9月6日、10月11日の誕生花「ミソハギ」

「ミソハギ」

ミソハギは、夏から初秋にかけて紫紅色の小花を穂状に咲かせる多年草です。湿地や水辺を好み、すらりと伸びた茎に咲く姿が涼やか。お盆の供花としても親しまれています。

基本情報

  • 科名:ミソハギ科(Lythraceae)
  • 属名:ミソハギ属(Lythrum)
  • 学名:Lythrum anceps
  • 別名:ボンバナ(盆花)、ショウリョウバナ(精霊花)
  • 原産地:日本、東アジア一帯
  • 開花時期:7月〜9月
  • 花色:紅紫色、紫がかったピンク
  • 生育環境:日当たりのよい湿地・川辺・田のあぜなど水辺を好む多年草

ミソハギについて

特徴

  • 細長い茎の先に、小さな紅紫の花を穂状にたくさん咲かせる。
  • 花が上から順に咲いていくため、咲き進む姿が繊細で美しい。
  • 葉は細長く対生し、茎に沿って整然と並ぶ。
  • 盆花として古くから親しまれ、お盆の供花や仏前花として欠かせない存在。
  • 湿地に強く、涼しげで風情ある印象を持つ。

花言葉:「切ないほどの愛」

GuangWu YANGによるPixabayからの画像

由来

  • しっとりとした湿地に咲く姿が、静かで物思いに沈むように見えることから。
  • 花が細くまっすぐに立ち、儚げに咲く様子が、叶わぬ恋や静かな愛情を連想させる。
  • お盆に咲く花であるため、亡き人への思慕や哀しみを込めた愛を象徴するともいわれる。
  • つまり、「切ないほどの愛」は、永遠に届かない相手を思い続ける深い愛情を表している。

「ミソハギの咲く川辺で」

八月の風は、湿った土と水の匂いを運んでくる。
 真帆は川辺にしゃがみ込み、指先でミソハギの花をそっと撫でた。細い茎の先に、小さな紅紫の花がいくつも連なっている。ひとつひとつは儚いのに、集まるとまるで祈りの列のようだった。

 ――この花を見ると、どうしても思い出してしまう。

 彼の名は蓮。高校の写真部で出会い、夏になるといつも一緒に撮影に出かけた。
 蓮は水辺の風景を撮るのが好きで、真帆は花ばかりを撮っていた。
 「花って、誰かを待ってるみたいだね」
 そんなことを言って、彼は笑った。
 あの日、川の向こうで光を見つめる横顔を、真帆は今でも鮮明に覚えている。

 その夏の終わり、蓮は突然この世を去った。
 事故だった。誰も悪くなかった。ただ、運が悪かったとしか言えなかった。
 お盆の日、彼の家の仏前に供えられていたのは、淡い紅紫のミソハギだった。
 「盆花」と呼ばれるその花を見たとき、真帆は初めて知った。
 ――彼が最後に撮っていた写真のフォルダ名が「Misohagi」だったことを。

 翌年から、真帆は毎年、蓮が好きだった川辺に足を運ぶようになった。
 湿地に差す陽光の中で、ミソハギは静かに咲いている。風が吹くたび、細い茎がかすかに揺れ、まるで誰かの心を慰めるように震えた。
 花弁に触れると、ひんやりと冷たい。
 その冷たさが、不思議と心を落ち着かせる。

 「今年も、ちゃんと咲いてるね」
 小さく呟くと、川面が光を反射してきらめいた。
 ――返事の代わりみたいに。

 ミソハギの花言葉は「切ないほどの愛」。
 湿った大地に根を張り、静かに咲き続けるその姿が、届かぬ想いを抱いた人のようだからだという。
 真帆はその意味を、身に染みて知っていた。
 彼がもういない現実を受け入れながら、それでも想いは消えない。
 忘れようとしても、風に乗って、香りのように蘇ってしまう。

 帰り際、真帆は小さな花を一輪、そっとカメラのストラップに挟んだ。
 「ねえ、蓮。来年も一緒に見ようね」
 そう呟く声が風に溶け、川の音に紛れた。

 その瞬間、遠くで雷鳴が鳴った。
 空はまだ青いのに、夏の終わりの気配が確かに漂っていた。
 真帆はカメラを構え、シャッターを切った。
 ファインダーの中で、紅紫の花が光を受けて揺れる。
 まるで彼が、今もそこに立っているように。

10月2日、11日の誕生花「コリウス」

「コリウス」

コリウスは、鮮やかな葉色が魅力のシソ科の植物です。赤や黄色、緑、紫など葉の色や模様が豊富で、花は初夏から秋にかけて小さな青紫色や白色の花を穂状に咲かせます。彩り豊かな葉を楽しむ植物として親しまれています。

基本情報

  • 名称:コリウス
  • 学名:Coleus
  • 科・属:シソ科・プレクトランサス属
  • 原産地:東南アジアなどの熱帯・亜熱帯地域
  • 分類:多年草(日本では主に一年草として扱われる)
  • 観賞時期:5月~10月頃
  • 花の色:白、淡紫色、紫色など
  • 葉の色:緑、赤、紫、黄色、ピンクなど、品種によってさまざま
  • 名前の由来:「コリウス」は、かつて分類に使われていた属名に由来する呼び名
  • 主な用途:花壇や鉢植え、寄せ植えなどの観葉植物として親しまれている

コリウスについて

特徴

  • 花よりも、鮮やかで美しい葉を楽しむ植物として知られている
  • 葉には赤、紫、緑、黄、ピンクなどさまざまな色や模様が入り、品種によって表情が大きく異なる
  • 葉の形や大きさも品種によって異なり、ギザギザしたものや丸みを帯びたものなどがある
  • 夏から秋にかけて、茎の先に小さな花を穂状に咲かせる
  • 花は可愛らしいものの、観賞の中心は色鮮やかな葉にある
  • 日当たりや温度などの環境によって、葉の色合いや模様が変化することがある
  • 生育が旺盛で、摘心すると枝分かれしてこんもりとした姿に仕立てやすい
  • シソ科らしい特徴として、茎の断面が四角形になっている
  • カラフルな葉が長く楽しめるため、夏の花壇や寄せ植えのアクセントとして人気がある


花言葉:「かなわぬ恋」

由来

  • コリウスは、美しい葉を持ちながら、花そのものは小さく目立たないという特徴があります。この姿が、華やかに咲きたいと思いながらも、その想いを表に出せない姿に重ねられたと考えられています
  • 鮮やかで魅力的な葉の陰に、ひっそりと小さな花を咲かせる姿が、人知れず抱える恋心を連想させる
  • どれほど美しく咲こうとしても、葉の存在感が強く、花が主役になりにくいことから、届かない想いや報われない恋のイメージにつながったとも考えられる
  • コリウスの葉が持つ華やかな美しさと、控えめな花との対比には、好きな人の前では自分の気持ちを伝えられない、秘めた恋の切なさが感じられる
  • 「かなわぬ恋」という言葉には、ただ失恋するという意味だけでなく、どれほど強く願っても届かない想いを胸に抱き続ける切なさが込められている
  • こうした**「鮮やかな葉の陰に咲く小さな花」「表に出せない想い」「届かない恋の切なさ」**が重なり、コリウスの花言葉「かなわぬ恋」につながったといえるでしょう。


「葉陰に咲く恋」

 夏の終わりが近づくと、庭のコリウスがいっそう鮮やかな色を見せる。

 赤紫、深い緑、淡い黄色、そして紅色。

 一枚一枚の葉に違う模様が浮かび、朝の光を浴びるたび、庭の片隅が小さな絵画のように華やいでいく。

 けれど、その葉の間から細い茎を伸ばして咲く花に気づく人は、ほとんどいない。

 白や淡い紫色の小さな花。

 華やかな葉に囲まれながら、ひっそりと咲いている。

 美しいのに、誰にも見つけてもらえない。

 私は、その花を見るたびに、あの人のことを思い出していた。

 * * *

「今年も綺麗に咲いたね」

 母の声に、私は庭先でしゃがんだまま顔を上げた。

「うん。去年より葉っぱが綺麗かも」

「あなたが毎日水をあげてるからじゃない?」

「水くらい、誰でもあげられるよ」

 そう言って笑ったけれど、本当は少し違っていた。

 私は毎朝、コリウスを見るのが好きだった。

 水をあげるためだけではない。

 葉の隙間を探すためだった。

 そこに、小さな花が咲いているかどうかを確かめるためだった。

 花を見つけると、私はいつも少しだけ嬉しくなった。

 誰にも気づかれないところで、ちゃんと咲いている。

 その姿が、どこか自分に似ているような気がした。

 私にも、誰にも言えない想いがあった。

 名前は、直樹。

 高校時代からの友人だった。

 卒業してからも時々会い、近況を話したり、昔の思い出を笑い合ったりした。

 何でも話せる人だった。

 仕事のこと。

 家族のこと。

 これからやりたいこと。

 失敗した話も、嬉しかった話も、直樹には不思議なくらい自然に話せた。

 だからこそ、私は言えなかった。

 好きだということを。

 ずっと好きだったということを。

 * * *

 ある秋の夕方、直樹から電話がかかってきた。

「久しぶり。今度、時間ある?」

「あるよ。どうしたの?」

「ちょっと話したいことがあって」

 その声を聞いた瞬間、胸が小さく跳ねた。

 もしかしたら。

 そんな期待が、心の奥から顔を出した。

 けれど、その期待はすぐに消えることになる。

 待ち合わせた喫茶店で、直樹は少し照れながら笑った。

「実はさ、結婚することになった」

 一瞬、周りの音が遠くなった。

 カップを置く音も。

 店内に流れる音楽も。

 窓の外を走る車の音も。

 何も聞こえなくなったような気がした。

「……そっか」

 やっと出てきた言葉は、それだけだった。

「うん。来年の春に」

「おめでとう」

「ありがとう」

 直樹は嬉しそうだった。

 その笑顔を見て、私は笑った。

「よかったね」

「うん」

 その一言を口にしただけなのに、胸の奥が痛かった。

 本当は言いたかった。

 私もあなたが好きだった。

 ずっと前から。

 あなたと一緒にいるときが、一番自然な自分でいられた。

 何度も伝えようと思った。

 何度も言葉を探した。

 けれど、結局、一度も口にできなかった。

 私はいつも、彼の隣で笑っているだけだった。

 友達という場所から、一歩も踏み出せなかった。

「今度、彼女も一緒に会おうよ」

 直樹がそう言った。

「うん。そうだね」

 私は笑った。

 それが精いっぱいだった。

 * * *

 家に帰ると、日が暮れかけていた。

 庭のコリウスは、夕暮れの光の中でも鮮やかだった。

 赤紫色の葉。

 緑の葉。

 黄色い縁取りの葉。

 まるで、何も悲しいことなどないと言うように、堂々とそこに立っている。

 私はその葉を眺めながら、しゃがみ込んだ。

 そして、葉の隙間に小さな花を見つけた。

「……咲いてたんだ」

 白い小さな花だった。

 あまりにも小さくて、昼間なら見落としていたかもしれない。

 私はそっと指を近づけた。

 触れることはしなかった。

 ただ、そこに咲いていることを確かめた。

 そのとき、不思議な気持ちになった。

 この花は、誰かに見てもらうために咲いているのだろうか。

 葉より目立つために咲いているのだろうか。

 きっと、違う。

 ただ、自分の季節を迎えたから咲いている。

 誰に気づかれなくても。

 誰に褒められなくても。

 誰かの隣に立てなくても。

 静かに、自分の場所で咲いている。

 私はその花を見つめたまま、涙をこぼした。

「私も……そうだったのかな」

 好きだと伝えられなかった。

 彼の隣に立つこともできなかった。

 想いは届かなかった。

 けれど、だからといって、この恋が最初から無意味だったわけではない。

 直樹を好きになったことで、私はたくさんの時間を大切に思えた。

 彼と話した日。

 一緒に帰った夕暮れ。

 くだらないことで笑った時間。

 進路に悩んだ夜に電話をしたこと。

 何気ない一言に励まされたこと。

 それらは、誰かに奪われるものではない。

 かなわなかったからといって、消えてしまうものでもない。

 私は初めて、そう思った。

 * * *

 それからしばらくして、私は庭のコリウスを少しだけ剪定した。

 伸びすぎた枝を切り、風が葉の間を通るようにした。

 すると、今まで隠れていた小さな花が、いくつも見えるようになった。

「こんなに咲いてたんだ……」

 私は驚いた。

 毎日見ていたはずなのに。

 鮮やかな葉ばかり見ていて、その陰に咲いていた花には気づかなかった。

 人の心も同じなのかもしれない。

 表面だけを見ていると、本当に大切なものを見落としてしまう。

 華やかな笑顔の裏側に、悲しみを抱えている人もいる。

 平気そうにしていても、誰にも言えない想いを抱えている人もいる。

 そして、自分自身でさえ気づかないまま、心の奥に小さな気持ちを隠していることもある。

 私はもう、直樹に想いを伝えようとは思わなかった。

 結婚すると聞いたあの日から、何度も考えた。

 もし、もっと早く伝えていたら。

 もし、あのとき勇気を出していたら。

 もし、別の言葉を選んでいたら。

 そんな「もし」を何度も繰り返した。

 けれど、どれだけ考えても、過去は変わらない。

 ならば、届かなかった想いを無理に誰かへ届けようとするのではなく、自分の中で大切にしまっておこう。

 そう思えるようになった。

 * * *

 冬が過ぎ、春になった。

 直樹から結婚式の写真が届いた。

 幸せそうな二人が写っていた。

 私はしばらく画面を見つめたあと、

「おめでとう。幸せになってね」

 と返信した。

 送信ボタンを押した瞬間、胸の奥に残っていた何かが、静かにほどけていくような気がした。

 泣かなかった。

 悲しくなかったわけではない。

 ただ、ようやく自分の恋を、自分自身で受け止められたのだと思った。

 それから数か月後。

 庭では、またコリウスが葉を広げ始めた。

 赤紫色の葉の陰から、細い茎が伸びている。

 やがて、その先に小さな花が咲くだろう。

 私はその花を見つけるのが楽しみだった。

 もう、誰かに見つけてもらう必要はない。

 自分が見つけてあげればいい。

 そう思った。

 かなわぬ恋だった。

 願っても届かなかった。

 隣にいる未来を選ぶこともできなかった。

 それでも、あの人を好きだった時間まで否定する必要はない。

 人を好きになることは、ときに苦しい。

 伝えられない想いを抱えることは、もっと苦しい。

 けれど、その想いがあったからこそ見えた景色もある。

 誰かを大切に思う気持ちを知った。

 誰かの幸せを願うことの難しさも知った。

 そして、自分の心にも、そっと寄り添えるようになった。

 庭を渡る風に、コリウスの葉が揺れた。

 鮮やかな葉の間から、小さな花が顔を出している。

 私は微笑んだ。

「今年も、ちゃんと咲いたね」

 誰に聞かせるでもなく、そう呟いた。

 その花は何も答えない。

 ただ、静かに咲いている。

 華やかな葉の陰で。

 誰にも知られない場所で。

 それでも確かに、自分の命を咲かせている。

 私はその姿を見つめながら、ようやく思えた。

 かなわなかった恋も、私の人生の一部なのだ。

 叶わなかったから、価値がないのではない。

 届かなかったから、消えてしまうのでもない。

 胸の奥で大切に育てた想いは、いつか形を変えて、自分自身を支えるものになる。

 だから私は、もう振り返らない。

 あの日々を忘れるのではなく、そっと胸の奥にしまって、前を向いて歩いていく。

 コリウスの小さな花のように。

 誰かに気づかれなくてもいい。

 誰かの一番になれなくてもいい。

 自分の心に正直に。

 自分の季節を、自分らしく咲いていけばいい。

 風が吹いた。

 色鮮やかな葉が一斉に揺れ、その隙間から小さな花が覗いた。

 まるで、長い間隠していた恋心が、最後にそっと微笑んでいるようだった。

カミングアウトデー

10月11日はカミングアウトデーです

カミングアウトデー

東京の納戸町に事務所を置き、大切な人へのカミングアウトを応援しているNPO法人バブリングが制定しました。

セクシュアル・マイノリティ

性的マイノリティー

カミングアウトデーは、性的指向や性自認をカミングアウトしたセクシュアル・マイノリティ(LGBTQ)の人々をお祝いする日です。1987年10月11日に、ワシントンD.C.で開催された「レズビアンとゲイの権利のためのワシントンマーチ」を記念して、アメリカの心理学者のロバート・アイヒベルクとLGBT活動家のジーン・オリーリにより、88年に制定されました。

LGBTQ ALLY100人からのメッセージ

LGBTQ ALLY100人からのメッセージ

自身が「性的指向 」、「性自認 」をカミングアウトした人々を祝って、LGBTQへの理解や認識の向上を目的とした日。 また、2017年よりスタートしたLGBTQ100人からのカミングアウト動画も2022年で6回目を迎えるようです。 これまで毎年100人以上の方が参加し、声をあげることの大切さと無関心にならずにその本質を知り、それらを学び続けることの重要性を強く感じましょう!

性的マイノリティ(LGBT等)に関する正しい理解を

神奈川県 福祉子どもみらい局 共生推進本部室

「クィア・アイ」などのキャラクターがグラフィック広告に登場!

Netflix

今、渋谷駅を中心にNetflixオリジナルドラマ「クィア・アイ」や「セックス・エデュケーション」など計7つのドラマに登場するLGBTQのキャラクターが登場する印象的なシーンを虹色のプレイバーを使用したグラフィック広告を行っています。

カミングアウトすることで分かりあえる

LGBTQ
LGBTQ

LGBTQに限らず、自分の障害などを隠さずに相手に伝えることにより、事前に配慮することができ、無意識に傷を付け合うことがなくなるでしょう。カミングアウトは勇気が必要ですが、事情などをしっかりと伝えれば、どんな人にもきっと理解してもらえるはずです。


「カミングアウトデー」に関するツイート集

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8月14日、9月22日、10月10日の誕生花「センニチコウ」

「センニチコウ」

センニチコウは、丸い花姿が愛らしい夏の花です。暑さや乾燥に強く、長く咲き続けることから「不朽」「永遠の愛」などの花言葉があります。鮮やかな色を保ちやすく、ドライフラワーにも向いています。

基本情報

  • 和名:センニチコウ(千日紅)
  • 英名:Globe Amaranth
  • 学名:Gomphrena
  • 科名:ヒユ科
  • 原産地:熱帯アメリカ(特にペルー、グアテマラ)
  • 開花期:6〜11月
  • 花色:赤、紫、ピンク、白など
  • 別名:センニチソウ、千日草
  • 花の構造:実際に色づいている部分は花びらではなく苞(ほう)で、その間に小さな花が咲く

センニチコウについて

特徴

  1. 非常に花もちが良い
    • 「千日紅」という名のとおり、咲いてから色あせにくく、長く鑑賞できる。
    • 切り花やドライフラワーにしても鮮やかな色を保つ。
  2. 耐暑性・耐乾性に優れる
    • 強い日差しや高温でも元気に咲き続けるため、夏の花壇や鉢植えに最適。
  3. 丸く愛らしい花姿
    • 球状に咲く花は小ぶりで可愛らしく、寄せ植えや花束にアクセントを添える。
  4. 虫や病気に強い
    • 初心者でも育てやすい丈夫な植物。

花言葉:「変わらぬ恋」

色あせない美しさ

  • 千日紅は花期が長く、咲き進んでも色がほとんど褪せない。
  • ドライフラワーにしても発色を保つことから、「時を経ても変わらない愛情」の象徴となった。

長く寄り添う姿

  • 夏から秋まで、途切れることなく咲き続ける姿が、長い年月を共に歩む恋人や夫婦の姿に重ねられた。

“千日”という名のイメージ

  • 「千日」という長い期間を意味する名前そのものが、「永遠」や「不変」を連想させる。

「千日の赤」

古びた木の引き出しの奥から、小さなガラス瓶が出てきた。中には、鮮やかな赤い花が数輪――けれど、それは生花ではなく、乾いて軽くなった千日紅だった。
 祖母が亡くなって三日目。遺品整理の手を止めて、私はその瓶をそっと持ち上げる。

 「まだ色が残ってる……」

 呟いた私の耳に、母が懐かしそうな声で言った。
 「それね、おばあちゃんが若い頃にもらった花なのよ。おじいちゃんから。」

 祖父は、私が生まれる前に亡くなっている。写真の中でしか知らない人だ。
 母は瓶を手に取り、ゆっくりと蓋を開けた。ふわりと乾いた香りが広がる。
 「二人が結婚する前、初めての誕生日に贈られたんだって。千日紅はね、色あせないでずっと残るから、“変わらぬ恋”って意味があるのよ。」

 私は花を一本取り出して光にかざした。
 驚くほど赤が鮮やかで、時間を閉じ込めたみたいだった。五十年以上経っているはずなのに、少しも褪せていない。

 母の話では、祖父は口数の少ない人で、花なんて似合わなかったらしい。それでも、若かった祖母に「長く一緒にいたい」という思いを伝えたくて、花屋でこの小さな赤い花を選んだという。
 祖母はその花をずっと部屋に飾り、色あせてきた頃にドライにして瓶に詰めた。瓶の口を閉じた日から、もう一度も開けなかったそうだ。

 私は瓶を見つめながら思った。
 ――祖母にとって、この赤は祖父そのものだったのだろう。
 夏から秋まで、途切れず咲き続ける千日紅のように、二人の時間は静かに積み重なっていったのだ。

 葬儀の朝、私は祖母の枕元に瓶を置いた。
 花は声を発しない。それでもきっと、祖父の言葉を代わりに届けてくれる。
 「ありがとう。変わらず愛しているよ。」
 そんな声が、心の中で確かに聞こえた気がした。

 火葬の煙が空へと溶けていく。私は瓶から一輪を取り出し、そっとポケットにしまった。
 色あせない赤は、きっとこれからも私にとっての“変わらぬ恋”の証になるだろう。

8月11日、9月21日、10月10日の誕生花「サンビタリア」

「サンビタリア」

サンビタリアは、キク科の一年草で、初夏から秋にかけて小さな黄色い花をたくさん咲かせます。花姿がミニサイズのヒマワリに似ていることから「ジャイアント・サンフラワー」とも呼ばれます。日当たりを好み、暑さに強く、鉢植えや花壇、寄せ植えにも人気です。

基本情報

  • 分類:キク科 サンビタリア属
  • 原産地:アメリカ南西部~メキシコ、グアテマラ
  • 学名:Sanvitalia
  • 英名:Creeping zinnia(クリーピングジニア)
  • 草丈:10〜20cm程度
  • 花期:初夏〜秋(5月~11月頃)
  • 花色:黄色(中心部が濃いオレンジ〜茶色)
  • 性質:一年草(暖地では多年草化することも)
  • 用途:花壇の縁取り、ハンギング、グランドカバー

サンビタリアについて

特徴

  1. 這うように広がる性質
    名前のとおり茎が地面を這うように伸び、カーペット状に黄色い花を咲かせます。
    コンパクトながら繁殖力が強く、鉢植えや寄せ植えでもよく使われます。
  2. 太陽を好む小花
    小さなヒマワリのような花をたくさんつけ、日当たりがよい場所で元気に開花します。
    花は直径2〜3cmほどと小ぶりですが、明るい黄色がとても目を引きます。
  3. 乾燥に比較的強い
    高温や乾燥にも耐えるため、夏場のガーデニングにも重宝されます。
    一方で過湿は苦手で、水はけのよい土を好みます。

花言葉:「私を見つめて」

サンビタリアの花言葉のひとつに 「私を見つめて(Look at me)」 があります。
この由来は、次のような特徴と関係しています。

  1. 太陽に向かって咲く性質
    サンビタリアは、日光の方向に花を向ける性質(向日性)を持っています。
    その姿が、まるで「あなたを見つめている」ように見えることから、この花言葉が生まれました。
  2. 小さいのに強く目を引く存在感
    一輪は小さくても、濃い黄色の花が群れ咲くことで、とても鮮やかに目立ちます。
    その様子が「小さくてもちゃんと私を見てほしい」というメッセージに重なります。
  3. 花の中心の“瞳”のような模様
    花の中央部が濃いオレンジ〜茶色で、遠くから見ると瞳のように見えるため、
    「見つめる」「視線」というイメージと結びつきました。

「私を見つめて」

八月の午後、駅前のフラワーショップの前を通りかかったときだった。
籠にこんもりと盛られた黄色い小花が、まるで小さな太陽の群れのようにこちらを見上げていた。
札には「サンビタリア」と名前が書かれている。
聞いたことのない花だったが、その鮮やかさと、こちらを射抜くような花芯の濃い色に足が止まった。

「その花、向日性があるんですよ」
店員が笑顔で声をかけてきた。
「太陽の方に花を向けるんです。まるで誰かをじっと見つめているみたいで、花言葉は『私を見つめて』なんです」

私は、その言葉に妙に心を掴まれた。
誰かに見つめられたい――そんな感情を、最近の私は置き去りにしていたからだ。
仕事は忙しく、家に帰ればただ眠るだけ。鏡を見ることも減り、休日も外に出ることはほとんどなくなっていた。
いつの間にか、私の視線は下を向くことが習慣になっていた。

衝動のように、そのサンビタリアを一鉢買った。
窓辺に置くと、花は夕暮れまでじっと外を向き、やがて夜の気配に少しずつ首を垂れた。
翌朝、カーテンを開けると、昨日よりもまっすぐ太陽に向かって立ち上がっている。
小さいのに、迷いがない。
そんな姿に、思わず「おはよう」と声をかけてしまった。

数日後、出勤前に水をやりながら、ふと気づいた。
花は太陽だけでなく、私の動きにも合わせるように揺れている。
「見てほしい」とでも言うように、風もないのに微かに揺れた。
花芯の深いオレンジ色が、瞳のように私を見つめ返してくる。
胸の奥に、小さな熱が灯った。

それから私は、朝になると必ず花に声をかけるようになった。
「今日は暑くなりそうだね」
「ちゃんとお水あげるから」
たったそれだけなのに、部屋の空気が柔らかく変わっていった。
仕事帰りにも、花が待っていると思うと自然と足取りが軽くなる。

やがて、花は少しずつ数を減らし、葉先も色を変えていった。
季節が終わろうとしている。
最後の一輪が咲いた朝、私は窓辺に椅子を置き、その花と向き合った。
もうすぐ別れが来るのはわかっていた。
けれど、その小さな瞳は最後まで真っすぐに私を見ていた。
――見られていたのは、私だけじゃない。
私もまた、ずっとこの花を見つめていたのだ。

翌朝、花は静かに首を垂れていた。
寂しさはあったが、不思議と涙は出なかった。
代わりに、鏡の中の自分が少しだけ笑っていることに気づいた。

サンビタリアが教えてくれたのは、誰かに見つめられる温かさと、見つめ返す勇気だった。
窓辺に残った鉢に手を添え、私は小さくつぶやいた。
「ありがとう。ちゃんと見つめ返せたよ」

10月10日の誕生花「ブバルディア」

「ブバルディア」

Beverly BuckleyによるPixabayからの画像

ブバルディアは、星形の小さな花が集まって咲く、可憐で華やかな植物です。白やピンク、赤など花色が豊富で、切り花やブーケに人気があります。花持ちがよく、上品な雰囲気から、結婚式や贈り物にもおすすめです。

基本情報

  • 分類:アカネ科ブバルディア属
  • 原産地:メキシコ、中央アメリカ(熱帯アメリカ)
  • 学名:Bouvardia ternifolia など
  • 英名:Bouvardia
  • 開花期:10月下旬~4月(切り花は周年流通)
  • 花色:赤、ピンク、白、オレンジなど
  • 花の形:筒状の花が星形に開く
  • 別名:ブバリア

ブバルディアについて

特徴

  • 星形の花が房状に集まって咲く、明るく華やかな印象の花。
  • 細い筒状の花が多数集まり、香りもあり上品な雰囲気を持つ。
  • 一年草として扱われることが多いが、温暖地では多年草として越冬可能。
  • 切り花やブーケで人気が高く、花持ちが良いのも特徴。
  • 名前は、17世紀フランス王ルイ13世の侍医 シャルル・ブバル(Charles Bouvard) にちなんで名付けられた。

花言葉:「幸福な愛」

由来

  • 星のような花形が、愛と希望の象徴とされる「星」に通じることから、幸せな未来を照らす愛を表す。
  • 小さな花が寄り添うように咲く姿が、支え合う恋人たちを連想させる。
  • 咲き姿が明るく温かい印象を与えるため、愛の喜びや幸福感を表す花言葉が生まれた。
  • 結婚式のブーケや贈り物にもよく用いられ、「幸せを呼ぶ花」として親しまれている。

「星の灯る花束」

披露宴の準備室で、花嫁の美香は鏡の前に立っていた。白いドレスの胸元に抱えたブーケは、淡いピンクのブバルディアが中心にあしらわれている。
 ――幸福な愛。
 花言葉を知ったのは、ブーケを作ってくれた花屋の紗耶に教わったときだった。

 「星みたいな形、でしょ?」
 紗耶はそう言いながら、一本ずつ丁寧に花を束ねていた。
 「この花、星のように光る“希望”の象徴なんですって。支え合う恋人たちみたいに寄り添って咲くから、“幸福な愛”って呼ばれるんですよ」
 そのときの紗耶の声が、まだ耳に残っている。

 美香は指先でそっとブーケの花弁に触れた。小さくて、儚くて、それでもしっかりと咲いている。
 ――私たちも、こんなふうに生きていけるだろうか。

 彼と出会ったのは、五年前の夜だった。仕事で失敗して落ち込んでいた美香が、帰り道で偶然立ち寄った小さなバー。彼はそこに一人でいて、ぎこちなく笑いながら「よかったら話します?」と言ってくれた。
 あの時、暗闇の中に差し込んだ一筋の光のようだった。
 いつの間にか、彼と過ごす時間が美香の心を明るくしていた。

 しかし、二人の道のりは平坦ではなかった。転勤、遠距離、そして一度の別れ。
 それでも、時間を経て再び出会ったとき、彼が差し出した小さな花束の中にブバルディアが混じっていた。
 「これ、君に似てると思って」
 その一言で、涙がこぼれた。

 控え室の扉がノックされ、スタッフが顔を出す。
 「そろそろお時間です」
 美香は深呼吸をして立ち上がった。ブーケを胸に抱き、扉の向こうの光の中へと歩み出す。

 バージンロードの先には、彼が立っていた。
 優しい笑顔。その背後のステンドグラスから射し込む光が、まるで星のように輝いている。
 ――この人となら、どんな夜も照らしていける。

 祭壇の前でブーケを見下ろす。ブバルディアの小さな花々が、寄り添いながらそっと揺れていた。
 その姿が、まるで「大丈夫」と囁いているように見えた。

 神父の声が響き、誓いの言葉が交わされる。
 その瞬間、美香の胸の奥で、静かに何かが灯った。
 それはきっと、長い旅の果てに見つけた「幸福な愛」という名の光。

 式が終わり、夕暮れの空には一番星が瞬いていた。
 彼が笑いながら言う。
 「見て、星も祝ってくれてる」
 美香は微笑み、ブーケをそっと見つめた。

 星のような花形。寄り添うように咲く姿。
 その全てが、これからの二人を象徴しているようだった。

 ――幸福な愛。
 それは、眩しく輝く星のように、静かに二人の未来を照らしていた。

まぐろの日

10月10日はまぐろの日

10月10日はまぐろの日

726年10月10日、山部赤人が聖武天皇のお供でマグロ漁が盛んな地域の明石へ行った時に詠んだ歌(万葉集)から由来しています。そして、たくさんまぐろを食してもらい、まぐろという魚を理解して欲しいという願いを込め、日本かつお・まぐろ漁業協同組合連合会が制定しました。

まぐろの栄養価

まぐろの刺身と、その栄養価

マグロには、良質な「タンパク質」や「脂質」、「ビタミン類」が豊富に含まれています。部位によっては含有量の多い栄養成分が違ってきますので、知っておくと栄養のバランスが取りやすくなります。そして、体内に及ぼす効果も知っておくと調理する際の献立も立ても作りやすく、より栄養バランスを考えながら美味しい食事ができます。

「アボカドや山芋」と一緒に食する

まぐろとアボカド

さらに「アボカドや山芋」など相性の良好な食材と一緒に食べることにより、マグロの栄養を最大限に活かすことが可能なため、積極的に取り入れる事をお勧めします。

今後は高値が更新されていく!?

まぐろの競り

年始恒例である、マグロの「初競り」。
2019年に最高値がついたのは、青森県大間産のクロマグロでした。一攫千金を狙うまぐろの漁師たちは、誰もが思っています。しかし近年、大間の漁師を直撃しているのが、国際的な漁獲規制です。太平洋のクロマグロは資源が激減し、今や絶滅危惧種とされているためだそうです。

養殖の技術が進化している

まぐろの養殖

ですがまだ希望はあります。現在では天然に負けない人工孵化・人口飼料の研究を進めているそうです。今後は、期待される持続性の模索を続ける養殖クロマグロ。我々日本人の知恵で、天然まぐろを守りながらも養殖などで栄養豊富な食材の確保していきたいと思いませんか!


「まぐろの日」に関するツイート集

2026年の投稿

2025年の投稿

8月16日、9月5日、10月6日、9日の誕生花「オミナエシ」

「オミナエシ」

オミナエシは、夏から秋にかけて黄色い小花を多数咲かせる多年草です。秋の七草の一つに数えられ、細やかな花が風に揺れる姿は可憐で風情があります。丈夫で日当たりのよい場所を好みます。

基本情報

  • 学名:Patrinia scabiosifolia
  • 科名:スイカズラ科(旧分類ではオミナエシ科)
  • 和名:オミナエシ(女郎花)
  • 原産地:日本、中国、朝鮮半島など東アジア
  • 開花期:6月~9月(温暖地では10月まで)
  • 草丈:50~150cmほど
  • 別名:ハゴロモソウ(羽衣草)、オミナエグサ

オミナエシについて

特徴

  • 花の姿
     多数の小さな黄色い花が茎の先にまとまり、ふわっとした雲のような花序をつくります。花ひとつひとつは直径3mmほどで非常に小さいですが、群れて咲くことで鮮やかな黄金色の花房となり、秋の野を彩ります。
  • 名前の由来
     「オミナエシ(女郎花)」は、女性(=オミナ)を圧倒するほど美しい花、という意味から。対比的に、男性的で力強い姿の「オトコエシ(男郎花)」も存在します(白い花)。
  • 草姿
     細長い茎をすっと伸ばし、風に揺れる軽やかな姿が特徴。日本的な「はかなさ」「繊細さ」を感じさせる野草として、古くから歌や絵に登場します。

花言葉:「美人」

オミナエシに「美人」という花言葉が与えられたのは、以下のような理由からと考えられます。

  1. 繊細で優美な姿
     小さな花がまとまって咲き、華奢で上品な雰囲気を放ちます。そのたおやかさが「美しい女性」の姿に重ねられました。
  2. 古典文学との結びつき
     『万葉集』や『源氏物語』など、古くから秋の風情とともに詠まれてきました。優雅な女性に例えられることが多く、文学的イメージが「美人」という花言葉を強めています。
  3. 名前そのものが女性を連想させる
     「女郎(おみな)」という言葉が入っており、もともと女性的な美しさを象徴する花とされてきました。

「女郎花の面影」

祖母の家の庭には、毎年、秋になると一角に黄金色の小さな花が群れて咲いた。背をすっと伸ばした茎に、無数の細やかな花が集まり、まるで小さな星座のように輝いて見えた。それがオミナエシだと知ったのは、私が十歳の頃だった。

 「これは女郎花っていうのよ。秋の七草のひとつ。花言葉は“美人”」
 祖母は縁側に腰掛けながら、そう教えてくれた。

 「美人?」と私は首をかしげた。
 「そう。小さな花が集まって、ふんわりと上品な姿になるでしょう。昔の人は、優しい女性の姿に重ねたのね」

 祖母の声はどこか楽しそうで、けれど少し寂しげでもあった。

 その後も秋ごとに、庭は黄金の光で彩られた。受験や進学で忙しくなっても、祖母が送ってくれる手紙には、必ず「今年も女郎花が咲きました」と添えられていた。

 だが、二年前に祖母は静かに世を去った。残された家はしばらく誰も住むことなく、季節が過ぎても私は足を運ぶことができなかった。

 そして今、久しぶりに訪れた庭の片隅で、オミナエシは変わらず咲き誇っていた。荒れた庭の中で、そこだけがまるで時間を止めたかのように、黄金色の小花を風に揺らしている。

 「……おばあちゃん」

 思わず声に出すと、胸が熱くなった。小さな花たちが寄り添い合う姿は、祖母の面影と重なった。祖母は派手な人ではなかった。背筋を伸ばし、静かに微笑み、家族を支えることを何より大切にしていた。その姿は決して人目を引く美貌ではないのに、振り返れば誰よりも「美しい人」だったと思う。

 私はしゃがみ込み、花にそっと触れた。指先に触れるのは儚く柔らかな茎。それでも根を張り、季節ごとに必ず咲き続ける強さを秘めている。

 「美人ってね、顔のことだけじゃないの」
 ふいに、祖母の言葉が蘇る。
 「人の心を優しくする人。それも立派な美人なのよ」

 その言葉に導かれるように、私は小さな花をひと枝手折った。瓶に挿せば、きっと祖母の笑顔が浮かぶだろう。

 縁側に座り、秋の風に揺れるオミナエシを眺める。無数の花は、それぞれが控えめで、ひとつひとつでは目立たない。それでも集まることで輝きを放ち、人の心に深く残る。

 ――祖母の生き方そのものだ。

 私は静かに目を閉じた。黄金色の花の群れが、胸の奥にやわらかな温もりを広げていく。これから先、どれほど時が過ぎても、この庭に咲くオミナエシを見るたびに、私は「美人」という言葉の本当の意味を思い出すだろう。

 そして、祖母の面影と共に。

10月9日、11月29日の誕生花「ホトトギス」

「ホトトギス」

ホトトギスは、秋に咲く多年草で、紫や白の花びらに特徴的な斑点模様があります。山野や林の半日陰を好み、独特な花姿から茶花や庭植えにも親しまれています。名前は、花の模様が鳥のホトトギスの胸の斑点に似ていることに由来します。

基本情報

  • 和名:ホトトギス(杜鵑草)
  • 英名:Toad lily(ヒキガエルリリー)
  • 学名:Tricyrtis hirta
  • 科名:ユリ科(またはホトトギス科に分類されることも)
  • 属名:ホトトギス属(Tricyrtis)
  • 原産地:日本(本州~四国・九州)
  • 開花期:8月~9月(秋の花)
  • 花色:白、薄紫、淡紅紫など(斑点模様が特徴)

ホトトギスについて

特徴

  1. 斑点模様が特徴的な花
    • 花びらに紫色の斑点が散る独特な模様を持ちます。
    • この斑点が、鳥の「ホトトギス(不如帰)」の胸の斑点に似ていることから名づけられました。
  2. 控えめで上品な佇まい
    • 花はあまり大きくなく、下向きや横向きに咲くため、派手さはありません。
    • 山野の木陰など、柔らかな光の中で静かに咲く姿が印象的です。
  3. 丈夫で日陰にも強い
    • 強い直射日光よりも半日陰を好みます。
    • 落葉樹の下や庭の隅など、ひっそりとした場所でよく育ちます。

花言葉:「秘めた思い」

由来

花言葉「秘めた思い」は、ホトトギスの咲き方と姿に深く関係しています。

🔹 1. ひっそりと咲く姿

ホトトギスは派手に咲き誇る花ではなく、森の木陰や人目の少ない場所で静かに咲きます。
その控えめで奥ゆかしい姿が、**「心に秘めた想い」「人に言えない恋心」**を象徴しています。

🔹 2. 複雑で繊細な模様

花びらに散る斑点模様は、まるで心の奥に隠された感情のよう。
表には出さずとも、内には深い想いが宿っている——そんな印象から「秘めた思い」という花言葉が生まれました。

🔹 3. 秋に咲く静かな花

多くの花が終わる秋の終わり頃に咲くことも、
「時を待ち、静かに想いを温める」イメージと重なります。
短い季節にひっそりと咲くその姿が、忍ぶ恋や内に秘めた感情を連想させるのです。


木陰に咲く想い — ホトトギスの花言葉「秘めた思い」より

夏の名残を引きずる風が、校庭の端を渡っていった。木立の影に隠れるように、紗耶はしゃがみ込んでいた。手のひらには、まだ蕾を残した小さな花。薄紫の花びらには、細やかな斑点が散っている。

 「ホトトギス……」
 そう呟くと、となりで風間が微笑んだ。
 「よく知ってるね。山の花なのに」
 「去年、おばあちゃんに教わったの。木陰でひっそり咲く花だって」

 風間はうなずき、そっとその花に指先を伸ばした。だが、すぐに引っ込める。まるで触れることをためらうように。

 放課後の園芸部。二人だけが残った温室には、夕方の光が淡く射し込んでいた。
 テニス部の声も、校舎のざわめきも遠い。聞こえるのは、ホトトギスの葉を揺らす微かな音だけ。

 「風間くん、進路決まったって聞いた」
 「うん。県外の大学。……まだ親にもちゃんと言ってないけど」
 彼の声はどこか迷いを含んでいた。

 紗耶は花を見つめたまま、胸の奥に押し込めていた言葉を思い出していた。
 伝えたい気持ち。けれど、伝えたら何かが変わってしまう気がして、ずっと飲み込んでいた。

 「ホトトギスってね」
 小さな声で紗耶は言った。
 「人の目にあまり触れない場所で咲くんだって。派手じゃないし、気づかれないことも多い。でも、それでもちゃんと季節を感じて、咲くの」
 「……秘めた思い、ってやつ?」
 「うん。花言葉」

 風間が静かに笑った。
 「なんか、紗耶みたいだな」
 「え?」
 「クラスでも目立たないけど、ちゃんと自分の世界を持ってるとこ」

 その言葉に、紗耶の指先が小さく震えた。
 言葉を返そうとしたが、喉の奥で止まった。胸の奥が熱く、そして少し痛い。

 「ねえ、紗耶」
 「……なに?」
 「もし、俺がいなくなっても、この花みたいに咲いててほしい」
 「どういう意味?」
 「今、言ったら……きっと、後悔するから」

 それだけ言って、彼は立ち上がった。
 温室の扉が開くと、風が花を揺らした。小さな花びらがわずかに光を反射する。

 紗耶はそっとその花を見つめた。
 薄紫の花びらに散る斑点が、まるで涙の跡のように見えた。

 ――表には出さずとも、内には深い想いが宿っている。

 おばあちゃんが言っていた言葉を思い出す。
 「人に見せなくても、咲くことに意味があるのよ」

 その晩、ノートの隅に小さくホトトギスの絵を描いた。
 「秘めた思い」と添えて。

 誰にも見せないままページを閉じたとき、心の奥に静かなあたたかさが広がった。
 それは、言葉にできなかった想いが、確かに咲いた瞬間だった。

世界郵便の日

10月9日は世界郵便の日です

10月9日は世界郵便の日

1969年、郵便の国際機関である万国郵便連合(UPU)が「UPUの日」として制定しています。また、その後の1984年に「世界郵便の日」と名称が変更されています。

万国郵便連合って何する機関?

国際郵便の小包

万国郵便連合は、世界192カ国の加盟国を持つ国際機関です。最高水準で容易に利用できる郵政サービスに全ての方へアクセスできるようにすることを任務としています。設立は 1874年であり、その後1948年に国連の専門機関となっています。

3つの内容が形成

万国郵便連合

万国郵便連合の設立により、三つの事が合意形成されています。

1.地球上のほぼすべての域から固定料金に近い形で郵便物が送れること。

2.国際郵便、国内郵便(内国郵便)がともに同様の扱いがなされること。

3.国際郵便料金は、それぞれの国で徴収し、使用すること。

 また、特に切手を貼った郵便物は、どの国の切手でも使えるように国際的に万国郵便連合憲章(UPU憲章)で決められています。さらには、国際返信切手券の発行事務なども行っています。

世界中どこにいても手紙が届く

エアメール

国際郵便は、海外に住む友人へ元気であることを伝えるために使われる手段の一つです。世界のどこにいても手紙が届くって、冷静に考えても凄いことですよね。現在ではメールがあり、すっかり忘れ去られていますが、やはり本人が心を込めて直筆で書いた手紙を「無事に届きますように…」と願いを込めてポストに投函する方が相手に気持ちが伝わると思います。


「世界郵便の日」に関するツイート集

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