3月14日の誕生花「ブルーデイジー」

「ブルーデイジー」

基本情報

  • 学名:Felicia
  • 科名:キク科
  • 属名:フェリシア属
  • 原産地:南アフリカ
  • 分類:多年草(日本では一年草扱いされることも多い)
  • 開花時期:3〜6月、9〜11月
  • 草丈:30〜60cmほど
  • 別名:フェリシア、ルリヒナギク(瑠璃雛菊)

ブルーデイジーについて

特徴

  • 鮮やかな青色の花びらと黄色い中心が特徴の可憐な花
  • デイジーに似た花形で、爽やかな印象を与える
  • 日光を好み、晴れた日に花を大きく開く性質がある
  • 春から初夏にかけて長く花を楽しめる
  • 花壇や鉢植え、寄せ植えなどに人気がある園芸植物
  • 涼しげな青色の花は庭やベランダのアクセントになる


花言葉:「純粋」

由来

  • 混じりけのない澄んだ青色の花びらが、清らかな心や無垢さを連想させたため
  • 素朴で飾らない花姿が、まっすぐで純真な印象を与えることから
  • 太陽の光を受けて明るく咲く様子が、曇りのない心や誠実さを象徴すると考えられた
  • 青い花が持つ清潔感や透明感のある美しさが、「純粋」という花言葉につながった


「青い花の約束」

 春の風がやわらかく吹く午後だった。

駅前から少し離れた小さな公園の花壇に、ブルーデイジーが咲いていた。
澄んだ青色の花びらと、真ん中の小さな黄色い円。太陽の光を受けて、まるで空のかけらのように輝いている。

私は足を止め、しばらくその花を見つめた。

「きれいでしょう?」

後ろから声がした。

振り向くと、小さな園芸店の店主らしい年配の女性が、ジョウロを手に花壇に水をやっていた。

「ブルーデイジーですよ」

そう言って、彼女は優しく花に目を向けた。

「花言葉、知っていますか?」

私は首を横に振った。

「純粋、なんです」

その言葉を聞いたとき、不思議と胸の奥が少しだけ痛んだ。

――純粋。

その言葉を聞くと、いつも思い出す人がいる。

大学一年の春。
私はまだ新しい街にも慣れていなくて、講義が終わるとまっすぐ帰るような毎日だった。

ある日、キャンパスの裏庭で彼女に出会った。

「この花、好きなんです」

そう言って彼女が指差したのが、ブルーデイジーだった。

花壇の端に、ひっそりと咲いていた。

「青い花って、少ないでしょう?」

彼女はしゃがみこんで花を見ながら言った。

「でもこの青って、すごくきれいなんです。混じりけがない感じで」

私はその花を初めてちゃんと見た。

確かに、その青は不思議だった。
濁りがなくて、どこまでも澄んでいる。

まるで春の空をそのまま花びらにしたみたいだった。

「この花、純粋っていう花言葉なんですよ」

彼女は少し照れたように笑った。

「青がきれいだから。清らかな心を連想させるんだって」

そのときの私は、ただ「そうなんだ」と頷いただけだった。

花言葉なんて、どこか遠いもののように思えたからだ。

それから私たちは、よく話すようになった。

講義のあと、図書館へ行く途中。
学食の帰り道。
キャンパスのベンチ。

彼女はいつも、花の話をした。

「ブルーデイジーって、太陽が好きなんです」

ある日、彼女は言った。

「晴れた日に、いちばんきれいに咲くんですよ」

その言葉どおり、春の光の下でブルーデイジーはいつも明るく咲いていた。

「曇りのない心って、こういう感じかもしれませんね」

彼女は花を見ながら、そうつぶやいた。

私はその横顔を見ていた。

飾らない言葉。
素直な笑顔。

ブルーデイジーの花言葉が「純粋」だという理由が、少しわかった気がした。

彼女自身が、どこかその花に似ていたからだ。

けれど、時間は思ったより早く流れた。

夏の終わり、彼女は突然言った。

「引っ越すことになったんです」

家族の事情で、遠い街へ行くことになったという。

私は何も言えなかった。

ただ、あの花壇の前に一緒に立った。

ブルーデイジーはまだ咲いていた。

「またどこかで会えたらいいですね」

彼女はそう言って笑った。

その笑顔は、あの日と同じだった。

澄んだ青い花のような、まっすぐな笑顔だった。

私は結局、何も伝えられなかった。

好きだとも言えず、
引き止めることもできず、
ただ見送っただけだった。

それから何年も経った。

街も、仕事も、生活も変わった。

けれど、ブルーデイジーを見ると、必ず思い出す。

混じりけのない青い花びら。
素朴で飾らない花の姿。
太陽の光の中で、まっすぐに咲く花。

清潔で透明なその美しさが、「純粋」という花言葉になった理由を、今なら少しわかる気がする。

あの頃の気持ちは、きっと不器用だった。
言葉にもならないほど、まっすぐだった。

でも、それでよかったのかもしれない。

ブルーデイジーの青は、今も変わらない。

澄んだ空のように、静かに咲き続けている。

私は公園の花壇をもう一度見た。

太陽の光の中で、ブルーデイジーが揺れている。

その青は、あの日と同じだった。

胸の奥に残っている、
まだ少しだけ、純粋な気持ちのように。

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