにうなずいた。枝を胸に添えると、幼いころと同じ香りがした。失われたはずの時間が、そっと戻ってくるような感覚だった。

 式のあと、彼女は夫となったマルコに、その枝を手渡した。「ずっと変わらないでいよう、とは言えないけれど」とエレナは微笑んだ。「でも、忘れないでいよう。どんな時も」。マルコは枝を受け取り、深く息を吸い込んだ。「この香りがある限り、忘れない」。

 やがて、祖母の葬儀の日が訪れた。教会の鐘が低く鳴り響く中、エレナは再び裏庭に立った。ローズマリーは、以前と少しも変わらない。人は生まれ、愛し、別れ、死んでいく。それでも、この木は生と死のあいだに立ち、すべてを静かに見守ってきたのだ。

 エレナは思った。変わらぬ愛とは、決して同じ形で在り続けることではない。季節や立場が変わっても、心の奥で香り続けるものを手放さないことなのだと。ローズマリーの葉が風に揺れ、再びあの香りが広がった。その瞬間、彼女は確信した。愛は、時間を越えて、確かにここに在る。