百人一首の日

5月27日は百人一首の日です

5月27日は百人一首の日

1235年5月27日、公家の歌人である藤原定家(1162~1241年)により、「小倉百人一首」が完成しました。この日付は、藤原定家の息子の嫁の父である、宇都宮蓮生から「別荘の障子を飾る和歌を100首選んで欲しい」という頼みを聞いて、100人の歌人が書いた和歌をひとり1首ずつ選び、それらを100枚の色紙にして自身の日記、『明月記』1235年(文暦2年)5月27日に記されたことに由来しているそうです。

百人一首

色々な種類の百人一首

百人一首とは、飛鳥から鎌倉時代の初期までの代表的な歌人100人の和歌を一人一首ずつ集めて、その中でも優れた歌を集めたものです。現在では、色々な種類の百人一首がありますが、この場合は「百人一首」は平安時代末期から鎌倉時代の初期の歌人、藤原定家が選出した「小倉百人一首」のことを示します。小倉百人一首は最も古いもので、現在存在している色々な種類の百人一首は、この小倉百人一首に似せて作られたものだそうです。

小倉百人一首

小倉百人一首

「小倉百人一首」という呼び名は、後から付けられたもので、元々は「小倉山荘色紙和歌」と呼ばれていたようです。また、その呼び名の中にある「小倉山荘」というのは、京都の小倉山にあった武将で歌人の宇都宮頼綱別荘のことです。そして「色紙和歌」というのは、小倉山荘の襖を和歌の色紙で飾るために藤原定家に選出させたものだっとのこと。

小倉百人一首の楽しみ方

百人一首、地方によって色々なルールがある

百人一首の楽しみ方といっても、地方によって色々なルールのある遊び方がたくさんあります。そして、親戚が集まったときなどで大半は盛り上がるはずです。今回は、そのいくつかある遊びの中から一般的に知られている遊び方をご紹介いたします。

「源平合戦」

「源平合戦」という遊びは、文字通り「源氏 と平家」の戦いがその名の由来です。このゲームは、読み手と源氏チーム、平家チームの2チームに分かれる団体戦です。まずは100枚の文字札を両チームにそれぞれ50枚ずつ配ります。これを両者の陣に3段にして平置きにして並べていきます。そして札を読み、自陣と敵陣に関係なく、それら札を取っていきます。50枚あった自陣の札の数が相手より早く無くなった方が勝ちです。

ルールは、相手チームの陣にある札を取れば、「送り札」で自陣にある札を相手側に渡すことができます。またお手つきすれば、逆に相手から1枚貰います。という風に相手より先に自陣の札が亡くなれば勝者です。

「競技かるた」

小倉百人一首競技かるた 第65期クイーン位挑戦者決定戦

「競技かるた」は、ご存じの通り「全日本かるた協会」(社団法人)の定めたルールのもとに行われる「1対1」で争う本格的競技で、ルールのできたのは明治時代です。「競技かるた」は、100枚の取り札のうち50枚だけを使いま競技です。これを両者に25枚ずつ配り、それを三段に並べますが、札の並べ方は細かなサイズ巾が決められています。そして、15分間で50枚の札を暗記して競技開始し、後は源平合戦と同様、相手の札を取ったら自分の札を1枚相手に送り、自分の持ち札が早く無くなった方が勝ちという競技です。

「ザ・坊主めくり」

坊主めくりで予想外の大盛りあがり。

「坊主めくり」は、地域によってルールが違うことが多いようですが、最終的に札をたくさん持っていた人が勝ちという遊びです。比較的一般的なルールとしては、100枚の絵札を裏返して場に置き、参加者がそれを順番に1枚ずつめくり場に置いて、男(天皇とか大臣など)の絵札だったらそのまま場に置きます。

ルール

【2分で分かる坊主めくり】【百人一首】

そして、女性の札(姫)をひいたら、それまでにめくられて場に置かれていた札を全て貰います。しかし、坊主の絵札をひいたときには手元の札を全て場に戻すというルールです。積まれた札の山が無くなればゲームは終了で、最終的に最も多くの札を持っていた人が勝者という簡単な遊びです。

人が集まったら百人一首が意外に盛り上がる!?

みんなで百人一首

大家族や親せきがたくさん集まったときは、花札やトランプなどのカードゲームが一番です。また、小さい子どもがいるときはかるたやトランプで神経衰弱でも楽しめます。それにひきかえ百人一首は、独特の読み方や言葉が出てくるために少し、敷居が高いゲームであることは確かです。そこで先ほどの「坊主めくり」などは簡単で、トランプのダウトなどの感覚で遊べます。

その中で、昔の人が作った歌や絵を見ながら自然に札を覚えていき、百人一首ができるようになるというわけです。現に、自分が子供の頃にこの坊主めくりが嵌ったことがありました。たまたま持っていた百人一首があった親戚の家へ遊びに行くことが増え、ずいぶん「かるた」なども楽しんだ記憶があります。


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5月25日の誕生花「パンジー」

「パンジー」

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基本情報

  • 学名:Wisteria floribunda
  • 科名:スミレ科(Violaceae)
  • 原産地:日本(本州、四国、九州、沖縄)
  • 分類:多年草(一年草として扱われることも多い)
  • 開花期:春から初夏、または秋から冬にかけて(気候による)
  • 草丈:15~30cm程度

パンジーについて

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特徴

  • 花の色は非常に多彩で、紫、黄色、白、赤、青など豊富な色彩があります。
  • 花びらは5枚で、中央に「顔」のような模様があることが多いのが特徴。
  • 花は比較的大きめで、見た目が鮮やかで愛らしい。
  • 耐寒性があり、比較的育てやすいため、ガーデニングや鉢植えで人気。
  • 一年草として扱う場合が多いが、適切に管理すれば多年生として育てられることもある。

花言葉:「思い出」

hartono subagioによるPixabayからの画像

パンジーの花言葉は「思い出」「私を思って」「物思い」です。この由来は、パンジーの英語名「pansy」がフランス語の「pensée」(思い、考え)に由来していることに関係しています。

昔からパンジーは、人の思いを表す花として用いられ、特に大切な人を思い出す気持ちや、懐かしい思い出を象徴するとされています。また、ヴィクトリア朝時代のヨーロッパでは、秘密のメッセージを花言葉で伝える「フラワー・ランゲージ(花言葉)」として用いられ、パンジーは思い出や愛する人への思いを表す重要な花でした。


「パンジーの約束」

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春の柔らかな陽光が公園のベンチを照らしていた。彼女は手に握った小さな花束をそっと見つめていた。パンジー──色とりどりのその花は、彼女にとって特別な意味を持っていた。

「思い出」という花言葉を知ってから、彼女はずっとこの花を愛していた。あの日から何度も繰り返した約束を思い出すたび、胸が締め付けられるように切なくなった。

彼と出会ったのは大学のキャンパスだった。彼は優しくて、いつも彼女の話に耳を傾けてくれた。二人で過ごす時間はまるで魔法のように感じられた。季節が巡り、桜の花が散る頃、彼はポケットから小さなパンジーの花を取り出し、彼女にそっと手渡した。

「これ、パンジーって言うんだ。フランス語で‘pensée’、つまり‘思い’や‘考え’の意味があるんだよ。僕は君のことをいつも考えている。離れていても、忘れないでほしい。」

その言葉と共に彼の瞳は真剣で、温かく輝いていた。彼女は頷き、花を握りしめた。だが、運命は残酷だった。彼は卒業後、遠くの国へと旅立ち、二人は距離を隔てることになった。

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時は流れ、手紙や電話は途絶えがちになり、連絡も次第に減っていった。彼女は心のどこかで、あのパンジーの約束を信じ続けた。どんなに遠くにいても、彼は彼女を思い続けていると。

ある日、彼女は公園で一人、花壇に咲くパンジーを見つけた。小さな花々が風に揺れて、まるで誰かの心の声のように囁いているようだった。その時、彼女の携帯が震えた。画面には彼の名前が光っていた。

AlexaによるPixabayからの画像

「久しぶり。元気にしてる?ずっと言えなかったけど… 君への気持ちは変わらなかった。近いうちに帰るよ。」

涙が頬を伝い、彼女は花束をぎゅっと抱きしめた。パンジーはただの花ではなかった。離れていても、時を越えても、互いの思いをつなぐ小さな約束だったのだ。

「私も、ずっとあなたを思っている。」

彼女は静かに呟き、春の陽射しの中で小さな花に微笑みかけた。パンジーの花言葉は、「思い出」だけでなく、「永遠の約束」でもあったのだ。

風呂カビ予防の日

5月26日は風呂カビ予防の日です

5月26日は風呂カビ予防の日

日本気象協会の調査では、5月26日を境に気温と湿度の関係により、カビ発生の条件に合致しているためにお風呂のカビの発生し始めます。そのことから、「住まい」「衣類」「キッチン」など、暮らしに役立つ日用品を数多く製造と販売をしている「ライオン株式会社」がこの日を記念日として制定しました。

また、この日をきっかけにカビを予防し、じめじめした時期を快適に過ごしてもらいたいとの願いが込められています。ちなみに「ライオン株式会社」の製品である「ルック」には、この時期から発生するお風呂のカビを予防する製品もあります。

カビと菌

カビと菌

人の体内で害を及ぼすといわれる「バイキン」は、一般的にカビと細菌のことを指します。このカビと細菌は暮らしに邪魔なものとしてまとめて扱われますが、これらは全く異なる生物なのだそうです。そのカビと細菌の違いを簡単にまとめてみました。

カビと細菌の違いは?

納豆菌とカビ

そもそも、カビと細菌では歴史が異なり、まず細菌が地球上で誕生したのは約40億年前であることに対し、カビは細菌より後で約10億年前だといわれています。細菌などの原始的な生物が30億年かけて進化していった結果の一つにカビがあると想像すると、細胞の構造から増殖に至るまで、両者は生物として異なるのではないかも感じ取れます。単細胞生物の細菌は、生きるための最小限の機能を個々の細胞が持ち、増殖するには単純な二分裂で済ませます。

それ対してカビ場合は、色々な形態や機能を持つ細胞からできている多細胞生物と呼ばれる構造で、生殖には専用の細胞を作るなど、増殖させる仕組みも複雑にできています。また、カビは成熟した菌糸から胞子を作り、自ら空気中を舞って移動して胞子が栄養や水分を吸収し、新たな場所で増殖していきます。

カビの性質と毒性

有害なカビに注意

カビの胞子は、基本的に空間でも漂っていますが、人が少量を吸い込む分には問題なくて体内に入ったからといってすぐに強い毒性があるというものではないそうです。しかし、カビが付着した物を食べたり、根を生やして大量の胞子を出しているものを吸い込むと、「ぜん息やアトピー性皮膚炎」など、アレルギー性疾患の原因となるケースもあります。また、免疫力が極端に落ちている人がこれらを吸い込むと、感染症発症の可能性もあるといわれています。

またカビは、黒っぽい種類が多いために見た目が悪く、ニオイも発生します。さらには、カビはダニの餌になりやすく、間接的に健康に害を与えることもあります。

カビが発生する条件

カビを生えにくい環境づくり

カビが発生する条件は、温度と湿度、栄養の3つが揃うと胞子が付着した場所から発育増殖していきます。それぞれこの条件を調べると次のような内容になります。まず温度は25℃ですが、5~35℃前後でも生育します。そして湿度は、一般的にカビは湿度80%以上が必須条件だといわれています。

また、乾燥状態を好むカビでも65%は必要だといわれています。最後に栄養はというと、主に皮脂汚れや埃、食べこぼしなどで、たんぱく質や炭水化物、油脂などの有機物が栄養になるとのこと。

カビを防止するために

カビを防ぐ対策

カビを防止するためにやれることは、まず温度の5~35℃という条件は我々も生きていける温度なので、これの設定を変えることは無理です。したがって、カビを防ぐために残りの条件の湿度や栄養を取り除くことを行います。

お部屋の掃除でカビを防止

エアコンフィルターの掃除

カビを防ぐ方法としては、まず初めに「部屋の掃除」と「湿気を取るために、毎日窓を開けたり換気扇を回して換気」を行います。また、梅雨の季節になれば、洗濯物を室内で干すことが多々あります。そんな時は、エアコンのドライ運転で除湿を行います。しかし、冬場は使用していなかったエアコンは、そのまま運転するとカビが生えていて運転時に胞子をまき散らしてしまうので、使用前にエアコンの掃除をしておくことをお勧めします。もう一つ、カビが好みそうな場所である風呂場があります。

風呂場は温かく湿気が高い上に、栄養(壁や隅にシャンプーの泡や皮脂など)も豊富なのでカビが生えやすい環境です。そのため、出る前に壁や床の隅々をシャワーで洗い流してください。そして、カビが生えてしまったら市販のカビ取り洗剤などで取り除きましょう。

菌も色々ある

菌といっても、体に害のあるものや健康に効果のあるものがある

同じ菌でも、一般に知られている人の体内に侵入するとに害になる細菌やカビ(鰹節のカビは除く)、人が食べても害が無いどころか、健康や美容に効果がある納豆菌やヨーグルトなどの腸内環境改善に働く乳酸菌が存在します。そしてもう一つ、ニキビの原因となるアクネ菌という細菌も存在します。この菌は、大半が人の皮膚に常在していますが、アクネ菌といっても、遺伝子レベルで見ると種類が様々です。

人によって、アクネ菌がどんなタイプでどんなバランスで存在するのかは異なるそうです。いずれにせよ、それぞれの菌の性質を知れば悪い菌は増殖しないように予防の対策をして、人の体内を守る良い菌はたくさん増やして健康な体を維持することが可能であると信じます。


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5月24日の誕生花「ムラサキツメクサ」

「ムラサキツメクサ」

WikimediaImagesによるPixabayからの画像

ムラサキツメクサ(紫詰草、英名:Red Clover)は、マメ科シャジクソウ属の多年草で、牧草や緑肥として世界中で広く利用されている植物です。日本では北海道から九州までの各地で見られ、外来種として定着しています。

基本情報

  • 学名Trifolium pratense
  • 英名:Red Clover(レッドクローバー)
  • 分類:マメ科 シャジクソウ属
  • 原産地:ヨーロッパ
  • 日本への渡来:明治時代に牧草として導入された外来種

ムラサキツメクサについて

特徴

  • 草丈:30~60cmほどの多年草。
  • :3小葉からなる複葉。葉の中央に薄い模様(V字型)が見られることが多い。
  • 花期:5~8月
  • :紅紫色の小さな花が球状にまとまって咲く。花径は2〜3cm。
  • :根には根粒菌を持ち、空気中の窒素を固定するため、土壌改良にも役立つ。

花言葉:「実直(じっちょく)」

ムラサキツメクサの花言葉「実直」は、その植物の性質や姿勢に由来すると考えられています。

花言葉の由来:

  • 地味だが誠実な印象:派手さはないが、可憐な紅紫色の花を静かに咲かせる様子が、控えめで真面目な印象を与える。
  • 土壌を豊かにする役割:根に共生する根粒菌が空気中の窒素を固定し、土地を肥やす働きを持っている。そのひたむきな働きぶりが「誠実」や「実直」という評価に繋がったとされる。
  • 多年草としての力強さ:何年もかけて地面に根を張り続ける性質も、芯のある「実直」さを連想させる。

その他の花言葉:

  • 「勤勉」
  • 「善良」
  • 「感化」

「土の下の約束」

村の外れ、なだらかな丘のふもとに一軒の古びた農家があった。今では誰も住んでおらず、風に軋む戸と、草に埋もれた畑があるだけだ。しかし春が来ると、不思議とその畑だけは色づく。紫がかった紅色の小さな花が、風に揺れて咲き誇るのだ。ムラサキツメクサ——村の人々はそう呼ぶ。

 その農家には、かつて一人の男が住んでいた。名を栄治という。口数が少なく、決して器用な人間ではなかったが、毎日土を耕し、牛の世話をし、雨の日も風の日も畑を離れなかった。

 「おまえさん、たまには休んだらどうだい?」

 隣の村から嫁いできた妻の美佐が笑って言った。栄治は苦笑いを浮かべながら、手に持った鍬を握り直した。

 「土は待ってくれん。今やらんと、次の年に花は咲かん」

 美佐はそんな栄治の背を見つめながら、草むしりを手伝った。二人は静かに暮らしていた。騒がしさとは無縁だが、そこには温かく確かな時間が流れていた。

 春になると、畑の片隅に必ずムラサキツメクサを植えた。栄治が若い頃、師匠から教わった牧草で、土を肥やすために育てるのだと聞いた。美佐が「なんだか地味な花だねえ」と言うと、栄治は珍しくぽつりと話した。

 「地味だが、こいつは偉い。咲いてるだけで土を元気にする。誰にも気づかれんところで、黙って働く。俺も、こうありたいと思うんだ」

 やがて時が流れ、美佐は病に倒れ、栄治は一人になった。村に出てくることも少なくなり、ただ畑に向かう日々が続いた。そしてある年の冬、村人が訪ねたときには、栄治の姿はもうなかった。

 家は打ち捨てられ、畑も荒れた。それでも春になると、ムラサキツメクサだけは咲いた。不思議に思った村人が土を掘ってみると、地中から小さな札が出てきた。木の札に、拙い字でこう書かれていた。

 「この土に、花を託す。誰の目に触れずとも、花は咲き、土を育てる。生きるとは、そういうことだと思う」

 村人たちは札を家に持ち帰り、やがて話は村中に広まった。その年から、子どもたちは春になると丘のふもとに集まり、咲いたムラサキツメクサを観察するようになった。

 「これが“実直”ってこと?」

 ある少女が、母に聞いた。母は頷いた。

 「そう。見えないところでも、ちゃんと役に立っていること。誰に褒められなくても、自分のすべきことをする。それが“実直”なのよ」

 丘のふもとには、今年もまた風に揺れるムラサキツメクサが咲いている。誰に知られずとも、土を癒し、次の季節を支えるその姿は、静かに語りかけてくる。

 ——本当の強さは、土の下にあるものなのだと。

シーチキンの日

5月25日はシーチキンの日です

5月25日はシーチキンの日

1931年5月25日は、缶詰やレトルト食品、パスタやパスタソースなど様々な食品の製造と販売を行う「はごろもフーズ株式会社」の創業日であることもあり、シーチキンの美味しさや色々な種類の料理に使用できる汎用性をもっと広く知ってもらうため、2021年にこの日を記念日として制定しました。

ツナ缶とシーチキン

ツナ缶

ツナ缶といえば、野菜サラダに加えたり、サンドイッチやおにぎりの具、他にもパスタソースにからめたりするなど、幅広く料理に使用されています。その台所の常備品ツナ缶は、表示をみるとツナフレークやまぐろ油漬けフレークなど様々な名称がありますが、そのブランドの殆どが、はごろフーズの「シーチキン」が大半を占めています。まさに、「ツナ缶」=「シーチキン」というほど、このブランドは世間に幅広く浸透しています。

ツナ缶の歴史

ツナ缶の歴史

日本で初の商業生産された魚の缶詰は鮭缶だそうで、1877年に北海道で作られたのだと伝えられています。明治時代では、缶詰の大半が輸出用であり、国内向けのものは軍用食として消費されていました。当時の庶民には縁のない食材だったといいます。その後は、(1923年9月1日11時58分頃、神奈川県西部から相模湾にかけた場所を震源とするマグニチュード7.9)関東大震災をきっかけに徐々に缶詰が庶民の間に普及していきます。しかし、昭和になると再び軍用や外貨獲得のための輸出品となっています。この頃のアメリカは、既に「マグロの油漬け缶詰」がメジャーな食べ物になっていたそうです。1930年には、日本でも静岡県にある水産試験場で研究開発が進み、清水市(現在の静岡県静岡市清水区)のある会社が日本初のマグロの油漬け缶詰を製造し、アメリカへ輸出しています。

シーチキンという名称の由来

創業者の後藤磯吉氏

はごろもフーズの「シーチキン」という名称は、原料であるビンナガマグロの肉は色が白かったため、別名「海の鶏」と呼ばれていたことに由来しているそうです。1958年に創業者の後藤磯吉氏は、マグロの油漬けは語感が悪いということで、この商品は若い人たちに食べてもらうためにこの名が付けられたということです。

ツナ缶にはタンパク質やDHA、EPAなどが豊富

ツナ缶は、タンパク質やDHA、EPAが豊富

ツナ缶は「ビンナガマグロやキハダマグロ」など、魚の缶詰です。したがって、これらにはタンパク質やDHA、EPAなどの栄養成分が含まれています。そして、そのタンパク質を構成するアミノ酸には旨みの素があり、ツナが浸かっている油にも溶け込んでいます。

血液をサラサラにする効果を持つ脂肪酸「DHAやEPA」

さらには、血液をサラサラにする効果を持つ脂肪酸「DHAやEPA」があるため、ツナ缶を油ごと調理に使えば、これらの成分も一緒に摂取することができます。元々人気のあるツナ缶ですが、魚が苦手だという方でも健康な体を保つために必要な栄養成分を摂取して、美味しく食べることができるという意味でも今後も注目していきたいと思います。


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5月23日の誕生花「ゴデチア」

「ゴデチア」

基本情報

  • 学名Godetia
  • 分類:アカバナ科(Onagraceae)クラーキア属(Clarkia)
  • 原産地:北アメリカ西部(カリフォルニア州など)
  • 草丈:20〜60cm程度
  • 開花時期:5月~6月
  • 花色:ピンク、赤、白、紫など
  • 別名:サテンフラワー、フェアウェル・トゥ・スプリング(春への別れ)

ゴデチアについて

特徴

  • 花の形と質感:サテン(絹)を思わせる光沢のある花びらが特徴的。大輪で紙のように薄く繊細な花を咲かせます。
  • 育てやすさ:日当たりと風通しのよい場所を好み、水はけの良い土壌で育てると元気に育ちます。
  • 用途:花壇、鉢植え、切り花など幅広く活用される。
  • 耐寒性・耐暑性:比較的寒さに強いが、真夏の高温多湿にはやや弱い。

花言葉:「変わらぬ愛」

デチアの花言葉の一つに「変わらぬ愛(Unchanging Love)」があります。この花言葉の由来には以下のような背景があります:

  1. 花の性質に由来:ゴデチアは比較的長い期間にわたって美しい花を咲かせることから、長く続く愛情や一途な想いを象徴するとされます。
  2. 花の見た目からのイメージ:サテンのような光沢と柔らかい質感は、恋人への優しい想い、変わらない愛情を想起させます。
  3. 英語圏での名前の影響:「Farewell to Spring(春への別れ)」という別名も、別れの切なさとともに残る愛情を連想させ、「変わらぬ想い」に通じる解釈がなされることもあります。

他の代表的な花言葉

  • 希望
  • 気まぐれな愛
  • 喜び

※花言葉は地域や文化によって解釈が異なることがあります。


「春の名残に誓う」

陽光が差し込む丘の上、小さなゴデチアの花が風に揺れていた。

花の海に立ち尽くしていた遥は、手の中の手紙をもう一度読み返した。それは五年前、戦地へ向かった恋人・奏(かなで)から届いた最後の手紙だった。日付はちょうど今の季節、春の終わりを告げるころ。手紙の隅に押し花のように添えられていた、あの絹のような花弁――ゴデチア。奏がよく言っていた。

「ゴデチアって、“春への別れ”っていうんだよ。でも、別れは終わりじゃない。僕は君に、また春を届けに戻ってくる」

彼の言葉を、遥はずっと信じていた。たとえそれが世間から「愚か」と言われようとも、彼女の心の中には変わらぬ温もりがあった。何度も手紙を読み返し、季節が巡るたびにこの丘に足を運んだ。

あの日も今日のように風が強くて、空はよく晴れていた。奏が出発する朝、「また会えるよ」と笑っていた顔が焼き付いている。戻らない現実を受け入れたはずなのに、どうしても心のどこかで、あの笑顔がまた見られる気がしてならなかった。

丘の下、舗装された細道に一人の青年が立っていた。スーツのポケットから何かを取り出しながら、彼女を見上げていた。視線が合う。遥は不思議と心が揺れた。どこか面影がある――目元の奥、声の響き、佇まい。

「遥さんですか?」

青年が近づいてきた。彼の手には、一冊の古い日記帳。

「僕は奏の弟です。兄が戦地で最期まで守っていたノートを、ようやくお渡しできる時が来ました」

遥は言葉を失った。ページをめくると、奏の筆跡が躍っていた。

《遥へ――
春がまた来たら、君とこの花を見に行く約束を守るつもりだった。もし僕が戻れなかったとしても、このゴデチアの咲く丘で、僕の心は君のそばにいる》

ページの間から、色あせたゴデチアの押し花がひらりと落ちた。

遥の頬に一筋の涙が流れたが、その目に浮かぶのは悲しみではなかった。手帳を胸に抱き、彼女は丘の花の中に腰を下ろした。

「奏、約束通り、あなたに会いに来たわ」

花は風に揺れながらも、その姿を変えない。どんなに季節が過ぎても、咲き誇る美しさと優しさは、愛の証のようにそこにあった。

春への別れは、終わりではない。ゴデチアの花が教えてくれた。

それは、変わらぬ愛の証。

菌活の日

5月24日は菌活の日です

5月24日は菌活の日

2013年5月24日は、きのこ総合企業のホクト株式会社がテレビコマーシャルで「菌活」という言葉を全国で初めて発信した日です。それにちなんで、ホクト株式会社がこの日を「菌活の日」として制定しました。

菌活とは?

菌活とは

まずは、菌活とはなにかを調べてみました。そもそも今回の「菌」とは、どの種類の菌を示しているかというから説明します。その菌は、訓読みの「きのこ」を表します。そして、その「きのこ」だけでなく、納豆ヨーグルトも加え、その栄養素や効果効能に注目し、美容と健康のために効果的な働きをする良い「菌」を積極的に摂り入れる活動を 「菌活」という習慣が作られました。

腸を元気にして便秘や肌荒れを予防

腸を元気にして便秘や肌荒れを予防

毎日、バリバリ働く女性はちょっとした不調や悩みは多くの人が持っています。厚生労働省の調査によれば、実際に便秘で悩んでいる人の割合は、全体の約4分の1もいるそうです。そして、その便秘やストレスなどで腸の調子が悪くなると、腸に溜めた有害物質などが血管を使って体内に広がり、肌荒れや疲労など様々な不調が現れるそうです。

菌活をして元気に長生きをしたい

菌活をして元気に長生きをしたい

現在では、ヨーグルト納豆きのこなど身近な菌食材を取り入れて腸を元気にする習慣が、TVやネットなどの影響で当たり前になりつつあります。さらに、新型コロナ等の感染拡大により、腸内環境を整える効果を期待して、免疫力アップの点からも注目されているようです。これからも「菌活」をさらにたくさん取り入れ、腸を元気にしていきましょう。


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5月22日の誕生花「レモン」

「レモン」(檸檬)

基本情報

  • 学名Citrus limon
  • 分類:ミカン科(Rutaceae)・ミカン属(Citrus)
  • 原産地:アジア、ヨーロッパ、中近東、北アメリカ、アフリカの一部
  • 果実の特徴
    • 楕円形で先端に小さな突起がある
    • 黄色い果皮に酸味の強い果汁
    • ビタミンCが豊富で、風邪予防や美容に効果があるとされる
  • 樹高:通常2~6メートル
  • 花の色:白(時に外側が薄紫がかる)
  • 開花時期:5月中旬~6月上旬(主な開花期)、6月中旬~11月(品種によって適時、開花)

レモンについて

特徴

  • 香り高い果実
    爽やかな酸味と強い香りが特徴。果汁や果皮は料理、製菓、飲料、アロマオイルなどに利用される。
  • 四季咲き性
    温暖な気候では年に複数回開花・結実することもある。
  • 観賞価値も高い
    光沢のある葉や美しい白い花、小さく実る黄色い果実が美しく、観葉植物としても人気がある。

花言葉:「情熱」

レモンの花言葉にはいくつかありますが、「情熱」という言葉は特にその強い香りと鮮烈な酸味に由来します。

由来の考察:

  1. 香りと味が刺激的で印象的なこと
    レモンの持つ強い香りや酸味は、嗅覚や味覚を強く刺激します。この「強く訴えかける」性質が、内に秘めた熱い思い、すなわち「情熱」を連想させます。
  2. 花の清らかさと果実の力強さの対比
    レモンの花は小さく白く、繊細で清楚な印象を与える一方、果実は鮮烈な色と風味を持ちます。このコントラストが、「内なる情熱」を象徴すると考えられています。
  3. 古代からの薬効や神話的イメージ
    古代地中海世界では、レモンは健康・美・活力を象徴する果実とされてきました。その生命力あふれるイメージが、情熱や活力と結びついたともいわれます。

「レモンの情熱」

六月の風は、まだ夏の匂いを運んでこない。
だが、陽射しの角度が少し変わっただけで、庭のレモンの木はそれに気づく。小さな白い花を、静かに咲かせはじめた。

「ほら、咲いたよ」
祖母の庭で育てていたレモンの木を、私は何年ぶりかで見に来た。

小さな五弁の花は、思い出よりもずっと繊細だった。
けれどその香りは、一瞬であの夏を思い出させる。

——あのとき、私は東京から逃げてきた。
大学生活の息苦しさ、期待と失敗、誰にも話せない焦燥感。
祖母の家の庭にあるレモンの木の下で、ただぼうっと日を浴びていたあの頃。

「情熱っていうのよ、この花の花言葉」
祖母は言って、白い花を一輪、私の髪にそっと飾ってくれた。

「レモンが情熱? 似合わない」
私はそう笑った。
酸っぱいし、トゲがあるし。清楚でもないし。

「でもね、あの花がなかったら、あの果実はできないのよ。
最初は小さくて、だれも気にとめないのに、
やがて太陽を浴びて、あんな鮮やかな黄色になるの。
時間をかけて、自分で光を集めていくのよ」

祖母の言葉が、今ごろになって胸に刺さる。
あの頃の私は、強い香りや味に耐える余裕がなかった。
けれど、今の私は違う。情熱は、派手な炎ではない。
見えなくても、静かに続く熱のことだ。

「レモネード、飲む?」
従妹が笑いながら差し出してくれたグラスには、氷とレモンの輪切り。

一口飲むと、きりっとした酸味が舌を刺激する。
けれど不思議と、その刺激が心地よい。
冷たさの奥に、日差しのような温かさがある。

「これ、庭のやつ?」
「うん。去年、たくさん採れたから冷凍してたの」

果実は確かに情熱のかたちだ。
香りは記憶を呼び起こし、味は感情を動かす。

あの頃は知らなかった。
白い花に、こんなにも強さが宿っていたことを。

「情熱って、案外静かなのね」
私はそう呟いた。

従妹がきょとんとこちらを見る。
その視線の奥に、かつての自分がいる気がして、思わず笑ってしまった。

夕暮れ、レモンの木に残る最後の陽が差す。
小さなつぼみが、まるでこちらを見上げているようだった。

私は一輪、咲きかけの花をそっと手折り、ポケットにしまう。
香りを連れて、もう一度、自分の暮らしへ戻ろう。
あの静かな情熱を、胸に秘めて。

難病の日

5月23日は難病の日です

5月23日は難病の日

2014年5月23日、難病患者を支援する最初の法律「難病法」(難病の患者に対する医療等に関する法律)が成立しています。それに伴い、「難病・長期慢性疾患」、「小児慢性疾患」等の患者団体や地域難病連で構成される「患者と家族の会」の中央団体「日本難病・疾病団体協議会」(一般社団法人)がこの日を記念日として制定しました。この日の目的は、患者や家族の思いを一人でも多くの人に知ってもらうためのきっかけとすることです。

難病とは

治療が困難な病気

難病というのは病名ではなく、原因がわからず治療が困難な疾病を一般的にこう呼ばれています。この呼び名は、日本だけのものであり、海外には難病という表現はありません。以前、結核やハンセン病も原因不明であったため、不治の病と判断されて難病といわれていました。したがって、現在は医療の研究が進んで原因が究明され治療法も確立されて難病と呼ばれなくなったものも数多く存在します。

難病法の歴史

色々な難病

スモン(薬剤スモンによる患者の感染病)という病気の原因解明を機に、難病対策の必要性が高まって1972年に厚生省は「難病対策要綱」をまとめています。それ以降の難病対策は、研究事業の一環にごく限られた疾患に対して、毎年の予算措置として行われていたそうです。また、日本マルファン協会が法人設立した2007年のころ、マルファン症候群は難病に指定されておらず、研究班もない状況でした。

マルファン症候群等の難病指定

マルファン症候群 【指定難病167】

当協会は、マルファン症候群(大動脈や骨格、皮膚、眼、肺、硬膜など体のさまざまな部位の結合組織が脆くなる病気)等の難病指定を求める署名活動も行い、多くのみなさんにご協力いただき、 そして、日本難病・疾病団体協議会にも加盟し、ようやく2014年5月23日にその難病法が成立しました。そして、2015年7月1日から新たに「医療費助成制度」や「就労支援」などの総合的な対策が始まっています。

マルファン症候群/ロイス・ディーツ症候群(指定難病167)
概要:大動脈、骨格、眼、肺、皮膚、硬膜などの全身の結合組織が脆弱になる遺伝性疾患。

公益財団法人 難病医学研究財団/難病情報センター

AI技術で難病を解決する!?

最先端医療

現在、「難病」で苦しむ人を救うための方法として注目を集めているのが、最新の医療技術バイオテクノロジーを活用したアプローチです。例えば、AI技術を新薬の開発プロセス(AI創薬・再生医療ベンチャー)などを取り入れる方法がその代表的な方法といえます。難病になるほど、新薬の開発難易度や開発コストが高くなり、従来とは異なる創薬技術のニーズは大きくなります。

ビックデータがAIをさらに進化させる

そこでAIに学習させるビッグデータが重要なカギとなります。この問題を解決すれば、AI技術の飛躍的に進歩して、難病が大幅に減少するでしょう。そして、時代と共に難病も無くなり、最先端の医療技術によって、我々に病気という不安と恐怖を少しずつ払拭してくれると信じます。


「難病の日」に関するツイート集

2025年の投稿

2024年の投稿

2023年以前の投稿

5月21日の誕生花「バラ」

「バラ」

RalphによるPixabayからの画像

基本情報

  • 学名Rosa
  • 分類:バラ科バラ属
  • 原産地:アジア、ヨーロッパ、中近東、北アメリカ、アフリカの一部
  • 種類:およそ200種以上、園芸品種は2万以上存在
  • 開花時期:5月中旬~6月上旬(主な開花期)、6月中旬~11月(品種によって適時、開花)
  • 形状
    • 一重咲き〜八重咲きまでさまざま
    • 色は赤、白、ピンク、黄、オレンジ、青みを帯びた品種など豊富

バラについて

🌸♡💙♡🌸 Julita 🌸♡💙♡🌸によるPixabayからの画像

特徴

  • 美しい花姿:整った花びらの重なりや鮮やかな色彩が魅力。
  • 芳香:多くの品種が甘く濃厚な香りを放つ。
  • トゲ:茎に鋭いトゲがあり、外敵から身を守る役割。
  • 育てやすさ:種類によって異なるが、日当たりと風通しを確保すれば比較的育てやすい。
  • 用途:庭園用、切り花、香料(ローズオイル)、食用(ローズウォーター、ジャム)

花言葉:「愛」「美」

Нина ИгнатенкоによるPixabayからの画像

バラが「愛」と「美」を象徴する理由は、古代からの文化・神話・文学に深く根ざしています。

1. 古代ギリシャ・ローマ神話

  • 美と愛の女神**アフロディーテ(ヴィーナス)**がバラと深く結びつけられていました。
  • 神話では、アフロディーテが恋人アドニスを失った悲しみの涙がバラに変わったとも言われています。

2. 中世ヨーロッパの騎士道文化

  • 貴婦人への愛の証として騎士がバラを贈る慣習がありました。
  • バラは「秘めた愛」「高貴な美しさ」を象徴し、恋愛の贈り物として定着。

3. 花の象徴性

  • 鮮やかな赤は情熱的な愛を、
  • 純白は純粋な美と尊敬を、
  • ピンクは優しさと幸福を象徴します。

📝 補足

  • 赤いバラ:もっともポピュラーな愛の象徴
  • 白いバラ:純潔・尊敬
  • 黄色いバラ:友情や嫉妬(文化によって異なる)
  • 青いバラ:奇跡・不可能への挑戦(近年のバイオ技術で作出)

「薔薇の涙」

CouleurによるPixabayからの画像

古びた石畳の道を、一人の老婦人が静かに歩いていた。手には、一輪の赤いバラ。

その道の先には、小さな古書店がある。年に一度、この日にだけ彼女はその店を訪れる。そして、何も語らず一冊の本を棚から取り出し、ページをめくる。ページの間には、押し花になったバラの花びらが一枚、そっと挟まれていた。

「アドニスの日だね」と、店主の青年が声をかける。

老婦人は、微笑みながら頷いた。

彼女の名はクラリス。若かりし頃、舞踏会で出会った青年、アドニスと恋に落ちた。彼は芸術を愛する詩人で、繊細で美しい言葉を紡ぐ人だった。

出会った夜、彼は一輪の赤いバラをクラリスに手渡しながらこう言った。

「君は、この花よりも美しい。けれど、バラと同じで、人を愛する力を持っている」

その日から、二人は毎週のように会い、愛を育んだ。バラ園で過ごした時間、詩を読み交わした静かな午後、そして、雨の日に交わしたくちづけ。すべてが、宝石のように心に残っている。

だが、運命は残酷だった。

ekremによるPixabayからの画像

アドニスは戦火に巻き込まれ、帰らぬ人となった。最後に届いたのは、彼の詩集と一輪の赤いバラだけだった。バラはすでに枯れていたが、クラリスはそれを丁寧に押し花にして、詩集に挟んだ。

「なぜ、バラだったのか、最近ようやく分かったのです」とクラリスはつぶやいた。

「バラは、美しいけれどトゲもある。愛はそういうもの。傷ついてもなお、美しさを失わない」

その年、クラリスは詩を一つ書いた。アドニスの書いた詩と並ぶように、それは詩集に挟まれた。

あなたの涙がバラに変わるのなら
私の愛も、香りとなってあなたに届くでしょう
美は消えず、愛は枯れず
ただ、時の彼方に咲き続けるだけ

老婦人は本を閉じ、押し花をそっと戻した。

「また来年、会いましょうね」

その一輪のバラに、誰に向けたとも知れぬ言葉を残して、彼女は静かに店を後にした。

バラは「愛」と「美」の象徴。だがその裏には、失われた時間と、決して枯れぬ想いがある。

クラリスのように、誰かの心に咲き続ける薔薇が、今日もまた、一輪。