「ギョリュウバイ」

ギョリュウバイ(御柳梅)は、ニュージーランドやオーストラリア原産の低木で、細かい葉と小さな梅のような花を咲かせる植物です。英名では「ティーツリー(Tea Tree)」の一種としても知られています。
ギョリュウバイについて

科名:フトモモ科ギョリュウバイ属
原産地:ニュージーランドやオーストラリア
開花時期:主に春〜初夏(3月〜6月ごろ)
花の色:ピンク、赤、白
用途:庭木、生垣、鉢植えなど
ギョリュウバイの魅力
- 耐寒性・耐暑性に優れるため、比較的育てやすい
- ハチミツ(マヌカハニー)の原料としても有名
- 香りの良い葉が特徴的で、ティーツリーオイルの原料になることもある
日本では庭木や鉢植えとして楽しまれることが多いですが、その繊細で可憐な花姿が、「人見知り」な性格を持つ人に共感を呼ぶのかもしれませんね。
花言葉:「人見知り」

ギョリュウバイの花言葉の一つに「人見知り」があります。これは、ギョリュウバイがやや乾燥した環境を好み、過度な湿気や過保護な管理を嫌うことに由来すると考えられます。また、梅に似た控えめな花が密集して咲く様子から、恥ずかしがり屋の性格を連想させるのかもしれません。
他にも、「蜜月」「勇ましさ」などの花言葉があり、国や地域によって異なる意味が付けられることもあります。
「人見知りの花」

「お前、本当に人見知りだよな。」
幼馴染の涼が笑いながら言った。私は苦笑いを浮かべ、手元の鉢植えを見つめる。小さなピンクの花が咲いたギョリュウバイ。
「そうかな……。」
「そうだって。小さい頃から、初対面の人と話すの苦手だったろ?」

確かに。昔から人前ではうまく言葉を紡げず、無理に話そうとすると変な沈黙が流れてしまう。だけど、私は人が嫌いなわけじゃない。ただ、どう距離を縮めたらいいのか分からないだけ。
このギョリュウバイも、そんな私と似ている気がした。乾燥した土地を好み、過保護にされると弱ってしまう。たくさんの花を咲かせても、一つ一つは控えめで、どこか遠慮がちに見える。

「それ、何の花?」
「ギョリュウバイ。花言葉のひとつに『人見知り』ってあるんだって。」
「へえ、お前っぽいな。」
涼はまた笑った。でも、その声は優しかった。
「それに、『蜜月』とか『勇ましさ』っていう意味もあるらしいよ。」

「ふーん。じゃあ、お前もいつか人見知りを乗り越えて、勇ましくなるってことか?」
「……かもね。」
風が吹いて、小さな花が揺れた。ふと見ると、ギョリュウバイの枝先に新しいつぼみがついている。
私はそっと指先で触れる。このつぼみも、いつか花開くのだろう。

「まあ、お前はお前のペースでいいんじゃね?」
涼の言葉に、私は少しだけ笑ってうなずいた。
もしかしたら、私もこの花のように、ゆっくりでもいいから少しずつ咲いていけるのかもしれない。
ギョリュウバイの花が、静かに春の空へ揺れていた。