7月5日は、江戸切子の日です。
江戸切子は、東京都の江東区を中心として生産されている伝統工芸品で、江戸切子協同組合では江戸切子の認知と振興の一環とし、江戸切子の代表的な文様『魚子(ななこ)』から7⇒(なな)月、5⇒(こ)日という語呂合わせにした日を「江戸切子の日」として2008年に制定しています。
江戸切子とは
江戸切子(えどきりこ)は、日本の伝統的なガラス工芸品であり、江戸時代の江戸(現在の東京都)で誕生しました。江戸切子は、ガラスの表面に細かい彫刻などを施し、光の反射や透過によって美しい輝きを生み出す技法です。その技法は、1985年に東京都指定伝統工芸品に指定され、2002年には経済産業大臣指定伝統的工芸品として認定されています。
江戸切子の歴史
江戸時代後期、江戸大伝馬町でビードロ(ガラス製の器具)問屋を営む加賀屋久兵衛らが、南蛮人(ポルトガル人などの西洋人)が持ち込んだ外国製のガラス製品に、切子細工を施したのが「江戸切子」の由来だといわれています。 加賀屋久兵衛(日本近代のガラス職人の草分け的存在)発行の引き札(カタログ)には、当時の扱っていたガラス製品の数々が紹介されており、食器のほか、理化学用・日用品・金魚鉢など、江戸期には多くのガラス製品の商いが行われていたことがわかります。 こうした歴史やその頃に培われた技術が、現代の「江戸切子」として伝承されています。
江戸切子の特徴
江戸切子は、光の反射が魚卵の連なりに似ていることに由来する魚子など、20種ほどある伝統的な文様は、月日がたっても少しも色褪せることなく現代の食卓を華麗に飾ります。そして、職人たちは伝統的な文様を継承する一方で、独自のオリジナルカットを用いた製品づくりにも貪欲。例えば、厚さ2〜3ミリほどの色被せガラスを削る薩摩切子のぼかしの技は、さらに厚さ1ミリ弱の色被せガラスに繊細な彫りを施し、その「江戸切子」の特徴であるシャープで鮮明な輝きを生み出します。その中でも、上から覗き込むと万華鏡のように光が反射する切子の人気は高い。現在でも日本酒やビール、ワイン用などの形ものが作られ、使い勝手の良さや飽きがこないデザインが追求され続けているそうです。
日本を代表する伝統工芸品
江戸切子は、その美しさと高い品質から、国内外で高い評価を受けているようです。実際にニューヨークやパリ、ロンドンなどで作品を発表し、海外からも注目を集めているそう。また今では、日本文化を代表するものとして観光客に人気があるお土産になっているとか。今後、江戸切子はその繊細な彫刻と輝きを、日本を代表する伝統工芸品の一つの産物として守って欲しいと感じています。