7月24日、11月6日の誕生花「ユリ」

「ユリ」

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ユリはユリ科ユリ属の多年草で、世界中に約100種以上が分布する気品あふれる花です。大きく優雅な花と甘い香りが魅力で、白やピンク、黄色、オレンジなど豊富な花色があります。観賞用として庭園や切り花で親しまれ、品種も数多く育成されています。花言葉は「純粋」「威厳」「無垢」などで、その清らかで凛とした美しさは、多くの人々を魅了し続けています。

基本情報

  • 学名:Lilium
  • 科名:ユリ科(Liliaceae)
  • 原産地:北半球の温帯地域(日本、中国、ヨーロッパ、北米など)
  • 開花時期:5月下旬~6月上旬(スカシユリ系)、6月中・下旬(テッポウユリ)、7月中・下旬(オリエンタル系)
  • 花の色:白、ピンク、オレンジ、黄色、赤、複色など多彩
  • 草丈:50cm~2m程度(品種による)
  • 香り:強い芳香を放つ品種が多く、切り花や香料としても重宝される

ユリについて

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特徴

  1. 凛とした立ち姿
    まっすぐに伸びた茎の先に大輪の花を咲かせる姿は、気品と高貴さを象徴します。
  2. 球根植物
    鱗片状の球根から生長し、植え替えや増殖が比較的容易です。
  3. 種類の豊富さ
    テッポウユリ、カサブランカ、スカシユリ、オニユリなど多様な品種が存在し、花色や形もバリエーションが豊かです。
  4. 強い香り
    特にオリエンタル系のユリ(例:カサブランカ)は濃厚で華やかな香りを持ち、花束やフラワーアレンジメントで人気があります。

花言葉:「純粋」

RalphによるPixabayからの画像

ユリの花言葉の代表的なひとつが 「純粋」 です。
この由来には以下のような要素が関係しています。

  • 白いユリのイメージ
    特に白ユリは、汚れのない真っ白な花弁を持ち、その清らかさから純潔・純真を象徴すると考えられてきました。
    西洋では「聖母マリアの象徴」とされ、神聖で無垢な心を表現する花とされます。
  • 古代からの宗教的象徴
    ギリシャ神話やキリスト教美術に登場するユリは、神聖さ・清らかさの象徴として描かれ、「純粋な愛」「高潔な心」といった意味を持つようになりました。
  • 気品ある立ち姿
    雨や風に負けず、凛として咲くユリの姿は、人の心の中にある“純粋な強さ”を思わせます。

「白きユリの約束」

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六月の終わり、梅雨の合間にのぞく陽射しが、庭の一角をやわらかく照らしていた。
その場所には、祖母が丹精込めて育てた白いユリが、今年もまっすぐ天を向いて咲いていた。

「純粋、って言葉はね、ユリにぴったりなのよ」

小学生の頃、祖母はそう言いながら私の髪を撫でた。
その時の祖母の声は、今でも耳の奥に残っている。

大学進学を機に都会へ出てから、私はほとんど実家に帰らなくなった。
仕事、恋愛、日々の雑務に追われるうち、何か大切なものを少しずつ手放しているような気がしていた。
そんな時に届いた祖母の訃報は、胸の奥にぽっかりと穴を開けた。

葬儀の日、庭に咲くユリが風に揺れていた。
真っ白な花弁は雨粒をはじき、どこか凛とした表情を見せていた。
その姿を見た瞬間、祖母がよく話していたユリの花言葉――「純粋」という言葉が胸に蘇った。

「汚れのない心を忘れないで生きなさい」

祖母はそう言いたかったのかもしれない。
私は手を伸ばし、そっと花びらに触れた。
冷たく、しかし優しく包み込むような感触があった。

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葬儀を終えて都会へ戻ると、日々はまた容赦なく過ぎていった。
上司に叱られ、同僚と競い、気がつけば自分が誰かの心を踏みにじるような言葉を吐いている。
夜遅く、部屋の片隅で一人きりになった時、ふと祖母の庭のユリを思い出す。
あの花は、どんな雨にも風にも負けず、真っ直ぐに咲いていた。
それは、私が忘れてしまった「純粋な心」の象徴だった。

翌年の春、私は祖母の家に戻った。
まだ残っていた球根を庭の土に植え、水を与え、季節の移り変わりを見守った。
そして夏が来ると、真っ白なユリがまた咲いた。
花弁に陽光が透け、まるで内側から輝いているように見えた。

「おばあちゃん、私ね、少しだけ変われた気がする」

そう呟いたとき、そよ風が花を揺らした。
まるで祖母が微笑んでいるように思えた。
その瞬間、胸の奥にあった重たいものが少しずつ溶けていくのを感じた。

ユリの花言葉は「純粋」。
それは、決して完璧な人間になるという意味ではない。
どれだけ傷つき、汚れても、もう一度真っ直ぐ立ち上がる強さを持つこと。
白いユリの凛とした姿は、それを私に教えてくれていた。

私は今、祖母の庭で新しいユリを育てている。
都会での生活に戻る日が来ても、きっとこの花の記憶が私を支えてくれるだろう。
純粋であり続けることは難しい。
でも、たとえ泥にまみれても、また光を求めて咲くユリのように、
私はもう一度、自分を信じて生きていきたいと思う。

9月28日、11月6日の誕生花「フジバカマ」

「フジバカマ」

フジバカマは、秋に淡い紫色や白色の小花を咲かせる多年草です。古くから日本人に親しまれ、秋の七草の一つとして知られています。香りのよい葉や花は、乾燥させると上品な香りを放ちます。短い秋を彩る風情ある花です。

基本情報

  • 学名:Eupatorium japonicum(Eupatorium fortunei)
  • 科属:キク科ヒヨドリバナ属
  • 原産地:東アジア(中国~朝鮮半島、関東地方以西の本州、四国、九州)
  • 分類:多年草
  • 開花時期:8月~9月(残り花は10月ごろまである)
  • 花色:淡い紅紫色、白色
  • 草丈:約80cm~150cm
  • 生育環境:日当たりのよい湿った場所を好む

フジバカマについて

特徴

  • 秋の七草のひとつとして古くから親しまれている。
  • 細い花びらがふわりと房のように咲く、やわらかな印象の花。
  • 古代には香料や入浴剤として使われ、「蘭草(ふじばかま)」の名でも万葉集に登場。
  • 蝶(特にアサギマダラ)が好む蜜源植物としても有名。
  • 葉や茎にほのかな芳香があり、乾燥させても香りが残る。

花言葉:「ためらい」

由来

  • フジバカマの花は、群れて咲くのにひとつひとつが小さく、控えめな印象を与える。
  • 花が完全に開くまでに時間がかかり、つぼみから満開までがゆっくりなことから、決断をためらう姿にたとえられた。
  • また、古くから恋心を秘めて香を残す花として詩や歌に詠まれ、
    「想いを伝えきれずためらう心情」と重ねられたとも言われる。

「ためらいの香(か)」

駅前の花屋の前で、千紗(ちさ)は立ち止まった。
 ガラス越しに並ぶ秋の花たちの中に、淡い紫色の小さな花が揺れている。
 ――フジバカマ。
 札にはそう書かれていた。

 彼がこの花を好きだと言っていたのを思い出す。
 「派手じゃないのに、ずっと香るんだ。なんか、いいよな」
 そのときの彼の横顔が、夕暮れの光といっしょに蘇る。

 あの日、彼は転勤の話をしていた。
 「迷ってる。行くべきだとは思うけど、ここを離れたくない」
 その言葉に、千紗は何も言えなかった。
 ただ頷いて、フジバカマの香りが混じる風の中で笑ってみせた。
 ――その笑顔が、きっと“ためらい”の形だったのだろう。

 彼がいなくなってから一年が経つ。
 連絡はときどき来るが、互いに「元気?」で始まり「仕事がんばって」で終わる。
 それ以上の言葉を紡ぐことが、なぜかできなかった。
 ためらいが、心のどこかに根を下ろしてしまったのだ。

 千紗は花屋の扉を押し、フジバカマを一束買った。
 包み紙の向こうから、かすかな甘い香りが漂ってくる。
 家に帰って花瓶に挿すと、部屋の空気が少しだけ柔らかくなった気がした。

 夜、机の上のノートを開く。
 そこには、去年書きかけてやめた手紙が挟まっている。
 ――「あなたがいない秋が、こんなにも静かだとは思わなかった。」
 その一文のあと、ペンは止まっていた。

 窓を開けると、風がカーテンを揺らす。
 フジバカマの花が小さく震え、微かな香りが漂う。
 “伝えきれずためらう心情”――花言葉の由来を、ふと思い出した。
 まるで自分の心そのものだと思った。

 ペンを取り、インクの匂いを確かめるように深呼吸する。
 書き始める。
 「元気ですか。こちらも、なんとかやっています。」
 当たり障りのない言葉が続く。
 でも、そこで一度、手を止めた。

 ――ためらいの先にある言葉を、書かなければ。
 花はゆっくりと咲いていく。
 それと同じように、自分の想いも時間をかけて、やっと形になるのかもしれない。

 「あなたのいない日々にも、秋はちゃんと来ています。
  でも、フジバカマの香りだけは、去年のままです。」

 書き終えた文字を見つめると、胸の奥がじんわりと温かくなった。
 送るかどうかは、まだ決められない。
 けれど、ためらいの中にも、確かに“想い”がある。

 花瓶のフジバカマが、月明かりを受けて静かに揺れた。
 その香りが、ゆるやかに部屋を満たしていく。
 まるで「もういいよ」と言うように――。

戦争と武力紛争による環境搾取防止のための国際デー

11月6日は、戦争と武力紛争による環境搾取防止のための国際デーです

11月6日は、戦争と武力紛争による環境搾取防止のための国際デー

11月6日は、戦争や紛争による環境破壊、そして終戦後も続く環境搾取の実態を知らない人を教え導き、その防止につとめることを目的としている国際デーの一つです。

戦争や紛争

戦争や紛争

第二次世界大戦後も現在まで、世界で様々な戦争や紛争が起こっています。そしてその大半は、開発途上国で起こっているのが現状です。また、紛争後の地雷(=戦時中に敵の侵入を防ぐためなどに爆発物が地面に埋められていて、近づいたり触ったりすると爆発する仕組みになっている武器)も深刻な問題の一つとされています。戦争中に埋められた多くのその地雷が、戦争が終わってもそのままになっているため、その土地で生活する人びとが被害を受けています。

環境破壊

環境破壊
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戦争や紛争によって、犠牲になるのは人だけでは無く、環境も戦争の犠牲となっているのが現状です。軍事的に優位に持ち込むために、井戸水を汚染させ、畑は焼かれ、森林は伐採されて土地には、有害物質をまき散らし、それによって動物が殺されていきます。

平和と安全にかかわる国連の活動

平和と安全にかかわる国連の活動

平和と安全に関わる国連の活動においても、環境に負荷をかけてしまうことがあるようです。国連環境計画(UNEP)の報告では、2017年に「国連平和維持活動」や「政治的ミッション政治活動」等、それらの支援活動によっても100万トン以上の二酸化炭素が排出されていて、そのうちの半分以上が施設から排出されていたようです。

国連の現場における環境マネジメント

国連の現場における環境マネジメント

そこで、こうした負荷を軽減するために国連は、環境に配慮しつつ、紛争防止や平和維持、そして平和構築に取り組んでいるようです。

太陽光発電の導入

太陽光発電の導入

国連レバノン暫定軍(UNIFIL)は、本部内で太陽光発電を動力源とする電気自動車を使用。また、基地では太陽光発電を導入、特に情報通信技術サービスの施設では、エネルギーの70%を太陽光発電で補うことによって、3か月で4,806キログラムの二酸化炭素の排出量を減らすことに成功し、更には水の消費量を削減する試みも積極的に行われているようです。

トークン式シャワーの導入

トークン式シャワーの導入

国連南スーダン共和国ミッション(UNMISS)では、水不足に悩まされている南スーダンでの活動で、水を効率的に使用し、水の使用量を減らすための取り組みを行っています。それは、低水量のシャワーヘッド付きトークン式シャワーの導入で、シャワーに使われていた水量を50%の減少が見込めるようになったそうです。さらに、太陽光発電での稼働や、起動時間を制限などの工夫がなされている水処理施設、そこでは1万リットルの雨水が貯められるタンクを導入しているそうです。

平和活動による天然資源利用効率を最大限に

平和活動による天然資源利用効率を最大限に

国連オペレーション支援局の前身の国連フィールド支援局は2017年に、平和活動による天然資源利用効率を最大限に高めて人間や社会、生態系に対するリスクを最低限に抑えるための新たな戦略を発表。SDGs(持続可能な開発目標 )に沿った6カ年の戦略では、「エネルギー」「水と廃水」「固形廃棄物」よる幅広い影響、環境マネジメントシステムという5本柱に基づきこの課題と目標を定めています。

戦争や紛争を如何に防ぐか!

国連がこれらの活動を実施することは重要ですが、それより先に、如何にその悲惨な戦争や紛争を防ぐことができるかが最大の課題となります。戦争や紛争の当事者がそれぞれ持っている恐怖心や復讐心から起こる歴史的にこれまで残されている思考を第三国の力で払拭しなければ、戦争や紛争は今後の永久に繰り返し、地球規模で環境破壊が増大することで、我々人類が住める星ではなくなるのでは、心配してしまいます。


「戦争と武力紛争による環境搾取防止のための国際デー」に関するツイート集

2026年の投稿

2025年の投稿

5月8日、7月1日、3日、11月5日の誕生花「マツバギク」

「マツバギク」

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■ 基本情報

  • 和名:マツバギク(松葉菊)
  • 学名:Lampranthus、Delospermaなど(複数の種が「マツバギク」と呼ばれます)
  • 科名:ハマミズナ科(ツルナ科とも)
  • 原産地:南アフリカ
  • 形態:多年草(常緑の多肉植物)
  • 花期:4月~5月(ランプランサス属)、6月~10月(デロスペルマ属)

マツバギクについて

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■ 特徴

  • 葉:名前のとおり、松葉のように細長く、肉厚な多肉質の葉が特徴です。
  • 花:デイジーに似た形の鮮やかな花を咲かせます。ピンク、紫、オレンジ、白などカラーバリエーションが豊富です。
  • 性質:非常に乾燥に強く、日当たりの良い場所を好みます。砂利地やロックガーデン、斜面の地被植物として使われることも多いです。
  • 育てやすさ:耐寒性・耐暑性ともに強く、放っておいても育つほど丈夫です。

花言葉:「心広い愛情」

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マツバギクの花言葉「心広い愛情」は、以下のような特徴に由来していると考えられます。

  • 咲き誇る花の姿:マツバギクは小さな株でもたくさんの花を一斉に咲かせ、周囲を明るく彩ります。その様子が、見返りを求めず広く愛を与える姿に例えられています。
  • 丈夫で世話いらずな性格:乾燥や過酷な環境でもよく育ち、周囲の環境に順応する懐の深さが「心の広さ」に通じます。
  • 長い開花期間:春から秋にかけて長く花を咲かせ続ける姿は、尽きることのない愛情の象徴とされています。

「ひとひらの広がり」

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真夏の陽射しがじりじりとアスファルトを焼いていた。古びた団地の一角、小さな庭に咲く鮮やかな紫の花が、ひときわ目を引いた。雑草の間から溢れるように顔をのぞかせているその花は、マツバギク。誰が世話をしているのかも分からないまま、毎年この季節になると律儀に咲き、住民たちの目を楽しませていた。

七十を越えた昌子さんは、その花に誰よりも親しみを感じていた。

「今年もよう咲いたねえ」

と、水をやるふりをしながらマツバギクに語りかけるのが日課だ。かつては手入れをする人もいたが、今はもう姿を見せない。だけど不思議なことに、誰にも手をかけられなくなってからの方が、この花は元気に咲くようになった気がする。

昌子さんには息子が一人いた。若い頃に家を出てから音沙汰もなく、最後に会ったのはもう二十年以上前だ。電話も手紙も来ない。はじめの数年は泣いたが、今はもう泣くこともない。ただ、彼が子どもの頃に「お母さんの花だね」と言ったこのマツバギクだけが、記憶のなかで彼とつながる唯一のものだった。

「花はいいね。誰かに見てほしいって思ってるわけじゃないのに、こんなに咲いて」

ある日、団地の隣に引っ越してきた若い母親が、小さな女の子の手を引いて花の前で足を止めた。

「きれいねえ、この花。ママ、これなんて名前?」

「ええっとね、たしか……マツバギク、って言うのよ」

その声に驚いて振り返ると、母親は少し照れながら会釈をした。

「すみません、勝手に見させてもらって……うちの子、この花が気に入ったみたいで」

「いいのよ。この花はね、見る人の心を明るくするの」

「本当に、そうですね。なんだか元気が出ます」

その日から、親子は毎日のように花の前に来て、にこにこと話すようになった。ある日、女の子が昌子さんに小さな絵を渡してくれた。そこにはマツバギクと、「おばあちゃん、ありがとう」の文字。

「ありがとうって、何が?」

「いつも、花、きれいにしてくれてるから」

昌子さんは笑った。

「この子ね、自分で育ってるのよ。誰にも文句言わず、文句言われず、ただ、咲くの。……あなたも、そうやって咲けばいいよ」

日が傾くなかで、マツバギクの花びらが夕陽に透けて光っていた。

そしてその夜、玄関先に一通の手紙が届いた。差出人は、あの息子からだった。

「母さん、元気ですか。ずっと連絡できなくてごめんなさい。最近、娘ができました。マツバギクを見るたび、あなたを思い出します——」

昌子さんは、そっと手紙を胸に当てた。涙は出なかった。ただ、胸の奥が、じんわりとあたたかかった。

花は、見返りを求めず咲き続ける。誰かがそれに気づき、受け取ったとき、広い愛情は静かに、しかし確かに伝わるのだ。

まるで——マツバギクのように。

8月3日、21日、11月5日の誕生花「マツバボタン」

「マツバボタン」

マツバボタンは、夏の強い日差しを好み、赤や黄色、ピンク、白など色鮮やかな花を咲かせるスベリヒユ科の一年草です。細長い葉が松葉に似ていることからこの名が付けられました。乾燥や暑さに強く、花壇や鉢植え、グラウンドカバーとして人気があります。花言葉は「無邪気」「可憐」「忍耐」。太陽の光を浴びて元気に咲く姿が、夏の庭を明るく彩る花です。

基本情報

  • 学名:Portulaca grandiflora
  • 科名:スベリヒユ科(Portulacaceae)
  • 原産地:南アメリカ(ブラジル、ウルグアイ、アルゼンチンなど)
  • 分類:一年草
  • 開花期:6月~9月(夏の間ずっと咲き続ける)
  • 花色:赤、ピンク、オレンジ、黄色、白、複色など
  • 草丈:10〜20cmほどの小型
  • 別名:ヒデリソウ(日照り草)

マツバボタンについて

特徴

◎ 松葉のような細長い葉

マツバボタンの名前の由来は、松の葉のように細くて多肉質な葉の形状によるものです。乾燥に強く、水やりが少なくてもよく育つ点も魅力です。

◎ 日光が大好きな「ヒデリソウ」

別名の「ヒデリソウ」は、太陽の光を受けて初めて花を開く性質に由来します。曇りや雨の日には花が閉じてしまうほど、日差しが大切な植物です。

◎ カラフルで豊富な花色

花は直径3〜5cmほどで、重なり合う花びらが美しく、ビビッドで豊富な色彩が特徴です。八重咲きや一重咲きなど、園芸品種も多くあります。


花言葉:「可憐」

◎ 小さく控えめな美しさ

マツバボタンは、背丈も低く、花も小ぶりでありながらも、その色彩や形は非常に美しく、儚げで魅力的です。この「小さな体に宿る美しさ」が、「可憐」という花言葉につながっています。

◎ 強さと繊細さの共存

炎天下でも咲き続けるたくましさを持ちながら、花の姿はどこか繊細で愛らしい――そのアンバランスな魅力が、「可憐」という言葉にぴったりなのです。


「陽だまりのマツバボタン」

その夏、祖母の家の庭は、色とりどりのマツバボタンで埋め尽くされていた。
 背丈の低いその花たちは、地面を這うように広がり、まるで小さな陽だまりが無数に散らばっているようだった。

 「この花はね、朝の光がないと咲かないんだよ」

 小学生の頃、祖母がそう教えてくれたのを思い出す。朝、カーテンを開けると、昨日まで緑だけだった土の上に、いきなり鮮やかな赤やピンクが顔を出していて、不思議でしょうがなかった。どうして昨日は咲いてなかったのに、今日はこんなにきれいなんだろう、と。

 それから十数年の月日が流れた。祖母が亡くなってから、家は長く無人になっていたけれど、この春、私は思い切って都会の仕事を辞めて、戻ってきた。理由はうまく言葉にできない。ただ、あの庭をもう一度見たかった――それだけだった気がする。

 六月の終わり。雑草を抜き、石をどけ、柔らかくなった土にマツバボタンの種を蒔いた。
 朝早く水をやり、昼間は少しずつ部屋の片づけをした。誰にも急かされず、誰にも認められず、ただ植物と向き合う毎日。けれど、不思議と心は静かだった。

 そして七月の半ば、最初の花が咲いた。
 目をこらさなければ見落としてしまうほど小さな花。けれど、朝日に透けるように咲くその姿は、あまりにも美しかった。花びらの縁がほんの少し波打ち、中心へ向かって柔らかく色がにじむ――まるで何かをそっと語りかけるような、静かな輝きだった。

 ふと、祖母の言葉が蘇る。

 「小さくても、ちゃんと咲いてる。それだけで、えらいよね」

 子どもの頃にはわからなかったその言葉が、今はまっすぐ胸に届く。
 マツバボタンは可憐だった。ひたむきで、健気で、そして強い。雨の翌日は咲かず、曇りの日も静かに閉じている。けれど、晴れた朝には決して遅れず、変わらぬ美しさを見せてくれる。

 そんな花を、私は今まで気づかないうちに見過ごしてきたのかもしれない。
 誰かに評価されることばかり気にして、大きく咲くことばかりを目指していた。でも、見下ろせば足元にも、こんなに健気な命があったのだ。ちゃんと咲いている花が、こんなにもそばに。

 夕方、花はそっとしぼみ始める。まるで「今日はこれでおしまい」とつぶやくように、静かに。

 私はしゃがみこみ、咲き終わった花に向かって小さく声をかけた。

 「今日も、きれいだったよ」

 日が傾いてゆく。
 明日もまた、あの小さな花たちは、変わらずに咲いてくれるだろう。

 そのことが、今はただ、嬉しい。

6月26日、9月16日、11月5日の誕生花「ペンタス」

「ペンタス」

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ペンタスは星形の小花が集まる鮮やかな花。暑さに強く、夏から秋まで長く楽しめます。庭や鉢植えで人気で、蝶やハチも引き寄せる優しい魅力があります。

基本情報

  • 学名:Pentas lanceolata
  • 和名:クササンタンカ(草山丹花)、別名:エジプシャンスター(Egyptian Star Flower/Star Cluster)
  • 科属:アカネ科・ペンタス属
  • 原産地:熱帯東アフリカ〜アラビア半島(イエメンなど)
  • 分布:一年草として一般的だが、霜の降りない温暖地(USDAゾーン10~11)では多年草

ペンタスについて

hartono subagioによるPixabayからの画像

特徴

  • 花の形・色:径1〜2cmの星型咲きの花が散房状(半球形)に密集。赤・ピンク・白・紫・ラベンダーなどバリエーション豊富で、バイカラーや八重咲きもある
  • 草丈・大きさ:草丈30〜80cm(種苗改良品種では矮性で30cmほど)。原種では最大で高さ1.5mになることもある
  • 育ちやすさ:日当たりと水はけの良い場所を好み、夏の暑さや乾燥に強く、病害虫にも比較的強い
  • 花期:5〜10月頃まで長時間咲き続け、連続開花性が高く、切り戻しや花がら摘みをするとさらに長持ち
  • 魅力:蝶やハチ、ハチドリなどの花粉媒介者を引き寄せ、ガーデニングや寄せ植えに人気

花言葉:「希望が叶う」

ペンタスの花姿が「星が集まったよう」に見えることから、願い事を星に託すイメージと重なり、「希望が叶う」「願い事」という花言葉になったとされています

学名の “pentas” はギリシャ語の「5(pente)」に由来し、花びらが5枚であることに由来。星形に見えること、規則正しい花姿から「調和」「願い」「希望」という象徴性も評価されています


「星を集める庭」

Bishnu SarangiによるPixabayからの画像

「おばあちゃん、この花の名前、なあに?」

少女が指差したのは、小さな鉢に咲いた星のような赤い花だった。

「それはね、ペンタスって言うの。五枚の花びらが集まって、まるで夜空の星みたいでしょう?」

陽の傾き始めた夕方、小さな花屋の奥で、祖母はいつものように穏やかに笑った。

夏休みの間、花屋に預けられていた美羽は、最初こそ退屈で仕方なかったけれど、次第に店の一角の小さな花壇が気に入りはじめていた。

「この花、願い事が叶うんだって」

「ほんとに?」

「ほんとよ。昔の人は、夜空の星に願いを託してたでしょ? この花はね、まるでその星が地上に降りてきたみたいだから。だから、“希望が叶う”って花言葉がついたの」

美羽は小さく頷いた。家では両親がいつも忙しそうで、まともに話すことも少なかった。自分の気持ちを話しても、いつも「あとでね」で終わってしまう。

でも、ここにいると、誰かが耳を傾けてくれるような気がした。

「願いごと、してもいい?」

「もちろん」

少女は両手をそっとペンタスの鉢に添えた。そして、目を閉じてつぶやいた。

「また、家族みんなで夕ご飯を食べられますように」

静かな風が吹いた。葉が揺れて、ペンタスの花もわずかに震えた。

それから数日、美羽は毎日その鉢を世話し、水をやり、咲いた花を数えては笑った。

夏休みの最後の日、母が迎えに来た。花屋の前で、美羽は一鉢のペンタスを抱えていた。

「おばあちゃん、この花、持って帰ってもいい?」

「いいわよ。あんたの願いが詰まってるんだもの」

家に戻ってすぐ、美羽は食卓の真ん中にその鉢を置いた。夕方、珍しく父も母も時間通りに帰ってきて、揃って食卓に座った。

「……なんか、久しぶりだね、こうやって食べるの」

母が笑って言った。

「うん。なんか、星が降ってきたみたい」

美羽の視線の先には、小さな星たちが咲くペンタスの花があった。

その夜、窓の外を見上げると、本物の星空が広がっていた。けれど、美羽はもう空に願いをかける必要はなかった。

彼女の願いは、もうそこに咲いていた。

いい酵母の日

11月5日はいい酵母の日です

11月5日はいい酵母の日

「生きてる酵母」など酵母の製品を扱い、埼玉県 鴻巣市に本社を置いている株式会社日健協サービスは、この日を記念日として制定しています。この日は「い→1 い→1 こ→5 うぼ」と読む語呂合わせからです。

酵母とは?

酵母とは?

酵母は、きのこやカビなどのような微生物の一種で真菌類に属します。その酵母には、糖質をアルコールと炭酸ガスに分解して分裂・成長する「発酵」と呼ばれる働きがあります。そして、古くから食品加工で人間に身近に利用されています。例えば、「パン酵母」や「ビール酵母」さらに「日本酒酵母」など、色々な食品をつくる際に利用されています。

酵母の効果

酵母には、色々な健康効果があります。「糖質の吸収を抑制する」「便秘を改善する」「免疫力を高める」「疲労回復」などの効果があります。

糖質の吸収を抑制する効果

糖質抑制、甘酒

酵母は、食べ物に含まれている糖質をアルコールと炭酸ガスに分解するといわれっていて、その働きによって、食事で糖質を体内で吸収される前に分解するなど、肥満を予防するそうです。さらには、血糖値の上昇を抑制する効果もあります。また、消化や吸収を助ける働きもあります。

便秘を改善する効果

便秘の改善

酵母は、腸内で糖質の消化や吸収を助ける効果があります。そして、酵母が消化をサポートし、腸内の余分な食べ物の残りの発生を防ぎます。さらに、酵母に含まれる食物繊維が体内の不要な物質の吸収を妨げて便として排出させます。他にも食物繊維は、善玉菌を増やす作用もあって腸内の環境を整え、便通を改善する効果があるといわれています。

免疫力を高める

免疫力アップ

酵母に含まれている「β-D-グルカン」は、免疫力を高める効果があるそうで、そしてこの「β-D-グルカン」は特にビール酵母に豊富に含まれているそうです。そしてこの成分は、血液中に存在することで体内に侵入した異物に対して攻撃する働きを持つ「マクロファージ」や、「ナチュラルキラー細胞」を活性化する作用があって、それにより免疫力をアップすることに繋がるとのことです。

疲労回復効果

疲労回復

酵母には、ビタミンB群が豊富です。この成分は、摂取した栄養を代謝してエネルギーに変える働きがあるため、細胞の新陳代謝に必要です。炭水化物 の代謝過程は、その反応をスムーズに行うのに酵素が働きます。そして酵素が働くためには、補酵素が必要です。その酵素に含まれるビタミンB群は、吸収されたのち補酵素に代わり、代謝を促す働きをしています。酵母はこれらのビタミンB群の働きで、体内でエネルギーを生み出すため、疲労を回復させる効果があるといえるわけです。

酵母食品を継続的に食べましょう

酵母パン

発酵食品は、先で紹介したように新たに体にとって良い成分が作り出されます。そして、その豊富で生きている酵母や酵素が身体の中でも元気に働いてくれます。パンはもちろん、飲み物だと「ビールや焼酎、ワイン」。調味料は「醤油」「味噌」「酢」。後はヨーグルト、漬物など、身近なものばかりです。どれも発酵食品の本物を選び、バランスをとりながら少しずつ継続的に摂取しましょう。


「いい酵母の日」に関するツイート集

2026年の投稿

2025年の投稿

10月17日、11月4日の誕生花「ムラサキシキブ」

「ムラサキシキブ」

ムラサキシキブは、秋になると鮮やかな紫色の小さな実を枝いっぱいにつける落葉低木です。緑の葉との美しいコントラストが魅力で、庭木や生け花、茶花としても親しまれています。名前は、紫色の実を優雅に並べる姿を、平安時代の女流作家・紫式部になぞらえたものといわれています。秋の深まりを感じさせる、上品で風情のある植物です。


基本情報

  • 科名・属名:シソ科 / ムラサキシキブ属
  • 学名:Callicarpa japonica
  • 原産地:日本、中国、朝鮮半島
  • 別名:コムラサキ(※園芸品種で混同されやすい)
  • 開花時期:6〜7月
  • 実の時期:9〜11月
  • 花色:淡い紫〜薄ピンク
  • 実の色:鮮やかな紫色
  • 花の大きさ:直径3〜4mmほどの小花
  • 樹高:1〜3m前後の落葉低木

ムラサキシキブについて

特徴

  • 枝いっぱいに 小さな紫色の実 をつける姿が美しく、秋の庭を彩る代表的な植物。
  • 実は 光沢のある紫色 で、日に当たるとまるで宝石のように輝く。
  • 花は初夏に咲くが控えめで、秋の実の美しさが主役。
  • 鳥が実を食べて種を運ぶため、自然繁殖しやすい。
  • 名前の由来は、その優雅さを平安時代の才女・紫式部にたとえたことから。

花言葉:「愛され上手」

由来

  • 小さな花が密集して咲き、秋には一面に美しい紫の実を実らせる様子が、
    → 「周囲から自然と愛される」「人々の心を惹きつける」印象を与えるため。
  • 花も実も目立ちすぎず、控えめながら人の心をつかむ魅力を持つことから、
    → 「愛され上手」「聡明」「上品」などの花言葉が生まれた。
  • また、「紫式部」という名前の持つ 知性と優美さ も、
    → 「愛され上手」という意味をより深めている。

「紫の実の頃に」

庭の隅に、祖母が植えたムラサキシキブの木がある。
 小さな花をつける季節は気づかぬほど静かで、誰もその存在を話題にしない。けれど秋になると、枝いっぱいに紫の実をつけ、日差しを受けてまるで小さな宝石のように輝き出す。

 「愛され上手って、こういうことを言うのかもしれないね」
 祖母はよくそう言って笑っていた。

 高校に上がったばかりの頃、私はその言葉の意味が分からなかった。
 「愛され上手」なんて、なんだかあざとく聞こえたし、人に好かれることばかり考えるのは格好悪いと思っていた。

 でも、そんな私とは違い、祖母はどこへ行っても穏やかに人に囲まれていた。
 特別おしゃべりでもないし、派手な服を着るわけでもない。それなのに、いつのまにか人の心に入り込んで、気づけば誰もが祖母を好きになっていた。

 「ねえ、どうしてそんなに誰からも好かれるの?」
 ある日、素直に尋ねたことがある。

 祖母はムラサキシキブの枝を撫でながら、少し考えてから答えた。
 「好きになってもらおうと思うより、好きでいることのほうが大事なんだよ」
 「え?」
 「この花もそうだろう? 見てもらおうなんて思っていない。でも、季節が来ればちゃんと咲いて、実を結ぶ。それを見つけた人が“きれいだな”って思うだけ」
 祖母は微笑んだ。
 「人も同じさ。無理に目立たなくても、心をこめて咲いていれば、ちゃんと誰かが見つけてくれる」

 その言葉が胸に残ったまま、数年が過ぎた。
 祖母が亡くなった翌年、私は大学の帰りに久しぶりにあの庭を訪ねた。
 手入れもされていないはずなのに、ムラサキシキブの枝はしなやかに伸び、濃い紫の実をたくさんつけていた。

 手を伸ばして一粒を摘む。指先に感じるのは、小さな丸い命の重み。
 その瞬間、祖母の声が心の奥でよみがえる。
 ――見てもらおうなんて思っていない。でも、ちゃんと咲く。

 涙がこぼれた。
 愛されることを計算しない優しさ。控えめだけど、人の心に灯りをともすような存在。
 祖母が言っていた「愛され上手」とは、きっとそういうことなのだと思う。

 家に戻って、ノートに小さく書いた。
 “私はムラサキシキブみたいに生きたい”

 それから私は、無理に笑顔を作るのをやめた。
 自分の好きなことを、静かに丁寧に続けるようにした。すると不思議なことに、いつのまにか周りに優しい人たちが集まってくるようになった。

 紫の実が色づく頃、私はまたあの庭に立つ。
 風に揺れる枝の先で、光を受けた小さな実たちがきらめいている。
 まるで、「ちゃんと見てるよ」と囁くように。

 ――ねえ、おばあちゃん。
 あなたの好きだったこの花、やっぱり“愛され上手”だね。

11月4日の誕生花「サフラン」

「サフラン」

サフランは、秋に紫色の美しい花を咲かせるアヤメ科の球根植物です。赤い雌しべは香辛料や染料として利用され、独特の香りが特徴です。花言葉は「歓喜」「陽気」「節度ある美」などがあります。

基本情報

  • 学名:Crocus sativus
  • 科名:アヤメ科(Iridaceae)
  • 属名:クロッカス属(Crocus)
  • 原産地:地中海東部(ギリシャ〜小アジア地域)
  • 開花期:秋 10月中旬~12月上旬
  • 多年草(球根植物)
  • 別名:アキザクラ(秋桜)、サフランクロッカス

サフランについて

特徴

  • 紫色の花を咲かせ、中心部から3本の赤い雌しべが伸びる。
  • その雌しべを乾燥させたものが高級香辛料「サフラン」。
  • わずか1gのサフランを得るために、約150花分の雌しべが必要。
  • 香りと色が非常に強く、料理(パエリア、ブイヤベースなど)や薬用、染料にも利用される。
  • 花は繊細で、朝開いて夕方にはしぼむ一日花。
  • 見た目はクロッカスに似るが、春咲きのクロッカスとは別種。

花言葉:「節度の美」

由来

  • サフランは派手な香りや色を持ちながらも、花姿は控えめで上品。
  • 鮮やかな赤い雌しべはわずかに花の中からのぞく程度で、自己主張しすぎない美しさを見せる。
  • また、サフランの香りや色も少量で十分に効果を発揮することから、
    → 「過剰ではなく、ほどよい分量・節度こそが美を生む」
     という意味が込められている。
  • このように、内に秘めた魅力・控えめな品格を象徴して、「節度の美」という花言葉がつけられた。

「香りの届く距離」

秋の終わり、町外れの小さな温室に、サフランの花が咲いていた。
 ガラス越しの光を受けて、薄紫の花びらが静かに開いている。その中心には、かすかに赤い雌しべがのぞいていた。

 「今年も、きれいに咲いたね」
 由香はしゃがみ込み、そっと指先で花の影をなぞった。母が生前、毎年欠かさず育てていた花だ。
 ――“サフランはね、派手すぎないところがいいのよ。”
 そう言って、母はいつも笑っていた。

 そのときの笑顔を思い出すたび、胸の奥が少し痛んだ。

 大学を出てから、由香はデザイン会社に勤めている。華やかな広告や商品のパッケージを手がける仕事だ。
 けれど、最近は何かが違う気がしていた。
 派手な色、強い言葉、目を引く形。
 どれも大切だとわかっているけれど、そればかりを追いかけているうちに、自分の描く線がどこか嘘っぽく感じられるようになっていた。

 そんなとき、久しぶりにこの温室に足を運んだのだ。

 指先にふと、香りが残った。
 サフランの香り――けれど、強くはない。
 顔を近づけなければわからないほどの、やわらかな香りだった。
 由香は目を閉じた。

 ――少しで、いいのよ。
 ――香りってね、届きすぎたら、疲れちゃうの。

 母の声が耳の奥で響く。
 そういえば、料理でもそうだった。母はいつもサフランをほんのひとつまみしか使わなかった。
 けれど、炊き上がったご飯は金色に輝き、食卓がふわりと明るくなった。

 その「少し」が、ちゃんと届くこと。
 それが、母の美しさだったのかもしれない。

 由香は立ち上がり、温室のドアを開けた。
 外はもう夕暮れだった。西の空がオレンジ色に染まり、風が冷たく頬を撫でる。
 手帳を取り出して、新しいページを開く。

 ――次の企画、「控えめな美しさ」をテーマに。
 ペンを走らせながら、彼女は微笑んだ。
 派手さではなく、内にある光を描けるものを。
 少しの色で、十分に伝わるものを。

 温室の中で、サフランが風に揺れた。
 花びらの奥で、赤い雌しべが夕陽を受けてかすかに光る。
 それはまるで、「節度の美」という言葉のかたちそのものだった。

 ――過剰ではなく、ほどよく。
 ――静かに、でも確かに。

 その香りが、由香の背中をやさしく押した。
 彼女は再び街へと歩き出す。
 控えめで、けれど確かな想いを胸に抱いて。

ユネスコ憲章記念日

11月4日はユネスコ憲章記念日です

1946年のこの日は「国際連合教育科学文化機関憲章」ユネスコ憲章が発効し、『ユネスコ』が発足した日です。「UNESCO」の名は正式名称「United Nations Educational, Scientific and Cultural Organization」の頭文字に由来しています。

ユネスコ

ユネスコは、第二次世界大戦後の1946年に人類が二度と戦争の惨禍を繰り返さないようにとの願いを込め、各国政府が加盟する国際連合の専門機関として創設されています。日本は、1951年に60番目の加盟国となり、そのきっかけが全国規模の民間運動です。

日本の敗戦から新たに憲章を掲げる

広島原爆ドーム

日本が敗戦後の混乱の中、1945~46年当時に「心の中に平和のとりでを築こう」という憲章を掲げています。そして、ユネスコが誕生したとの報道は、多くの日本人に復興への光が差したとして受け止められました。1947年の7月に世界で最初のユネスコ協会を誕生させ、1948年になると日本全国に50を超えるユネスコ協会が誕生しています。

戦争が無い世の中に

世界の今に学ぶ

戦争は、当事者はともかく罪の無い一般人も巻き添えになります。そして、その戦争も一般人の意思とは関係なく始まります。しかし、一人一人が戦争の怖さや無意味さを知り、意識することによって争いを止めることはできるのではないかと思っています。


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