「スノードロップ」
スノードロップ (Snowdrop) は、ヒガンバナ科の球根植物で、学名は Galanthus です。寒い冬が終わりに近づき、春の訪れを告げる花として知られています。その純白の小さな花は、雪の中から顔を出す姿が印象的で、多くの人に親しまれています。
スノードロップについて
科名:ヒガンバナ科 (Amaryllidaceae)
原産地:ヨーロッパ
特徴:
1.花の形状
鐘型で小さな白い花を下向きに咲かせます。
雪のしずくを思わせる形から、英語で「Snowdrop」と呼ばれています。
2.開花時期
主に1月から3月の寒い時期に咲きます。
まだ雪が残る早春に咲くことから、春の到来を告げる花として親しまれています。
3.耐寒性
非常に耐寒性が強く、雪の中でも咲く力強さがあります。
4.花の大きさ
高さは10~20cm程度と小柄で控えめな花です。
5.葉の特徴
細長い緑色の葉が付いており、花を引き立てます。
花言葉: 恋の最初のまなざし
スノードロップの花言葉は「恋の最初のまなざし」です。この花言葉には、スノードロップが寒さの中でいち早く咲き、春の始まりを知らせることから、「何か新しいことの始まり」や「初々しさ」を象徴する意味が込められています。
「冬の恋のまなざし」
「この花を見たことある?」
ヒロは小さな白い花を持ち上げながら、ミアに話しかけた。冬の空気が残る森の路地で、その花はこんもりした雪の中から顔をのぞかせていた。
「スノードロップ…」
ミアはそれが何の花かを知っていた。その平易さにヒロは驚いた顔を見せた。
「知ってたの? それなら話は早い。これ、君に送るよ」
ミアの光る眼は花を見つめた。その一枝には、こんな時期に花を咲かせる気魂を感じさせるエネルギーが浴びせられていた。「これ、『恋の最初のまなざし』という意味なんだって」とヒロは笑いながら言った。
「じゃあ、あなたが私を初めて見た時の、あのまなざしもこの花に合ってるのかしら」
ミアは笑いを含んだ眼をヒロに向けた。ヒロの背中が枯葉にたつ音と共に揺れた。「それはもっと、素直でドキッとした感じだったかもしれない…こんな冬の花みたいに、」と回答した。
「でも、この花みたいな恋なら絶対に雪の上でしか花をさかせないって言われそうだわ。私は、もっと暖かいところで花をさかせてほしいな」
ミアはその花をそっとヒロから取り、雪の上に戻した。「これがあるから冬も美しいんだと思う。」その声に込められた暖かさに、ヒロは黙ったまま吹く風を聞いた。
雪はそのまま、辛担ながら笑う花を重ねたまま、風景の一部として存在し続けた。