「ツルバギア」
ツルバギアは、アガパンサスを小型にしたような美しい草姿を持つ花です。6弁の花に副花冠があり、葉や茎にはニラのような香りがあります。暑さや乾燥、長雨に強く、庭や寄せ植えに適しています。球根と宿根草の両方の性質を持ち、南アフリカに24種が自生。主に栽培されるのは、甘い香りがあるフラグランス (T. simmleri) と、春から秋まで咲くビオラセア (T. violacea) です。
ツルバギアについて
科名:ヒガンバナ科(Amaryllidaceae)、ネギ亜科(Allioideae)
原産地:南アフリカ
代表的な種類
- ツルバギア・ビオラセア (Tulbaghia violacea)
- 一般的なツルバギアで、紫色の花を咲かせる。
- ツルバギア・シンネンシス (Tulbaghia simmleri)
- より大きな花を咲かせ、芳香が強い。
特徴的な性質
- 葉や根を傷つけるとニンニクのような匂いがするため、「ワイルドガーリック」とも呼ばれる。
- 食用や薬用として利用されることもあるが、強い香りがあるため注意が必要。
花言葉: 小さな背信
- 見た目と香りのギャップ
- ツルバギアの花は可憐で優雅ですが、葉や茎を傷つけると ニンニクのような強い匂い を発します。
- 「可愛らしい姿に似合わぬ強烈な香り」が、意外性や裏切りを感じさせることから、この花言葉がついたのかもしれません。
- 葉の性質(隠れた一面)
- 一見すると普通の観賞植物に見えますが、葉には強い香りがあり、食用や薬用にもなる性質を持っています。
- 「意外な本性」や「隠された要素」を持つことが、「小さな背信(ちょっとした裏切り)」のイメージと重なるのかもしれません。
- 夜に香る花の特徴
- ツルバギアは夜になると香りが強くなることがあります。
- 昼間は控えめでも、夜には主張する性質が「思っていたのと違う=小さな裏切り」に通じる可能性があります。
ポジティブな解釈もできる?
「小さな背信」という言葉はネガティブな印象もありますが、「予想外の一面がある」「思っていたより奥深い」 という意味にも取れます。
可憐な見た目とは異なる強さや独自の個性を持つツルバギアの魅力を表しているのかもしれませんね。
もし贈る場合は、意味を伝えつつ「意外な一面が魅力的」という前向きな解釈を添えるのも良いかもしれません!
「小さな背信」
夏の終わりの午後、ひとりの女性が花屋を訪れた。彼女の名は美咲(みさき)。結婚を控えた親友の彩香(あやか)に、ブーケを贈ろうと考えていた。
「どんな花をお探しですか?」
花屋の店主が優しく声をかける。
「華やかだけど、少し意外性のある花がいいんです」
美咲の言葉に、店主はふと考え込み、小さな鉢植えを指さした。紫色の可憐な花が、風に揺れている。
「ツルバギアという花です。見た目は可愛いけれど、葉を傷つけるとニンニクのような香りがするんですよ」
「そんな花があるんですね」美咲は驚いた。
「花言葉は『小さな背信』。少し意外な意味ですが、こうも考えられます――人は誰しも、一面だけではない。見た目とは違う強さや魅力がある。そんなメッセージを込めてもいいかもしれませんね」
美咲はツルバギアの花を見つめた。可憐で優しげな花。だけど、そこには何か秘めた強さがあるように思えた。
「これにします」
ブーケにツルバギアを加え、彩香へ贈ることにした。
結婚式当日、美咲はブーケを手渡しながら言った。
「彩香、あなたって優しくて可愛いけど、本当はすごく強い人だよね。これからも、意外な一面を大事にしてね」
彩香は驚いたようにブーケを見つめ、やがて微笑んだ。
「ありがとう。なんだか、この花がもっと好きになりそう」
ツルバギアの花は、そっと風に揺れていた。