住宅デー

6月25日は住宅デーです

6月25日は住宅デー
住宅デー

1978年、全国建設労働組合総連合(全建総連)がこの日を記念日として制定しました。日付は、スペインの建築家アントニオ・ガウディ(1852~1926年)の誕生日にちなんだものです。この記念日の目的は、住宅建築に関わっている職人の仕事や技能をより多くの方に認知してもらうことです。

アントニオ・ガウディ

カサ・バトリョ

「アントニオガウディ」は、19世紀末から20世紀の初めにかけ、スペインのバルセロナで活躍した建築家です。カタルーニャ地方出身のガウディは、カタルーニャ・モダニズムという芸術復興期のバルセロナで、唯一無二の名建築をたくさん造り出しています。そして彼の建築は、「自然や動植物をモチーフとした自由で独創的な造形」と、「色鮮やかで芸術的な装飾」というのが特徴です。そんな幻想的で一風変わった世界観を持っている彼の建築は、一度見たら忘れられないほど衝撃的なデザインです。

多くの建築家に影響を与えた!

多くの建築家に影響を与えた!

彼の自然力学に沿ったシンプルで合理的な構造は、その後の多くの建築家たちに影響を与えてきたそうです。そして彼の残した作品は、時代を超えて世界中の人々に愛され、1984年にはその作品群「サグラダ・ファミリア」「カサ・ミラ」などがユネスコ世界文化遺産に登録されています。

「サグラダ・ファミリア」

「サグラダ・ファミリア」

「サグラダ・ファミリア」は、スペインのカタルーニャ・バルセロナに聳える巨大なローマ・カトリック教会です。その建物は、まさしくスペインの建築家「アントニ・ガウディ」が設計し、現在も未完成で建設中ですが、ユネスコ世界遺産の登録をしています。2010年11月には、ベネディクト16世 (ローマ教皇)が礼拝に訪れ、正式にローマ・カトリック教会として認定するミサを行いました。そして、着工から128年経った後、大聖堂(カテドラル)とは違った形の上位教会「バシリカ」となりました。

世界にはまだまだ素晴らしい建築物が!

ケルン大聖堂

世界各地には、「サグラダ・ファミリア」の他にも大半の人が見惚れてしまうような美しい建築物がたくさん存在します。その美しさにゆえに世界遺産となったドイツの「ケルン大聖堂」、ロシアの「顕栄聖堂」、ブラジルの「サン・フランシスコ・デ・アシス教会」等など。倒壊することもなく長い間、見るものを魅了してきました。現在の優れた建築技術も、これらが基礎となっているのかと思うと、ただ外観の美しさだけでなく進化の歴史を重んじる別の意味の感動を与えてくれます。


「住宅デー」に関するツイート集

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6月24日、11月19日の誕生花「オトギリソウ」

「オトギリソウ」

基本情報

  • 科属:オトギリソウ科オトギリソウ属
  • 学名Hypericum erectum
  • 英名:St. John’s wort(広義)
  • 分布:在来種 日本全土、朝鮮、中国、台湾、ロシア
  • 生育環境:草地、林縁、山道、日当たりのよい斜面など
  • 開花時期7~9月
  • 花色:鮮やかな黄色
  • 草丈:30〜60cmほど

オトギリソウについて

特徴

  • 鮮やかな黄色の5弁花を咲かせ、中央から多数の雄しべが放射状に広がる特徴的な姿。
  • 葉をこすると黒い点や赤い汁がにじむ(成分:ヒペリンなど)。
  • 草全体に**黒点(油点)**があることが多く、これが見分けポイントになる。
  • 昔から薬草として利用され、止血や消炎の用途で民間療法に使われてきた。
  • 見た目は可憐だが、名前や伝承はやや物騒で、強い印象を持つ植物として知られる。

花言葉:「秘密」

由来

  • 薬効の秘伝が外に漏れたことにまつわる伝承から生まれた。
  • ある鷹匠(たかじょう)が、傷ついた鷹を治すために使っていた薬草のレシピを「秘伝」として隠していたという話がある。
  • しかしある日、鷹匠の弟がその秘密を外に漏らしたと言われ、鷹匠は激怒して弟を切り捨てた――という伝説が伝わる。
  • その薬草がこの植物だと信じられ、
    「弟を切る草」=弟切草(オトギリソウ)
    という名前に。
  • この“秘められた薬草”という背景から、
    花言葉は「秘密」
    となった。

「ひかりを隠した草」

山の空気は、夏の朝でもひんやりとしていた。
 涼馬は父の後ろを歩きながら、まだ眠たげに瞬きをした。父は鷹匠として名を知られた男で、今日も山に入り、薬草を採るのだと言う。
 「涼馬、ついてこい。細い道だ、気をつけろ」
 父の背中は大きく、険しい山道でも一度も揺れずに進んでいく。それは涼馬にとって、まだ追いつけない“強さ”の象徴だった。
 やがて父が立ち止まり、指先でそっと草を示した。
 細く鋭い葉、そして葉脈の端に散らばる黒い点。朝露が光り、草は金色に揺れている。
 「これが……オトギリソウ?」

 涼馬がささやくように尋ねると、父は無言のまま頷き、黄色い花に手を伸ばした。
 「鷹が傷を負ったとき、この草の汁が血を止める。だが——」
 父は花びらの裏に指を当て、黒い点を軽くこすった。
 じわりと赤い汁が滲み、朝の光に透けた。
 「この草の効能は、家に代々伝わる秘伝だ。外に漏らしてはならない」
 その言葉には、いつもどこか影があった。涼馬は幼いながら、それを感じていた。
 「どうして秘密なの? こんなに役に立つなら、みんなに教えればいいのに」
 涼馬がそう言うと、父はしばらく黙り込み、やがて小さく笑った。
 「——昔、それを外に漏らして命を落とした男がいた」
 その声は、山風よりも冷ややかに響いた。
 「鷹匠の弟だ。勝手に秘伝を話し、兄に切られたという。愚か者の末路だ」
 涼馬は息を呑んだ。
 そんな残酷なことが本当にあったのかと、胸がざわつく。しかし父はそれ以上語らず、再び採取を続けた。
 ***

 家に戻ると、鷹が一羽、籠の中で苦しげに身じろぎをしていた。
 翼に深い傷を負い、血が乾ききらないままだ。
 「涼馬、水を持ってこい」
 父の声に背中を震わせながら、涼馬は急いで水を汲みに走った。
 戻ったとき、父はオトギリソウの汁を布に染み込ませ、鷹の翼にそっと押し当てていた。
 その指先には迷いも揺らぎもない。ただ静かな技が宿っている。
 涼馬は思わず見ほれた。
 命を救うための手。それは厳しさの影に、確かに慈しみを秘めていた。
 だが、同時に胸の奥でひっかかった疑問があった。
 ——どうしてこの草は「弟を切る草」と呼ばれるようになったんだろう。
 父は秘伝を守るためなら、どんな選択でも迷わないのだろうか。
 もし、自分が間違って誰かに漏らしてしまったら……。

 その考えが胸をしめつけ、涼馬は唇を噛んだ。
 父は鷹の手当てを終え、ふうと息をついた。
 「涼馬、覚えておけ」
 父はゆっくりと顔を上げた。
 「秘伝とは、守るためのものだ。草の力を、鷹の命を、そして……自分の大切なものを」
 涼馬は目を丸くした。
 それは、兄が弟を切り捨てたという伝説の裏に、別の意味があるようにも思えた。
 真実は、山深くに沈められた“秘密”のように語られないままなのかもしれない。
 だが一つだけ確かなことがあった。
 オトギリソウは、黄色い花をそっと揺らしながら、人の心の奥に潜む影も光も、静かに映し出していた。
 その花言葉が「秘密」である理由が、涼馬にも少しわかった気がした。
 彼はそっとつぶやいた。
 「ぼくも……守れる人になりたいな」
 窓辺で風に揺れる花びらが、まるでその言葉に応えるようにきらめいた。

UFOの日

6月24日はUFOの日です

6月24日はUFOの日

1947年6月24日、アメリカで初めてUFO目撃事件が起こり、全米で話題になりました。アメリカのアイダホ州に在住のケネス・アーノルド(1915~1984)さんは熟練のパイロットであり、1947年にワシントン州レーニア山(森永のカフェラテブランドとして有名な場所)の近くを飛行中、円盤のような謎の飛行物体を目撃しています。

空飛ぶ円盤UFO

「ケネス・アーノルド」の空飛ぶ円盤事件

UFOを発見した時は、編隊を組んで飛行する奇妙に平べったい物体だったそうです。「ケネス・アーノルド」の計測では、時速1700マイルメートル法に直すと、2700kmぐらいですが、実際当時の技術では不可能でした。しかし、それぐらいのスピードが出ていながら音を出さずに飛行していたそうです。

皿のように飛んでいた!

UFOは、皿のように飛んでいた!
Thomas BudachによるPixabayからの画像

そして、アーノルドさんは「皿のように飛んでいた」とマスコミに目撃談を語り、そのニュースは一気に全米に広まっています。そしてそれ以降、アメリカで円盤型の飛行物体が頻繁に目撃され、未確認飛行物体を意味する「UFO」という言葉が普通の呼び名となりしました。

現在の米軍技術より100年~1000年先の能力を持つ!?

「UFO遭遇」、米国防総省認める!?

UFOというのは、古い記述によると古代エジプトの「パピルス文書」(パピルス草で制作したパピルス紙に記載された文書)にもUFOらしき描写で記載されているといわれます。その後も、数々の目撃証言があったのですが、確実な証拠がないために科学空想小説(SF)など、空想の中での話として広がっていました。しかし、軍用の熱感知レーダーなど探知技術の発展により、UFOの軌跡を正確に捉えられるようになり、ここ数年の間に米海軍が記録しただけでもその数は120回に上るそうです。

性能は時速約2万㎞

UFOの性能は時速約2万㎞!?
kalhhによるPixabayからの画像

そして、その軌跡も次第に解明され、その性能は時速約2万㎞であり、推進装置や翼が無くても空中や海中をあらゆる場所を自由に移動できるそうです。さらに極めつけは、地球の重力を遮断する能力があると米軍は推定されていることです。 米軍の技術者は、現在の米軍技術よりも100年から1000年先の能力を持っていると推測されているそうです。

宇宙人の存在

宇宙人の存在

ここ最近、米国周辺で多数目撃されるUFOは本物です。それは、もちろん米国の秘密兵器でなく、またロシアや中国のものでもないとされ、最終的に宇宙人のものとしか考えられず、その意図は必ずしも友好的と考えるべきではないと説明を受けたと考えられています。こうなってくると、本当にSF映画やアニメが現実化されてきたような感じです。我々地球人は、月に行くことすら未だ大変な事なのに、遠い宇宙の星から来たという事が脅威です。


「UFOの日」に関するツイート集

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4月2日、6月23日の誕生花「ミヤコワスレ」

「ミヤコワスレ」

ミヤコワスレ(都忘れ)は、キク科の多年草で、日本や東アジアに自生する美しい花です。春から初夏にかけて咲き、紫やピンク、白などの可憐な花をつけます。

名前の由来

「ミヤコワスレ」という名前は、承久の乱(1221年)に敗れ佐渡に流された順徳天皇が、この花を見て都(京都)を思う気持ちを一時でも忘れられたことから名付けられたとされています。

ミヤコワスレについて

ミヤコワスレ(都忘れ)の特徴

🌿 分類・基本情報

  • 学名:Aster savatieri
  • 科名:キク科(Asteraceae)
  • 属名:シオン属(Aster)
  • 原産地:東アジア
  • 開花時期:4月~6月
  • 花色:紫、ピンク、白 など
  • 草丈20~30cm程度

🌼 特徴

  1. 可憐な花姿
    • 小さめの菊のような花を咲かせ、爽やかで上品な雰囲気を持っています。
  2. 丈夫で育てやすい
    • 半日陰でも育ち、比較的耐寒性・耐暑性があるため、庭植えや鉢植えにも適しています。
    • 乾燥には少し弱いので、適度な水やりが必要です。
  3. 多年草で毎年咲く
    • 一度植えれば毎年春から初夏に花を咲かせるため、手間がかかりません。
    • 株分けで増やすことができ、長く楽しめます。
  4. 和風の庭や茶花にぴったり
    • 風情のある佇まいが、和風の庭や茶花(茶道で使われる花)としても人気があります。
  5. 花言葉にちなんだ贈り物にも
    • 「また会う日まで」「しばしの別れ」といった花言葉を持つため、卒業や送別の贈り物としても使われます。

優雅で落ち着いた雰囲気のミヤコワスレは、日本の庭園や風情ある風景にぴったりの花ですね。😊


花言葉:「また会う日まで」

「また会う日まで」という花言葉は、別れの寂しさの中にも再会を願う温かさが感じられます。そのため、卒業や送別のシーンで贈られることが多い花です。ほかにも「しばしの別れ」「穏やかさ」「強い意志」といった花言葉もあります。

ミヤコワスレの優しい雰囲気と意味は、大切な人との別れや旅立ちの際に心を和ませてくれる花ですね。


「また会う日まで」

 駅のホームに、春の風が吹き抜ける。桜の花びらが舞い、淡いピンクの絨毯を作っていた。

 「体に気をつけてね、真由。」

 「うん……涼介も。」

 真由はスーツケースの取っ手を握りしめながら、目の前に立つ涼介を見つめた。彼の瞳には、どこか寂しげな色が滲んでいる。大学を卒業し、東京での新しい生活が始まる。二人は同じ地元で育ち、同じ高校に通い、同じ景色を見てきた。でも、今日からは違う道を歩む。

 「これ、渡しておく。」

 涼介は、小さな鉢植えを差し出した。そこには、小さな紫色の花が咲いている。

 「……ミヤコワスレ?」

 「うん。『また会う日まで』って花言葉なんだってさ。」

 真由はそっとその花を受け取った。小さな花びらが風に揺れている。その意味を噛みしめるように、彼女は優しく微笑んだ。

 「ありがとう、大事にする。」

 電車の到着を知らせるアナウンスが流れる。静かなホームに響くその声が、二人に別れの時を告げていた。

 「また、会おうな。」

 「うん、また会う日まで。」

 真由は一歩踏み出し、電車に乗り込む。窓越しに涼介の姿が小さくなっていくのを見ながら、ぎゅっと鉢植えを抱きしめた。

 ***

 東京での生活は、想像以上に忙しく、慌ただしかった。新しい仕事、新しい人間関係。慣れない環境に戸惑いながらも、真由は少しずつ前に進んでいた。

 部屋の窓際に置かれたミヤコワスレは、変わらず静かに咲いていた。その紫の花を眺めるたびに、あの日の駅のホームを思い出す。そして、涼介の言葉が心に蘇る。

 「また会おうな。」

 いつか、また会える日が来るのだろうか。そんなことを考えながら、真由はそっと花びらに触れた。

 ***

 それから数年後。

 春の訪れを感じさせる暖かい風が吹くある日、真由は久しぶりに地元へ帰ってきた。仕事がひと段落し、少しの休暇を取ることができたのだ。

 駅を降りると、懐かしい景色が広がっていた。変わらない町並み、変わらない空気。そして、変わらない人。

 「真由?」

 声のする方を振り向くと、そこには涼介が立っていた。少し大人びた表情、でも昔と変わらない優しい笑顔。

 「涼介……久しぶり。」

 「おかえり。」

 その言葉に、真由は思わず微笑んだ。

 「ただいま。」

 春風が二人の間を吹き抜ける。その風の中に、確かにあの日の約束が生きている気がした。

 また会う日まで——それは、決して遠い未来の話ではなかったのかもしれない。

6月15日、18日、23日の誕生花「タチアオイ」

「タチアオイ」

基本情報

  • 学名Alcea rosea
  • 英名:Hollyhock(ホリーホック)
  • 科名/属名:アオイ科/ビロードアオイ属
  • 原産地:地中海沿岸西部地域からアジア
  • 開花時期:6月〜8月(初夏〜夏)
  • 草丈:1〜3メートル(高いものでは3メートル以上にも)
  • 分類:多年草または二年草(園芸では一年草扱いされることも)

タチアオイについて

特徴

  • 背が高くまっすぐに伸びる茎の先に、円錐状に多数の花を咲かせるのが特徴。
  • 花の色は非常に多様で、赤・ピンク・白・黄色・紫・黒に近い深紅などがある。
  • 一番下のつぼみから順に咲き、花がてっぺんまで咲き終わると梅雨が明けるという言い伝えがある。
  • 日本では江戸時代から栽培されている伝統的な園芸植物。

花言葉:「野望」

タチアオイの花言葉には複数ありますが、その中でも特に有名なのが「野望」です。この花言葉の由来には以下のような理由が考えられています:

◎ 背の高い成長姿勢

  • タチアオイはまっすぐ天に向かって1メートル〜3メートル近くも伸びるため、その姿が「上昇志向」「目標に向かって突き進む野心」を連想させます。

◎ 段階的に上に咲いていく花

  • 下から順に花を咲かせ、徐々に上を目指して開花していく姿は、段階を踏んで目標に到達しようとする努力や「野望」にも見えます。

◎ 古来の象徴的イメージ

  • 中世ヨーロッパでは神聖な植物とされ、聖職者の庭や修道院に植えられていたこともあり、「理想の実現を求める精神」といった解釈もあります。

「花は野望の先に咲く」

祖父の庭には、毎年、初夏になるとタチアオイが咲き誇った。背の高い茎を天に向けてまっすぐに伸ばし、下から上へと段階的に花を咲かせていくその姿は、まるで何かを目指して這い上がる人のように見えた。

 祖父は若いころ、地方の寒村から出て、苦労の末に小さな製材所を立ち上げた。学もなく、後ろ盾もなく、それでも「町で一番の工場を作るんだ」と言い続けていたらしい。

 「周りはバカにしたさ。だがな、あの花を見てみろ。誰が咲けって言った? 誰も言っちゃいない。それでも、天を目指すように咲くだろう」

 祖父の話を聞きながら、私は子どもながらにそのタチアオイに恐れにも似た敬意を抱いた。綺麗で、でも力強くて、決して甘くない花だった。

 年月が過ぎ、祖父は亡くなり、私は東京で会社勤めをするようになった。忙しい日々に追われ、祖父の言葉も花の姿も、記憶の片隅に埋もれていった。

 ある年の初夏、ふと田舎の家を訪れると、庭の一角にタチアオイが咲いていた。世話する人もいないはずなのに、まるで意志をもって咲いているかのようだった。

 「花は下から順に咲くんだ。てっぺんまで咲いたら、梅雨が明ける」

 そう祖父は言っていた。私はその花のてっぺんを見上げ、ふと胸の奥に疼くものを感じた。

 会社では昇進の話が出ていた。でも、そのためには部下を切り捨て、上の意向に逆らわず、己を押し殺していかねばならなかった。自分が何のために働いているのか、何を目指していたのか、わからなくなっていた。

 「上に咲くには、下を踏まなきゃいけないんですかね」

 私はつぶやいた。すると、風に揺れるタチアオイの花がカサリと音を立てた。

 いいや、違う。段階を踏んで、一歩ずつ、咲いていく。足元をしっかりと広げて、陽を浴びて、水を吸って、ようやく上へと届く。

 それが、祖父の言う「野望」だったのではないかと思った。周囲の雑音に負けず、自分の信じた理想に向かって伸びること。それは誰かを踏み台にすることでも、無理に自分を押し殺すことでもない。

 私はその年、昇進の話を断った。そして、同僚と一緒に小さな起業をした。やりたいことがあった。作りたいものがあった。それは無謀かもしれない。でも、あの花のように、ゆっくりでも、上を目指して咲いてみようと思ったのだ。

 数年後、庭にタチアオイの苗を植えた。まだ背は低く、花も咲かない。でもいい。あの花が咲くまで、私は上を見続けていたい。


【あとがき】
この短編は、タチアオイの「野望」という花言葉の背景にある

  • 上へ向かう成長姿勢
  • 段階的な開花
  • 理想を求める力

    を、主人公の人生と重ね合わせて描いた物語です。

沖縄慰霊の日

6月23日は沖縄慰霊の日です

6月23日は沖縄慰霊の日

米軍は、4月1日に1,500隻近い艦船と約54万人の兵を動員して沖縄本島に上陸を開始し、6月23日にはこの太平洋戦争沖縄戦が終結しました。また、沖縄守備隊の80日余の激戦の末に守備隊の司令官である牛島満(うしじま みつる)大将らが自決し、日本軍の組織的戦闘は終わりました。

その当時は、沖縄住民を中心におよそ20万人もの犠牲者を出したといわれています。そしてこの日、沖縄県は「慰霊の日」と定め、休日として糸満市摩文仁の平和祈念公園で毎年、「沖縄全戦没者追悼式」が開かれています。

日本軍が自決した日

「沖縄慰霊の日」 世界に問う「平和でしょうか」

沖縄戦終結から 16 年経過した1961 年、琉球政府立法院(住民の祝祭日に関する立法)において、沖縄の戦没者の霊を慰め、平和を祈る日としてこの日を「慰霊の日」を制定しています。この日は、日本軍の組織的戦闘の終結した時点、すなわち第 32 軍の牛島司令官と長参謀長の自決した日として6 月 22 日説が採用されました。

「慰霊の日」制定までの経緯

沖縄慰霊の日 平和の詩

沖縄は、日本本土が復帰した後も長い間、アメリカの統治下であっため、日本の法律とは別に独自の休日を設けていました。実はこの「慰霊の日」、1961年にアメリカ統治下で制定された琉球政府独自の休日の1つでした。現在の沖縄県平和祈念財団が、琉球政府に戦没者慰霊の日を定める要求が始まりとされています。ですが、本来6月23日ではなく、6月22日が慰霊の日として制定されていたそうです。また「慰霊の日」以外、沖縄独自の休日は、「琉球政府創立記念日」や「平和の日」などがありました。

「慰霊の日」で行われる事は?

「慰霊の日」で行われる事は?

「慰霊の日」は様々な行事が行われています。その毎年行われている行事の最も代表的なものが「沖縄全戦没者追悼式」です。この行事は、沖縄戦の犠牲者を偲び、世界平和への祈りを捧げています。そして、沖縄全戦没者追悼式は、沖縄戦の激戦地になった糸満市摩文仁の「平和祈念公園」で行われます。

毎年大勢の人が足を運び、平和祈念公園には「平和祈念像」や沖縄戦犠牲者の氏名が刻まれている「平和の礎」があります。さらにそこには、有名な沖縄戦の写真や遺品など、数多く展示している「沖縄県平和祈念資料館」もあります。

二度と同じことを繰り返さないために

二度と同じことを繰り返さないために

今や現在人の殆どが、戦争を知らない世代です。日本が敗戦するまでは、日中戦争や日露戦争、そして民間人をも巻き込んだ太平洋戦争など、軍や政府主導で国民の意思に関係なく行われてきました。まさに現状として、戦争が突入する前の状況と戦時中の徴兵制度や強制労働、敗戦国の屈辱を知らない人が大半を占めています。

したがって、我々国民は知らず知らずのうちに反対する権利が奪われ、その後に国から強制的に行動制限され、戦争を始めることを拒否できなくなり、また同じことを繰り返すことになります。そうならないために、また平和を夢見て戦争で亡くなった犠牲者の方を慰めるためにも国(政府)の動きを常に見張り、間違っていると思ったら国民同士、声掛け合いしっかりと主張し合うことが唯一できることです。


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6月22日の誕生花「ガマズミ」

「ガマズミ」

基本情報

  • 学名:Viburnum
  • 科名:レンプクソウ科(旧分類ではスイカズラ科)
  • 原産地:日本、中国、朝鮮半島
  • 分類:落葉低木
  • 開花時期:5~6月
  • 花色:白
  • 実の観賞時期:秋~冬
  • 実の色:鮮やかな赤色
  • 樹高:2~4m程度
  • 山野や里山に自生し、庭木としても利用される

ガマズミについて

特徴

  • 初夏に小さな白い花を枝先にまとまって咲かせる
  • 秋になると赤く美しい実をたくさん付ける
  • 花・葉・実の三つの季節の変化を楽しめる
  • 実は冬まで残ることがあり、野鳥の食料にもなる
  • 日本の自然風景によくなじむ素朴な美しさを持つ
  • 丈夫で育てやすく、庭木や生垣にも利用される
  • 秋には葉が赤く色づき、美しい紅葉も楽しめる


花言葉:「結合」

由来

  • 小さな白い花が枝先で密集して咲く様子が、人々が寄り添い結び付いている姿を連想させることから。
  • 秋に実がひとかたまりとなって赤く実る様子が、強い絆や団結を象徴しているため。
  • 多くの花や実が互いに支え合うように集まる姿が、人と人との結び付きや協力を表していることから。
  • 山野で他の植物や生き物と共存しながら育つ性質が、調和やつながりを連想させるため。
  • 家族や仲間との絆、心と心を結び合わせる象徴として、「結合」という花言葉が付けられた。


「赤い実がつなぐもの」

 秋の風が吹いていた。

 山あいの小さな町は、紅葉の色にゆっくり染まり始めている。

 健太は駅から続く坂道を歩いていた。

 十年ぶりの帰郷だった。

 都会で働き始めてから、故郷へ帰る機会はほとんどなかった。

 仕事が忙しい。

 そんな理由を並べていたが、本当は別の理由があった。

 父との確執だった。

 高校卒業後、健太は地元を離れた。

 父は家業の工務店を継いでほしいと願っていたが、健太は建築デザインの仕事を目指して上京した。

 その日以来、二人はまともに話していない。

 電話をしても用件だけ。

 帰省しても会話は数分。

 気まずさだけが年月とともに積み重なっていた。

 そんな父が倒れた。

 大事には至らなかったが、母から連絡を受けた健太は久しぶりに帰る決心をしたのだった。

 実家へ向かう途中、小さな神社の前で足を止める。

 子どもの頃によく遊んだ場所だった。

 境内の脇には一本のガマズミが立っていた。

 鮮やかな赤い実を枝いっぱいに実らせている。

 懐かしい景色だった。

 「まだあったんだな……」

 思わず呟く。

 すると後ろから声が聞こえた。

 「その木、覚えとるか?」

 振り返ると、神社の宮司を務める老齢の男性が立っていた。

 子どもの頃から世話になっていた人だった。

 「覚えてます。昔からありましたよね」

 「おう。毎年よう実を付ける」

 老人は赤い実を見上げる。

 「ガマズミの花言葉は知っとるか?」

 健太は首を振った。

 「結合じゃ」

 「結合?」

 「人と人を結ぶという意味だ」

 老人は枝先を指差した。

 そこには無数の赤い実が寄り添うように集まっていた。

 「春には白い花がたくさん集まって咲く。秋にはこうして実がまとまる。だから昔から縁や絆の象徴とも言われとる」

 健太は静かに頷いた。

 赤い実は確かに支え合うように並んでいた。

 どれ一つ離れずに。

 どれ一つ孤立せずに。

 まるで家族のようだった。

 実家に着くと、父は居間で新聞を読んでいた。

 少し痩せたように見える。

 だが相変わらず無口だった。

 「帰ったか」

 「うん」

 それだけだった。

 母だけが嬉しそうに台所を行き来している。

 夕食の時間になっても会話は少なかった。

 健太は落ち着かない気持ちで箸を動かした。

 翌日。

 父は工務店の作業場へ向かった。

 まだ完全には回復していないはずなのに。

 健太は心配になり、後を追った。

 作業場では父が若い職人たちに指示を出していた。

 皆が慕っているのが分かる。

 厳しいが信頼されている。

 そんな姿だった。

 仕事を終えた帰り道。

 二人は並んで歩いた。

 久しぶりだった。

 しかし会話はない。

 沈黙だけが続く。

 やがて父が口を開いた。

 「東京はどうだ」

 「忙しいよ」

 「そうか」

 また沈黙。

 けれど以前より少しだけ違った。

 父が話しかけてくれたことが嬉しかった。

 数日後。

 母が古いアルバムを持ち出してきた。

 そこには幼い頃の写真がたくさんあった。

 運動会。

 夏祭り。

 釣り。

 キャンプ。

 どの写真にも父がいた。

 厳しい顔ではなく、笑っている父が。

 健太は驚いた。

 いつの間に忘れていたのだろう。

 父が自分を大切にしてくれていたことを。

 ある夕方。

 健太は再び神社へ向かった。

 ガマズミの赤い実が夕日に照らされている。

 老人が境内を掃除していた。

 「どうじゃ、久しぶりの故郷は」

 「いろいろ考えさせられます」

 老人は笑った。

 「ガマズミはな、花も実も集まって咲く」

 健太は木を見上げる。

 風が吹き、実が揺れた。

 「一つではないから強いんじゃ」

 その言葉が胸に残った。

 人も同じなのかもしれない。

 一人で生きているつもりでも、本当は違う。

 家族がいる。

 仲間がいる。

 支えてくれる人がいる。

 だから前へ進める。

 その夜。

 健太は思い切って父に声をかけた。

 「親父」

 父が顔を上げる。

 「今まで……ありがとう」

 父は少し驚いた顔をした。

 そして照れくさそうに笑った。

 「急にどうした」

 「なんとなく」

 しばらく沈黙が続いた。

 やがて父が静かに言う。

 「お前が好きな道を選んだこと、後悔しとらん」

 健太は目を見開いた。

 「え?」

 「最初は反対した。けどな、お前が頑張っとることは知っとる」

 父は窓の外を見た。

 「立派になったな」

 その一言で十分だった。

 胸の奥に長年溜まっていたものが溶けていく。

 父もまた、不器用だったのだ。

 伝え方が分からなかっただけで。

 翌朝。

 空はよく晴れていた。

 帰京するため駅へ向かう途中、健太は再びガマズミの前で立ち止まった。

 赤い実が朝日に輝いている。

 小さな実たちは寄り添いながら一つの房を作っていた。

 誰かとつながること。

 支え合うこと。

 心を結び合わせること。

 それは決して当たり前ではない。

 だからこそ尊いのだろう。

 ガマズミが「結合」という花言葉を持つ理由が、今なら分かる気がした。

 春には無数の白い花が集まって咲く。

 秋には赤い実が寄り添って実る。

 山野では鳥や虫たちと共に生きる。

 その姿は、人と人との絆そのものだった。

 家族。

 友人。

 仲間。

 離れていても消えないつながり。

 時間が過ぎても失われない心の結び付き。

 健太は赤い実を見つめながら微笑んだ。

 風が吹く。

 ガマズミの枝が揺れる。

 まるで祝福するように。

 そして彼は歩き出した。

 今度は一人ではない。

 目には見えなくても、たくさんの絆に支えられながら。

 赤い実が結ぶ想いを胸に抱いて。

DHAの日

6月22日はDHAの日です

6月22日はDHAの日

2012年6月22日、㈱マルハニチロ食品(現在のマルハニチロ株式会社)は、健康生活に必須であるDHAの認知度の向上を目的とし、この日を記念日として制定しています。また、DHA(ドコサヘキサエン酸)の、6つのシス型の二重結合を含む22個の炭素鎖をもつカルボン酸の総称であることから、この日付としました。

ドコサヘキサエン酸(DHA)

ドコサヘキサエン酸(DHA)

DHAは、必須脂肪酸の一つで体内では生成することができません。そして、その物質は「n-3系」の脂肪酸に分類され、主に「アジ」や「イワシ」「サバ」「マグロ」など、青魚の脂肪に多く含まれてます。また、α‐リノレン酸(植物油に多く含まれている不飽和脂肪酸)を摂取すると体内で「EPA」(エイコサペンタエン酸)を経て「DHA」が合成されます。DHAは、脳の神経細胞の突起の先端で神経細胞(ニューロン)を活性化し、情報の伝達をスムーズにして記憶力や学習能力などを高めてくれます。

認知症の防止や進行抑制効果がある!?

脳の神経細胞を死滅させるアルツハイマー病の予防

また、脳の神経細胞を死滅させるアルツハイマー病の場合、傷ついた神経細胞が修復によって再生された神経細胞の発育を、DHAが促進する効果があると期待され、そのことが世界中で研究が進められているようです。現在、DHAのそういった内容の研究成果は出ていますが、肝心な「認知症の予防」や「進行抑制効果」の明確な評価はないようです。

それでもDHAは、「悪玉コレステロールを減少させる」と「善玉コレステロールを増加させる」、「血小板が凝固を防止」「血液中の中性脂肪を減少させる」など、数々の健康効果に期待が持たれることで、積極的に摂取したい成分であることは間違いないと言えます。

「EPA」(エイコサペンタエン酸)

「EPA」(エイコサペンタエン酸)

EPAとは、「エイコサペンタエン酸」の略称であり、「イワシ」「サバ」「アジ」などの青魚に多く含まれるn-3系脂肪酸の一つです。そして、特に青魚の油に多く含まれている「必須脂肪酸」の一種であるEPAには、体内ではほとんど作ることができないそうです。

また、「必須脂肪酸」以外にも、同じく魚の油に含まれる先ほど説明したDHA(ドコサヘキサエン酸)、さらに肉や植物油の一つである「リノール酸」、偏った食事によって体内で増加するアラキドン酸(母乳などにも含まれ、若々しい日々や明晰な毎日に欠かせない注目の成分)などがあります。

シーチキンやサバ缶がバカ売れ

シーチキンやサバ缶がバカ売れ

1980年代後半にDHAは、脳や網膜などの神経系に豊富に含まれている栄養素であることがTVなどで話題となり、DHAを摂取すると「頭の働きがよくなる」というようなフレーズで一気に有名な成分になりました。そして近年でも、シーチキンサバ缶などがタンパク質やDHA、EPAなどが豊富だということで爆発的に売れ、スーパーの棚から一時的に無くなるといった驚きの風景があるほどです。

また現在では、手軽に必要分のDHAとEPAを一緒に摂取できるサプリメントなども人気が出ています。DHAは今後の高齢化が進む中で、いつまでも若々しく健康的に生き抜くためのキーとなる栄養成分であることは間違いないでしょう!


「DHAの日」に関するツイート集

2026年の投稿

2025年の投稿

2024年の投稿

6月21日の誕生花「シルクジャスミン」

「シルクジャスミン」

基本情報

  • 学名:Murraya paniculata
  • 科名:ミカン科
  • 原産地:インド、マレーシア、中国南部、フィリピン、台湾、琉球諸島
  • 別名:ゲッキツ(月橘)、オレンジジャスミン
  • 開花時期:6~9月頃(温暖な地域では繰り返し開花)
  • 花色:白
  • 樹高:1~4m程度
  • 常緑低木で、生垣や鉢植えとして人気が高い

シルクジャスミンについて

特徴

  • 小さな白い花をたくさん咲かせる
  • ジャスミンに似た甘く上品な香りを放つ
  • 光沢のある濃緑色の葉が美しい
  • 開花後には赤く熟す実を付ける
  • 暑さに強く、比較的育てやすい
  • 常緑樹のため一年を通して緑を楽しめる
  • 花と香りの美しさから庭木や観葉植物として親しまれている


花言葉:「純真な心」

由来

  • 雪のように白く清らかな花姿が、汚れのない純真な心を連想させることから。
  • 甘く優しい香りが、人を包み込むような素直で温かな気持ちを象徴しているため。
  • 飾り気のない小さな花が静かに咲く姿が、謙虚で純粋な人柄を思わせることから。
  • 夜にもほのかに香りを漂わせる様子が、見返りを求めない無垢な優しさを表しているため。
  • 美しい香りと清楚な花姿が調和し、心の清らかさや誠実な愛情を象徴する花として「純粋な心」という花言葉が付けられた。


「月夜に香る白い花」

 夏の始まりだった。

 仕事帰りの美月は、住宅街の細い道をゆっくり歩いていた。

 街灯がぽつぽつと灯り始めた夕暮れ。

 一日の疲れが肩に重くのしかかっている。

 大学を卒業して三年。

 広告会社に勤める美月は、周囲から見れば順調な人生を送っていた。

 けれど心の中は違った。

 仕事では結果を求められる。

 友人たちは次々と結婚していく。

 SNSを開けば誰かの幸せそうな写真が流れてくる。

 気づけば他人と比べることばかりになっていた。

 もっと評価されたい。

 もっと認められたい。

 もっと幸せになりたい。

 そんな思いばかりが膨らみ、心は少しずつ疲れていた。

 その日も大きな企画のプレゼンが終わったばかりだった。

 結果は悪くなかった。

 むしろ成功と言っていい。

 それなのに心は晴れなかった。

 帰り道、美月はため息をつく。

 するとふわりと甘い香りが風に乗って漂ってきた。

 思わず足を止める。

 辺りを見回すと、一軒の古い家の庭先に白い花が咲いていた。

 小さな星のような花。

 濃い緑の葉の間に、いくつもの白い花が揺れている。

 不思議なほど優しい香りだった。

 美月はしばらくその花を見つめた。

 すると庭の手入れをしていた老婦人が声をかけてきた。

 「きれいでしょう?」

 「はい。とてもいい香りですね」

 老婦人は嬉しそうに笑った。

 「シルクジャスミンですよ」

 「シルクジャスミン……」

 初めて聞く名前だった。

 「夜になると特によく香るんです」

 美月は再び花を見る。

 白い花は派手ではない。

 けれどなぜか目を引いた。

 「花言葉は『純粋な心』なんですよ」

 その言葉に胸が少しだけ揺れた。

 純粋な心。

 いつからそんな言葉を忘れていたのだろう。

 翌日から美月は、その道を通るようになった。

 仕事帰り。

 疲れた心を抱えながら歩く。

 するとシルクジャスミンの香りが迎えてくれる。

 それだけで少し気持ちが軽くなるのだった。

 ある日、老婦人が声をかけてきた。

 「最近よく来るわね」

 「この花を見ると落ち着くんです」

 すると老婦人は優しく頷いた。

 「この花はね、見返りを求めないんですよ」

 「え?」

 「誰かに褒められるためじゃなく、ただ咲いている」

 美月は花を見つめた。

 確かにそうだった。

 花は何かを競っているわけではない。

 誰かと比べているわけでもない。

 ただそこに咲いている。

 白く。

 静かに。

 優しく。

 その夜、美月は自分の部屋で考え込んだ。

 子どもの頃の夢を思い出していた。

 絵を描くことが好きだった。

 賞を取りたいからではない。

 誰かに褒められたいからでもない。

 ただ描くことが楽しかった。

 それだけだった。

 いつの間にか忘れていた。

 社会に出てからは結果ばかり気にするようになった。

 評価。

 数字。

 肩書き。

 他人の視線。

 そんなものに心を支配されていた。

 純粋な心とは何だろう。

 その答えを探すように、美月は毎日シルクジャスミンを眺めるようになった。

 夏が深まる頃。

 会社で後輩の真奈が失敗をした。

 大事な資料の提出期限を間違えたのだ。

 上司は厳しく叱責した。

 真奈は泣きそうな顔で謝っている。

 以前の美月なら冷たく注意していただろう。

 しかし、その日は違った。

 「一緒にやろうか」

 そう声をかけた。

 真奈は驚いた顔をした。

 「いいんですか?」

 「うん」

 二人で残業しながら資料を作り直した。

 帰り道。

 真奈が言った。

 「先輩って優しいですね」

 美月は思わず苦笑した。

 「そんなことないよ」

 「でも助かりました」

 その笑顔を見たとき、不思議な温かさが胸に広がった。

 評価されたからではない。

 褒められたからでもない。

 誰かの役に立てたことが嬉しかった。

 それは子どもの頃に感じていた純粋な喜びによく似ていた。

 数日後。

 美月は老婦人にその話をした。

 すると老婦人は穏やかに微笑んだ。

 「それが純粋な心なんじゃないかしら」

 「純粋な心……」

 「損得を考えずに誰かを思うこと。案外難しいものよ」

 美月は静かに頷いた。

 シルクジャスミンの花が風に揺れる。

 雪のように白い花。

 甘く優しい香り。

 飾り気のない小さな姿。

 その全てが、まるで人の心の理想を映しているようだった。

 夜になると香りはさらに深くなる。

 誰も見ていなくても。

 誰にも気づかれなくても。

 花は香り続ける。

 まるで見返りを求めない優しさのように。

 秋が訪れる頃。

 美月の心は少し変わっていた。

 もちろん悩みはなくならない。

 仕事の苦労もある。

 不安もある。

 けれど以前ほど他人と比べなくなった。

 自分らしく生きればいい。

 そう思えるようになったのだ。

 ある夜。

 いつもの道を歩く。

 シルクジャスミンの香りが漂う。

 見上げると月が静かに輝いていた。

 白い花も月明かりを浴びている。

 美月は足を止めた。

 純粋な心とは、特別なものではないのかもしれない。

 誰かを思いやること。

 素直に喜ぶこと。

 自分の気持ちに正直でいること。

 そして見返りを求めず優しさを差し出すこと。

 その積み重ねが、人の心を美しくしていくのだろう。

 シルクジャスミンは何も語らない。

 けれど、その白い花と優しい香りは確かに伝えていた。

 大切なのは、誰かより優れていることではない。

 ありのままの心を失わないこと。

 雪のように清らかな花が咲くように。

 夜の闇にそっと香りを届けるように。

 純粋な心は、人知れず誰かを幸せにする力を持っているのだと。

 月夜の風が吹いた。

 白い花が静かに揺れる。

 その香りに包まれながら、美月は小さく微笑んだ。

 そしてゆっくりと歩き出した。

 今度は誰かと比べるためではなく、自分らしく生きるために。

5月12日、6月1日、21日の誕生花「アスチルベ」

「アスチルベ」

アスチルベは、湿った土壌を好む多年草で、羽状の葉と美しい花穂が特徴です。主に白、ピンク、赤の花を咲かせ、初夏から夏にかけて観賞できます。日陰でも育つため、ガーデニングや庭のアクセントに最適です。

基本情報

  • 学名Astilbe
  • 科名:ユキノシタ科(Saxifragaceae)
  • 原産地:東アジア(日本・中国など)、北アメリカ
  • 開花時期:5月~7月(初夏〜夏)
  • 草丈:20~80cm(品種により異なる)
  • 栽培環境:半日陰〜日陰を好む。湿り気のある土壌が適している。

アスチルベについて

特徴

  • ふんわりした花穂:小さな花が羽毛状に密集して咲き、ピンク・白・赤・紫など多彩な色があります。風に揺れる姿が涼やかで優雅です。
  • 耐陰性が高い:半日陰や日陰でも育ちやすく、シェードガーデンに最適。
  • 湿気を好む:乾燥には弱いため、水はけよりも「水もちのよさ」が重視されます。
  • 日本原産種あり:日本にも自生する種(チダケサシなど)があり、和風庭園にもよく合います。

花言葉:「恋の訪れ」

アスチルベの花言葉「恋の訪れ」は、ふんわりと繊細な花穂が、どこか恥じらいやときめきを思わせることに由来すると言われています。

  • 初夏にふわっと咲き出す様子が、恋が芽生える瞬間や、心がふるえるような新しい感情の始まりを連想させる。
  • 花穂がまるで心の奥でざわめく「淡い想い」を視覚化したようにも見えるため、「恋の予感」「恋の始まり」というイメージが重ねられた。

そのため、恋のプレゼントや告白シーンの花束にも使われることがあります。


「アスチルベの咲く頃に」

六月の風が、アスチルベの花穂を揺らしていた。薄紅色の小さな花がふわふわと集まって、まるで誰かの心の中でざわめく感情のように、そっと空気を揺らしている。

市立図書館の裏手にある小さな植物園。その奥の半日陰の一角に、その花は咲いていた。

「……咲いたんだね」

紗耶(さや)はアスチルベの前に立ち止まり、そっとしゃがみ込む。白と淡紅の花がちょうど見頃を迎えていた。彼女がこの場所に来るのは、もう何度目になるだろうか。

ちょうど一年前の六月。図書館のボランティアとして働き始めた頃、この植物園で彼に出会った。名は透(とおる)。物静かで、少しだけ不器用な青年。庭の手入れをしていた彼がアスチルベの花を指差して、「これは恋の訪れっていう花言葉があるんだ」と教えてくれたのが、ふたりの最初の会話だった。

そのときは、ただ「へぇ」と頷いただけだった。けれど、それからの日々で、彼の存在がじわりと心にしみ込んできた。植物のこと、季節のこと、本の話、何でもない会話が重なって、気づけば、透の姿を探す自分がいた。

それが「恋」なのだと気づいたのは、夏が終わりかけた頃だった。

でも、紗耶が想いを伝える前に、透は突然この町を離れた。家庭の事情で、急に引っ越すことになったのだと、館長から聞かされた。

その知らせを聞いた日、アスチルベの花はすでに枯れかけていた。

「恋の訪れ」どころか、恋は始まる前に、終わった――。そう思って、紗耶は何度もこの場所を訪れたが、花が咲いていない季節の植物園は、ただ寂しく、沈黙の中にあった。

そんな日々を越えて、季節は再び巡った。アスチルベの咲く頃が来た。

ふと、誰かの足音が聞こえた。紗耶が振り向くと、そこにいたのは見覚えのある背中だった。

「……透くん?」

振り向いた彼は、少し髪が伸びて、日焼けしていた。

「久しぶり。……咲いてたから、来てみた」

その声に、紗耶の胸がふわりと高鳴る。去年と同じ花の中で、違う気持ちが芽生える。

「アスチルベ、覚えてたんだ」

「うん。……花言葉、ちゃんと、意味があったんだなって思って」

透の視線が、そっと紗耶の目を見つめた。

「俺、あのとき言えなかったけど……会えなくなってから、ずっと考えてた。……もう一度会えたら、ちゃんと伝えたいって」

紗耶は、何も言えなかった。ただ、心が大きく揺れていた。まるで風にそよぐアスチルベの花のように。恥ずかしさと喜びが、ひとつになって波打っていた。

「……それって、恋の訪れ?」

彼女の言葉に、透は照れくさそうに笑った。

「たぶん、もう“訪れ”じゃない。……始まってたんだと思う」

紗耶は静かに頷き、ふたりは並んでアスチルベの花を見つめた。

それは、まるで心の奥に咲いた、淡い想いの形だった。