12月11日の誕生花「白いバラ」

「白いバラ」

基本情報

  • バラ科バラ属の多年生植物
  • 開花期:春〜秋(品種により四季咲きも多い)
  • 色は純白からアイボリーホワイト、わずかに緑がかった白など多様
  • 香りは強香から微香まで品種差が大きい
  • 切り花としてウェディング・贈り物で最も人気のある色のひとつ

白いバラについて

特徴

  • 清楚で透明感のある花色が特徴
  • 花びらの重なりが美しく、上品でクラシックな印象を与える
  • 花持ちのよい品種が多く、ブーケやアレンジに使われやすい
  • 純白であるため、他の色と組み合わせても調和しやすい
  • 初心者でも育てやすい強健種から、手入れが必要な高級品種まで幅広い

花言葉:「無邪気」

由来

  • **白という色が象徴する“純潔”“清らかさ”**から、汚れのない心をイメージしたとされる。
  • 白いバラは、赤いバラのような情熱や黄色のバラのような陽気さよりも、
    飾らない気持ち・ささやかな喜び・子どものような真っ直ぐさを連想させた。
  • また、古くは白いバラが「純粋な愛」「真心」の象徴として扱われ、
    そのイメージが派生して、
    “無邪気な想い” “裏表のない気持ち” といった意味に結びついた。
  • 結婚式や誕生祝いで白いバラがよく使われる文化的背景も、
    新しい始まりを前にした“まっさらな心” を表す象徴として花言葉に影響を与えている。

「白いバラのはじまり」

春の光が、薄いレースのカーテンをやわらかく透かしていた。
 葵はその光の中、テーブルの上に置かれた一輪の白いバラを見つめていた。

 花びらは雪のように透き通っていて、指先を近づけるとひんやりとした気配が伝わる。
 まるで何かを語りかけるように、静かに、凛として咲いていた。

 ――「純粋なものは、強いのよ」

 ふいに、母の声を思い出す。
 小さい頃、誕生日のたびに白いバラを飾ってくれた母。
 「無邪気でいてくれるだけでうれしい」と笑っていた、その笑顔。

 そんな母が亡くなって一年が経つ。
 葵は今年も誕生日を迎えたけれど、この花を買うまで、白いバラを見ることができなかった。

 母の記憶があまりに鮮やかで、触れれば壊れてしまいそうで――。
 けれど今日は、どうしてもこの花に会いたかった。

 窓を開けると、春の風がそっと部屋に流れ込んだ。
 白い花びらがゆらぎ、光を受けてやわらかく輝く。

 「ねえ、お母さん」

 葵は小さな声でつぶやいた。
 「私、あの日みたいに素直になれるかな。無邪気で……なんて、もう難しい気がする」

 仕事に追われ、気づけば眉間にしわを寄せる癖までついた。
 誰かに甘えることも、弱音を吐くことも、いつの間にか苦手になっていた。

 ――だけど。

 白いバラは、何も責めるような光を持っていなかった。
 ただそこに、美しく、まっさらな姿で咲いている。

 “無邪気な想い”
 “裏表のない気持ち”

 花言葉の由来を思う。
 赤いバラの情熱も、黄色いバラの陽気さも持たず、ただ真っ直ぐで清らかであること。
 飾らない気持ちそのものを象徴する白。

 「……始めてもいい、ってこと?」

 心のどこかで、そんな声が生まれた。
 新しい自分。
 誰かに向ける素直な想い。
 あるいは、誰かをもう一度信じる勇気。

 白いバラは、まるで「うん」と頷くように静かに揺れた。

 そのとき、玄関のチャイムが鳴る。
 驚いてドアを開けると、友人の亮が立っていた。
 手には、小さな紙袋。

 「誕生日でしょ。これ、渡しそびれるとこだった」

 袋の中には、白いバラの花束。
 葵は息を呑んだ。

 「え……なんで、白いバラを?」
 「なんとなく。葵には、この色が合う気がして」

 胸の奥がじん、と熱を帯びる。
 母以外の誰かから白いバラをもらったのは、初めてだった。

 亮は少し照れたように笑った。
 「最近、頑張りすぎだろ? だから……真っさらな気持ちで、また笑えるといいなって」

 その言葉に、瞳の奥がふっと熱くなる。
 白いバラの花言葉が、そっと心に降りてきた。

 ――無邪気。

 それは、子どものように戻ることではなく、
 ただ、自分の気持ちに正直でいることなのかもしれない。

 「ありがとう、亮」
 声が震えた。
 けれど、今の自分を飾る必要はなかった。

 白いバラは、静かに光を映しながら咲いている。
 まっさらな始まりを、やさしく告げるように。

11月15日の誕生花「オレンジ色のバラ」

「オレンジ色のバラ」

基本情報

  • 学名:Rosa
  • 和名:バラ(薔薇)
  • 科名 / 属名:バラ科 / バラ属
  • 原産地:アジア、ヨーロッパ、中近東、北アメリカ、アフリカの一部
  • 落葉低木。
  • 一般的な開花期:5~6月、秋に返り咲きする品種も多い。
  • オレンジ色の品種は、19世紀後半~20世紀にかけて交配により生まれた比較的新しい花色。
  • 花色は「黄色 × 赤」の交配による中間色で、暖かさ・活力を象徴する色として人気が高い。
  • 切り花・ガーデニングどちらでもよく用いられる。

オレンジ色のバラについて

特徴

  • 太陽の光を思わせる明るい色合いで、元気で開放的な印象を与える。
  • 花色は品種により、明るいオレンジ、アプリコット寄り、濃い朱色寄りなど幅広い。
  • 芳香は品種によって異なるが、フルーティーやスパイシー系の香りを持つものが多い。
  • エネルギッシュな色ゆえ、庭のアクセントカラーとしても重宝される。
  • 花持ちが比較的よいものが多く、花束にすると存在感が強い。

花言葉:「無邪気」

由来

  • オレンジ色は、太陽・光・元気を象徴する暖色で、子どものような明るさや屈託のなさを感じさせることから「無邪気」と結びついた。
  • 黄色のバラが「友情・平和」、赤のバラが「愛・情熱」を象徴し、その二つから生まれたオレンジは「愛情の明るい面」「開放的な心」を表す。
  • 見た人を自然に笑顔にするような、明るくポジティブな花色が、純粋で素直な感情をイメージさせ「無邪気」という花言葉につながったとされる。
  • ほかのオレンジ色の花(マリーゴールド、ガーベラ など)も同様に「元気・明るさ・子どもらしさ」を象徴するため、そのイメージがバラにも反映された。

「オレンジ色の約束」

放課後の校庭には、まだ昼の名残のような明るさが漂っていた。夏の始まりの空気は少し熱を帯びていて、風が吹くたびに木々の葉がきらきらと揺れた。

 花壇の前でしゃがみこんでいる少女・花奈は、そっと手を伸ばし、オレンジ色のバラの花びらを指先でなぞった。夕陽の光を受けて、花びらは柔らかく輝いている。

 「……ほんとに、無邪気って感じだなぁ」

 思わずつぶやくと、背後から声がした。

 「誰のこと?」

 驚いて振り向くと、クラスメイトの悠斗が立っていた。彼は汗に濡れた額を手で払いながら、にっと笑う。部活帰りらしい。

 「花のことだよ。ほら、見て。オレンジ色のバラ」

 花奈が指さすと、悠斗も花壇にしゃがみ込み、バラに顔を近づけた。

 「へぇ、きれいだな。バラって赤とかピンクのイメージだけど……こういう色もあるんだ」

 花奈は小さくうなずく。

 「オレンジ色は太陽とか光とか、元気を象徴する色なんだって。見てるだけで、なんか気持ちが明るくなるでしょ?」

 悠斗はじっと花を見つめたまま、ふっと笑った。

 「たしかに。……お前みたいだ」

 「え?」

 唐突な言葉に、花奈の心臓が一瞬止まる。悠斗は慌てた様子もなく、さらりと言葉を続けた。

 「いや、ほら。お前ってさ、いつも誰かのこと気づかってるし、気づいたらすぐ笑うじゃん。そういうとこ、なんか無邪気っていうか……太陽みたいっていうか」

 言われた本人は、どう返していいのかわからず、視線を花に落とした。オレンジ色の花びらが、ますます鮮やかに目に映る。

 「……このバラ、花言葉が“無邪気”なんだって」

 「そうなのか?」

 「うん。黄色のバラが“友情”、赤のバラが“愛”。そのふたつを合わせた色がオレンジで、“愛情の明るい面”とか、開放的な心って意味もあるんだってさ」

 「へぇ……なんか、いいな、それ」

 悠斗が花に触れず、そっと近くに顔を寄せた。花奈はその横顔を横目に見て、胸の奥がちくりと疼くのを感じた。

 「見てると笑顔になるんだよね。この色」

 「たしかに。なんか……元気になる」

 短い沈黙が流れた。蝉の声が遠くで響き、風が二人の間を通り抜ける。

 やがて花奈が勇気を振り絞るように、かすかに口を開いた。

 「ねぇ、悠斗。このバラ……もっとたくさん咲かせたいんだ」

 「たくさん?」

 「うん。来年も、その次の年も……ずっと。ここに来るたび、明るい気持ちになれるように」

 悠斗は目を細め、少しだけ花奈の顔を見た。

 「じゃあ、手伝うよ。俺も、こういうの好きかも」

 胸の奥が、ぱっと明るくなった。夕陽の中で、オレンジ色の花が二人の間にひっそりと咲いている。

 「ありがと。じゃあ……約束ね」

 手を差し出すと、悠斗は少し照れたように笑って、それを握り返した。温かい手だった。

 オレンジ色のバラは、光を受けて静かに揺れる。無邪気な色――誰かの心を自然と晴れさせる色。

 その花が、今日交わした小さな約束を、きっと来年も、再来年も、変わらない鮮やかさで見守ってくれる気がした。

9月26日、29日の誕生花「ポーチュラカ」

「ポーチュラカ」

基本情報

  • 分類:スベリヒユ科スベリヒユ属
  • 原産地:南北アメリカを中心に熱帯~温帯に広く分布
  • 学名Portulaca
  • 和名:ハナスベリヒユ(花滑莧)
  • 開花期:初夏~秋(5月~10月頃)
  • 草丈:10~20cmほどの這うように広がる多年草(日本では冬越しが難しいため一年草扱いが多い)

ポーチュラカについて

特徴

  1. 太陽に咲く花
    日当たりが良いときにだけパッと花を開き、曇りや夕方には閉じてしまいます。まるで太陽と遊ぶように咲く姿が魅力的です。
  2. 多彩な花色
    赤・ピンク・オレンジ・黄色・白などカラフルで鮮やかな花色が揃い、夏の庭や花壇を明るく彩ります。
  3. 乾燥に強い
    多肉質の葉や茎に水分を蓄える性質を持ち、真夏の直射日光にも耐える強健さがあります。
  4. 地を覆うように広がる
    横に這うように茎を伸ばすため、グランドカバーや鉢植え、ハンギングにも向いています。

花言葉:「無邪気」

由来

ポーチュラカに「無邪気」という花言葉が与えられた背景には、以下のような特徴が関わっています。

  • 太陽の下でだけ咲く素直さ
    日が出ると元気いっぱいに花を開き、光がなくなるとしおんと閉じる。その単純で飾らない性質が「子どものような無邪気さ」を連想させました。
  • 明るく元気な花姿
    鮮やかなビタミンカラーの花は見ているだけで元気を与えてくれる存在。その天真爛漫な雰囲気が「無邪気」に重ねられています。
  • 長く咲き続ける健気さ
    夏の間じゅう、毎日新しい花を次々と咲かせ続ける姿は、純粋な喜びや遊び心を感じさせます。

→ つまり、「太陽とともに笑顔を見せる子どものような花」であることが、花言葉「無邪気」の由来になっています。


「太陽と笑う花」

真夏の午後、商店街の片隅にある小さな花屋の店先に、色とりどりの花が並んでいた。真紅、オレンジ、黄色、ピンク――まるで夏の太陽の光をそのまま吸い込んで輝いているかのような花。それが、ポーチュラカだった。

 「おばあちゃん、この花、なんでいつもニコニコしてるの?」
 小学二年生の結衣が、祖母の花屋でしゃがみ込み、鉢植えのポーチュラカを覗き込む。

 祖母は柔らかく笑った。
 「この花はね、太陽が大好きなの。日が出ると元気いっぱいに咲いて、暗くなると眠るのよ。素直で無邪気な子どもみたいでしょう?」

 結衣はその言葉を聞いて、はっとした。
 ――自分みたい。
 思ったことがそのまま顔に出てしまうし、学校でも笑ったり泣いたりが多い自分。先生に「もう少し落ち着きなさい」と注意されることもしばしばだった。

 「ねえ、おばあちゃん。この花の名前、なんていうの?」
 「ポーチュラカ。花言葉は『無邪気』っていうのよ」

 無邪気。
 その響きは、結衣にとって初めて知る魔法のような言葉だった。

 翌日も、結衣は花屋にやってきた。ポーチュラカの花をじっと眺めると、昨日と同じように、太陽の下で元気いっぱいに咲いている。
 けれど夕方になると、不思議なほどすぐに花が閉じてしまう。
 「なんで閉じちゃうの? もっと咲いてればいいのに」
 思わずつぶやくと、祖母が鉢を撫でながら答えた。
 「それが、この子たちの素直さなの。日が沈んだら眠る、また明日笑顔で会うためにね」

 結衣は考え込んだ。
 ――私も、この花みたいでいいのかな。
 周りから「子どもっぽい」と言われる自分を、少し恥ずかしく思っていた。けれどポーチュラカは、それを堂々と太陽に向かって咲いている。

 やがて夏休みの工作の宿題に、結衣は「ポーチュラカ日記」をつけることにした。
 毎日、花が咲いた時間や閉じた時間、色の違い、気づいたことを丁寧に書き込む。
 そこには次第に、自分の気持ちも書かれるようになった。

 「今日、友達に泣き虫って言われた。でも、ポーチュラカは泣かない代わりに夜になると眠る。私も泣いた分だけ笑えばいいんだと思った」

 「明日は運動会。緊張してるけど、ポーチュラカみたいに太陽を見たら元気になるって信じてる」

 祖母は日記をこっそり覗き、目を細めた。結衣の心が、花と一緒に少しずつ育っていくのを感じていた。

 夏が終わる頃、結衣は大きな声で発表した。
 「ポーチュラカの花言葉は『無邪気』です。太陽の下でだけ咲く素直さ、元気でカラフルな花姿、そして夏の間ずっと咲き続ける健気さから生まれた言葉です。私は、無邪気って恥ずかしいことじゃなくて、大事な宝物だと思いました」

 クラスメイトたちは拍手を送った。結衣の頬は赤く染まっていたが、その瞳はポーチュラカの花のように明るく輝いていた。

 帰り道、祖母が優しく言った。
 「ね、結衣。無邪気でいることは、何よりも大切なのよ。太陽とともに笑う花みたいに、ね」

 結衣は祖母の手をぎゅっと握りしめ、心の中で決めた。
 ――これからも、私はポーチュラカのように笑っていこう。

 夏空に浮かぶ入道雲の下で、ポーチュラカが今日も無邪気に咲いていた。