「ユリオプスデージー」

基本情報
和名:ユリオプスデージー(英名:Euryops daisy)
学名:Euryops pectinatus
科名/属名:キク科/ユリオプス属
原産地:南アフリカ
開花時期:10月〜5月頃(秋〜春にかけて長く咲く)
花色:鮮やかな黄色
分類:常緑低木(多年草のように扱われることも多い)
ユリオプスデージーについて

特徴
- 一年中明るい印象の花
- ユリオプスデージーは、寒い季節でも明るい黄色の花を咲かせます。
冬から早春にかけて庭を彩る貴重な存在です。
- ユリオプスデージーは、寒い季節でも明るい黄色の花を咲かせます。
- 銀葉とのコントラスト
- 銀白色の細い葉が美しく、花の黄色とのコントラストがとても印象的です。
日光を反射するその姿は、陽だまりのような温かみを感じさせます。
- 銀白色の細い葉が美しく、花の黄色とのコントラストがとても印象的です。
- 耐寒・耐暑性に優れる
- 比較的丈夫で育てやすく、日当たりを好む植物です。
南アフリカ原産らしく、乾燥にも強く、明るい場所を好みます。
- 比較的丈夫で育てやすく、日当たりを好む植物です。
- 長い開花期
- 条件が合えば秋から春までほぼ半年以上咲き続けるため、
「いつも笑顔で寄り添う」ような印象を与えます。
- 条件が合えば秋から春までほぼ半年以上咲き続けるため、
花言葉:「円満な関係」

花言葉:「円満な関係」
🔹 花言葉一覧
- 「円満な関係」
- 「夫婦円満」
- 「明るい愛」
- 「日々新た」
🌸 「円満な関係」の由来
この花言葉には、ユリオプスデージーの咲き方や姿に由来があります。
- たくさんの花が寄り添って咲く姿
→ 小さな黄色い花が株いっぱいに咲き広がる姿は、
まるで家族や仲間が調和して支え合っているよう。
そこから「円満」「調和」「温かい関係」が連想されました。 - 長く続く花期=長く続く良い関係
→ 寒い冬にも明るく咲き続ける生命力が、
「長く穏やかに続く関係」を象徴すると考えられています。 - 太陽のような花色
→ 鮮やかな黄色は、希望・幸福・友情・愛情を象徴する色。
明るく照らし合うような関係をイメージさせ、「円満な関係」という意味がつけられました。
陽だまりの花(ユリオプスデージー)

冬の朝、まだ霜の残る庭で、智子はゆっくりと膝をついた。
指先が冷たくなるのも構わず、ユリオプスデージーの枯れかけた枝をそっと剪(き)る。
黄色い花びらが一枚、風に乗ってひらりと舞った。
「ねえ、あなた。この子、また咲いてくれたわよ」
声に応える人はもういない。
それでも智子は、花の前に並ぶように置かれた小さな石の前に微笑みかけた。

夫の和夫がこの花を植えたのは、十年前の冬だった。
「寒い時期こそ、明るい花がいるといいね」
そう言って苗を植える彼の手は、いつも土の匂いがして温かかった。
やがてその株は年々大きくなり、春の終わりまで絶えず黄色い花を咲かせ続けた。
庭の隅で寄り添うように咲くその姿が、二人の日々を象徴しているように思えた。
夫婦には派手な出来事などなかった。
仕事と家事、季節の行事、近所の人との挨拶。
けれど、どんなに忙しい日でも、夕食後の時間だけは欠かさなかった。
温かいお茶を淹れて、二人で花を眺めながら話す時間。
「今年も咲いたね」「去年より明るい黄色だね」
そんな小さな会話が、いつの間にか智子の一番の宝物になっていた。

和夫が病に倒れたときも、ユリオプスデージーは変わらず咲いていた。
病室の窓辺に一輪だけ飾った花を見て、彼は微笑んだ。
「この子は強いね。……君に似てるよ」
その言葉が最後になった。
それから二年。
智子は毎朝、花に声をかけるのを日課にしている。
冬の冷たい空気の中でも、黄色い花たちは太陽のように明るく笑っている。
ふと、風にそよぐ花々が寄り添うように揺れる。
まるで「一人じゃないよ」と語りかけてくれるようだった。

智子は手を合わせ、そっと目を閉じた。
思い出の中の声が聞こえる気がした。
――「この花はね、円(まる)く咲くんだよ。だからきっと、どんな季節もつながってるんだ」
その言葉を胸に、智子は微笑む。
寒さの中で咲く花は、決して派手ではない。
けれど、寄り添いながら咲き続けるその姿には、
長く続く関係のような穏やかさがある。
智子は立ち上がり、指先についた土を払った。
そして小さくつぶやく。
「ねえ、あなた。今年もきっと、いい春になるわね」
朝の陽射しが少しずつ強くなっていく。
ユリオプスデージーの黄色が、冬の庭をやさしく照らしていた。