7月31日の誕生花「ルドベキア」

「ルドベキア」

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基本情報

  • 学名Rudbeckia
  • 英名:Black-eyed Susan(ブラック・アイド・スーザン)
  • 科名/属名:キク科/ルドベキア属
  • 原産地:北アメリカ
  • 開花時期:7月〜10月(初夏〜秋)
  • 草丈:30cm〜150cmほど(品種によって異なる)
  • 花色:黄色、オレンジ、赤褐色など(中心が黒や茶で、コントラストが特徴的)

ルドベキアについて

ZenAgaによるPixabayからの画像

特徴

  • 明るく鮮やかな黄色系の花びらと、黒または茶色の丸い中心部(頭状花序)が特徴。
  • 耐暑性・耐寒性ともに強く、初心者でも育てやすい丈夫な植物です。
  • 一年草タイプと多年草タイプの両方があります。
  • 花壇や切り花、ナチュラルガーデンによく使われます。
  • ミツバチや蝶を引き寄せる花としても人気があります。

花言葉:「正しい選択」

MariaによるPixabayからの画像

ルドベキアの花言葉「正しい選択」は、その花姿と性質、そして歴史的背景に由来すると考えられます。

◎ 花姿に込められた「確信と揺るぎなさ」

  • 花びらは太陽のように放射状に広がり、中央の黒い芯がどっしりと構えています。
  • まるで「自分の軸をしっかり持っている」かのような芯のある美しさが、「迷いのない決断」や「正しい選択」を象徴しているとされます。

◎ 環境を選ばないタフな性質

  • ルドベキアは痩せた土や暑さにも負けずに花を咲かせることから、厳しい状況でも自分の選んだ道を進む「強い意志」や「確かな判断力」の象徴とされます。

◎ 名の由来も「正しさ」と関係?

  • 学名 Rudbeckia は、スウェーデンの博物学者**オロフ・ルドベック(Olaus Rudbeck)**に由来し、植物学に大きな貢献をした「正しい学問的選択・姿勢」を称えて命名されたとも言われています。
  • つまり、**知性や見識に裏打ちされた“正しさ”**の象徴とも読み取れます。

🌻補足:他の花言葉もあります

  • あなたを見つめる(中心部が黒く目のように見えることから)
  • 立派な人
  • 正義

「ひまわりじゃなく、ルドベキアを」

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駅前の花屋で、ひとりの女性が足を止めた。

 棚の片隅に、小さな鉢に植えられたルドベキアが並んでいる。黄色い花びらが太陽のように広がり、中心には焦げ茶の芯がしっかりと構えていた。

 「……これ、ひまわりじゃないんだ」

 そうつぶやいた彼女の声は、どこか迷いを断ち切るような響きを含んでいた。

 その名前を口にするのは久しぶりだった。大学時代、あの人がいつも言っていた。

 「俺、花の中で一番好きなのはルドベキア。ひまわりみたいだけど、もっと控えめで芯が強い。なんか、迷わないって感じがするんだ」

 彼は将来、教師になると言っていた。

 子どもたちに勉強を教えるよりも、「選び方」を伝えたいんだと語っていた。

 何かを選ぶって、時に怖い。でも、選ばないままで立ち止まっている方が、もっと怖い――そんな言葉を、彼女は何度も聞いてきた。

 けれど卒業間際、彼は夢を捨てた。家業を継ぐために地元に戻り、教師の道はあきらめると静かに言った。

 「それが俺の“正しい選択”なんだと思う」

 そう言いながら笑った彼の横顔が、忘れられないままだった。

 あれから7年。

Teodor BuhlによるPixabayからの画像

 彼女は今、外資系の広告会社で働いている。数字とスピードの渦に巻かれながら、「いつか辞めよう」と思い続けて、でもそれでもがきながら日々を重ねていた。

 ──ルドベキアの花言葉、知ってる?

 ふと、昔の彼の声がよみがえる。

 「“正しい選択”って言うんだ。派手じゃないけど、どこかに一本、軸があるって感じ。だから好きなんだよ」

 彼女はそっとルドベキアの鉢を手に取った。

 目を凝らすと、ただの可憐な花ではなかった。土に深く根を張り、太陽の方を静かに向いている。芯がぶれず、どんな風にも倒れそうにないその姿。

Zhu BingによるPixabayからの画像

 ──あのとき、私は何を選んでいただろう?

 彼と離れることを「しかたない」と言い聞かせ、会社に残ることを「正解」と信じた。でも今なら思う。「正しい選択」とは、状況に流されて決めることじゃない。自分の意志で、ちゃんと選ぶことなんだ。

 帰り道、電車の窓に映る自分が、ほんの少しだけまっすぐに見えた。

 部屋に帰ったら、あの鉢を窓辺に置こう。名前のわからなかったあの花を、ちゃんとルドベキアと呼ぼう。

 そしていつか、彼に伝えよう。

 「私も、選んだよ」と。

 迷いのない、揺るがない、ただひとつの“正しい選択”を。