4月19日の誕生花「ムクゲ」

「ムクゲ」

Manfred RichterによるPixabayからの画像

🌺 基本情報

  • 和名:ムクゲ(木槿)
  • 学名Hibiscus syriacus
  • 英名:Rose of Sharon
  • 科名:アオイ科
  • 属名:フヨウ属(Hibiscus
  • 原産地:中国
  • 開花時期:7月~9月
  • 樹高:1~3mほどの落葉低木

ムクゲについて

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🌿 特徴

  • 花色の多様性:白、ピンク、紫、青紫などがあり、一重咲きや八重咲きの品種も存在。
  • 一日花:1つの花は基本的に1日でしぼみますが、次々に新しい花を咲かせるため長く楽しめる。
  • 丈夫で育てやすい:暑さや乾燥に強く、庭木や街路樹、公園などでも多く植えられる。
  • 象徴的存在
    • 韓国の国花としても有名(韓国語では「ムグンファ/무궁화」)。
    • 日本でも夏の風物詩として親しまれる。

花言葉:「純粋な愛」

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ひたむきに咲き続ける性質:1日でしぼんでしまう花にもかかわらず、毎日新しい花を次々に咲かせる姿は、あきらめずに相手を思い続ける「純粋な愛」や「永遠の愛情」を象徴しています。

見た目の清らかさ:白や淡い色の花びらは、清楚で控えめな印象を与えるため、「無垢」や「純粋さ」をイメージさせます。


「一日花の約束」

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駅前の小さな花屋で、彼女はムクゲの鉢植えを選んでいた。
「これ、誰に贈るの?」
 店主の老婆が笑顔で尋ねると、彼女は少し照れたように言った。
「……七回目の命日なんです。彼に」

 ***

 大学時代、彼と彼女は同じサークルで出会った。暑い夏の昼下がり、彼が汗をぬぐいながら言ったのを、彼女はいまでも覚えている。
「この時期って、いつもムクゲが咲いてるよな」
 それが、彼の初めての言葉だった。

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「ムクゲって知ってる? 一日でしぼんじゃうけど、また明日咲くんだよ。強くて、健気で、なんか……いいよな」

 それから彼女はムクゲを見るたびに、彼の言葉を思い出すようになった。彼は不器用だけど誠実な人だった。何事にもまっすぐで、優しかった。そして、突然いなくなった。

 事故だった。信号無視の車に巻き込まれ、彼は帰らぬ人となった。彼女はしばらく何も考えられなかった。けれど、彼の部屋に飾られていた小さなメモが、彼女の心を少しずつ動かしていった。

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 そのメモには、こう書かれていた。
「来年の夏、ムクゲを見に行こう。○○公園、朝の8時、約束な」
 日付は、彼が亡くなった翌年の7月15日だった。

 彼女はその日、○○公園に行った。彼の姿はもちろんなかったけれど、そこには満開のムクゲが風に揺れていた。白、ピンク、淡紫色――まるで彼が言った通り、強くて、健気に咲いていた。

 それから彼女は、毎年その日、その場所にムクゲを持って行くようになった。

 ***

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 花屋の老婆は鉢植えに水をやりながら、ふとつぶやいた。
「ムクゲの花言葉、知ってる?」
「はい。『純粋な愛』ですよね」
 彼女は微笑んだ。
「一日しか咲かないけど、また必ず咲く。まるで……会えなくても、心だけはずっとつながってるみたいで」

 老婆はうなずき、優しく花を包んだ。
「それはね、本当に誰かを思ってる人にしか似合わない花だよ」

 彼女は鉢植えを大事そうに抱え、ゆっくりと公園へ向かった。
ムクゲの花は今日もひとつ、静かに咲いていた。たった一日だけれど、その命の輝きは、永遠を信じる心とともにあった。

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