7月14日の誕生花「ノウゼンカズラ」

「ノウゼンカズラ」

基本情報

  • 学名Campsis grandiflora
  • 英名:Chinese trumpet vine
  • 科名/属名:ノウゼンカズラ科/ノウゼンカズラ属
  • 原産地:中国
  • 開花期:7月~8月(初夏〜盛夏)
  • 花色:橙色、赤橙色、まれに黄色
  • つる性植物:壁やフェンスなどに絡みつきながら成長する

ノウゼンカズラについて

特徴

  • 鮮やかなトランペット型の花
     花径5〜7cmほどのラッパ型の花を房状に咲かせ、非常に目立ちます。橙色の花は夏の青空に映え、南国的な雰囲気を持ちます。
  • つるで高く伸びる性質
     気根を出して壁や木に絡みつき、数メートルにもなる高さまで伸びます。放っておくと家の屋根にまで届くほど旺盛に育ちます。
  • 落葉性の木本つる植物
     冬になると葉を落としますが、春になると再び芽吹き、毎年元気に花を咲かせます。
  • 日当たりと排水の良い場所を好む
     日照が十分ある場所でこそ、その鮮やかな花色がより映え、花付きもよくなります。

花言葉:「夢ある人生」

ノウゼンカズラの花言葉にはいくつかありますが、その中でも「夢ある人生(a life full of dreams)」という言葉は、以下のような植物の性質と姿に由来していると考えられます。

◎ 高く空へと向かう成長姿勢

ノウゼンカズラは壁や支柱に絡みながら、まるで空に向かって夢を追うようにどこまでも伸びていきます。その姿が「未来への希望」「高みを目指す意志」を象徴しているのです。

◎ 鮮やかに咲き誇るラッパ型の花

ラッパは「喜び」や「希望の到来」を知らせる象徴でもあります。夏空の下で明るく咲くその姿は、「人生を前向きに楽しもう」というメッセージを感じさせます。

◎ つる性植物としてのしなやかさ

夢や目標に向かう中での柔軟さや粘り強さ、時には支えを得ながらも自分のペースで伸びていく様子が、「人生の旅路」に重ねられます。


「夢の途中で咲く花」

古い町並みに溶け込むように佇む一軒のカフェ。軒先のレンガ塀には、夏の陽を浴びながらノウゼンカズラが咲き誇っていた。ラッパのような橙の花々は、まるで空に向かって夢を告げるファンファーレのように見える。

 そのカフェで、静かにコーヒーを淹れている女性がいた。名前は澪(みお)、三十二歳。グラフィックデザイナーとして東京で働いていたが、数ヶ月前にすべてを手放し、この小さな町へと戻ってきた。

 「夢って、何だったんだろうね」

 そうつぶやいたのは、古い友人の一樹(いつき)だった。高校時代からの付き合いで、今は町の工務店で働いている。久しぶりの再会に、ふたりはカフェのテラスに並んで座っていた。

 「東京での生活、そんなに悪くなかったんだけどね。ただ、ある日ふと立ち止まっちゃって。『このままでいいの?』って。で、気づいたら、夢の続きじゃなくて、夢の形そのものを見失ってた」

 風がそっとノウゼンカズラを揺らす。澪の視線が花に吸い寄せられるように向かう。

 「この花、昔おばあちゃんが好きだったの。『夢が咲く花よ』って言ってた。意味なんて知らなかったけど、なんだか今なら少しわかる気がする」

 「夢が咲く花か。いい言葉だな」

 「うん。何かを目指して一生懸命伸びるのって、すごく眩しい。でも、途中で立ち止まることもあるじゃない? そんな時に、自分を責めるんじゃなくて、“いまはここで咲こう”って思えたらいいのかも」

 一樹は少しだけ目を細めて言った。

 「夢って、ゴールじゃなくて旅なんだろうな。ノウゼンカズラみたいに、支えを見つけながら、しなやかに伸びていく。高く、高く、でも風に揺れながら、自分のペースで」

 テーブルの上に影が伸びる。午後の光が、カフェの壁を橙色に染めていた。

 「ここで、また始めてみようかなと思ってるの。東京とは違うかもしれないけど、今の私にはこの場所がちょうどいい気がする」

 「新しい夢、見つかるといいな」

 「うん、夢ある人生――ってやつをね」

 ふたりは微笑み合った。風がもう一度、ノウゼンカズラを揺らす。花々は空に向かって、今この瞬間の希望をそっと告げていた。

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