7月6日の誕生花「ヒマワリ」

「ヒマワリ」

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基本情報

  • 学名Helianthus annuus
  • 科名:キク科
  • 属名:ヒマワリ属
  • 原産地:北アメリカ
  • 開花時期:7月〜9月(夏〜初秋)
  • 花色:黄色(まれに赤みを帯びた品種も)
  • 英名:Sunflower(サンフラワー)

ヒマワリについて

Uschi DugulinによるPixabayからの画像

特徴

  • 太陽を追う花:成長途中の若いヒマワリは「向日性(ヘリオトロピズム)」と呼ばれる性質を持ち、日中は太陽の動きに合わせて花の向きを変えることがあります(成熟すると東を向いたままになることが多い)。
  • 大きな花と茎:1〜3メートルに育つこともあり、太い茎の先に大きな黄色い花(実際は多数の小花の集合体)を咲かせます。
  • 種子が豊富:花が終わると種が実り、食用(ひまわり油やスナック)や鳥の餌にも利用されます。

花言葉:「あなただけを見つめています」

Gábor AdonyiによるPixabayからの画像

この花言葉は、ヒマワリの**太陽を追いかける性質(向日性)**に由来しています。

  • 若いヒマワリは、太陽が昇る東から西へと動くにつれて、その花の向きも変えていきます。まるで一途に太陽だけを見つめているかのようなその姿が、誰かに対して「あなたしか見ていない」という強い想いを象徴するものとされました。
  • また、花の姿自体が太陽のように輝いていることから、「太陽=愛しい人」と見立てて、恋心や忠誠心を重ねる文化も背景にあります。

「向日葵の向く方へ」

제주 길잡이によるPixabayからの画像

駅前の花屋で、ひときわ大きなヒマワリが風に揺れていた。
 あの花が嫌いだったはずなのに――咲の足は、自然と止まっていた。

 「ねぇ、咲。ヒマワリって、太陽しか見ないんだって。知ってた?」

 その言葉を最後に、彼は咲の前からいなくなった。三年前の夏。
 大学最後の夏休みに入ったばかりの頃だった。
 突然の事故。なんの前触れもなかった。
 彼――直人は、咲に何も言い残さず、夕立のように消えてしまった。

 花屋の前に並ぶ鉢植えの向こうに、直人の面影を見た気がした。
 でも、それはきっと気のせいだ。
 だって、彼のように、あんなに真っすぐな人はいない。

 「俺、ヒマワリが好きなんだ」
 そう言って、真顔で花束を差し出してきた初デートの日。
 他の男の人ならバラやカスミソウを選ぶところを、彼は迷わずヒマワリだった。
 「なんか、咲っぽいなって思って」
 「え? 大きいってこと?」
 「違うって! ほら、太陽に向かって伸びてる感じ? いつも前向きで、元気で、俺のこと引っ張ってってくれるとこ」
 照れながらそう言った彼に、咲は言葉を返せなかった。
 たった一輪のヒマワリが、あんなにまぶしく思えたのは、あれが最初で最後だった。

J.Rim LeeによるPixabayからの画像

 以来、ヒマワリを見るたびに胸が痛くなった。
 まるで自分だけを見てくれていた彼のまなざしが、今もどこかで咲を見つめているようで。
 でも、咲は彼に背を向けたままだった。
 ――前を向かなきゃいけないのは分かってる。でも、どうしても振り返ってしまう。

 「……あなただけを見つめています、か」

 花屋の店先に添えられた札に、そう書かれていた。
 まるで、ヒマワリが咲に語りかけているかのようだった。

 そのままヒマワリを一鉢買って、部屋に飾った。
 東向きの窓辺、朝日が差し込む場所。
 ヒマワリはすぐに、明るい光のほうへと顔を向けはじめた。

 ――ねぇ、咲。太陽がどこにいるか、分かる?
 その声が、ふと耳に蘇る。
 咲は立ち上がり、ヒマワリの向きを見た。
 しっかりと光を捉えようとするその姿に、あの日の彼の瞳を重ねた。

 「……私も、ちゃんと見つけないとね。もう一度、前を」

 ヒマワリのように、まっすぐに。
 誰かに向かって、心から「あなた」と言えるその日まで。
 咲はゆっくりと、部屋のカーテンを開いた。

 窓の外には、真夏の空と、輝く太陽。
 そしてそれを見つめる、一輪のヒマワリが揺れていた。