7月22日の誕生花「ペチュニア」

「ペチュニア」

Ioannis KarathanasisによるPixabayからの画像

基本情報

  • 学名Petunia
  • 科名 / 属名:ナス科 / ペチュニア属
  • 原産地:南アメリカ中東部亜熱帯~温帯
  • 開花時期:春〜秋(3月〜11月頃)
  • 草丈:約20〜50cm(品種により異なる)
  • 花色:赤、ピンク、紫、白、黄色、青、複色など非常に豊富
  • 分類:一年草(日本では)、多年草(原産地では)

ペチュニアについて

_ ArtoxanaによるPixabayからの画像

特徴

  • 花の形:ラッパ型で丸く開いた花弁。柔らかな印象。
  • 開花期間が長い:春から秋まで咲き続けるため、ガーデニングや鉢植えに人気。
  • 多彩な品種:八重咲き、フリンジ咲き、ミニタイプなど園芸品種が非常に多く、色や形にバリエーションが豊か。
  • 生育が旺盛:日当たりと風通しのよい場所でよく育ち、比較的育てやすい。
  • 香り:一部の品種は甘くやさしい香りをもつ。

花言葉:「心の安らぎ」

hartono subagioによるPixabayからの画像

ペチュニアの花言葉にはいくつかありますが、なかでも**「心の安らぎ」**は特に穏やかな印象を与える花姿から生まれたと考えられます。

由来のポイント:

  • 優しい花色と形
     ペチュニアはラッパ状の丸みを帯びた花で、どこか包み込むような柔らかさを感じさせます。そのため、見る人の気持ちをほっと和らげる効果があります。
  • 長く咲き続ける安心感
     春から秋まで咲き続けるその姿は、「いつもそばにいてくれる存在」のよう。変わらぬ花姿が「安定」や「心の癒やし」といった感情を連想させるのです。
  • 家庭的で親しみやすい雰囲気
     庭先やベランダ、街角の花壇など身近な場所でよく見かけることから、日常に寄り添うような花=心の安らぎを象徴する花とも言えます。

「ペチュニアの咲くベランダで」

Matthias BöckelによるPixabayからの画像

四階建ての古びたアパート、その二階の角部屋に、白いレースのカーテンが揺れている窓がある。窓の外には小さなベランダがあり、そこにひっそりと並ぶ鉢植え――紫や淡いピンク、クリーム色のペチュニアが風に揺れていた。

 その部屋に住むのは、七十を過ぎた一人暮らしの女性、佐伯澄子。夫を亡くしてから十年以上が経ち、子どもたちはみな遠方に住んでいる。声のない日々が続いていたが、それを寂しいと嘆くでもなく、彼女は静かに、ゆっくりと毎日を過ごしていた。

 ペチュニアの花を育て始めたのは、二年前の春。偶然通りかかった園芸店で、「初心者にも育てやすいですよ」とすすめられ、何気なく手に取ったのが始まりだった。最初は淡いピンクの一株だけだったが、季節が巡るたびに少しずつ鉢は増え、気づけばベランダの半分以上がペチュニアで埋め尽くされていた。

 ある日、隣室に若い女性が越してきた。名前は美咲。澄子より五十歳も若く、無口で、どこか傷を抱えたような雰囲気の子だった。

 「こんにちは」

 ある朝、澄子が水やりをしていると、隣の窓から不意に声がした。驚いて顔を上げると、美咲がベランダ越しに頭を下げていた。

mschiffmによるPixabayからの画像

 「いつも、きれいだなと思って見てました。……この花、なんて名前ですか?」

 「ペチュニアよ」

 「……優しい色ですね」

 それが、ふたりの最初の会話だった。

 それから少しずつ、美咲はベランダ越しに顔を出すようになった。会話は短く、気まぐれだったが、やがて彼女の手元にも小さな鉢植えが並ぶようになった。澄子は土のこと、水の量、陽当たりについて、少しずつ伝えていった。

 「この花ね、『心の安らぎ』っていう花言葉があるのよ」

 ある夕方、日が傾くベランダで、澄子がそう話しかけると、美咲はふと目を見開いた。

 「……安らぎ、ですか」

 「そう。丸くてやわらかい形でしょう。咲き方も素直で、香りは控えめだけど、そこがまたいいの。ずっと咲いていてくれるから、ね。誰かがそばにいてくれるみたいで、落ち着くのよ」

 その言葉に、美咲はしばらく黙っていた。

 「私……、夜になると、眠れなくて。何をしてても、胸がざわざわして。だけど、ここに来てから、ベランダを覗くのが、ちょっと楽しみになってて……」

 そう呟いて、彼女は小さく笑った。澄子はそれを、風に揺れる花のように見つめていた。

 季節は夏を越え、秋風がベランダを通り抜けるようになった。ペチュニアたちはゆるやかにその数を減らしながらも、最後までけなげに花を咲かせていた。

 「来年も、咲かせましょうね」

 澄子がそう言うと、美咲はうなずいた。

 「今度は、もっとたくさん育ててみたいです」

 ふたりの間に流れる空気は、静かで温かかった。言葉は多くなくても、そこに確かに「安らぎ」があった。

 ベランダのペチュニアは、今年も変わらず咲き続けていた。

天ぷらの日

7月23日は天ぷら日です!

7月23日は天ぷら日

毎月23日は天ぷらの日ですが、7月23日頃の「大暑」に夏バテを防ぐ目的で、「疲労回復効果のある天ぷらを食べよう」ということで制定されました。そして、その後から毎月23日を天ぷらの日になったとのことです。

天ぷらは夏バテ予防に良い!?

天ぷらは夏バテ予防に良い!?

毎年、大暑の頃は食欲が落ち、体力が落ちてしまうため、夏でも山菜やキノコ類、肉や魚など栄養価のあるものを、しっかり食べることが重要です。そういったこともあり、「大暑は天ぷらを食べる」という風習が生まれたといわれています。

疲労回復や栄養補給が期待

夏野菜や肉を使った天ぷらは、疲労回復や栄養補給が期待

猛暑が続いて、冷たいものを食べたり飲んだりしていると体が冷えて、胃腸にも良くありません。そこで、疲労回復や栄養補給が期待できる食べ物ということで天ぷらが注目されたようです。

夏野菜や肉を使った天ぷらで夏バテ対策

夏野菜や肉を使った天ぷらで夏バテ対策

天ぷらは、夏バテ対策に効果的な料理の一つです。特に夏野菜を使った天ぷらは、栄養価が高く食欲がない時でもさっぱりと食べられます。以下のレシピを試してみてはいかがでしょうか?

ナスの肉巻き天ぷら

材料(2~3人分)

  • 天ぷら粉:50~80g
  • 水:75~120ml
  • オレインリッチ:400~600ml
  • ナス:2~3本
  • 豚薄切り肉:150~200g
  • オクラ:3~6本
  • 塩:少々
  • 打ち粉(天ぷら粉):大さじ3~4
  • しょうが醤油または田楽みそ:お好み

作り方

  1. ナスはへたを取り、縦に2~3か所皮をむき、4~6等分に切ります。水にさらしてアクを抜きます。
  2. オクラはへたを取り、塩を振って板ずりし、爪楊枝で数か所穴をあけます。
  3. ナスに豚薄切り肉を巻きます。
  4. ボウルに水と天ぷら粉を加え、混ぜて衣を作ります。
  5. フライパンに油を入れ、180℃に熱します。ナスとオクラに打ち粉をまぶし、衣を付けて揚げます(ナス:約3分、オクラ:約1~2分)。
  6. 揚がったら油を切り、しょうが醤油や田楽みそを添えて完成です。

夏でも、熱々で美味しいうなぎを食べるように、栄養価の高い夏野菜や肉を揚げた天ぷらをたくさん食べてこの夏を乗りきりましょう!


「天ぷらの日」に関するツイート集

2025年の投稿

2024年の投稿

2023年以前の投稿

7月21日の誕生花「ミント」

「ミント」

VinceによるPixabayからの画像

基本情報

  • 学名Mentha
  • 科名:シソ科
  • 原産地:寒帯と中・南米、インド、中部・西アフリカを除く、ほぼ地球全域
  • 開花時期:7月~9月(種類により異なる)
  • 草丈:30~80cm程度
  • 多年草/宿根草(寒さに強く、毎年芽を出します)

ミントについて

特徴

  • 爽やかな香り
     ミントといえば、スッとした清涼感のある香りが特徴です。この香りは、主成分である「メントール」に由来しています。種類によって香りの質が異なり、スペアミントやペパーミントなどがあります。
  • 生命力が非常に強い
     地下茎でどんどん増えるため、放っておくと庭一面を覆ってしまうほど。鉢植えでの管理が推奨されるほどです。
  • 薬用・食用・香料としても優秀
     古代ギリシャ・ローマ時代から、消化促進や気分をリフレッシュさせる薬草として使用されてきました。現代でもハーブティーやアロマ、料理のアクセントなど幅広く活躍しています。
  • 小さく可憐な花を咲かせる
     紫や白、ピンクなどの小さな花が、茎の先や葉の間に集まって咲きます。葉に注目されがちですが、花もとても可愛らしいです。

花言葉:「美徳」

Zuzanna ZembrzuskaによるPixabayからの画像

ミントにはいくつかの花言葉がありますが、特に「美徳(Virtue)」という言葉は、以下のような理由に由来すると考えられています。

● 清潔感と誠実さを感じさせる香り

 ミントの香りは、どこか清らかで潔癖な印象を与えます。古くから清掃や空気清浄にも使われてきたことから、「清潔=善き徳」と結びついたとされます。

● 人の心を癒すやさしさ

 ミントは鎮静作用やリフレッシュ効果があり、人の心と体にやさしく働きかけます。そのような内面的な優しさや誠実さ=美徳とみなされたのでしょう。

● 古代神話との関係

 ギリシャ神話では、ミントは冥界の神ハーデスに愛されたニンフ「ミンテ(Minthe)」が変身させられた植物とされています。彼女の純粋な心が、変わらぬ香りと姿で残されたという説話が、花言葉「美徳」に通じるとも考えられます。


「ミントの香りが届くころ」

街の片隅、小さなハーブ専門店「アテナの庭」は、いつも静かに時間が流れている。通り過ぎる人は多いが、その扉を開ける者はごくわずか。けれど、その数少ない誰かの心には、確かな何かを残していく――そんな不思議な場所だった。

 店主の名は、ミナ。年齢不詳で、笑うとどこか懐かしい香りがした。彼女が好んで使うのは、いつもミントのエッセンシャルオイル。店内にはドライミントの束があちこちに飾られ、訪れた者の鼻先を、そっと撫でてゆく。

 ある日、ひとりの少女が扉をくぐった。白い制服に身を包み、うつむいたままの表情。高校帰りらしく、肩には重そうな鞄。ミナは笑顔で「いらっしゃい」と声をかけた。

 「ここ……ハーブ屋さん、なんですよね」

 少女は棚を見つめながら言った。「母が好きだったって聞いたんです。ミントの香りが落ち着くって」

 話を聞けば、少女の母親は半年前に病で亡くなったという。母娘の思い出は少ないが、最期に病室で言った一言が忘れられなかった。

 ――あの香りがあると、心が静かになるのよ。

 少女は、ミントの束を一つ選び、店の奥で丁寧にラッピングしてもらった。

 「ミントにはね、花言葉があるのよ。『美徳』っていうの」

 ミナが包みながら、静かに話し始めた。

 「清らかで誠実な心。人を思いやる優しさ。見返りを求めない、凛とした愛情……そんな徳が、香りの中にあるって、昔から言われてきたの。ギリシャ神話では、冥界の神に愛されたニンフが、姿を変えてミントになったのよ」

 少女は目を丸くして、「ニンフ?」とつぶやいた。

 「そう。『ミンテ』という名の美しい精霊。彼女は、ハーデスという神に愛されたけど、その愛は叶わなかった。けれどね、ミンテの心は、変わらぬ香りとして、ずっと人々に届き続けている。たとえ姿が見えなくなっても、そのやさしさは、誰かのそばにあるの」

 しばらく沈黙が流れた。

 「……母も、そうだったのかな」

 少女が、ぽつりと言った。

 「きっと、そうだと思うよ」

 ミナはそっと包みを手渡した。「あなたが思い出すたびに、その香りは強くなる。美徳って、そういうものだから」

 帰り際、少女は一度だけ振り返った。ミントの香りが、風に乗ってゆっくりと広がっていった。

 その夜、少女は部屋でミントの束を花瓶に差した。母の写真のそばに置いて、深く深く、息を吸い込んだ。

 胸の奥が、少しだけ、あたたかくなった気がした。

 それは、言葉ではなく、香りで伝わる想い。

 姿を変えても、失われないやさしさ。

 ――ミントの香りが届くころ、誰かの心には、確かな「美徳」が宿るのかもしれない。

ナッツの日

7月22日はナッツの日です

7月22日はナッツの日

ナッツの記念は、「7 なな、2 ツー、2ツー」の語呂合わせで、日本ナッツ協会が1996年に制定されています。

ナッツは種実類

落花生、くるみとフルーツ

ナッツは種実類のことをいい、かたい皮や殻に包まれた食用の果実や種子の総称です。一般的に木の実をナッツと呼ばれています。

ナッツは栄誉が豊富!

栄養が豊富なナッツ

ナッツといえば、お酒のつまみというイメージです。しかし、実際おつまみだけではもったいないほど、栄養価が高いそうです。ナッツのひとつアーモンドのビタミンEは、かぼちゃの約5倍含まれていて、食物繊維はキャベツの約5倍。他にも血液をサラサラにするオレイン酸も豊富です。

ナッツを普段の食事に

ピスタチオ

ナッツは、他にもダイエット、メタボや高血圧を予防にも良いとされています。おつまみやおやつだけでなく、普段の食事に上手に加えて、美容と健康のために適度に摂取しましょう!


「ナッツの日」に関するツイート集

2025年の投稿

2024年の投稿

2023年以前の投稿

日本三景の日

7月21日は「日本三景の日」とその起源

7月21日は日本三景の日

2006年に日本三景観光連絡協議会が制定しています。江戸時代前期の1643年、儒学者であった林鵞峰(林春斎)が著書『日本国事跡考』において、松島・天橋立・宮島を卓越した三つの景観としています。そしてこれが「日本三景」となります。1618年のこの日は鵞峰の誕生日です。

林 鵞峰ってどんな人?

林 鵞峰

林 鵞峰は、1618年7月21日生まれ、林羅山の三男です。江戸時代前期の儒者で、名は「又三郎」「春勝」、「恕」。字は「子和」「之道」。号は「斎」「鵞峰」「向陽軒」などです。

日本三景とは

日本三景とは

日本三景は、広島「宮島」、京都「天橋立」、宮城「松島」の風光明媚な3つのスポット。この三景を回れば、3つの海を巡る旅とされ、長年人々を魅了し続けています。

広島の厳島(宮島)

広島の厳島(宮島)

厳島(宮島)は、広島湾に浮かぶ小さな島です。森林や古い神社仏閣で有名です。沖合に立つ壮大な朱色の大鳥居へ干潮時に歩いて渡ることが可能です。

広島の厳島(宮島)、鳥居。

この大鳥居は厳島神社の玄関口で、12 世期頃に最初に建立されています。近くにある宮島歴史民俗資料館は、19 世期の商家の母屋、土蔵を改修したもので、中に入ると、文化遺産を展示しています。

京都の天橋立

京都の天橋立

京都北部、日本海の宮津湾にある天橋立は、幅約20~170m、全長約3.6km嘴状の砂浜です。そこには、松が約5000本も茂っている珍しい地形で、その形が天に架かる橋のように見えることから「天橋立」の名が付けられました。

宮城の松島

宮城の松島

松島は、宮城県の松島湾内外にある諸島のことあり、また、それら諸島と湾周囲を囲む松島丘陵も含めた修景地区のことです。

コロナ終息後は、日本の素晴らしい景色を楽しみましょう!

コロナ終息後は、日本の素晴らしい景色を楽しみましょう!

未だコロナの感染拡大が収まらない状況です。自粛地域や感染リスクのある地域あることを考えて、今はできるだけリスクが少ない行動が必要です。が、逆にこれから全面開放に備えてお金を貯めて、終息後に一気に発散する手もあります。


「日本三景の日」に関するツイート集

2025年の投稿

2024年の投稿

2023年以前の投稿

7月19日、8月23日の誕生花「ゲッカビジン」

「ゲッカビジン」

基本情報

  • 学名Epiphyllum oxypetalum (クジャクサボテン属)
  • 和名/別名:月下美人/月来香(ゲツライコウ)
  • 原産地:中南米(メキシコ〜中米)の森林に自生する着生サボテン
  • 植物タイプ:常緑多肉の多年生、草丈は1〜2 mほどに成長

ゲッカビジンについて

特徴

  • 開花時期:主に日本では7月から11月にかけて夜に開花。高温期の真夏は避け、適期は夏の夜
  • 一夜花:夕方に蕾が開き始め、夜~深夜に満開となり、翌朝にはしぼむ儚い性質
  • 香り:ジャスミンに似た甘く濃厚な芳香があり、夜空に漂う強い香りは「月来香」の名の通り
  • 受粉の仕組み:夜咲きしコウモリによって受粉される進化を遂げている

花言葉:「はかない恋」

ゲッカビジンには多くの花言葉がありますが、代表的なものとして「儚い恋(はかない恋)」「はかない美」「艶やかな美人」「ただ一度会いたくて」などがあります 。

「はかない恋」「はかない美」

花が一晩でしぼんでしまう短命さに由来し、その儚さが“恋”や“美”に重ねられたからです 。

「艶やかな美人」

大輪の白い花と強い香りが、夜の女王のような艶やかさを感じさせることからです 。

「ただ一度会いたくて」

一夜花の切ない一瞬の出会いを切望するような、ロマンティックな思いが込められています。


🏷️ 名前の由来

  • 月明かりの下で咲くこと:その神秘的な花姿から名付けられたという説があり。
  • 昭和天皇の台湾訪問時のエピソード:皇太子時代の昭和天皇がこの花に心奪われ、「月下の美人」と称されたという逸話も

「ただ一度、会いたくて」

夏の終わり、都会の喧騒を離れた古い山荘に、私は一人で滞在していた。
 かつて祖母が暮らしていたその家には、手入れの行き届かない小さな温室があり、蔦に覆われたガラス越しに、夏の名残の陽が差し込んでいた。

 祖母が大切にしていた花がある。
 それは――月下美人。

 「夜にしか咲かないのよ。そして、一晩だけ。まるで夢みたいな花なの」

 子どもの頃、祖母がそう語っていたのをよく覚えている。私にはその儚さがよくわからなかった。ただ、白く大きな花が夜の暗がりの中にぽっと浮かぶように咲く、その光景だけが妙に心に残っている。

 大学時代のある夜、彼に出会ったのも、そんな夏の終わりだった。

 「咲いたよ」と、彼は一本の枝を見せてくれた。私が通っていた植物学ゼミの先輩で、研究熱心な人だったけれど、不器用で、少し照れ屋だった。

 「月下美人。君に見せたかったんだ」

 満開の白い花は、まるで夜の静寂を引き裂くように、強く甘い香りを放っていた。その一瞬だけ、私の世界が変わった気がした。

 けれど――それきりだった。
 彼は卒業後、地方の研究所に移り、連絡は自然と途絶えた。私も就職して、忙しさにかまけて、あの夜のことは胸の奥にそっとしまっていた。

 そして今年、祖母の十三回忌を機に、この山荘に戻ってきた。
 あの温室に、まだ月下美人は残っているだろうか。そんな思いに駆られ、夕方、庭に足を運んだ。

 温室の中はすっかり荒れていたが、一角にしっかりと根を張った葉が伸びていた。茎の先に、ひとつだけ、つぼみが揺れている。

 ――咲くかもしれない。

 夜が更け、月が昇るころ、私はひとり椅子を出して、温室の前で待っていた。

 そして――
 静かな時のなか、つぼみはゆっくりと開き始めた。

 白く大きな花が、まるで星が地上に降りてきたかのように、音もなく輝きを放つ。ジャスミンに似た濃厚な香りが空気を満たしていく。

 そのときだった。

 「やっぱり、咲いたんだな」

 その声に、私は振り向いた。

 ――そこに、彼がいた。

 白髪が混じりはじめた髪。少し痩せた輪郭。けれど、その瞳は昔と変わらない優しさを湛えていた。

 「……どうして、ここに?」

 「祖母様が生前、君の話をよくしてくれてたんだ。十三回忌だって聞いて、もしやと思って。……それに、この花も」

 彼はそっと、月下美人に目を向けた。

 「たった一晩だけ、咲いて、散る。それがわかっていても、見たくなる。……まるで、君とのことみたいだと思ってた」

 私は何も言えなかった。けれど、彼の隣に腰を下ろし、二人で黙って花を見つめた。

 夜空の下、真白な花が静かに揺れている。

 「はかない恋」
 「はかない美」
 「艶やかな美人」
 「ただ一度会いたくて」

 すべてが、この一瞬に詰まっていた。
 そして私は知った。――それでも、この花は美しいと。
 だからこそ、人はまた、出会いたくなるのだと。

 もう一度。
 ただ一度、会いたくて。

ハンバーガーの日

7月20日はハンバーガーの記念日

7月20日はハンバーガーの記念日

1971年のこの日、東京・銀座の三越デパート1階にマクドナルドが日本初の1号店が開店。当日、1万人以上の行列ができ、1日で100万円以上の売り上げを記録したといいます。そして、この記念日ができたのは開店25周年の記念で制定されたものです。

ハンバーガーの歴史

ハンバーガーの歴史

ハンバーガーの由来として有名な説として、1904年にアメリカで開催された、セントルイス万国博覧会の会場より、「ハンバーガー」としてサンドイッチ風にハンバーグを丸いパンで挟んで販売したのが最初だといわれています。

チェーン店舗スタイルはカンザス州から

チェーン店舗スタイルはカンザス州から

チェーン店スタイルは、1921年カンザス州で始まります。そして、1948年にはカリフォルニア州のマクドナルド兄弟の経営するドライブインで、メニューにハンバーガーを加えてました。これが人気店となり、1955年ではイリノイ州シカゴに第1号店がオープン、今では、ご存じのとおりハンバーガーは世界中で人気のファーストフードとなっています。

日本のハンバーガー文化は米軍基地!?

日本のハンバーガー文化は米軍基地!?

日本でハンバーガーが最初に作られたのは、戦後の佐世保等米軍基地周辺の飲食店でした。当初、地元でも評判だったそう。

東京、原町田にハンバーガーショップが登場

東京、原町田にハンバーガーショップが登場
Stoyan StoyanovによるPixabayからの画像

1970年には東京・原町田にハンバーガーショップが登場、そして翌年は東京・銀座に外資系のハンバーガーショップが上陸、爆発的にハンバーガーの人気が上昇しています。

その後、1973年に登場したテリヤキバーガーなど日本が独自にアレンジ製品も多数開発され、現在に至ります。

今やファーストフード界のキング

ハンバーガーは、今やファーストフード界のキング

マクドナルドは、「あなたが勧めるファーストフード店は何ですか」という、ランキング結果では「ケンタッキー」や「すき家」を押さえてトップとなっています。

自分もドライブ中に小腹が空いた時には、マクドナルドを探してしまい、同乗者も同意が得やすいファーストフードには間違いないですね!コロナ禍で気軽に配達してくれるのも最高です。

「ハンバーガーの日」に関するツイート集

2025年の投稿

2024年の投稿

2023年以前の投稿

7月18日、9月2日の誕生花「マリーゴールド」

「マリーゴールド」

ThomasによるPixabayからの画像

基本情報

  • 学名Tagetes
  • 科名:キク科
  • 属名:マンジュギク属(タゲテス属)
  • 原産地:メキシコ・中央アメリカ
  • 開花時期:4月〜12月(長期間咲く)
  • 花色:黄色、橙色、赤褐色、混色など
  • 草丈:20〜100cm(種類による)

マリーゴールドについて

Dieter StaabによるPixabayからの画像

特徴

  • 一年草で育てやすく、園芸初心者にも人気。
  • 鮮やかな色彩と、丸くふっくらとした花形が印象的。
  • 花壇やプランター、寄せ植えなどで広く利用される。
  • 独特の香りを持つ(特にフレンチ・マリーゴールド)。
  • 虫除け効果があることから「コンパニオンプランツ」としても知られる。
    • 根から分泌される物質が、害虫やセンチュウ(寄生性線虫)を抑制する。

花言葉:「変わらぬ愛」

Wolke8によるPixabayからの画像

マリーゴールドには複数の花言葉がありますが、**「変わらぬ愛」**はその中でも特に心に残るもののひとつです。

この言葉の由来には、以下のような理由が考えられます:

1. 長く咲き続ける性質

  • マリーゴールドは春から秋まで非常に長い期間、絶えず花を咲かせる植物です。
  • その「咲き続ける姿」が、変わらぬ気持ち・愛情を象徴するとされます。

2. 鮮やかな花色が色あせにくい

  • 太陽のように明るい橙色や黄色の花は、時間が経っても色褪せない印象を与えます。
  • これが「色褪せぬ愛」「いつまでも変わらない思い」を象徴するものとされました。

3. 守り続ける強さと愛情

  • 害虫を遠ざける働きを持つことから、「大切な人を守る」というイメージとも結びつきます。
  • こうした守護的な性質が「深く、変わらぬ愛情」と解釈されることもあります。

「マリーゴールドの手紙」

Petra GöschelによるPixabayからの画像

山のふもとの町で暮らす祖母の庭には、毎年春になるとマリーゴールドが咲く。橙色の光を宿したその花は、夏の暑さにも負けず、秋の風にも揺れながら、いつまでもそこに咲き続けていた。

 その花が好きだったのは、祖父だった。

 私が小学三年の夏、祖父は病で床に伏せていた。もう長くはないと、医師に告げられた日、祖母は何も言わずに庭のマリーゴールドを一輪摘んで、枕元のコップにそっと挿した。

 「変わらないのよ、この子。どんなに暑くても、どんなに風に吹かれても、ちゃんと咲くの」

 祖母はそう言って微笑んだ。祖父は目を閉じたまま、うっすらと頷いた気がした。

 祖父が亡くなった翌日、祖母は私にマリーゴールドの種をくれた。

 「この花にはね、『変わらぬ愛』って花言葉があるのよ。咲き続けること、守り続けること――それが、愛なの」

 その時はよく分からなかった。ただ、祖母の手からこぼれ落ちそうなほど小さな種を、大切にポケットへしまった。

 それから十年以上の月日が経ち、私は都会で一人暮らしを始めた。仕事に追われ、恋人とのすれ違いに疲れ、気づけば笑うことさえ減っていた。そんなある日、祖母が倒れたと連絡が入った。

 急いで駆けつけた病室。祖母は目を閉じて眠っていた。痩せたその顔には、あの日と同じ優しさが残っていて、私は胸の奥がじんと熱くなるのを感じた。

Christina ZetterbergによるPixabayからの画像

 ベッドの傍らに、古びた封筒が置かれていた。私の名前が、祖母の筆跡で書かれている。

 「もし私が目を覚まさなかったら、この手紙を読んでください」

 そう書かれていた。手紙の中には、淡い色の便箋と、乾いたマリーゴールドの押し花が挟まれていた。

 あの年、あなたがポケットにしまった種、今でも覚えていますか?
 あれは、私とおじいちゃんからの贈り物です。
 変わらぬ愛とは、派手な言葉じゃなく、ただそこに咲き続けること。
 風に吹かれても、季節が変わっても、誰かのために静かに咲く――それが愛なのです。
 いつかあなたが、迷って、立ち止まりそうになったら、この花を思い出してください。

 私は、涙をこぼしながら微笑んだ。

 祖母は目を覚まさなかった。でも、その言葉と花は、確かに私の中で生きている。

 数ヶ月後、私は都会を離れて、祖母の家に戻った。あの庭に、もう一度マリーゴールドを咲かせたかった。

 種をまき、水をやり、季節が巡る。

 そして今日、庭の真ん中に、橙色の光がふわりと咲いた。

 風に揺れるその姿は、まるで誰かが笑っているようだった。

 私はその花に、そっと語りかける。

 「ただ、ここに咲き続けてくれて、ありがとう」

戦後民主主義到来の日

7月19日は戦後民主主義到来の日

66年前の1949年 7月19日に、新たな民主主義が訪れたことを謳った青春映画「青い山脈」が封切られ、記念日とされました。この映画がなぜ、民主主義に関わってくるのかを調べてみました。

青い山脈ってどんな映画?

物語は、東北地方の港町を舞台に、若者の男女交際をめぐる騒動をさわやかに描いた青春小説です。内容は、当時の固い習慣などの古い殻に閉ざされた時代を生きる女子高生を舞台にして、正しいモラルを主張しあうことによって成長していく人間を描いた物語です。

必ずしも伝統は正しい事ではない!?

「昔から皆やっている」、「ルールがある」と言われ、「それに従っていれば」、また「褒めてもらえる」。それだけで自己満足の時代が長年の間続いていました。おそらくこの映画が伝えたいのは、「一部の人の意見だけを尊重せずに、個々の事情を理解した上で自由な環境を作って行きましょう」って事なんでしょうね。

「戦後民主主義到来の日」に関するツイート集

2025年の投稿

2024年の投稿

2023年以前の投稿

7月17日の誕生花「ハマユウ」

「ハマユウ」

基本情報

  • 学名:Crinum asiaticum var. japonicum
  • 分類:ヒガンバナ科・ハマオモト属の常緑多年草
  • 原産地:インドネシアとスマトラ
  • 開花期:6~9月、主に夕方から夜間に開花し、芳香を放つ
  • 外観:幅広く厚い葉が放射状に広がり、花茎に白い小花が10個ほど咲きます。花びらは細長く、中心部に赤い雄しべがアクセントに
  • 生育環境:日当たり・水はけの良い砂地(海岸沿い)を好み、暖地向き。地植え・鉢植えどちらも可能で、寒冷地では冬越しに注意が必要

ハマユウについて

特徴

  • 自生地:海岸線に群生し、葉が「オモト」(万年青)に似ているため別名「ハマオモト」とも
  • 香りと開花:夜に開花して強い芳香を放ち、主に蛾などを誘引する虫媒花
  • 種子の特性:種子はコルク質の厚皮で覆われ、水に浮く性質があり、海流に乗って遠くへ拡散・発芽する能力あり
  • 有毒性:全草有毒で、特に球茎は強い毒性を持つが、薬用としての利用もある

花言葉:「どこか遠くへ」

  • 主な花言葉
    • 「どこか遠くへ」
    • 「汚れがない」
    • 「あなたを信じます」

💡由来のひもとき

  1. 「汚れがない」
     神事で使われる白い布・“木綿(ゆう)” に似た清らかな白い花色から
  2. 「どこか遠くへ」
     種子が浮力を持って海流に流され、新たな土地で発芽する姿にちなむ
  3. 「あなたを信じます」
     「遠くへ流れても、必ず根を下ろし花を咲かせる」というたくましさと期待を込めた想いから

「どこか遠くへ、きっと届く」

あの夏の日、彼女は港に立っていた。
 セーラー服の襟が風に揺れ、白いハマユウの花が足元でそっと揺れていた。

「ここ、まだ覚えてる?」
 穂乃香がそう言って微笑んだ。

 海辺のこの小さな町で、僕らは育った。中学三年の夏。図書室で偶然隣の席に座ってから、毎週末、海沿いの堤防で話すようになった。彼女は東京からの転校生で、最初はよそよそしかった。でも、少しずつ距離が縮まり、名前を呼び合えるようになったのは、ちょうどハマユウが咲き始めた頃だった。

「この花、知ってる? ハマユウっていうんだって」
 彼女はそう言って、白く細長い花びらを指差した。

「花言葉はね、“どこか遠くへ” だって」

「なんか、君みたいだな」
 そう言ったら、彼女は少し驚いた顔をしてから、笑った。

 東京に戻ることが決まったのは、その翌週のことだった。

「私、ここが好きだったよ。思ったよりも、ずっと」

 最後に会った日、彼女はひとつだけお願いをしてきた。
 「この花、来年もちゃんと見ておいて。毎年ここで咲いてるか、教えて」って。

 あれから十年。
 連絡先も、手紙のやりとりも、いつの間にか途絶えていた。東京の高校に進学した彼女のその後は知らない。けれど僕は毎年、ハマユウが咲くこの場所に来ていた。

 白い花は、変わらずそこにいた。潮風に揺れながら、まるで何かを待っているかのように。

 ハマユウの種子は海に浮かび、遠くの浜辺まで運ばれていく。その途中で沈んでしまうこともあれば、知らない土地で芽を出し、やがて花を咲かせることもあるという。

 ――どこか遠くへ。それでも、きっと届く。

 ふと、誰かが近づいてくる気配がした。振り返ると、白いワンピースの女性が立っていた。風に揺れる髪の奥に、懐かしい面影があった。

「やっぱり……まだ咲いてたんだ」
 穂乃香だった。

 時が過ぎても、変わらない花の香りと、あの夏の記憶が、確かに僕らをつないでいた。

「ねえ、覚えてる? “どこか遠くへ”って」

 彼女の声に、僕はうなずいた。

 「そして、“あなたを信じます”――だったよな」

 笑いながら見つめ合ったその瞬間、海から吹いた風が、ふたりの間にハマユウの香りを運んだ。