8月6日の誕生花「ジニア」

「ジニア」

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基本情報

  • 和名:百日草(ヒャクニチソウ)
  • 学名Zinnia
  • 科名/属名:キク科/ジニア属(ヒャクニチソウ属)
  • 原産地:メキシコを中心に南北アメリカ
  • 開花時期:5月~11月上旬
  • 草丈:20cm〜1m(品種による)
  • 花色:赤、ピンク、オレンジ、黄、白、紫、複色など
  • 形状:一年草(日本では)
  • 別名:百日草(ヒャクニチソウ)、ジーニア、花のダリア(見た目の類似から)
  • 利用:花壇・切り花・鉢植え向き

ジニアについて

Lena SvenssonによるPixabayからの画像

特徴

  • 長期間咲き続ける花
     名前のとおり、「百日」=「長い期間」咲くのが最大の魅力。夏の間ずっと花壇を彩ってくれる。
  • 暑さに強く丈夫
     乾燥や日差しにも強く、夏の炎天下でも元気に咲く。初心者にも育てやすい。
  • 花色・花形のバリエーションが豊富
     一重咲き・八重咲き・ポンポン咲きなど、品種によってさまざまな姿を楽しめる。
  • 花もちがよく切り花にも最適
     茎がしっかりしており、切っても比較的長く花を楽しめるため、フラワーアレンジメントにも使われる。

花言葉:「不在の友を思う」

Goran HorvatによるPixabayからの画像

由来の背景:ジニアの「長く咲き続ける性質」
 ジニアは、暑い夏から秋まで、非常に長く咲き続ける花です。この「途切れず咲く姿」は、離れていても変わらぬ友情や、会えなくても忘れない気持ちを象徴しています。

色褪せず咲き続ける姿=「想いを絶やさない心」
 会えない時間が長くても、花はずっとそこにある――まるで、「今はいないけれど、大切な友を忘れずに思い続ける心」を重ねることができます。

夏から秋へ、季節をまたいで咲く=「時を越えてつながる思い」
 季節の移ろいの中でも変わらず咲き続ける姿が、「時間や距離を超えて、変わらぬ友情」を象徴すると考えられています。


「百日の手紙」

駅前のフラワーショップで、小さな鉢植えを買った。
 「ジニアです。夏から秋まで、ずっと咲きますよ」
 店員の女性が微笑みながら言った。

 その名前を聞いた瞬間、胸の奥に何かが触れた気がした。
 ——そうだ、あの子が最後にくれた花も、ジニアだった。

     * * *

 高校の卒業式の日、沙織は一鉢の花を私に手渡してきた。
 「これ、ジニアっていうの。百日草って呼ばれるんだよ」
 ピンクとオレンジが混ざった、賑やかな色合いの花だった。

 「夏の間ずっと咲くんだって。だから……元気でいてね」
 それが彼女の最後の言葉だった。

 進学先が別々になった私たちは、そのまま会うことなく、月日だけが過ぎた。
 最初は手紙のやり取りをしていたけれど、彼女が突然、引っ越すことになって、それきり音信不通になった。新しい住所も知らされないまま。

     * * *

 帰宅して、買ったばかりのジニアをベランダに置いた。
 窓を開けると、まだ夏の名残が漂っていて、空気が少しだけ熱を含んでいた。

 花は、まっすぐに空を向いていた。
 たった一輪なのに、強く咲いている。それはまるで、何年も会えない友をずっと思い続ける心のように——

 「不在の友を思う」
 ふと、花言葉が頭をよぎった。

 そういえば、あの鉢植えも、引っ越しの前の日までベランダにあった。
 水をやるたび、私は彼女のことを思い出していた。
 会えない日が続いても、ジニアは枯れなかった。

 ——あの頃も、今も、私の中ではずっと一緒に咲いていたのかもしれない。

     * * *

 その夜、私は机の引き出しを開けた。
 一番奥に、彼女からの最後の手紙がしまってある。

 「咲き続ける花のように、変わらずに思っています」
 震える文字で、そう書いてあった。

 私たちは、きっと互いに忘れたわけじゃなかった。
 ただ、会えなかっただけ。

 窓の外に目をやると、ジニアが月明かりの中に浮かんで見えた。
 あの時よりも少し背が高くなったように感じた。

     * * *

 翌日、私は便箋を取り出し、新しい手紙を書いた。

 宛名はまだ書けないけれど、いつかまた会えるその日まで、書き続けよう。
 会えなくても、言葉だけでも届くように。
 咲き続けるこの花のように、心だけは色褪せないように——

 私は、百日の花に見守られながら、静かにペンを走らせた。

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