8月31日の誕生花「リンドウ」

「リンドウ」

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基本情報

  • 分類:リンドウ科リンドウ属(多年草)
  • 学名:Gentiana scabra var. buergeri
  • 原産地:日本(本州、四国、九州)、中国、朝鮮半島などアジア東部
  • 開花期:9月下旬~10月中旬
  • 花色:主に青紫、他に白やピンクもある
  • 草丈:20〜80cmほど
  • 利用:観賞用のほか、根は生薬「竜胆(りゅうたん)」として健胃・解熱・消炎に用いられてきた

リンドウについて

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特徴

  1. 深い青紫色の花
    リンドウといえば鮮やかな青紫の花色が特徴的。秋の澄んだ空を映したような色合いで、日本では古くから愛されてきました。
  2. つぼみのように見える花
    花は釣鐘型で、完全に開ききらず筒状のまま咲くため、少し控えめで奥ゆかしい印象を与えます。
  3. 薬草としての歴史
    根は強い苦味をもち、生薬「竜胆」として古くから使われてきました。この「胆が裂けるほど苦い」という意味から「竜胆」という漢字が当てられています。
  4. 秋の代表花
    菊やコスモスと並び、お彼岸や敬老の日の贈り花としても親しまれています。

花言葉:「悲しんでいるあなたを愛する」

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由来

リンドウの花言葉にはいくつかありますが、その中でも「悲しんでいるあなたを愛する」は特に印象的です。

その背景には以下のような理由があります。

  1. 花がうつむいて咲く姿
    リンドウの花は横向き〜やや下向きに咲きます。その姿が「悲しみに沈む人」のように見えることから、寄り添うような愛情の花言葉が生まれました。
  2. 秋に咲く花であること
    秋は別れや寂しさを象徴する季節とされます。そんな季節に咲くリンドウは、哀愁の中に寄り添う存在として受け取られました。
  3. 色合いの象徴性
    青紫色は「憂い」「深い思慕」を連想させる色であり、落ち着いた花色が「悲しみを包み込む愛」を表現するものとされました。

「悲しみを包む青」

Thomas FerstlによるPixabayからの画像

彼女の家の庭の片隅には、毎年秋になるとリンドウが咲いた。
 小さく、うつむきながらも澄んだ青紫を放つその花は、派手さこそないが、ひときわ目を引く存在だった。

 ──「悲しんでいるあなたを愛する」。
 母が生前よく口にしていたリンドウの花言葉が、ふと胸をよぎる。

 母を見送ってから、初めて迎える秋。家の中には母の声も、あたたかな足音もなく、ただ時計の針が規則正しく音を刻むだけだった。

 朝起きても食卓は静まり返り、夜になっても帰りを待つ人はいない。季節が巡っていくたびに、自分ひとりだけが置き去りにされたようで、心の奥が冷えていくのを感じていた。

 そんなある日、庭をふと見やると、あのリンドウが花をつけていた。
 深い青紫の花弁が、澄んだ空気にしんと溶け込むように咲き誇っている。けれどもその花は、まっすぐ空を仰ぐのではなく、ほんの少しうつむいて咲いていた。

 まるで自分と同じように、悲しみを抱えながら立っているように見えて、胸が詰まった。

 しゃがみ込んで花を覗き込むと、記憶の奥から母の声が蘇る。
 「人はね、悲しいときに無理に笑わなくてもいいんだよ。悲しみを知っている人だからこそ、人を思いやれるんだと思うの」

 リンドウの花言葉を教えてくれたのも、そのときだった。母は、少し寂しそうに笑いながらも、どこか誇らしげに花を見ていた。

 「悲しんでいるあなたを愛する」
 ──あのときは難しく感じた言葉の意味が、今になってようやく少しだけ分かる気がした。

 母はきっと、自分が悲しんでいることを責めたりはしない。むしろ、その悲しみごと抱きしめてくれる。
 だから、この花は母の心そのものなのかもしれない。

 ひんやりとした秋風が頬を撫でる。見上げれば、澄み渡る空の青が広がり、その足元でリンドウが静かに揺れていた。
 哀しみに沈む心を、決して否定せず、ただそっと支えてくれる存在。
 母の愛情が、そこに確かに息づいているようだった。

 私は思わず花に向かってつぶやいた。
 「……ありがとう」

 声は誰に届くわけでもない。それでも、リンドウの青がわずかに深みを増したように見えた。
 その花の傍らで、私は初めて心の底から泣くことができた。

 悲しみを包み込むように咲く青紫のリンドウ。
 その花は、失われた母の代わりに、静かに私を抱きしめてくれているようだった。

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