5月13日の誕生花「サンザシ」

「サンザシ」

基本情報

  • 和名:サンザシ(山査子)
  • 学名Crataegus cuneata
  • 科名/属名:バラ科/サンザシ属
  • 原産地:中国
  • 開花時期:4月〜5月
  • 果実の時期:9月〜10月
  • 花色:白、淡いピンク
  • 樹形:落葉低木
  • 別名:オオミサンザシ、チャイニーズホーソン

サンザシについて

特徴

  • 小さな白や淡いピンクの花を枝いっぱいに咲かせる。
  • 秋には赤い実をつけ、観賞用としても人気が高い。
  • 実は甘酸っぱく、中国ではお菓子や漢方、果実酒などに利用される。
  • 枝には鋭いトゲがあり、外敵から身を守る性質を持つ。
  • 寒さや乾燥に比較的強く、丈夫で育てやすい。
  • 春の花、夏の緑、秋の実と、長い期間季節感を楽しめる植物。


花言葉:「希望」

由来

  • サンザシは厳しい寒さに耐え、春になると一斉に白い花を咲かせる。
    → その姿が「困難のあとに訪れる明るい未来」を連想させ、「希望」という花言葉につながった。
  • 秋には鮮やかな赤い実をたくさん実らせるため、古くから「豊かさ」や「生命力」の象徴とされてきた。
    → 実りを未来への恵みと考え、「これから先への期待」=希望を表すようになった。
  • 中国では古くから薬用植物として親しまれ、人々の健康を支えてきた歴史がある。
    → 「人を助ける植物」というイメージが、「救い」や「前向きな願い」を象徴する意味へ結びついた。
  • 鋭いトゲを持ちながらも可憐な花と鮮やかな実をつける姿から、
    「困難を乗り越えた先に美しい未来がある」という意味合いでも解釈されている。


「赤い実が灯るころ」

 冬の終わりが近づくころ、町はいつも灰色だった。
 空は低く垂れこめ、風は冷たく、人々は肩をすぼめながら駅へ急ぐ。
 そんな景色を、遥斗は病室の窓からぼんやりと眺めていた。

 高校二年の冬。
 彼は事故で右足を痛め、長い入院生活を送っていた。

 医師は「必ず歩けるようになる」と言った。
 母も「大丈夫」と笑っていた。
 けれど、遥斗にはその言葉を信じる力が残っていなかった。

 サッカー部で走り回っていた日々は遠く、白い天井を見つめる時間ばかりが増えていく。
 友人たちの見舞いも最初だけで、春が近づくころには連絡も減った。

 「このまま、全部終わるのかな……」

 小さく漏らした声は、静かな病室に吸い込まれていった。

 そんなある日、病室に祖母がやってきた。
 手には、小さな鉢植えが抱えられていた。

 「ほら、これ。庭で育ててたサンザシだよ」

 枝には小さなトゲがあり、まだ固い蕾がいくつもついていた。
 地味で、特別きれいにも見えない。

 「花なんか持ってきてどうするんだよ」
 遥斗が苦笑すると、祖母は穏やかに笑った。

 「この木はね、寒い冬をじっと耐えて、春になると一気に花を咲かせるんだよ」

 そう言って、祖母は窓辺に鉢を置いた。

 「秋には赤い実をつける。昔の人は、その実を“未来への恵み”だと思ったらしい」
 「未来への恵み……」
 「だから、“希望”って花言葉があるんだってさ」

 遥斗は興味なさそうに頷いたが、その言葉だけは胸のどこかに残った。


 数日後。
 リハビリ室で、遥斗は苛立っていた。

 「もう無理です」

 歩行訓練の途中で、彼は手すりを強く叩いた。
 足が思うように動かない。
 以前なら簡単にできた動作が、今は苦痛だった。

 理学療法士の佐伯は怒らなかった。
 ただ静かに言った。

 「サンザシって知ってる?」

 突然の言葉に、遥斗は眉をひそめる。

 「……なんですか、それ」
 「寒さに強い木なんだ。雪に埋もれても春になれば花を咲かせる」

 佐伯はリハビリ室の窓の外を見た。

 「でもな、花が咲くまでの間は、ずっと地味なんだよ。何も変わってないように見える」

 遥斗は黙った。

 「リハビリも同じだ。昨日より今日、今日より明日。少しずつしか変わらない。でも、見えないところでちゃんと前に進んでる」

 その言葉を聞いた瞬間、祖母の言葉が重なった。
 ——“希望”。


 春が来た。

 病室の窓辺に置かれたサンザシは、白い花を咲かせていた。
 小さく、控えめな花だった。
 けれど、その白さは驚くほど澄んでいた。

 遥斗はベッドから立ち上がり、ゆっくりと花に近づく。
 トゲだらけの枝の先で、花は静かに揺れていた。

 「……こんな木でも、咲くんだな」

 思わずこぼれた言葉に、自分で驚く。

 そのころには、遥斗は杖を使いながら歩けるようになっていた。
 まだ走れない。
 以前のようには動けない。
 それでも、彼は前を向き始めていた。


 退院の日。

 祖母はまた病院へ来ていた。
 窓辺のサンザシには、小さな緑の実がつき始めていた。

 「秋になれば赤くなるよ」
 祖母が言う。

 遥斗はその実を見つめた。
 まだ青く、未熟で、小さい。
 けれど確かに、未来へ向かって育っていた。

 「……俺も、ちゃんと戻れるかな」

 祖母はすぐには答えなかった。
 代わりに、サンザシの枝をそっと撫でた。

 「この木にはトゲがあるだろう?」
 「うん」
 「でも、その先に花が咲いて、実がなる。人も同じだよ」

 風が吹き、花びらが一枚、窓の外へ舞った。

 「痛みや苦しみがあるからこそ、人は優しくなれる。だから、つらかった時間も無駄じゃない」

 遥斗は静かに目を伏せた。

 事故に遭った日から、ずっと失ったものばかり数えていた。
 走れないこと。
 試合に出られないこと。
 友人と距離ができたこと。

 でも、本当に失っただけだったのだろうか。

 立ち止まったからこそ見えた景色もあった。
 支えてくれる人の存在も知った。
 何より、自分はまだ終わっていないのだと気づけた。


 秋。

 退院から数か月後、遥斗は祖母の庭に立っていた。

 サンザシには、鮮やかな赤い実が無数についていた。
 夕陽を受けて、その実は小さな灯火のように輝いている。

 遥斗は松葉杖なしで歩いていた。
 まだ少しぎこちない。
 それでも、自分の足で立っている。

 「きれいだな……」

 そう呟くと、祖母が笑った。

 「希望っていうのはね、最初から強く輝いてるものじゃないんだよ」

 遥斗は赤い実を見つめる。

 「寒さを耐えて、傷ついて、それでも生きてるうちに、少しずつ育つものなんだ」

 風が吹き、枝が揺れた。

 赤い実は落ちなかった。
 細い枝にしっかりと実りながら、静かにそこに在り続けていた。

 その姿はまるで、
 どんな冬の先にも、春は必ず来るのだと告げているようだった。

5月13日の誕生花「ボロニア」

「ボロニア」

基本情報

学名 :Boronia
科名 :ミカン科(Rutaceae)
属名 :ボロニア属(Boronia)
原産地 :オーストラリア
花期 春:2月下旬(流通開始)~5月
草丈 :20~200cmほど(種類による)
花色 :ピンク、赤、紫、黄色、茶色など

ボロニアについて

特徴

  • 芳香性:ボロニアはとても良い香りがする花として知られ、特に Boronia megastigma は香水の原料にも使われます。
  • 花の美しさ:小さな鐘形の花を多数咲かせ、葉や茎も香りを放ちます。
  • 育て方:湿度と水はけのバランスが大事。高温多湿に弱く、日本では鉢植え管理が推奨されます。

花言葉:「心が和む」

ボロニアの花言葉「心が和む(=relaxing, soothing)」は、その香りと姿の優美さに由来しています。

  • 香りの癒し効果:甘くやさしい芳香は、ストレスを和らげ、心を落ち着ける効果があるとされます。
  • 見た目の可憐さ:可憐で控えめな花姿は見る人の心をなごませます。
  • 自然との調和:オーストラリアの大自然に咲く花として、自然と人との調和を象徴する存在とも言われます。

このように、香りとビジュアルの癒し効果が相まって、「心が和む」という花言葉がつけられました。


「ボロニアの午後」

雨上がりの午後、優子は祖母の庭で、ひときわ甘く漂う香りに足を止めた。
湿った土の匂いと混じって、かすかに柑橘のような、やさしい香りが鼻をくすぐる。

「あれ、これ……ボロニアだわ」

祖母の庭に咲くその小さな花を、優子は小学生のころにも一度見たことがあった。
茶色と黄色のコントラストが印象的で、目立たないのに、なぜか記憶に残る香り。

「そう、それよ。あなた、小さいころこの花が好きだったわね」

縁側から声をかけてきた祖母は、ゆっくりと立ち上がって、花のそばに来た。
その手には、古びた剪定ばさみ。

「この花、”心が和む”っていう花言葉があるのよ。知ってた?」

「うん……なんとなく、わかる気がする。なんか、落ち着く匂い」

祖母はにっこりと笑って、ひと枝のボロニアを切り取った。
「じゃあ、お部屋に飾りましょう。今日みたいな日は、気持ちが少し軽くなるわ」

優子はこの春、仕事を辞めて東京から戻ってきた。
職場では毎日何かしら怒鳴られ、意味のない会議に振り回され、残業が当然の空気。
誰かの期待に応えようとするほど、自分の輪郭がぼやけていく気がしていた。

「もう疲れた。もう、何もしたくない」

そう思って実家に戻ったものの、心の重さは簡単には消えなかった。

でも、祖母の庭には時間の流れが違っていた。
ボロニアも、沈丁花も、ローズマリーも、誰に頼まれるでもなく、ただそこに咲いている。

「昔ね、おじいちゃんがこの花を持ってきたの。オーストラリアのお土産でね」
祖母は花瓶にボロニアを挿しながら言った。

「土に合うか心配だったけど、不思議と根付いたのよ。香りが好きで、毎年増やしてるの」

ボロニアの小さな花弁に目を落とすと、たしかに、何かがほぐれるような気がした。
東京のアスファルトの上では、こんな風に呼吸をしていなかった。

その夜、優子はふとノートを取り出した。
書きかけだった小説の続きを、久しぶりに書きたくなったのだ。

「誰のために書くでもなく、自分のためにだけ書いてもいいんだ」
そんな気持ちが、ボロニアの香りと一緒に、静かに胸にしみこんでいった。

ページに走るペンの音だけが、部屋に響く。
雨のにおいはすっかり消え、窓の外には、星が一つだけ瞬いていた。

心が和む——たしかに、この花にはそんな力がある。

そして、その香りは、彼女に“戻ってくる場所”を思い出させてくれたのだった。

4月29日、5月10日、13日の誕生花「カキツバタ」

「カキツバタ」

基本情報

  • 和名:カキツバタ(杜若)
  • 学名Iris laevigata
  • 科名/属名:アヤメ科/アヤメ属
  • 原産地:日本、朝鮮半島~東シベリア
  • 開花時期:5月~6月中旬(秋に咲くものもある)
  • 花色:紫、青紫、まれに白
  • 草丈:60〜100cm
  • 分類:多年草(水辺植物)
  • 生育環境:湿地や池のほとりなど、水辺を好む
  • 用途:庭園、池周りの植栽、観賞用

カキツバタについて

特徴

  • 水辺に群生する優雅な花姿
    湿地や浅い水辺に生え、すっと伸びた茎の先に大きな花を咲かせる。
  • 紫の気品ある花色
    落ち着いた青紫色が上品で、古くから日本の美意識と結びついてきた。
  • 花弁に入る白や黄色の模様
    花の中心部分に入る模様がアクセントとなり、繊細な美しさを引き立てる。
  • 直立した葉の美しいライン
    細長い葉がまっすぐ伸び、全体としてすっきりとした印象を与える。
  • 季節を告げる初夏の花
    新緑の季節に咲き、季節の移ろいを感じさせる存在。


花言葉:「幸せは必ず来る」

由来

  • 毎年必ず咲く安定した開花性から
    同じ場所で変わらず花を咲かせることが、「やがて訪れる確かな幸せ」を象徴した。
  • 水辺という恵まれた環境での成長
    豊かな水の中でしっかり根を張る姿が、安定した未来や満たされる日々を連想させた。
  • 凛とした立ち姿の前向きな印象
    まっすぐ伸びて咲く姿が、希望を持ち続ける強さと結びつき、「良い未来が訪れる」という意味が込められた。
  • 古来より吉祥とされる花であること
    日本の文学や文化の中で美しいもの・良い兆しとして扱われ、「幸せの到来」を象徴する花とされた。


「水のほとりで待つもの」

 その場所は、町のはずれにある小さな湿地だった。
 観光地というほど整えられているわけでもなく、案内板も控えめで、知らなければ通り過ぎてしまうような場所。それでも、毎年この季節になると、静かに人が訪れる。
 カキツバタが咲くからだ。
 細い木道を渡りながら、遥は足元の水を見つめていた。水面は穏やかで、風がなければ鏡のように空を映す。浅いところには草が揺れ、その間からすっと伸びた茎が、規則正しく並んでいた。
 そして、その先に紫の花がある。
 凛とした姿で、空に向かって咲いている。
 「……今年も、咲いたんだ」
 遥は小さく呟いた。
 その声は、水の上でやわらかく消えていく。
 ここに来るのは、これで三年目だった。
 最初に訪れたのは、仕事を辞めた直後だった。何もかもがうまくいかなくなり、自分がどこに向かっているのか分からなくなっていた頃。偶然見つけたこの場所で、ただ立ち尽くしていたのを覚えている。
 そのときも、カキツバタは咲いていた。
 今と同じように、何事もないかのように。
 「変わらないな……」
 思わず、苦笑がこぼれる。

 自分のほうは、あの頃から少しは前に進んだのだろうか。新しい仕事を見つけ、日々をなんとかこなしている。けれど、それが「進んでいる」と言えるのかは、正直分からなかった。
 木道の途中で立ち止まり、花を見つめる。
 カキツバタは、毎年同じ場所に咲く。誰に見られなくても、評価されなくても、ただその時期が来れば、自然に花を開く。
 迷いも、躊躇もない。
 まっすぐに伸びた茎の先で、静かに、しかし確かな存在感を持って咲いている。
 「いいな、そういうの」
 ぽつりとこぼれた言葉は、少しだけ羨望を含んでいた。
 遥は昔から、何かを続けるのが苦手だった。途中で迷い、別の道に目移りし、結局どれも中途半端になる。そんな自分に、何度も嫌気がさしてきた。
 だからこそ、この花の「変わらなさ」が眩しく見える。
 水の中に目をやる。
 根は見えない。泥の中に埋もれているはずだ。
 けれど、その見えない部分があるからこそ、花はこうしてまっすぐに立っていられる。
 「見えないところで、ちゃんと支えてるんだな……」
 言葉にしてみて、少しだけ納得する。
 人も同じかもしれない。
 表に見えるものだけがすべてではない。

 うまくいかなかった時間も、迷った日々も、何も残っていないように見えて、どこかで根になっているのかもしれない。
 風が吹いた。
 水面が揺れ、カキツバタの影がゆらりと歪む。
 だが、花そのものは大きく揺れない。
 しなやかに、しかし折れずに、その場に立ち続けている。
 「……強いな」
 遥は小さく息を吐いた。
 強さとは、何だろう。
 何も感じないことでも、迷わないことでもない。
 たぶん、揺れながらも、立ち続けることだ。
 視線を上げると、空は明るく晴れていた。
 水辺の空気は少しだけひんやりとしていて、それがかえって心地いい。
 遠くで、誰かの笑い声がした。
 家族連れだろうか。子どものはしゃぐ声が、風に乗って届く。
 その音を聞きながら、遥はふと考えた。
 「幸せって、なんだろうな」
 答えは出ない。
 けれど、以前よりも、その問いに対して焦りを感じなくなっている自分に気づく。
 すぐに見つからなくてもいい。
 今はまだ、途中なのだと思えばいい。
 カキツバタは、毎年必ず咲く。

 それは、未来がちゃんと巡ってくるということの証のようにも思えた。
 どんなに何も変わっていないように見えても、季節は進み、やがて花は開く。
 ならば、自分にも、いつかはその時が来るのかもしれない。
 「……もう少し、やってみるか」
 小さく呟く。
 誰に聞かせるでもない、ただの独り言。
 それでも、その言葉は確かに自分の中に残った。
 木道を歩き出す。
 一歩一歩は、特別なものではない。
 けれど、止まらなければ、どこかには辿り着く。
 ふと振り返ると、カキツバタが風の中で揺れていた。
 変わらない姿で、しかし確かに今この瞬間に咲いている。
 その景色を胸に刻み、遥は前を向いた。
 幸せは、突然降ってくるものではないのかもしれない。
 気づかないうちに近づいてきて、ある日ふと、そこにあると知るもの。
 水辺の花のように。
 静かに、確かに。
 ――必ず、来る。

3月11日、24日、4月22日、5月13日の誕生花「ハナビシソウ」

「ハナビシソウ」

Marc PascualによるPixabayからの画像

ハナビシソウ(花菱草)は、カリフォルニアポピー(学名: Eschscholzia californica)とも呼ばれるケシ科の植物です。明るいオレンジや黄色の花が特徴で、観賞用として人気があります。

ハナビシソウについて

fernando zhiminaicelaによるPixabayからの画像

基本情報

  • 学名: Eschscholzia californica
  • 英名: California Poppy
  • 科属: ケシ科ハナビシソウ属
  • 原産地: 北アメリカ西部(カリフォルニア州など)
  • 開花時期: 春から初夏(4月~6月)
  • 花色: オレンジ、黄色、白、ピンクなど

特徴

  • 日光が当たると花が開き、曇りの日や夜間には閉じる性質を持っています。
  • 乾燥に強く、育てやすい植物として庭や公園でよく見られます。
  • 鎮静作用があるとされ、伝統的な薬草としても利用されてきました。

明るく元気な印象のあるハナビシソウは、贈り物や庭づくりにもぴったりの花ですね!🌼


花言葉:「富」

JackieLou DLによるPixabayからの画像

ハナビシソウの花言葉の一つに「富」があります。これは、花の明るい黄金色が金貨や豊かさを連想させることに由来します。特にカリフォルニア州では「ゴールドラッシュ」の象徴とされ、州の花にも指定されています。

その他の花言葉

  • 「成功」
  • 「希望」
  • 「癒し」
  • 「私を拒絶しないで」

「黄金の絆」

Frauke RietherによるPixabayからの画像

カリフォルニアの広大な大地に、春の陽射しが降り注いでいた。その光は、一面に広がるハナビシソウの花畑を黄金色に染め上げ、まるで大地が金貨で覆われているかのようだった。この地で生まれ育った少年、ジャックは、その美しい光景を毎年楽しみにしていた。

ジャックの家族は代々続く農家で、彼もまた将来はこの土地を守っていくことを夢見ていた。しかし、近年の干ばつや経済の変化により、農場の経営は苦しくなっていた。ジャックの父は必死に働いていたが、それでも家族の生活は厳しいものだった。

Сергей ШабановによるPixabayからの画像

「ジャック、今日も手伝ってくれるかい?」
父の声にジャックは頷き、一緒に畑に向かった。彼らはハナビシソウの種を蒔き、来年の春にまた黄金色の花畑が広がることを願っていた。

「父さん、この花はなぜこんなにきれいなんだろう?」
ジャックが尋ねると、父は優しく微笑んだ。

「ハナビシソウは、カリフォルニアのゴールドラッシュの時代からこの地に咲いているんだ。その黄金色は、人々に富と希望を与えてくれるんだよ」
「富と希望…」
ジャックはその言葉を繰り返し、心に刻み込んだ。

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ある日、ジャックは学校の図書館でハナビシソウについて調べていた。彼はその花が「富」という花言葉を持つことを知り、驚きと共に興味を持った。彼はその花言葉に何かヒントがあるのではないかと考え、父に話してみることにした。

「父さん、ハナビシソウには『富』という花言葉があるんだ。この花を使って、何か新しいことを始められないかな?」
父はジャックの言葉に耳を傾け、真剣に考えた。

「確かに、この花は人々を惹きつける力がある。でも、どうやってそれを活かせばいいんだろう?」
ジャックは思案した末、あるアイデアを思いついた。

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「観光農園を作ってみたらどうかな? この美しい花畑を見に、たくさんの人が訪れてくれるかもしれない」
父はそのアイデアに目を輝かせ、家族で話し合うことにした。彼らは皆、ジャックの提案に賛成し、早速計画を立て始めた。

次の春、ジャックの家族はハナビシソウの花畑を観光農園として開放した。最初は小さな試みだったが、その美しい光景はすぐに人々の口コミで広がり、多くの観光客が訪れるようになった。ジャックはガイドとして、訪れる人々にハナビシソウの歴史や花言葉を語り、その魅力を伝えた。

Marc PascualによるPixabayからの画像

「この花は『富』という花言葉を持っています。でも、それはお金だけではなく、心の豊かさも表しているんです」
ジャックの言葉に、訪れた人々は深く頷き、その美しさに感動していた。

観光農園は順調に運営され、ジャックの家族の生活も少しずつ豊かになっていった。しかし、彼らにとって本当の富は、この土地で過ごす日々と、訪れる人々との絆だった。

ある日、ジャックは父と共に花畑を歩いていた。黄金色の花が風に揺れ、その美しさに二人は心を奪われた。

「ジャック、君のアイデアが私たちを救ってくれた。君は本当にこの土地の未来を守る力を持っている」

Adam McIntyreによるPixabayからの画像


父の言葉にジャックは照れながらも、誇らしい気持ちでいっぱいだった。

「父さん、これからもこの土地で、たくさんの人に希望を与えていきたいです」
「そうだな。このハナビシソウのように、私たちも人々の心を豊かにしていこう」

春の風が花畑を優しく吹き抜け、ハナビシソウが揺れる。その花言葉のように、ジャックの家族の絆は深まり、この土地はこれからも黄金色の希望に満ちた日々を続けていくのだろう。

愛犬の日

5月13日は愛犬の日です

5月13日は愛犬の日

5月13日は、制定した団体や目的、由来などの詳細は不明であり、あまり馴染みがありませんが、この日は愛犬の日となっています。それでは一体どんな記念日なのでしょう。今回は、愛犬の日の由来や歴史、また愛犬の日以外の犬の記念日など調べてみました。

愛犬の日の由来は?

愛犬の日の由来

この日のきっかけは、1956年5月13日に犬のイベントが開催され、その日から後に「愛犬の日」と呼ばれるようになったといわれています。太平洋戦争が終結した1945年に、日本はすべてを失い様々な分野で新たな時代を迎えています。

犬に関する情報網

そして、犬を取り巻く環境も変化していき、色々な犬種がペットして飼われはじめ、犬に関する情報網も整備されました。この時期に犬への関心が高まり、「愛犬の友」という雑誌が1952年1月に創刊され、より犬への関心が深まったといいます。犬への関心をさらに高めるため、当時の誠文堂新光社社長だった小川菊松氏は、当時としては珍しいイベントを計画しました。そのイベントがこの日に開催され、「愛犬の日」となったといわれています。

他にも愛犬関連の日がたくさん!

動物を大切にするための記念日

この一年間で「愛犬の日」以外も、犬又は猫などの動物を大切にしようという記念日がたくさんあります。それらの記念日をいくつか紹介します。

忠犬ハチ公の日

秋田犬

忠犬ハチ公の日は、以前このサイトで詳しく紹介していますが、この日は亡くなっても飼い主の帰りを待ち続けたハチの命日の1か月後に秋田犬群像維持会によって制定されました。実はこのハチ、柴犬ではなく秋田犬であり、外見がよく似ていますが、秋田犬は柴犬に比べ、大きいのめという特徴があります。

ファシリティドッグの日

ファシリティドッグ

「ファシリティドッグ」とは、病院に常勤して医療チームの一員として働くために専門的なトレーニングを受けた犬です。臨床経験のある看護師「ハンドラー」とペアになって活動、そして単なる患者との触れ合いだけではなく、治療にも関わります。日本ではまだ、シャイン・オン・キッズ(認定NPO法人)が派遣している2頭(ゴールデンレトリバー)しか存在していないそうです。「ファシリティドッグの日」は7月1日です。

動物愛護週間

動物愛護週間

動物愛護週間は、動物の愛護及び管理に関する法律(動物愛護管理法)の理解と関心を深めるために定められています。

動物虐待防止の日

動物愛護法

愛護動物を虐待や「遺棄・みだりに殺したり傷つける」ことは違法行為となり、それを違反すると、懲役や罰金に処せられます。ちなみに、愛護動物は、牛、馬、豚、めん羊、山羊、犬、猫、いえうさぎ、鶏及びあひるなどです。そして、人が占有している動物で哺乳類、鳥類又は爬虫類に属するものも該当します。「動物虐待防止の日」の日付は、9月23日となっています。

動物に何の罪は無い

罪も無い動物に人間が愛情を持って接する

我々人間は、生きるために命をいただくことはあります。しかし、それだけで十分であってそれ以上ことは、何もありません。また動物はというと、人間が勝手に作った社会について行くしかないのが現状です。せめて、何の罪も無い動物に人間が愛情を持って接しながら、どういう風に共存していくかが今後の課題となるような気がします。

---- 2022年・最新情報 -----

ウクライナ避難民ためのペット「特別ルール」

ウクライナ避難民ためのペット「特別ルール」が適用されました。一般的には、動物検疫の書類無しでは最大180日の係留が適用されますが、災害救助犬などが海外から支援にきたときには、「特例ルール」が適用されます。しかし今回の場合、「狂犬病ワクチン」2回接種歴と「血液検査」から基準値以上の抗体価であれば、飼い主の滞在先に同行できるそうです。そして、待機期間中の抗体価が低い時には、1日2回の健康観察や動物検査所への週1回の報告などへの同意を求めるというものです。

ロシアのウクライナ侵攻

今回、日本側の対応として「ロシアのウクライナ侵攻」の危険から無事に逃れたウクライナ避難民の心理を読み取り、異国での不安などから、愛犬と一緒にいることで少しでも安らぐことを願うということで、日本の農林水産省が素早く動物検疫の係留守期間を緩和したのことです。人の命を何とも思わない軍隊から恐怖を与えられ、ようやくたどり着いた異国の不安な気持ちを癒してくれるのは、やはり欲も野心も無い愛犬であることは誰もが知っています。



≫ その他の記念日

過去6日までの記念日です。

「愛犬の日」に関するツイート集

2026年の投稿

2025年の投稿

2024年の投稿

5月12日の誕生花「赤いカーネーション」

「赤いカーネーション」

基本情報

  • 分類:ナデシコ科ナデシコ属
  • 学名Dianthus caryophyllus
  • 英名:Carnation
  • 原産地:南ヨーロッパ、西アジア
  • 開花期:四季咲き性(主に4月~6月)(温室栽培では通年流通)
  • 花色:赤、濃赤、深紅
  • 草丈:30〜60cmほど
  • 用途:母の日の贈り花、花束、フラワーアレンジメントなど

赤いカーネーションについて

特徴

  • フリルのように重なった花びらが華やかで美しい
  • 甘くやさしい香りを持つ品種が多い
  • 花持ちが良く、切り花として人気が高い
  • 茎がしなやかで、花束や装飾に使いやすい
  • 赤色は特に温かさや愛情を感じさせる代表的な色
  • 母の日の象徴的な花として世界中で親しまれている


花言葉:「母への愛」

由来

① 母の日の象徴となった歴史から

  • 赤いカーネーションは「母の日」を代表する花として知られている
  • アメリカの女性アンナ・ジャービスが、亡き母を偲び、母が好きだった白いカーネーションを教会へ贈ったことが始まりとされる
  • その後、「健在の母には赤いカーネーションを贈る」習慣が広まり、「母への愛」の象徴となった

② 赤色が持つ愛情のイメージから

  • 赤は昔から「愛」「情熱」「ぬくもり」を象徴する色
  • 家族を包み込むような母の深い愛情と結びつき、「母への愛」という花言葉が生まれた

③ やさしく包み込む花姿から

  • 幾重にも重なる花びらが、やわらかく温かな印象を与える
  • その姿が「母の優しさ」や「包容力」を連想させる
  • 見る人に安心感を与えることから、感謝や愛情の意味が込められた

④ 長く咲き続ける生命力から

  • カーネーションは比較的花持ちが良く、長く美しさを保つ花
  • その姿が、変わることなく続く母の愛情を象徴していると考えられている
  • 「いつまでも続く感謝と愛」を伝える花として定着した


「赤いカーネーションが咲く日」

 五月の風は、どこかやさしい。
 商店街の軒先には色とりどりの花が並び、その中でも赤いカーネーションは、ひときわ温かな色をしていた。
 遥は花屋の前で立ち止まり、小さく息をつく。
 「……今年も、母の日か」
 店先には「ありがとうを贈ろう」と書かれた札。
 赤いカーネーションの花束が、いくつも並べられている。
 子どもの頃は、毎年のように母へ花を渡していた。
 折り紙で作ったカードを添えて、「いつもありがとう」と照れながら言った記憶もある。
 けれど大人になるにつれて、そんなことをしなくなった。
 仕事に追われ、実家へ帰る回数も減った。
 電話ですら「また今度」と先延ばしにしてしまう。
 それなのに、母は変わらなかった。
 「ちゃんと食べてる?」
 「無理しすぎてない?」
 「風邪ひいてない?」
 連絡が来るたび、そんな言葉ばかりだった。
 遥はガラス越しに赤い花を見つめる。

 幾重にも重なる花びらは、まるで誰かを包み込む掌のように柔らかい。
 「母への愛、か……」
 花屋のポップに書かれた花言葉を読み、遥は苦笑した。
 自分はちゃんと伝えられているだろうか。
 感謝も、愛情も。
 当たり前になりすぎて、言葉にすることを忘れていた気がした。
 その時だった。
 「遥?」

 後ろから声がする。
 振り返ると、幼なじみの真帆が立っていた。
 「あ、久しぶり」
 「母の日の花?」
 真帆は赤いカーネーションを見て微笑む。
 遥は少し肩をすくめた。
 「どうしようかなって考えてた」
 「買わないの?」
 「今さらって感じしない?」
 そう言うと、真帆は少し驚いた顔をした。
 「今さら、なんてことないでしょ」
 風が吹き、花屋の前に吊るされたリボンが揺れる。
 真帆は赤いカーネーションを一本手に取りながら言った。
 「おばさん、昔から遥のことすごく大事にしてたじゃない」
 遥は視線を落とした。
 子どもの頃、熱を出した夜。

 母は朝まで何度も額に触れてくれた。
 受験に失敗して泣いた時も、何も責めず、「頑張ったね」と言ってくれた。
 東京へ出る日には、笑顔で送り出してくれたけれど、駅でひとりになった時、きっと泣いていたのだろう。
 母はいつも、そうだった。
 自分のことより、遥のことを先に考える人だった。
 「カーネーションってさ」
 真帆が静かに言う。

 「母の日の象徴になったの、亡くなったお母さんを想って贈られた花が始まりなんだって」
 遥は顔を上げる。
 「へえ……」
 「そこから、“生きているお母さんには赤いカーネーションを贈る”って広まったらしいよ」
 赤い花が、午後の光を受けて揺れていた。
 その色は、ただ鮮やかなだけじゃない。
 どこか温かく、懐かしい。
 まるで、母の手のぬくもりみたいだった。
 「赤って、不思議だよね」
 遥はぽつりと言う。
 「強い色なのに、見てると安心する」
 真帆はうなずいた。
 「たぶん、“愛情の色”だからじゃない?」
 愛情。
 その言葉を胸の中で繰り返した瞬間、遥はふいに気づく。
 母の愛情は、いつだって派手じゃなかった。
 大げさな言葉を言う人でもない。

 ただ毎日、当たり前みたいに弁当を作り、洗濯をし、疲れて帰れば「おかえり」と言ってくれる。
 それだけだった。
 けれど、本当はそれがどれほど深い愛情だったのか、今ならわかる。
 カーネーションの花びらを見つめる。
 幾重にも重なるその姿は、まるで母の優しさのようだった。
 どこまでも柔らかく、静かで、あたたかい。
 「……買おうかな」
 遥が呟くと、真帆は笑った。
 「うん。その方が絶対いい」
 花屋の店主が赤いカーネーションを束ねていく。
 白い紙に包まれた花は、まるで小さな灯火みたいだった。
 「メッセージカード、つけますか?」
 そう聞かれ、遥は少し迷う。
 ありがとう。
 元気でいてね。
 身体を大事にして。
 伝えたいことはたくさんあるのに、言葉にしようとすると照れくさい。
 けれど、ふと子どもの頃を思い出した。
 小さな字で、一生懸命書いたカード。
 あの頃は、もっと素直だった。
 遥はペンを取り、小さく文字を書く。
 ――いつもありがとう。
 それだけだった。
 でも、その短い言葉の中には、今まで伝えきれなかった想いが詰まっている気がした。
 夕方、遥は実家へ向かう電車に乗った。
 窓の外では、街がゆっくり夕焼けに染まっていく。
 膝の上には、赤いカーネーション。

 花は静かに揺れながら、変わらない愛をそこに咲かせていた。
 母の愛情も、きっと同じなのだろう。
 見返りを求めず、ただ長い時間をかけて、誰かを包み続ける。
 カーネーションが長く咲き続けるように、母の愛もまた、簡単には消えない。
 駅に着くころには、空は群青色に変わっていた。
 実家までの道を歩きながら、遥は少しだけ緊張していた。
 こんなふうに花を持って帰るのは、何年ぶりだろう。
 玄関の前で深呼吸をする。
 そして、チャイムを押した。
 扉が開き、母が顔を出す。
 一瞬驚いたあと、ふっと笑った。
 「どうしたの、急に」
 遥は照れくさそうに花束を差し出した。
 「……母の日」
 母は目を丸くする。
 赤いカーネーションが、玄関の灯りの中でやさしく揺れていた。
 その瞬間、遥は思った。
 花言葉とは、きっと誰かの願いなのだと。
 言葉にしきれない想いを、花に託したいという願い。
 赤いカーネーションの「母への愛」も、きっとそうやって生まれた。
 母は花束を抱きしめるように受け取る。
 その笑顔は、遥が子どもの頃からずっと変わらない。
 あたたかくて、やさしくて、帰る場所みたいな笑顔だった。
 五月の夜風が、静かに吹いていた。

3月7日、4月23日、5月12日、7月8日の誕生花「カンパニュラ」

「カンパニュラ」

Yvonne HuijbensによるPixabayからの画像

基本情報

  • 和名:ツリガネソウ(釣鐘草)
  • 学名Campanula medium
  • 科名:キキョウ科(Campanulaceae)
  • 属名:カンパニュラ属
  • 原産地:南ヨーロッパ(フランス南東部からイタリア半島)
  • 開花時期:5月〜7月(種類によって異なる)
  • 草丈:約20cm〜1m前後(品種による)
  • 多年草または一年草:主に多年草(ただし一年草扱いされるものもあり)

カンパニュラについて

ingeborglindauerによるPixabayからの画像

特徴

  • 花の形が鐘(ベル)に似ていることから、ラテン語で「小さな鐘」を意味する「Campanula」が名前の由来。
  • 花色は紫・青・白・ピンクなどがあり、涼しげで上品な印象を与える。
  • 種類が豊富で、立ち性・ほふく性・つる性など様々な草姿がある。
  • 寒さに強く、耐寒性が高いため、寒冷地でも栽培しやすい。
  • 鉢植えや花壇、切り花としても人気が高い。
  • 中世ヨーロッパでは修道院の庭などで薬草や観賞用として栽培されていた歴史がある。

花言葉:「感謝」

Jan HaererによるPixabayからの画像

カンパニュラの花が風にゆれる様子や、控えめで可憐な姿が、人に何かを伝えたくてそっと話しかけているように見えることから、「感謝」「ありがとう」という気持ちを象徴するようになった。

釣鐘型の花が**「ありがとう」とお礼の言葉を告げるベルのよう**に見える、というイメージが背景にある。

花が下向きに咲く品種が多く、控えめで謙虚な印象が、感謝の気持ちを静かに表す姿と重なる。

誰かにそっと贈りたくなる、静かな思いやりの象徴として「感謝」の花言葉が定着したとされる。


「風のベルが鳴るとき」

Annette MeyerによるPixabayからの画像

駅から少し離れた場所に、小さな花屋がある。
 古い木の扉、白いペンキが少しはがれかけた看板、そして店先に並ぶ鉢植えたち。その一角に、紫と白の可憐な花が静かに揺れていた。

「……これ、カンパニュラっていうんだ」
 そう言ったのは、あのときの君だった。

 高校を卒業してから、もう十年以上が経つ。別々の道を選び、それぞれの場所で大人になった。だけど今でも、あの花を見れば君の声がよみがえる。風にそっと揺れるあの釣鐘型の花が、まるで「ありがとう」と小さくささやいているように思えてしまうのだ。

 あの日も風が吹いていた。卒業式のあと、私は花束を持って君のもとへ向かった。けれど、何も言えなかった。ただ花を差し出して、ぎこちなく笑っただけだった。
 君は、ふっと目を細めて、
「これ、僕の好きな花だ」
 そう言ってカンパニュラの花に指を伸ばした。

 君がこの花を好きだなんて知らなかった。偶然だった。だけどそれが、私たちの最後の会話になった。

 あれからずっと、「ありがとう」の言葉が言えずにいた。励まされていたこと、救われていたこと、君がさりげなく私にくれていた優しさのすべてに、何一つ返せないまま、私は大人になってしまった。

Foto-RaBeによるPixabayからの画像

 ——でも、もし、あの頃の自分に何かできるとしたら。
 花を通して、伝えることができるのなら。

 私は今、花屋で働いている。
 君のことがきっかけだった。カンパニュラに惹かれて、花の仕事を選んだ。言葉では伝えられなかった気持ちを、そっと花に託すようになった。

 今日も、あの花が風に揺れている。

 釣鐘型の小さな花が、まるで風とともにメッセージを奏でるように――。

「ありがとう」
 誰かに、そう伝えたくてここに来る人たちの気持ちを、私はそっと受け取る。

 控えめで可憐な花、カンパニュラ。
 下向きに咲くその姿は、まるで遠慮がちに頭を下げているよう。だけど、だからこそ美しい。静かで謙虚なその花姿は、言葉よりも深く感謝の心を映している。

 私は今日も一輪のカンパニュラをラッピングする。
 いつかの自分のように、言葉にならない「ありがとう」を胸に抱えて、この店の扉をくぐる誰かのために。

 風がまた、店先の花を揺らす。
 カンパニュラが、小さくベルを鳴らすように、優しく――静かに。

5月12日、9月29日の誕生花「ツンベルギア」

「ツンベルギア」

Robbi HoyによるPixabayからの画像

基本情報

  • 分類:キツネノマゴ科 (Acanthaceae)
  • 学名Thunbergia alata(代表的な品種)
  • 英名:Black-eyed Susan vine(ブラックアイド・スーザン・バイン)
  • 原産地:アジア、アフリカの熱帯~亜熱帯の地域
  • 開花期:初夏〜秋(5月~10月頃)
  • 草丈:1.5〜3メートル(つる性)
  • 栽培環境:日当たりと風通しのよい場所、水はけのよい土壌

ツンベルギアについて

特徴

  • 花色:オレンジ、黄色、白、紫など(中心に黒や濃い色の目のような模様があるのが特徴)
  • 形状:5枚の花弁を持つ円形の花で、中心部に暗色の目のような部分があります。
  • 生育:ツルを伸ばして成長し、トレリスやフェンス、鉢植えでのハンギングにも適しています。
  • 利用:ガーデニング、壁面緑化、バルコニー装飾などに活用されます。

花言葉:「美しい瞳」

ツンベルギアの代表的な品種であるThunbergia alata(ブラックアイド・スーザン・バイン)は、花の中心に濃い黒や茶色の「目」のような部分があるのが特徴です。この「瞳のような花姿」から、「美しい瞳」という花言葉がつけられました。

また、花弁の明るいオレンジや黄色と中心の黒の対比が、まるで人の瞳のように引き立って見えることから、人を惹きつけるような魅力的な「まなざし」を連想させたともいわれています。


「美しい瞳の庭」

夏の始まり、祖母の庭はツンベルギアの花で溢れていた。
オレンジや黄色の花弁の中心に、黒く深い色を湛えた“瞳”がこちらを見つめているように揺れていた。

「この花の名前は、ツンベルギアっていうのよ。美しい瞳っていう花言葉があるの」

幼い頃、祖母が教えてくれたその言葉を、私は今でも鮮明に覚えている。

祖母の家には、夏になるたび母と一緒に帰省していた。都会の喧騒とは違う、蝉の声と土の匂い、夕立の気配に包まれるその庭は、私にとって異世界だった。そしてツンベルギアの花は、まるで庭の守り神のように、どの年も同じように咲いていた。

祖母はもうこの世にはいない。けれどその庭は、今、私の手元にある。相続の手続きが終わり、久しぶりにひとりでこの家を訪れた私は、かつての面影を探すように庭に出た。

そして、ツンベルギアを見つけた。

フェンス沿いに絡みついたツルの先に、小さくも力強く咲いているオレンジの花。その中心には、あの「瞳」があった。

私は思わずしゃがみこみ、その花と目を合わせる。どこか懐かしくて、優しくて、でも何かを見透かすような、強い意志を感じる瞳。小さな花が語りかけてくる。

「大丈夫。あなたならできるわ」

そんな気がした。

ふいに、子供の頃の記憶が蘇る。

祖母はいつも私の目を見て話してくれた。話を聞いてくれるときも、叱るときも、笑うときも。視線を逸らさず、まっすぐに私を見つめていた。
「あなたの瞳はとってもきれいよ。だからね、嘘はつかない瞳でいなさい」
そう言って、ツンベルギアの前で微笑んだ祖母の姿が浮かぶ。

私はその日、庭に手を入れ始めた。荒れた雑草を抜き、花の周りの土を耕し、ツンベルギアに新しい支柱を立てた。

ひとつ手をかけるたびに、祖母との記憶がよみがえる。あの夏、スイカを食べながら見た夕焼け。縁側で眠ってしまった夜。手を引かれて歩いた近所の道。

「美しい瞳」という花言葉は、ただ見た目の話ではないのかもしれない。
真っ直ぐで、優しくて、そして人の心を見守るような――そんな想いが、あの花には宿っている。

秋の風が吹くころ、庭はすっかり整っていた。通りすがりの近所の人が立ち止まり、「きれいなお庭ですね」と声をかけてくれるようになった。

私は微笑み、「ツンベルギアっていうんです。美しい瞳っていう花言葉なんですよ」と返す。まるで、かつて祖母が私にそうしたように。

小さな瞳の花が、今日も風に揺れている。
その眼差しが、これからの私の背中をそっと押してくれる。
この庭で、私はまた一歩、自分の人生を歩き出す。

5月12日、6月1日の誕生花「アスチルベ」

「アスチルベ」

基本情報

  • 学名Astilbe
  • 科名:ユキノシタ科(Saxifragaceae)
  • 原産地:東アジア(日本・中国など)、北アメリカ
  • 開花時期:5月~7月(初夏〜夏)
  • 草丈:20~80cm(品種により異なる)
  • 栽培環境:半日陰〜日陰を好む。湿り気のある土壌が適している。

アスチルベについて

特徴

  • ふんわりした花穂:小さな花が羽毛状に密集して咲き、ピンク・白・赤・紫など多彩な色があります。風に揺れる姿が涼やかで優雅です。
  • 耐陰性が高い:半日陰や日陰でも育ちやすく、シェードガーデンに最適。
  • 湿気を好む:乾燥には弱いため、水はけよりも「水もちのよさ」が重視されます。
  • 日本原産種あり:日本にも自生する種(チダケサシなど)があり、和風庭園にもよく合います。

花言葉:「恋の訪れ」

アスチルベの花言葉「恋の訪れ」は、ふんわりと繊細な花穂が、どこか恥じらいやときめきを思わせることに由来すると言われています。

  • 初夏にふわっと咲き出す様子が、恋が芽生える瞬間や、心がふるえるような新しい感情の始まりを連想させる。
  • 花穂がまるで心の奥でざわめく「淡い想い」を視覚化したようにも見えるため、「恋の予感」「恋の始まり」というイメージが重ねられた。

そのため、恋のプレゼントや告白シーンの花束にも使われることがあります。


「アスチルベの咲く頃に」

六月の風が、アスチルベの花穂を揺らしていた。薄紅色の小さな花がふわふわと集まって、まるで誰かの心の中でざわめく感情のように、そっと空気を揺らしている。

市立図書館の裏手にある小さな植物園。その奥の半日陰の一角に、その花は咲いていた。

「……咲いたんだね」

紗耶(さや)はアスチルベの前に立ち止まり、そっとしゃがみ込む。白と淡紅の花がちょうど見頃を迎えていた。彼女がこの場所に来るのは、もう何度目になるだろうか。

ちょうど一年前の六月。図書館のボランティアとして働き始めた頃、この植物園で彼に出会った。名は透(とおる)。物静かで、少しだけ不器用な青年。庭の手入れをしていた彼がアスチルベの花を指差して、「これは恋の訪れっていう花言葉があるんだ」と教えてくれたのが、ふたりの最初の会話だった。

そのときは、ただ「へぇ」と頷いただけだった。けれど、それからの日々で、彼の存在がじわりと心にしみ込んできた。植物のこと、季節のこと、本の話、何でもない会話が重なって、気づけば、透の姿を探す自分がいた。

それが「恋」なのだと気づいたのは、夏が終わりかけた頃だった。

でも、紗耶が想いを伝える前に、透は突然この町を離れた。家庭の事情で、急に引っ越すことになったのだと、館長から聞かされた。

その知らせを聞いた日、アスチルベの花はすでに枯れかけていた。

「恋の訪れ」どころか、恋は始まる前に、終わった――。そう思って、紗耶は何度もこの場所を訪れたが、花が咲いていない季節の植物園は、ただ寂しく、沈黙の中にあった。

そんな日々を越えて、季節は再び巡った。アスチルベの咲く頃が来た。

ふと、誰かの足音が聞こえた。紗耶が振り向くと、そこにいたのは見覚えのある背中だった。

「……透くん?」

振り向いた彼は、少し髪が伸びて、日焼けしていた。

「久しぶり。……咲いてたから、来てみた」

その声に、紗耶の胸がふわりと高鳴る。去年と同じ花の中で、違う気持ちが芽生える。

「アスチルベ、覚えてたんだ」

「うん。……花言葉、ちゃんと、意味があったんだなって思って」

透の視線が、そっと紗耶の目を見つめた。

「俺、あのとき言えなかったけど……会えなくなってから、ずっと考えてた。……もう一度会えたら、ちゃんと伝えたいって」

紗耶は、何も言えなかった。ただ、心が大きく揺れていた。まるで風にそよぐアスチルベの花のように。恥ずかしさと喜びが、ひとつになって波打っていた。

「……それって、恋の訪れ?」

彼女の言葉に、透は照れくさそうに笑った。

「たぶん、もう“訪れ”じゃない。……始まってたんだと思う」

紗耶は静かに頷き、ふたりは並んでアスチルベの花を見つめた。

それは、まるで心の奥に咲いた、淡い想いの形だった。

ナイチンゲール・デー

5月12日はナイチンゲール・デーです

5月12日はナイチンゲール・デー

1920年に赤十字社が、イギリス看護師であったフローレンス・ナイチンゲール(1820~1910年)の誕生日であるということで、この日を記念日として制定しています。この日の目的は、近代看護の基礎を築いたナイチンゲールの功績を称えることです。

ナイチンゲール

ナイチンゲール

ナイチンゲールは、1820年に両親の新婚旅行中にトスカーナ大公国の首都フィレンツェで生まれました。名はフローレンスという名が付けられ、イタリア語のフィレンツェを意味するといわれます。古代ローマ時代に、花の女神フローラの町としてフロレンティアと名付けたことが語源となっているそうです。またナイチンゲールは、裕福な家庭で育ち、「フランス語」「ギリシャ語」「イタリア語」「ラテン語」などの外国語から、経済学と数学、天文学と美術など家庭教師による英才教育を受けて育っています。しかし、後のイギリスでは飢餓が蔓延し、貧困層の酷い暮らしぶりにその時、ナイチンゲールは心を痛め、病気や飢えに苦しむ人々のために奉仕活動をしたいと決心し、また天命であると確信したそうです。そして、そんな彼女が一念発起して1849年に看護婦になりたいと決意したそうです。

病院は病人が集う不潔な場所!?

看護師

この当時は、医者が家へ行き往診する形態が一般的であり、病院はむしろ社会的地位も生活水準も低い階層である病人が集う不潔な場所となっていました。そして看護師といったら、専門知識のない御手伝いやお世話係的な存在で、下級の無教養な女性がする仕事になっていたそうです。当然、彼女の家族は看護師になるという決意に対して猛反対しますが、意志の強いナイチンゲールは家族の反対を押し切り、1851年31歳にドイツのカイゼルスベルト学園で看護師の勉強を始めます。その後は、イギリスのロンドンで医療や看護や病院の運営などの教育を受け、イギリス各地の病院の状況を把握して専門的教育を受けた看護婦の必要性を訴え始めたといわれています。

クリミアの天使

クリミアの天使

彼女の運命を変えた1853年は、オスマン帝国トルコとロシアの間で勃発したクリミア戦争でした。南下を目指すロシアに対し、脅威を感じたイギリスとフランス軍がオスマン帝国を支援し、黒海に突き出したクリミア半島で激突しました。そして戦闘で負傷兵たちは、イギリス軍の基地に置かれたイスタンブールのアジア側スクタリ(今のウスキュダル)の陸軍野戦病院にて治療を受けます。そこでナイチンゲールは1854年に、イギリス24名のシスターと10名の志願看護婦とともにイスタンブールに向かって、兵士の看護を行ったといわれています。

過酷な状況でも献身的な看護

ナイチンゲールとクリミア戦争

しかし、野戦病院に着いたナイチンゲール達は、当時の男社会からお嬢様たちの御遊びと馬鹿にされて軍医から軍からも歓迎されません。それでも、傷病兵が病院の床に直で寝かされている状況から、生き残っても傷ではなく感染症で命を落とすとして、看護につけなくても掃除や食事など衛生状態の改善に努めたそうです。こうして過酷な状況下でも、様々な献身的な看護を行ったことが天使のように思われたのでしょう。

彼女の意志を忠実に受け継ぐ看護師

看護師の仕事

病院に行くと必ず看護師が居て、優しくサポートしてくれますが、これらの医療は赤十字社などが世界中で活躍されています。そして、この時のサポートがまさにナイチンゲールより受け継いだ看護に対するノウハウをでしょう。また、2020年から今年2021年は、新型コロナの感染者が増加し、医療が崩壊寸前の時期ありました。自分が感染しないよう、せめて地元の看護師さんだけでも苦労をさせないようにすることも大切ですね。



≫ その他の記念日

過去6日までの記念日です。


「ナイチンゲール・デー」に関するツイート集

2026年の投稿

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2024年の投稿