11月7日の誕生花「ユーカリ」

「ユーカリ」

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ユーカリは、オーストラリアを中心に自生するフトモモ科の常緑樹です。爽やかな香りと銀白色を帯びた美しい葉が特徴で、成長が早く、種類によっては森林火災の後にも新芽を出す強い生命力を持ちます。庭木や切り枝、アロマなど幅広く利用されています。

基本情報

  • 植物名: ユーカリ
  • 学名: Eucalyptus
  • 科名: フトモモ科
  • 属名: ユーカリ属
  • 原産地: オーストラリア、タスマニア、ニューギニアなど
  • 開花時期: 主に春~夏(種類や地域によって異なる)
  • 花色: 白、クリーム色、黄色、赤、ピンクなど
  • 樹高: 数mの低木から60mを超える高木まで、種類によって幅広い
  • 分類: 常緑高木・常緑低木
  • 名前の由来: 学名の「Eucalyptus」は、ギリシャ語で「よく覆われた」という意味の言葉に由来し、つぼみを包む帽子状の萼(がく)にちなんでいる。

ユーカリについて

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特徴

  • 爽やかな香り: 葉には特有の清涼感のある香りがあり、精油の原料としても広く利用される。
  • 多様な葉の形: 丸みを帯びた葉や細長い葉など、種類によってさまざまな形がある。
  • 銀白色の葉: 青みがかった緑色や銀白色の葉を持つ品種が多く、落ち着いた美しさがある。
  • 成長が早い: 種類によっては成長が非常に早く、短期間で大きく育つ。
  • 乾燥に強い: オーストラリアの乾燥した地域に適応した種類が多く、比較的乾燥に強い。
  • 再生力の強さ: 森林火災などで幹や枝が損傷しても、根元や幹から新しい芽を出して再び成長する種類がある。
  • 幅広い用途: 庭木や観賞用のほか、切り枝、ドライフラワー、アロマオイルなどに利用される。


花言葉:「再生」

由来

  • 火災後の生命力: オーストラリアに自生するユーカリには、森林火災で幹や枝が焼けても、根や幹に残った芽から再び成長する種類がある。その強い生命力が「再生」という花言葉につながったと考えられる。
  • 新しい芽を出す力: 傷ついた木から新しい枝葉が伸びる姿が、困難を乗り越えて再び歩き始める様子を連想させる。
  • 絶えず成長する姿: 成長が早く、次々と新しい葉を広げる様子が、新たな始まりや生命の循環をイメージさせる。
  • 環境への適応力: 乾燥や厳しい自然環境に適応して生きる姿が、逆境に負けずに立ち直る強さを感じさせる。
  • 花言葉の解釈: ユーカリのたくましい生命力や、失われたものを乗り越えて再び成長する姿に、人の再出発や希望を重ねた言葉と考えられる。なお、花言葉の由来には諸説があり、明確に特定されているわけではない。


「新しい芽が伸びる場所」

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 古い家の庭には、大きなユーカリの木が一本立っていた。

 祖父が若い頃に植えたというその木は、長い年月をかけて空へと枝を伸ばし、いつしか庭のどこからでも見えるほど大きくなっていた。

 銀白色を帯びた葉は、風が吹くたびにさらさらと揺れ、爽やかな香りを運んでくる。

 幼い頃の美咲にとって、ユーカリは特別な木だった。

 夏には祖父と一緒に木の下で昼寝をし、秋には落ちた葉を拾って小さな瓶に詰めた。祖父はいつも、その葉を指先で軽くこすりながら言った。

「この木の香りは、気持ちを落ち着かせてくれるんだよ」

「おじいちゃんは、どうしてこの木を植えたの?」

 美咲が尋ねると、祖父は木を見上げて微笑んだ。

「どんなことがあっても、また新しく始められるように、かな」

 当時の美咲には、その言葉の意味がよく分からなかった。

 ただ、ユーカリの葉が風に揺れる音を聞くのが好きだった。

 それから何年も経ち、美咲は大人になった。

 大学を卒業して就職し、忙しい毎日を送るようになった。仕事にも慣れ、少しずつ自分の居場所を見つけていたが、ある日、勤めていた会社の事業縮小によって職を失ってしまった。

 突然の出来事だった。

 これまで積み重ねてきた努力が、すべて無駄になったように感じた。

 新しい仕事を探そうにも、自分に何ができるのか分からない。応募しても返事が来ない日が続き、少しずつ自信を失っていった。

 友人たちが仕事や家庭の話を楽しそうにするたびに、自分だけが取り残されているような気がした。

 そんなある日、祖父が亡くなった。

 久しぶりに訪れた実家の庭には、昔と変わらずユーカリの木が立っていた。

 しかし、以前よりも幹が太くなり、枝も高く伸びている。幼い頃には見上げるだけで精いっぱいだった木が、今では庭全体を包み込むように枝葉を広げていた。

 美咲は木のそばに立ち、そっと幹に手を触れた。

「おじいちゃん、私、これからどうしたらいいんだろう」

 答える人はもういない。

 風が吹き、ユーカリの葉が揺れた。

 その香りを感じたとき、美咲はふと、祖父が話してくれた言葉を思い出した。

 どんなことがあっても、また新しく始められるように。

 その夜、美咲は祖父の書斎を片づけていた。

 机の引き出しには、古い写真や手紙、庭の植物について書かれたノートが残されていた。

 その中に、一冊の小さな植物日記があった。

 ページを開くと、ユーカリの苗を植えた日のことが書かれていた。

『小さな苗を植えた。まだ頼りない姿だが、いつか大きな木になるだろう。人も植物も、最初から強いわけではない。時間をかけて根を張り、少しずつ成長していくものだ』

 さらにページをめくると、ユーカリについての記述があった。

『オーストラリアのユーカリには、森林火災で幹や枝が焼けても、根や幹に残った芽から再び成長する種類がある。焼けた木の姿だけを見れば、すべてが終わったように思えるかもしれない。しかし、その内側には次の命が残っている』

 美咲は、その文章を何度も読み返した。

 火災によって枝葉を失い、黒く焼けた木。

 それでも、根や幹に残された小さな芽から、再び枝を伸ばしていく。

 何もなかったかのように元通りになるわけではない。傷ついた跡は残る。それでも、新しい葉を広げ、もう一度空に向かって成長していくのだ。

 美咲は窓の外を見た。

 庭のユーカリは、夕暮れの光を受けて静かに立っていた。

 今まで、自分は失ったものばかりを見ていたのかもしれない。

仕事を失ったこと。
 自信を失ったこと。
 そして、大切な祖父を失ったこと。

 それらは簡単に元に戻せるものではない。

 けれど、失ったものがあるからといって、自分の人生まで終わってしまったわけではない。

 まだ自分の中には、何かを始める力が残っているのではないだろうか。

 翌朝、美咲は庭に出た。

 ユーカリの根元には、祖父が植えたほかの植物が並んでいた。長い間手入れをしていなかったため、雑草が生い茂り、花壇の土も固くなっている。

 美咲は物置から軍手と小さなスコップを取り出した。

 まずは雑草を抜き、枯れた枝を片づけることにした。

 作業を始めると、思っていた以上に時間がかかった。腰は痛くなり、手には土がついた。それでも、少しずつ庭が整っていくのを見ると、不思議と心が軽くなった。

 花壇の隅には、祖父が育てていた小さな苗が残っていた。

 葉は少なく、元気がないように見えたが、茎の根元には新しい芽がついている。

「まだ、生きているんだね」

 美咲は小さくつぶやいた。

 その芽を傷つけないように周囲の土を整え、水を与えた。

 それは、ほんの小さな作業だった。

 けれど、美咲には何かを取り戻すための大切な一歩のように思えた。

 数日後、美咲は自分の好きだったことを思い出した。

 子どもの頃から植物が好きで、祖父と一緒に庭の手入れをする時間が何よりも楽しかった。大学では園芸について学びたいと思ったこともあったが、安定した仕事を選ぶうちに、その気持ちを心の奥にしまい込んでいた。

 祖父のノートを読み返すうちに、その頃の思いが少しずつよみがえってきた。

 美咲は地域の園芸店を訪ね、植物の世話を手伝わせてもらえないかと相談した。

 最初は短時間の手伝いだった。

 水やりや植え替え、花壇の手入れなど、覚えることはたくさんあった。長い間、植物から離れていたため、失敗することもあった。

 それでも、植物が新しい葉を広げたり、つぼみをつけたりする姿を見るたびに、心が弾んだ。

 店の人から植物の名前や育て方を教わり、少しずつ知識も増えていった。

 ある日、店先にユーカリの切り枝が並んでいた。

 美咲は一本を手に取り、葉をそっと指でこすった。

 懐かしい香りが広がる。

 祖父と過ごした庭の風景が、目の前によみがえった。

「ユーカリ、好きなんですか?」

 店主に尋ねられ、美咲はうなずいた。

「祖父が庭に植えていたんです。小さい頃から、ずっとそばにありました」

「いい木ですよね。種類によっては、火事で焼けても根元や幹から芽を出して、また成長するんですよ」

「知っています。祖父のノートに書いてありました」

 美咲はユーカリの枝を見つめた。

「だから、花言葉が『再生』なんでしょうか」

「そういう生命力から、人がもう一度立ち上がる姿を重ねたのかもしれませんね」

 店主の言葉に、美咲は静かにうなずいた。

 それから数か月が経った。

 美咲は園芸店で働きながら、植物に関する勉強を続けていた。以前の仕事に戻ることだけが正解だと思っていた頃とは違い、今は自分の興味や気持ちを大切にできるようになっていた。

 もちろん、生活の不安がすべて消えたわけではない。

 新しい仕事に戸惑うこともあれば、自分の選択が正しかったのか分からなくなる日もある。

 それでも、美咲は少しずつ前へ進んでいた。

 春のある日、実家の庭を訪れると、ユーカリの枝先に新しい葉が伸びていた。

 冬の間に傷んだ枝のそばから、小さな若葉がいくつも顔を出している。

 美咲はその姿を見上げた。

 木は、何も語らない。

 けれど、長い年月を生き抜いてきた幹には、風雨に耐えた跡も、折れた枝の痕も残っている。そのすべてを抱えながら、今も新しい葉を育てている。

 祖父がこの木を植えたとき、どんな未来を思い描いていたのだろう。

 もしかすると、自分がいつかこの庭に戻ってくることまで考えていたのかもしれない。

 美咲は持ってきた小さな鉢を、ユーカリの根元に置いた。

 そこには、園芸店で育てた花の苗が植えられていた。

「おじいちゃん、私ももう一度、始めてみるよ」

 そう言って、苗に水を注いだ。

 風が吹き、ユーカリの葉が揺れる。

 爽やかな香りが庭いっぱいに広がった。

 失ったものは、完全には戻らない。

 過ぎ去った時間も、もう会えない人も、以前と同じ自分も、二度とそのままには戻らないだろう。

 けれど、新しい道を歩き始めることはできる。

 傷ついた場所から芽を出す植物のように、失敗や悲しみを抱えたままでも、人は再び成長していけるのだ。

 美咲は、空へ伸びるユーカリの枝を見つめながら微笑んだ。

 その木は、何度も季節を越え、何度も新しい葉を広げてきた。

 そして、これからもきっと、変わらず成長を続けていく。

 ユーカリの花言葉は「再生」。

 それは、失ったものをなかったことにする言葉ではない。

 傷ついた過去を抱えながら、新しい自分として歩き出すための言葉なのだ。

 美咲はもう一度、庭の土に触れた。

 その手のひらには、柔らかな土の感触と、確かな温もりが残っていた。

 新しい芽は、いつだって静かに伸び始める。

 誰にも気づかれないほど小さくても、その中には未来へ向かう力が宿っている。

 美咲もまた、その小さな芽を胸の中に見つけていた。

11月2日、7日の誕生花「ユリオプスデージー」

「ユリオプスデージー」

ユリオプスデージーは、鮮やかな黄色い花と銀緑色の葉が特徴のキク科の植物です。秋から春にかけて長く花を咲かせ、明るい彩りを添えます。丈夫で育てやすく、花壇や鉢植えにも人気があります。常緑性で、庭を彩る花として親しまれています。

基本情報

和名:ユリオプスデージー(英名:Euryops daisy)
学名:Euryops pectinatus
科名/属名:キク科/ユリオプス属
原産地:南アフリカ
開花時期:10月〜5月頃(秋〜春にかけて長く咲く)
花色:鮮やかな黄色
分類:常緑低木(多年草のように扱われることも多い)

ユリオプスデージーについて

特徴

  • 一年中明るい印象の花
    • ユリオプスデージーは、寒い季節でも明るい黄色の花を咲かせます。
      冬から早春にかけて庭を彩る貴重な存在です。
  • 銀葉とのコントラスト
    • 銀白色の細い葉が美しく、花の黄色とのコントラストがとても印象的です。
      日光を反射するその姿は、陽だまりのような温かみを感じさせます。
  • 耐寒・耐暑性に優れる
    • 比較的丈夫で育てやすく、日当たりを好む植物です。
      南アフリカ原産らしく、乾燥にも強く、明るい場所を好みます。
  • 長い開花期
    • 条件が合えば秋から春までほぼ半年以上咲き続けるため、
      「いつも笑顔で寄り添う」ような印象を与えます。

花言葉:「円満な関係」

花言葉:「円満な関係」

🔹 花言葉一覧

  • 「円満な関係」
  • 「夫婦円満」
  • 「明るい愛」
  • 「日々新た」

🌸 「円満な関係」の由来

この花言葉には、ユリオプスデージーの咲き方や姿に由来があります。

  1. たくさんの花が寄り添って咲く姿
    → 小さな黄色い花が株いっぱいに咲き広がる姿は、
    まるで家族や仲間が調和して支え合っているよう。
    そこから「円満」「調和」「温かい関係」が連想されました。
  2. 長く続く花期=長く続く良い関係
    → 寒い冬にも明るく咲き続ける生命力が、
    「長く穏やかに続く関係」を象徴すると考えられています。
  3. 太陽のような花色
    → 鮮やかな黄色は、希望・幸福・友情・愛情を象徴する色。
    明るく照らし合うような関係をイメージさせ、「円満な関係」という意味がつけられました。

陽だまりの花(ユリオプスデージー)

冬の朝、まだ霜の残る庭で、智子はゆっくりと膝をついた。
 指先が冷たくなるのも構わず、ユリオプスデージーの枯れかけた枝をそっと剪(き)る。
 黄色い花びらが一枚、風に乗ってひらりと舞った。

 「ねえ、あなた。この子、また咲いてくれたわよ」
 声に応える人はもういない。
 それでも智子は、花の前に並ぶように置かれた小さな石の前に微笑みかけた。

 夫の和夫がこの花を植えたのは、十年前の冬だった。
 「寒い時期こそ、明るい花がいるといいね」
 そう言って苗を植える彼の手は、いつも土の匂いがして温かかった。
 やがてその株は年々大きくなり、春の終わりまで絶えず黄色い花を咲かせ続けた。
 庭の隅で寄り添うように咲くその姿が、二人の日々を象徴しているように思えた。

 夫婦には派手な出来事などなかった。
 仕事と家事、季節の行事、近所の人との挨拶。
 けれど、どんなに忙しい日でも、夕食後の時間だけは欠かさなかった。
 温かいお茶を淹れて、二人で花を眺めながら話す時間。
 「今年も咲いたね」「去年より明るい黄色だね」
 そんな小さな会話が、いつの間にか智子の一番の宝物になっていた。

 和夫が病に倒れたときも、ユリオプスデージーは変わらず咲いていた。
 病室の窓辺に一輪だけ飾った花を見て、彼は微笑んだ。
 「この子は強いね。……君に似てるよ」
 その言葉が最後になった。

 それから二年。
 智子は毎朝、花に声をかけるのを日課にしている。
 冬の冷たい空気の中でも、黄色い花たちは太陽のように明るく笑っている。
 ふと、風にそよぐ花々が寄り添うように揺れる。
 まるで「一人じゃないよ」と語りかけてくれるようだった。

 智子は手を合わせ、そっと目を閉じた。
 思い出の中の声が聞こえる気がした。
 ――「この花はね、円(まる)く咲くんだよ。だからきっと、どんな季節もつながってるんだ」
 その言葉を胸に、智子は微笑む。

 寒さの中で咲く花は、決して派手ではない。
 けれど、寄り添いながら咲き続けるその姿には、
 長く続く関係のような穏やかさがある。

 智子は立ち上がり、指先についた土を払った。
 そして小さくつぶやく。
 「ねえ、あなた。今年もきっと、いい春になるわね」

 朝の陽射しが少しずつ強くなっていく。
 ユリオプスデージーの黄色が、冬の庭をやさしく照らしていた。

1月14日、17日、11月7日、12月14日の誕生花「シンビジウム」

「シンビジウム」

シンビジウムは、冬から春にかけて美しい花を咲かせるラン科の植物です。気品あふれる優雅な姿と豊富な花色が魅力で、花持ちがよく、贈り物としても人気があります。「飾らない心」「素直な心」などの花言葉を持っています。

基本情報

  • 科名/属名:ラン科/シンビジウム属
  • 学名:Cymbidium
  • 原産地:アジア、オセアニア(現在の交配種のもとになった原種は主にインド、ネパール、ミャンマー、中国、タイ)
  • 分類:常緑多年草(洋ラン)
  • 開花時期:冬〜春12月~4月(3月~4月がピーク)
  • 花色:白、黄、緑、ピンク、赤、褐色など多彩
  • 用途:鉢花、切り花、贈答用として人気

シンビジウムについて

特徴

  • ランの中でも寒さに強く、比較的育てやすい種類。
  • 背筋を伸ばすように花茎が立ち上がり、整った姿で花を連ねる。
  • 花は派手すぎず、落ち着いた色合いと上品な質感をもつ。
  • 香りは控えめで、近づくとほのかに感じられる程度。
  • 花持ちが非常によく、1か月以上楽しめることも多い。
  • 冬の室内を静かに彩る存在として親しまれている。

花言葉:「飾らない心」

由来

  • シンビジウムは、ランの中では奇抜さや誇張のない花姿をしている。
    → 華美に主張せず、自然体で咲く姿が「飾らない心」を連想させた。
  • 花が整然と並び、誠実さ・端正さを感じさせる佇まいを持つ。
  • 香りや色合いも控えめで、近くで見てこそ美しさが伝わる点が、
    内面の美しさを大切にする価値観と結びついた。
  • 冬の寒い時期に黙々と咲き続ける姿から、
    見返りを求めず、静かに思いを伝える心の象徴とされた。

「静かな花のそばで」

冬の朝は、音が少ない。
 窓の外で風が動いているはずなのに、世界は息を潜めているようだった。

 真白はストーブのスイッチを入れ、ダイニングの片隅に置かれた鉢植えに目を向けた。
 シンビジウム。祖父が亡くなったあと、祖母から譲り受けた花だ。

 「派手じゃないけどね、長く一緒にいてくれる花なの」

 そう言って祖母は微笑んだ。
 確かにこの花は、最初に目を引くような鮮烈さはない。色も香りも控えめで、静かに整って咲いている。
 けれど、毎朝目にするたび、真白の心は不思議と落ち着いた。

 祖父は寡黙な人だった。
 言葉数は少なく、感情を大きく表に出すこともなかった。
 それでも、雨の日には黙って傘を差し出し、寒い夜には何も言わずにストーブの灯油を足してくれる人だった。

 真白は子どもの頃、その優しさに気づかなかった。
 もっと分かりやすく褒めてほしかったし、もっと言葉で愛情を示してほしかった。
 けれど、大人になってから、祖父の背中を思い返すたび、胸の奥に静かな温かさが広がる。

 シンビジウムの花茎は、背筋を伸ばすようにまっすぐ立ち、花が整然と並んでいる。
 どれも同じ方向を向き、互いに競うこともなく、ただそこにある。

 「……似てるね」

 真白は小さく呟いた。
 祖父の生き方と、この花はよく似ている。
 誇らず、飾らず、誰かに見せるためではなく、ただ自分の役目を果たすように咲く。

 指先で葉の縁に触れると、ひんやりとした感触が伝わる。
 香りはほとんどない。
 でも、近づいてじっと眺めていると、花びらの質感や色の重なりが、少しずつ心に染み込んでくる。

 ――近くで見てこそ、わかる美しさ。

 それは、人も同じなのかもしれない。

 真白は最近、自分が無理に飾ろうとしていることに気づいていた。
 職場では明るく振る舞い、期待に応えようとして疲れていた。
 本当は静かに考え、丁寧に向き合うほうが性に合っているのに、それを弱さだと思い込んでいた。

 けれど、冬の寒さの中でも黙々と咲き続けるこの花を見ていると、そんな考えが少しずつほどけていく。

 見返りを求めなくてもいい。
 大きな声で主張しなくてもいい。
 静かに、誠実に、自分の場所で咲いていればいい。

 祖父も、きっとそうやって生きてきたのだろう。

 真白は花に向かって、そっと頭を下げた。

 「教えてくれて、ありがとう」

 誰にともなく向けた言葉だったが、心は不思議と軽くなった。

 窓の外では、冬の光がゆっくりと昇っている。
 シンビジウムの花びらが、その光をやさしく受け止め、静かに輝いた。

 飾らない心。
 それは、何も足さず、何も隠さず、ただそこに在るという強さなのだと、真白は初めて理解した。

 今日もこの花は、変わらず咲いている。
 誰かに誇るためではなく、ただ、ここで。

釧路ししゃもの日

11月7日は釧路ししゃもの日です

11月7日は釧路ししゃもの日

北海道の「釧路ししゃも」を全国にアピールする釧路地域ブランド推進委員会が制定しています。釧路のししゃも漁が10月下旬から11月下旬までの間で行う「ししゃもフェア」の初日がこの日になり、「いい→11 」と「な→7」で「いいな釧路ししゃもの日」の語呂合わせから決まりました。

釧路ししゃもフェア

釧路ししゃもフェア

ししゃもは、日本固有の魚で特に釧路港で水揚げされている「釧路ししゃも」はブランド品として好評です。そして、釧路の飲食店がそのブラントのししゃも料理を提供するのがこの祭典というわけです。

小学生の「ししゃも早串刺し大会」

シシャモの串刺し

本場ならではの旬の味を味わえる「ししゃもの握り寿司」、「天ぷら」などが食べることができます。そして期間中は、和商市場で小学生が参加する「ししゃも早串刺し大会」とししゃもの即売会が行われます。

ししゃもの卵

子持ちのししゃも

ししゃもの卵は、皮膚や骨などを構成するたんぱく質の「コラーゲン」が豊富です。このコラーゲンは、一旦体内でアミノ酸に分解され後、成熟コラーゲンとして再び合成されます。この過程で必要な「ビタミンC」が豊富な野菜や果物と一緒に食べるのがベストです。

食感が独特な子持ちししゃも

ししゃも料理

私が好んでよく食べる焼いた子持ちのししゃもは、やはり卵独特な食感です。元々、数の子や辛子明太子が好きなので、あのプチプチとした歯ごたえがたまりません。でも今回、釧路ししゃもを調べてみると、色々な調理方法があるということです。これを機に、ネットで取り寄せて食べてみたいと思います。


「釧路ししゃもの日」に関するツイート集

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7月24日、11月6日の誕生花「ユリ」

「ユリ」

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ユリはユリ科ユリ属の多年草で、世界中に約100種以上が分布する気品あふれる花です。大きく優雅な花と甘い香りが魅力で、白やピンク、黄色、オレンジなど豊富な花色があります。観賞用として庭園や切り花で親しまれ、品種も数多く育成されています。花言葉は「純粋」「威厳」「無垢」などで、その清らかで凛とした美しさは、多くの人々を魅了し続けています。

基本情報

  • 学名:Lilium
  • 科名:ユリ科(Liliaceae)
  • 原産地:北半球の温帯地域(日本、中国、ヨーロッパ、北米など)
  • 開花時期:5月下旬~6月上旬(スカシユリ系)、6月中・下旬(テッポウユリ)、7月中・下旬(オリエンタル系)
  • 花の色:白、ピンク、オレンジ、黄色、赤、複色など多彩
  • 草丈:50cm~2m程度(品種による)
  • 香り:強い芳香を放つ品種が多く、切り花や香料としても重宝される

ユリについて

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特徴

  1. 凛とした立ち姿
    まっすぐに伸びた茎の先に大輪の花を咲かせる姿は、気品と高貴さを象徴します。
  2. 球根植物
    鱗片状の球根から生長し、植え替えや増殖が比較的容易です。
  3. 種類の豊富さ
    テッポウユリ、カサブランカ、スカシユリ、オニユリなど多様な品種が存在し、花色や形もバリエーションが豊かです。
  4. 強い香り
    特にオリエンタル系のユリ(例:カサブランカ)は濃厚で華やかな香りを持ち、花束やフラワーアレンジメントで人気があります。

花言葉:「純粋」

RalphによるPixabayからの画像

ユリの花言葉の代表的なひとつが 「純粋」 です。
この由来には以下のような要素が関係しています。

  • 白いユリのイメージ
    特に白ユリは、汚れのない真っ白な花弁を持ち、その清らかさから純潔・純真を象徴すると考えられてきました。
    西洋では「聖母マリアの象徴」とされ、神聖で無垢な心を表現する花とされます。
  • 古代からの宗教的象徴
    ギリシャ神話やキリスト教美術に登場するユリは、神聖さ・清らかさの象徴として描かれ、「純粋な愛」「高潔な心」といった意味を持つようになりました。
  • 気品ある立ち姿
    雨や風に負けず、凛として咲くユリの姿は、人の心の中にある“純粋な強さ”を思わせます。

「白きユリの約束」

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六月の終わり、梅雨の合間にのぞく陽射しが、庭の一角をやわらかく照らしていた。
その場所には、祖母が丹精込めて育てた白いユリが、今年もまっすぐ天を向いて咲いていた。

「純粋、って言葉はね、ユリにぴったりなのよ」

小学生の頃、祖母はそう言いながら私の髪を撫でた。
その時の祖母の声は、今でも耳の奥に残っている。

大学進学を機に都会へ出てから、私はほとんど実家に帰らなくなった。
仕事、恋愛、日々の雑務に追われるうち、何か大切なものを少しずつ手放しているような気がしていた。
そんな時に届いた祖母の訃報は、胸の奥にぽっかりと穴を開けた。

葬儀の日、庭に咲くユリが風に揺れていた。
真っ白な花弁は雨粒をはじき、どこか凛とした表情を見せていた。
その姿を見た瞬間、祖母がよく話していたユリの花言葉――「純粋」という言葉が胸に蘇った。

「汚れのない心を忘れないで生きなさい」

祖母はそう言いたかったのかもしれない。
私は手を伸ばし、そっと花びらに触れた。
冷たく、しかし優しく包み込むような感触があった。

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葬儀を終えて都会へ戻ると、日々はまた容赦なく過ぎていった。
上司に叱られ、同僚と競い、気がつけば自分が誰かの心を踏みにじるような言葉を吐いている。
夜遅く、部屋の片隅で一人きりになった時、ふと祖母の庭のユリを思い出す。
あの花は、どんな雨にも風にも負けず、真っ直ぐに咲いていた。
それは、私が忘れてしまった「純粋な心」の象徴だった。

翌年の春、私は祖母の家に戻った。
まだ残っていた球根を庭の土に植え、水を与え、季節の移り変わりを見守った。
そして夏が来ると、真っ白なユリがまた咲いた。
花弁に陽光が透け、まるで内側から輝いているように見えた。

「おばあちゃん、私ね、少しだけ変われた気がする」

そう呟いたとき、そよ風が花を揺らした。
まるで祖母が微笑んでいるように思えた。
その瞬間、胸の奥にあった重たいものが少しずつ溶けていくのを感じた。

ユリの花言葉は「純粋」。
それは、決して完璧な人間になるという意味ではない。
どれだけ傷つき、汚れても、もう一度真っ直ぐ立ち上がる強さを持つこと。
白いユリの凛とした姿は、それを私に教えてくれていた。

私は今、祖母の庭で新しいユリを育てている。
都会での生活に戻る日が来ても、きっとこの花の記憶が私を支えてくれるだろう。
純粋であり続けることは難しい。
でも、たとえ泥にまみれても、また光を求めて咲くユリのように、
私はもう一度、自分を信じて生きていきたいと思う。

9月28日、11月6日の誕生花「フジバカマ」

「フジバカマ」

フジバカマは、秋に淡い紫色や白色の小花を咲かせる多年草です。古くから日本人に親しまれ、秋の七草の一つとして知られています。香りのよい葉や花は、乾燥させると上品な香りを放ちます。短い秋を彩る風情ある花です。

基本情報

  • 学名:Eupatorium japonicum(Eupatorium fortunei)
  • 科属:キク科ヒヨドリバナ属
  • 原産地:東アジア(中国~朝鮮半島、関東地方以西の本州、四国、九州)
  • 分類:多年草
  • 開花時期:8月~9月(残り花は10月ごろまである)
  • 花色:淡い紅紫色、白色
  • 草丈:約80cm~150cm
  • 生育環境:日当たりのよい湿った場所を好む

フジバカマについて

特徴

  • 秋の七草のひとつとして古くから親しまれている。
  • 細い花びらがふわりと房のように咲く、やわらかな印象の花。
  • 古代には香料や入浴剤として使われ、「蘭草(ふじばかま)」の名でも万葉集に登場。
  • 蝶(特にアサギマダラ)が好む蜜源植物としても有名。
  • 葉や茎にほのかな芳香があり、乾燥させても香りが残る。

花言葉:「ためらい」

由来

  • フジバカマの花は、群れて咲くのにひとつひとつが小さく、控えめな印象を与える。
  • 花が完全に開くまでに時間がかかり、つぼみから満開までがゆっくりなことから、決断をためらう姿にたとえられた。
  • また、古くから恋心を秘めて香を残す花として詩や歌に詠まれ、
    「想いを伝えきれずためらう心情」と重ねられたとも言われる。

「ためらいの香(か)」

駅前の花屋の前で、千紗(ちさ)は立ち止まった。
 ガラス越しに並ぶ秋の花たちの中に、淡い紫色の小さな花が揺れている。
 ――フジバカマ。
 札にはそう書かれていた。

 彼がこの花を好きだと言っていたのを思い出す。
 「派手じゃないのに、ずっと香るんだ。なんか、いいよな」
 そのときの彼の横顔が、夕暮れの光といっしょに蘇る。

 あの日、彼は転勤の話をしていた。
 「迷ってる。行くべきだとは思うけど、ここを離れたくない」
 その言葉に、千紗は何も言えなかった。
 ただ頷いて、フジバカマの香りが混じる風の中で笑ってみせた。
 ――その笑顔が、きっと“ためらい”の形だったのだろう。

 彼がいなくなってから一年が経つ。
 連絡はときどき来るが、互いに「元気?」で始まり「仕事がんばって」で終わる。
 それ以上の言葉を紡ぐことが、なぜかできなかった。
 ためらいが、心のどこかに根を下ろしてしまったのだ。

 千紗は花屋の扉を押し、フジバカマを一束買った。
 包み紙の向こうから、かすかな甘い香りが漂ってくる。
 家に帰って花瓶に挿すと、部屋の空気が少しだけ柔らかくなった気がした。

 夜、机の上のノートを開く。
 そこには、去年書きかけてやめた手紙が挟まっている。
 ――「あなたがいない秋が、こんなにも静かだとは思わなかった。」
 その一文のあと、ペンは止まっていた。

 窓を開けると、風がカーテンを揺らす。
 フジバカマの花が小さく震え、微かな香りが漂う。
 “伝えきれずためらう心情”――花言葉の由来を、ふと思い出した。
 まるで自分の心そのものだと思った。

 ペンを取り、インクの匂いを確かめるように深呼吸する。
 書き始める。
 「元気ですか。こちらも、なんとかやっています。」
 当たり障りのない言葉が続く。
 でも、そこで一度、手を止めた。

 ――ためらいの先にある言葉を、書かなければ。
 花はゆっくりと咲いていく。
 それと同じように、自分の想いも時間をかけて、やっと形になるのかもしれない。

 「あなたのいない日々にも、秋はちゃんと来ています。
  でも、フジバカマの香りだけは、去年のままです。」

 書き終えた文字を見つめると、胸の奥がじんわりと温かくなった。
 送るかどうかは、まだ決められない。
 けれど、ためらいの中にも、確かに“想い”がある。

 花瓶のフジバカマが、月明かりを受けて静かに揺れた。
 その香りが、ゆるやかに部屋を満たしていく。
 まるで「もういいよ」と言うように――。

戦争と武力紛争による環境搾取防止のための国際デー

11月6日は、戦争と武力紛争による環境搾取防止のための国際デーです

11月6日は、戦争と武力紛争による環境搾取防止のための国際デー

11月6日は、戦争や紛争による環境破壊、そして終戦後も続く環境搾取の実態を知らない人を教え導き、その防止につとめることを目的としている国際デーの一つです。

戦争や紛争

戦争や紛争

第二次世界大戦後も現在まで、世界で様々な戦争や紛争が起こっています。そしてその大半は、開発途上国で起こっているのが現状です。また、紛争後の地雷(=戦時中に敵の侵入を防ぐためなどに爆発物が地面に埋められていて、近づいたり触ったりすると爆発する仕組みになっている武器)も深刻な問題の一つとされています。戦争中に埋められた多くのその地雷が、戦争が終わってもそのままになっているため、その土地で生活する人びとが被害を受けています。

環境破壊

環境破壊
Ria SopalaによるPixabayからの画像

戦争や紛争によって、犠牲になるのは人だけでは無く、環境も戦争の犠牲となっているのが現状です。軍事的に優位に持ち込むために、井戸水を汚染させ、畑は焼かれ、森林は伐採されて土地には、有害物質をまき散らし、それによって動物が殺されていきます。

平和と安全にかかわる国連の活動

平和と安全にかかわる国連の活動

平和と安全に関わる国連の活動においても、環境に負荷をかけてしまうことがあるようです。国連環境計画(UNEP)の報告では、2017年に「国連平和維持活動」や「政治的ミッション政治活動」等、それらの支援活動によっても100万トン以上の二酸化炭素が排出されていて、そのうちの半分以上が施設から排出されていたようです。

国連の現場における環境マネジメント

国連の現場における環境マネジメント

そこで、こうした負荷を軽減するために国連は、環境に配慮しつつ、紛争防止や平和維持、そして平和構築に取り組んでいるようです。

太陽光発電の導入

太陽光発電の導入

国連レバノン暫定軍(UNIFIL)は、本部内で太陽光発電を動力源とする電気自動車を使用。また、基地では太陽光発電を導入、特に情報通信技術サービスの施設では、エネルギーの70%を太陽光発電で補うことによって、3か月で4,806キログラムの二酸化炭素の排出量を減らすことに成功し、更には水の消費量を削減する試みも積極的に行われているようです。

トークン式シャワーの導入

トークン式シャワーの導入

国連南スーダン共和国ミッション(UNMISS)では、水不足に悩まされている南スーダンでの活動で、水を効率的に使用し、水の使用量を減らすための取り組みを行っています。それは、低水量のシャワーヘッド付きトークン式シャワーの導入で、シャワーに使われていた水量を50%の減少が見込めるようになったそうです。さらに、太陽光発電での稼働や、起動時間を制限などの工夫がなされている水処理施設、そこでは1万リットルの雨水が貯められるタンクを導入しているそうです。

平和活動による天然資源利用効率を最大限に

平和活動による天然資源利用効率を最大限に

国連オペレーション支援局の前身の国連フィールド支援局は2017年に、平和活動による天然資源利用効率を最大限に高めて人間や社会、生態系に対するリスクを最低限に抑えるための新たな戦略を発表。SDGs(持続可能な開発目標 )に沿った6カ年の戦略では、「エネルギー」「水と廃水」「固形廃棄物」よる幅広い影響、環境マネジメントシステムという5本柱に基づきこの課題と目標を定めています。

戦争や紛争を如何に防ぐか!

国連がこれらの活動を実施することは重要ですが、それより先に、如何にその悲惨な戦争や紛争を防ぐことができるかが最大の課題となります。戦争や紛争の当事者がそれぞれ持っている恐怖心や復讐心から起こる歴史的にこれまで残されている思考を第三国の力で払拭しなければ、戦争や紛争は今後の永久に繰り返し、地球規模で環境破壊が増大することで、我々人類が住める星ではなくなるのでは、心配してしまいます。


「戦争と武力紛争による環境搾取防止のための国際デー」に関するツイート集

2026年の投稿

2025年の投稿

5月8日、7月1日、3日、11月5日の誕生花「マツバギク」

「マツバギク」

manseok KimによるPixabayからの画像

■ 基本情報

  • 和名:マツバギク(松葉菊)
  • 学名:Lampranthus、Delospermaなど(複数の種が「マツバギク」と呼ばれます)
  • 科名:ハマミズナ科(ツルナ科とも)
  • 原産地:南アフリカ
  • 形態:多年草(常緑の多肉植物)
  • 花期:4月~5月(ランプランサス属)、6月~10月(デロスペルマ属)

マツバギクについて

manseok KimによるPixabayからの画像

■ 特徴

  • 葉:名前のとおり、松葉のように細長く、肉厚な多肉質の葉が特徴です。
  • 花:デイジーに似た形の鮮やかな花を咲かせます。ピンク、紫、オレンジ、白などカラーバリエーションが豊富です。
  • 性質:非常に乾燥に強く、日当たりの良い場所を好みます。砂利地やロックガーデン、斜面の地被植物として使われることも多いです。
  • 育てやすさ:耐寒性・耐暑性ともに強く、放っておいても育つほど丈夫です。

花言葉:「心広い愛情」

manseok KimによるPixabayからの画像

マツバギクの花言葉「心広い愛情」は、以下のような特徴に由来していると考えられます。

  • 咲き誇る花の姿:マツバギクは小さな株でもたくさんの花を一斉に咲かせ、周囲を明るく彩ります。その様子が、見返りを求めず広く愛を与える姿に例えられています。
  • 丈夫で世話いらずな性格:乾燥や過酷な環境でもよく育ち、周囲の環境に順応する懐の深さが「心の広さ」に通じます。
  • 長い開花期間:春から秋にかけて長く花を咲かせ続ける姿は、尽きることのない愛情の象徴とされています。

「ひとひらの広がり」

manseok KimによるPixabayからの画像

真夏の陽射しがじりじりとアスファルトを焼いていた。古びた団地の一角、小さな庭に咲く鮮やかな紫の花が、ひときわ目を引いた。雑草の間から溢れるように顔をのぞかせているその花は、マツバギク。誰が世話をしているのかも分からないまま、毎年この季節になると律儀に咲き、住民たちの目を楽しませていた。

七十を越えた昌子さんは、その花に誰よりも親しみを感じていた。

「今年もよう咲いたねえ」

と、水をやるふりをしながらマツバギクに語りかけるのが日課だ。かつては手入れをする人もいたが、今はもう姿を見せない。だけど不思議なことに、誰にも手をかけられなくなってからの方が、この花は元気に咲くようになった気がする。

昌子さんには息子が一人いた。若い頃に家を出てから音沙汰もなく、最後に会ったのはもう二十年以上前だ。電話も手紙も来ない。はじめの数年は泣いたが、今はもう泣くこともない。ただ、彼が子どもの頃に「お母さんの花だね」と言ったこのマツバギクだけが、記憶のなかで彼とつながる唯一のものだった。

「花はいいね。誰かに見てほしいって思ってるわけじゃないのに、こんなに咲いて」

ある日、団地の隣に引っ越してきた若い母親が、小さな女の子の手を引いて花の前で足を止めた。

「きれいねえ、この花。ママ、これなんて名前?」

「ええっとね、たしか……マツバギク、って言うのよ」

その声に驚いて振り返ると、母親は少し照れながら会釈をした。

「すみません、勝手に見させてもらって……うちの子、この花が気に入ったみたいで」

「いいのよ。この花はね、見る人の心を明るくするの」

「本当に、そうですね。なんだか元気が出ます」

その日から、親子は毎日のように花の前に来て、にこにこと話すようになった。ある日、女の子が昌子さんに小さな絵を渡してくれた。そこにはマツバギクと、「おばあちゃん、ありがとう」の文字。

「ありがとうって、何が?」

「いつも、花、きれいにしてくれてるから」

昌子さんは笑った。

「この子ね、自分で育ってるのよ。誰にも文句言わず、文句言われず、ただ、咲くの。……あなたも、そうやって咲けばいいよ」

日が傾くなかで、マツバギクの花びらが夕陽に透けて光っていた。

そしてその夜、玄関先に一通の手紙が届いた。差出人は、あの息子からだった。

「母さん、元気ですか。ずっと連絡できなくてごめんなさい。最近、娘ができました。マツバギクを見るたび、あなたを思い出します——」

昌子さんは、そっと手紙を胸に当てた。涙は出なかった。ただ、胸の奥が、じんわりとあたたかかった。

花は、見返りを求めず咲き続ける。誰かがそれに気づき、受け取ったとき、広い愛情は静かに、しかし確かに伝わるのだ。

まるで——マツバギクのように。

8月3日、21日、11月5日の誕生花「マツバボタン」

「マツバボタン」

マツバボタンは、夏の強い日差しを好み、赤や黄色、ピンク、白など色鮮やかな花を咲かせるスベリヒユ科の一年草です。細長い葉が松葉に似ていることからこの名が付けられました。乾燥や暑さに強く、花壇や鉢植え、グラウンドカバーとして人気があります。花言葉は「無邪気」「可憐」「忍耐」。太陽の光を浴びて元気に咲く姿が、夏の庭を明るく彩る花です。

基本情報

  • 学名:Portulaca grandiflora
  • 科名:スベリヒユ科(Portulacaceae)
  • 原産地:南アメリカ(ブラジル、ウルグアイ、アルゼンチンなど)
  • 分類:一年草
  • 開花期:6月~9月(夏の間ずっと咲き続ける)
  • 花色:赤、ピンク、オレンジ、黄色、白、複色など
  • 草丈:10〜20cmほどの小型
  • 別名:ヒデリソウ(日照り草)

マツバボタンについて

特徴

◎ 松葉のような細長い葉

マツバボタンの名前の由来は、松の葉のように細くて多肉質な葉の形状によるものです。乾燥に強く、水やりが少なくてもよく育つ点も魅力です。

◎ 日光が大好きな「ヒデリソウ」

別名の「ヒデリソウ」は、太陽の光を受けて初めて花を開く性質に由来します。曇りや雨の日には花が閉じてしまうほど、日差しが大切な植物です。

◎ カラフルで豊富な花色

花は直径3〜5cmほどで、重なり合う花びらが美しく、ビビッドで豊富な色彩が特徴です。八重咲きや一重咲きなど、園芸品種も多くあります。


花言葉:「可憐」

◎ 小さく控えめな美しさ

マツバボタンは、背丈も低く、花も小ぶりでありながらも、その色彩や形は非常に美しく、儚げで魅力的です。この「小さな体に宿る美しさ」が、「可憐」という花言葉につながっています。

◎ 強さと繊細さの共存

炎天下でも咲き続けるたくましさを持ちながら、花の姿はどこか繊細で愛らしい――そのアンバランスな魅力が、「可憐」という言葉にぴったりなのです。


「陽だまりのマツバボタン」

その夏、祖母の家の庭は、色とりどりのマツバボタンで埋め尽くされていた。
 背丈の低いその花たちは、地面を這うように広がり、まるで小さな陽だまりが無数に散らばっているようだった。

 「この花はね、朝の光がないと咲かないんだよ」

 小学生の頃、祖母がそう教えてくれたのを思い出す。朝、カーテンを開けると、昨日まで緑だけだった土の上に、いきなり鮮やかな赤やピンクが顔を出していて、不思議でしょうがなかった。どうして昨日は咲いてなかったのに、今日はこんなにきれいなんだろう、と。

 それから十数年の月日が流れた。祖母が亡くなってから、家は長く無人になっていたけれど、この春、私は思い切って都会の仕事を辞めて、戻ってきた。理由はうまく言葉にできない。ただ、あの庭をもう一度見たかった――それだけだった気がする。

 六月の終わり。雑草を抜き、石をどけ、柔らかくなった土にマツバボタンの種を蒔いた。
 朝早く水をやり、昼間は少しずつ部屋の片づけをした。誰にも急かされず、誰にも認められず、ただ植物と向き合う毎日。けれど、不思議と心は静かだった。

 そして七月の半ば、最初の花が咲いた。
 目をこらさなければ見落としてしまうほど小さな花。けれど、朝日に透けるように咲くその姿は、あまりにも美しかった。花びらの縁がほんの少し波打ち、中心へ向かって柔らかく色がにじむ――まるで何かをそっと語りかけるような、静かな輝きだった。

 ふと、祖母の言葉が蘇る。

 「小さくても、ちゃんと咲いてる。それだけで、えらいよね」

 子どもの頃にはわからなかったその言葉が、今はまっすぐ胸に届く。
 マツバボタンは可憐だった。ひたむきで、健気で、そして強い。雨の翌日は咲かず、曇りの日も静かに閉じている。けれど、晴れた朝には決して遅れず、変わらぬ美しさを見せてくれる。

 そんな花を、私は今まで気づかないうちに見過ごしてきたのかもしれない。
 誰かに評価されることばかり気にして、大きく咲くことばかりを目指していた。でも、見下ろせば足元にも、こんなに健気な命があったのだ。ちゃんと咲いている花が、こんなにもそばに。

 夕方、花はそっとしぼみ始める。まるで「今日はこれでおしまい」とつぶやくように、静かに。

 私はしゃがみこみ、咲き終わった花に向かって小さく声をかけた。

 「今日も、きれいだったよ」

 日が傾いてゆく。
 明日もまた、あの小さな花たちは、変わらずに咲いてくれるだろう。

 そのことが、今はただ、嬉しい。

6月26日、9月16日、11月5日の誕生花「ペンタス」

「ペンタス」

Bishnu SarangiによるPixabayからの画像

ペンタスは星形の小花が集まる鮮やかな花。暑さに強く、夏から秋まで長く楽しめます。庭や鉢植えで人気で、蝶やハチも引き寄せる優しい魅力があります。

基本情報

  • 学名:Pentas lanceolata
  • 和名:クササンタンカ(草山丹花)、別名:エジプシャンスター(Egyptian Star Flower/Star Cluster)
  • 科属:アカネ科・ペンタス属
  • 原産地:熱帯東アフリカ〜アラビア半島(イエメンなど)
  • 分布:一年草として一般的だが、霜の降りない温暖地(USDAゾーン10~11)では多年草

ペンタスについて

hartono subagioによるPixabayからの画像

特徴

  • 花の形・色:径1〜2cmの星型咲きの花が散房状(半球形)に密集。赤・ピンク・白・紫・ラベンダーなどバリエーション豊富で、バイカラーや八重咲きもある
  • 草丈・大きさ:草丈30〜80cm(種苗改良品種では矮性で30cmほど)。原種では最大で高さ1.5mになることもある
  • 育ちやすさ:日当たりと水はけの良い場所を好み、夏の暑さや乾燥に強く、病害虫にも比較的強い
  • 花期:5〜10月頃まで長時間咲き続け、連続開花性が高く、切り戻しや花がら摘みをするとさらに長持ち
  • 魅力:蝶やハチ、ハチドリなどの花粉媒介者を引き寄せ、ガーデニングや寄せ植えに人気

花言葉:「希望が叶う」

ペンタスの花姿が「星が集まったよう」に見えることから、願い事を星に託すイメージと重なり、「希望が叶う」「願い事」という花言葉になったとされています

学名の “pentas” はギリシャ語の「5(pente)」に由来し、花びらが5枚であることに由来。星形に見えること、規則正しい花姿から「調和」「願い」「希望」という象徴性も評価されています


「星を集める庭」

Bishnu SarangiによるPixabayからの画像

「おばあちゃん、この花の名前、なあに?」

少女が指差したのは、小さな鉢に咲いた星のような赤い花だった。

「それはね、ペンタスって言うの。五枚の花びらが集まって、まるで夜空の星みたいでしょう?」

陽の傾き始めた夕方、小さな花屋の奥で、祖母はいつものように穏やかに笑った。

夏休みの間、花屋に預けられていた美羽は、最初こそ退屈で仕方なかったけれど、次第に店の一角の小さな花壇が気に入りはじめていた。

「この花、願い事が叶うんだって」

「ほんとに?」

「ほんとよ。昔の人は、夜空の星に願いを託してたでしょ? この花はね、まるでその星が地上に降りてきたみたいだから。だから、“希望が叶う”って花言葉がついたの」

美羽は小さく頷いた。家では両親がいつも忙しそうで、まともに話すことも少なかった。自分の気持ちを話しても、いつも「あとでね」で終わってしまう。

でも、ここにいると、誰かが耳を傾けてくれるような気がした。

「願いごと、してもいい?」

「もちろん」

少女は両手をそっとペンタスの鉢に添えた。そして、目を閉じてつぶやいた。

「また、家族みんなで夕ご飯を食べられますように」

静かな風が吹いた。葉が揺れて、ペンタスの花もわずかに震えた。

それから数日、美羽は毎日その鉢を世話し、水をやり、咲いた花を数えては笑った。

夏休みの最後の日、母が迎えに来た。花屋の前で、美羽は一鉢のペンタスを抱えていた。

「おばあちゃん、この花、持って帰ってもいい?」

「いいわよ。あんたの願いが詰まってるんだもの」

家に戻ってすぐ、美羽は食卓の真ん中にその鉢を置いた。夕方、珍しく父も母も時間通りに帰ってきて、揃って食卓に座った。

「……なんか、久しぶりだね、こうやって食べるの」

母が笑って言った。

「うん。なんか、星が降ってきたみたい」

美羽の視線の先には、小さな星たちが咲くペンタスの花があった。

その夜、窓の外を見上げると、本物の星空が広がっていた。けれど、美羽はもう空に願いをかける必要はなかった。

彼女の願いは、もうそこに咲いていた。