4月6日の誕生花「シナワスレナグサ」

「シナワスレナグサ」

シナワスレナグサ(支那勿忘草)は、ワスレナグサの一種で、中国原産の品種を指します。名前に「シナ(支那)」がついているのは、「中国(支那)原産のワスレナグサ」という意味です。以下に、シナワスレナグサの基本情報と特徴をまとめます。

シナワスレナグサについて

🌸 シナワスレナグサ(支那勿忘草) 基本情報

  • 学名Myosotis sylvatica(ワスレナグサ属)
  • 別名:チャイナワスレナグサ
  • 分類:ムラサキ科・ワスレナグサ属
  • 原産地:中国(シナ)
  • 開花時期:春(4月〜6月頃)
  • 花の色:青、紫、ピンク、白など
  • 草丈:15〜30cm程度
  • 花言葉「真の愛情」, 「私を忘れないで」, 「誠の愛」


🌿 特徴

  • 小さな花が密集して咲くことで、可憐な印象を与えます。
  • 一年草として扱われることが多いですが、環境によっては宿根草のように育つ場合もあります。
  • 日当たりと水はけのよい場所を好みます。
  • ガーデニングでは、他の春の花との寄せ植えにも人気です。

✨ 豆知識

  • ワスレナグサはヨーロッパにも広く分布しており、「忘れな草」として詩や物語にもよく登場します。
  • 英語では「Forget-me-not(私を忘れないで)」と呼ばれ、ロマンティックな象徴とされています。

気になる点や、育て方・寄せ植えなどについても知りたければ、気軽に聞いてくださいね!🌼


花言葉:「真の愛情」

「真の愛情」という花言葉は、小さくて控えめながらも可憐に咲くシナワスレナグサの姿から由来しています。
忘れられたくない、という切ない思いや、変わらない愛を象徴しており、恋人や大切な人への贈り物にもぴったりです。


「忘れな草の約束」

 春の風が吹き抜ける丘の上に、小さな青い花が静かに揺れていた。
その花の名は――シナワスレナグサ。

高校卒業の直前、陽向(ひなた)は静かにその丘を訪れていた。青く小さな花々が咲き誇るその場所は、彼と彼女の「秘密の庭」だった。

「……今年も咲いたね」

小さくつぶやいた声は、風にまぎれて消えた。だが、その場にいる誰かがちゃんと聞いてくれたような気がした。

彼女――沙希(さき)は、三年前の春、突然転校してきた。どこか寂しげで、でも笑顔だけは太陽みたいにまぶしかった。
クラスに馴染めずにいた彼女を、陽向はなぜか放っておけなかった。気づけば二人はよく一緒に過ごすようになり、毎日が少しずつ、温かくなっていった。

ある日、沙希は言った。
「この花、知ってる? シナワスレナグサっていうの。花言葉は『真の愛情』。……なんか、いいよね」

その日から二人はこの花が咲く丘を「私たちの場所」と呼んだ。

けれど、季節はめぐり、時は残酷だった。沙希は重い病を抱えていた。
「もう転校しなくちゃいけないの。ちょっと遠い病院なんだ」
そう言った彼女の目は、まっすぐに陽向を見ていた。

「ねえ、来年も、この花が咲くころ、ここで会えるかな?」
「当たり前だよ。俺、毎年咲くたびに、ここに来るって決めたから」
「……約束だよ」

それが、最後の会話だった。
沙希は、その年の冬、静かに息を引き取った。誰にも知らせず、誰にも看取られず、ただ、花のように儚く。

陽向はそれを後から知り、何もできなかった自分を責め続けた。
だが、丘の上のワスレナグサだけは、何も言わず、ただそこに咲いてくれていた。まるで、沙希の気持ちをそのまま咲かせているように。

そして今年もまた、花が咲いた。
陽向はポケットから、小さな便箋を取り出した。それは沙希が残していた最後の手紙。

陽向へ

私、ちゃんと約束を覚えてるよ。だからね、来年も、再来年も、ずっとこの花が咲いてくれるなら、それが私の“真の愛情”ってことでいいでしょ?

笑って、あなたらしく生きていてくれたら、私は幸せ。

忘れないでね――ワスレナグサの丘で。

沙希より

陽向は、少しだけ笑った。
「……忘れるわけないだろ、ばか」

空は青く澄んでいた。
シナワスレナグサが風に揺れ、まるで彼女の笑顔が、そこにいるように感じられた。