12月6日の誕生花「スイートアリッサム」

「スイートアリッサム」

基本情報

  • 科名/属名:アブラナ科/ニワナズナ属(ロブラリア属)
  • 学名Lobularia maritima
  • 英名:Sweet Alyssum
  • 原産地:地中海北岸から西アジア
  • 分類:一年草(暖地では多年草的に越冬することも)
  • 開花時期:主に春~初夏・秋(真夏は弱りやすい)
    【一年草】2月下旬~6月上旬、9月下旬~12月上旬 |【多年草】周年
  • 草丈:5~20cmほど
  • 花色:白・ピンク・紫・クリーム色 など
  • 香り:甘いはちみつのような香り

スイートアリッサムについて

特徴

  • 地面を覆うように低く広がるクッション状の草姿。
  • 無数の極小の花が密集して咲くため、花の絨毯のように見える。
  • 花は小さいが香りが強く、特に白花種が香り高い。
  • 高温多湿がやや苦手で、夏に弱りやすいが、涼しくなると再びよく咲く。
  • ガーデニングでは花壇の縁取り・寄せ植え・グラウンドカバーとしてよく使われる。
  • ミツバチや蝶などを引き寄せるため、コンパニオンプランツとしても活躍。

花言葉:「美しさに勝る価値」

由来

  • スイートアリッサムは、非常に小さく控えめな花でありながら、
    庭全体を明るくし、香りで周囲を満たす存在感を持つ。
  • 見た目の華やかさだけでなく、
    香り・丈夫さ・植えると他の植物を引き立てる性質など、
    目に見える“美しさ”以上の価値をもつと考えられたことから。
  • また、花自身は小さくても、
    群れて咲くことで豊かさや調和をもたらすことが象徴的とされ、
    「外見を超えた魅力」「美しさだけでは測れない価値」を意味する花言葉につながった。

「白い香りの向こう側」

春の風が、庭の隅に植えられた白い小花の上をそっと撫でていった。スイートアリッサム――小さくて、控えめで、でも不思議と心に残る花。
 その前にしゃがみ込み、紗良は土に触れた指先を静かに握りしめた。

 「……おばあちゃん、ここに座ってたよね」

 思い出すのは、穏やかな声と、膝に手を置いて笑う姿。祖母が亡くなってから、紗良は庭に出ることすら避けていた。花を見ると胸が痛む気がしたからだ。
 けれど今日、久しぶりに扉を開けて外に出てみると、風に乗って甘い香りが流れてきた。気づけば、香りのする場所へ足が向かっていた。

 白いスイートアリッサムは、冬の寒さに耐え、春の光を受けてふんわりと広がっている。こんなに小さいのに、庭の空気を変えてしまうほどの香りを放っていた。

 「こんなに……咲いてたんだ」

 紗良がつぶやくと、まるで返事のように蜂が一匹、花の上をくるりと舞った。祖母はよく言っていた。

 ――『この子たちはね、見た目よりずっと強いんだよ。小さい花ほどがんばり屋なの』

 その言葉の意味が、今になって少しだけ分かる気がした。
 華やかさなんてない。写真映えするような派手さもない。
 けれど、この小さな花は香りで庭を満たし、他の植物の色をそっと際立たせる。

 「……美しさだけじゃない、ってこと?」

 祖母が愛したこの花が、なぜ“美しさに勝る価値”なんて花言葉を持つのか。
 紗良は、手のひらで花に触れながら考えた。

 目に見える美しさよりも、誰かの心を支えたり、そっと寄り添ったり――そういう力のほうが大切なときがある。祖母はそのことを、言葉ではなく、花の世話を通して教えていたのかもしれなかった。

 ゆっくりと立ち上がると、庭全体がいつもより明るく見えた。花が光を反射しているのではなく、自分の中に沈んでいた影が少し薄れたからだと気づく。

 「ねえ、おばあちゃん」

 紗良は空に向かって声を出した。

 「私、また花を育ててみるよ。……ううん、育てたい。小さくても、こんなふうに誰かを癒すものがあるって知りたいから」

 風がまたひとすじ、頬を撫でた。
 スイートアリッサムがかすかに揺れ、甘い香りがふわりと広がった。

 小さな花が伝えてくれたのは、外見だけでは測れない価値。
 強さも、優しさも、寄り添う力も――全部、目には見えないからこそ尊い。

 紗良は微笑み、花壇の端に新しい苗を植える場所を思い描いた。

 庭の片隅で、白い小花がそっと輝いていた。
 その輝きは、派手ではない。けれど、確かに心に灯をともす光だった。

シンフォニー記念日

12月6日はシンフォニー記念日です

12月6日はシンフォニー記念日

1914年のこの日、ドイツのベルリンから帰国した山田耕筰が、日本人初の作曲である交響曲「勝ちどきと平和」を発表しています。

シンフォニーとは?

意外と知らない音楽用語

シンフォニー(Symphony)は、日本語で「交響曲」や「調和」を意味します。特に音楽の分野では、管弦楽によって演奏される多楽章構成の大規模な楽曲を指します。交響曲は、クラシック音楽の中でも代表的なジャンルであり、その壮大なスケールや豊かな表現力で多くの人々を魅了してきました。

山田耕作、日本を代表する作曲家が切り開いた西洋音楽の道

志村けんが演じる山田耕作

山田耕筰は、日本を代表する作曲家であり、そして指揮者として、日本の音楽史に大きな足跡を残しました。彼のメロディーは、日本語の抑揚を活かした独特な特徴を持ち、多くの名曲を生み出しました。また、山田耕筰は日本初の管弦楽団を創設、西洋音楽の普及に尽力しました。彼の功績は、日本のクラシック音楽の発展において欠かせないものです。

日本人初の交響曲「勝どきと平和」と山田耕作の功績

勝どきと平和

山田耕作は、1912年にベルリン留学中に「序曲」を完成させ、その後の卒業制作として日本人初の交響曲である「勝どきと平和」を作曲しました。この作品は、日本の音楽史において非常に重要な位置を占めており、クラシック音楽の発展に大きく貢献しました。

交響曲ヘ長調《かちどきと平和》Symphony in F “Triumph and Peace”

山田耕筰作品集 Craftone Editionについて

日本の音楽を変えた山田耕作

シンフォニー記念日

山田耕作は、大正から昭和の時代に日本の音楽に対し、制作と演奏の両面で大きな功績を果たしています。おそらく、当時の日本人には受け入れられることは非常に難しいものだったと思います。それを少しでも日本人が受け入れられるようにミックスしたりアレンジすることで慣らして今に残る名曲を作り出したのでしょう。もしかすると、J-POPもこの方が原点なのかもしれませんね。


「シンフォニー記念日」に関するツイート集

2025年の投稿

2024年の投稿

2023年の投稿

12月5日の誕生花「ナンテン」

「ナンテン」

基本情報

  • 学名:Nandina domestica
  • 科名:メギ科
  • 分類:常緑低木
  • 原産:日本、中国、東南アジア
  • 別名:ナンテンギ、ナンテンチク
  • 開花期:6〜7月
  • 結実期:冬(11〜2月頃に赤い実)
  • 用途:庭木、縁起木、生け花、正月飾りなどに利用

ナンテンについて

特徴

  • 「難転(難を転じて福となす)」の語呂から、古くから縁起の良い植物とされる。
  • 初夏に白い小花を咲かせ、その後に鮮やかな赤い実を長くつける。
  • 冬でも落葉しないため、実の赤と葉の緑のコントラストが美しい。
  • 葉は季節で色が変化し、春の赤芽 → 夏の緑 → 冬の紅葉と表情が豊か。
  • 枝ぶりが柔らかく、風に揺れる姿が繊細で優しい印象を与える。
  • 病害虫に強く、手入れが簡単で長寿。

花言葉:「私の愛は増すばかり」

由来

  • 白い花・緑の葉・赤い実と、季節を追うごとに彩りが増す姿から
    → “時間とともに深まる愛情” を象徴すると考えられたため。
  • 秋から冬にかけて実が赤く色づき、
    寒さの中でも赤い実が鮮やかに残り続ける様子が、
    “育ち続ける想い” を連想させた。
  • 一度実がつくと長期間残ることから
    消えない愛、積み重なる愛情のイメージにつながった。

「冬の実が落ちるころ」

夕暮れの光が、庭の片隅に立つナンテンの実を赤く染めていた。冬の始まりを告げるような冷たい風が吹き、そのたびに葉がやわらかく揺れる。その光景を、結衣(ゆい)は縁側に座ってぼんやりと眺めていた。

 この家に帰ってきたのは、久しぶりだった。街での暮らしに疲れ、何となく行き場をなくした心が、ふと「帰りたい」と呟いたのだ。
 けれど、ここにはもう祖父はいない。
 二年前の冬、突然の別れが訪れた。結衣が最期に会えなかったことを、家のどこを歩いても思い出す。

 庭のナンテンは、もともと祖父が植えたものだった。

 「ナンテンはな、季節が移るほどきれいになるんだ」
 祖父はいつもそう言いながら、葉を手のひらでなでていた。
 「最初は白い花。夏には緑の葉が茂って、冬には赤い実になる。色が増えるっていうのは、積み重なっていくからなんだよ」

 その言葉が、今になって胸に沁みる。
 ――色が増えるほど、積み重なっていく。

 目を閉じると、祖父の笑い声がよみがえる。小さな頃、庭で転んで泣いたとき、真っ先に抱き上げてくれたこと。夏の夜に花火をして、煙でむせながら笑ったこと。忙しくなって帰らなくなっても、「元気ならそれでいい」と言ってくれたこと。

 どれも、あたりまえだと思っていた。
 けれど、もう返せない。

 風に揺れる枝が、そっと実を鳴らした。
 赤い実が冬の薄い光の中でほのかに揺れ、結衣の視線を引き寄せる。

 「あ……」

 ふと、ひと粒の実が落ちた。
 雪も積もっていない土の上に、ぽとりと落ちて弾けるように見えた。

 実が落ちる瞬間を見て、結衣はなぜか胸が締めつけられた。
 ――季節が変わっても、ずっと残っていたのに。
 赤いままで、冷たい風にも負けないまま、ずっと。

 なのに、今、音もなく落ちた。

 「……どうしてかな」

 問いかけは、庭に溶ける。
 答えは風に流れていったが、代わりに、思いがけない気づきが胸に満ちてきた。

 ナンテンが季節ごとに色を増すように。
 祖父との日々も、時間が経つほど鮮やかになっていく。
 忘れるどころか、むしろ増えていく。
 消えるのではなく、重なり続けていく。

 赤い実は落ちたけれど、それは終わりじゃない。
 実が落ちることで土が潤い、また新しい芽に力を渡すように――愛情も、誰かの中で姿を変えながら生き続ける。

 「おじいちゃん……」

 名前を呼んだとたん、涙がひと粒こぼれた。
 その涙は冷たいはずなのに、頬を伝う感触はどこか温かかった。

 結衣は立ち上がり、そっとナンテンの前に歩み寄った。
 枝先の赤い実が、夕日に照らされてきらりと光る。
 まるで、まだここにいるよと伝えるみたいに。

 「私ね、忘れてないよ。……むしろ、増えてくんだよ。会えない時間が長いほど」

 風がふわりと吹いた。
 ナンテンが優しく揺れ、葉がさざめく。
 それは返事のようで、慰めのようでもあった。

 結衣は深呼吸をし、もう一度実を見つめる。
 冬の庭の赤は、小さくても確かにあたたかい。
 積み重なる愛情は、色を増しながら、これからも胸の中に残り続ける。

 ――私の愛は増すばかり。

 ナンテンの花言葉が、初めて本当の意味を帯びて胸に沁みた。

 夕暮れの庭に、赤い実がひっそりと灯る。
 それは、時間を超えて息づく愛の光だった。

バミューダトライアングルの日

12月5日はバミューダトライアングルの日です

12月5日はバミューダトライアングルの日

1945年12月5日、アメリカ海軍のアヴェンジャー雷撃機5機が訓練飛行中に突然消息を絶つという衝撃的な事件が発生。この事故は、「フライト19事件」として知られ、未解決のミステリーとして多くの人々を惹きつけています。事件は、バミューダトライアングル(魔の三角地帯)で起こったとされ、その謎は今も解明されていません。

バミューダトライアングル

バミューダトライアングルの生存者が語る

バミューダ海域は、「フロリダ半島の先端」大西洋にある「プエルトリコ」「バミューダ諸島」の三点を結ぶ三角形の海域です。この海域は、100を超える船や飛行機が行方不明になったといわれ、魔の三角海域「バミューダトライアングル」として有名になりました。

謎のトライアングル

世界のミステリー

バミューダトライアングルは、ほとんどの事件が悪天候や人為的なミスによるものとされ、謎だけが一人歩きしている傾向があります。しかし、それでも全ては未だに解決していません。元々バミューダの謎を有名にしたのは、1945年のアメリカ海軍の雷撃機5機と乗員14名の失踪は、その後に潜水夫が海底で5機全ての残骸を発見したとにより、事故であったことが証明されています。

魔のトライアングルの原因は何!?

バミューダトライアングルの新事実

バミューダ海域が、魔のトライアングルと呼ばれるようになった原因はメタンハイドレートといわれています。それは、北欧ノルウェー沖のバレンツ海で天然ガスの爆発でできたと思われる複数の巨大クレーターが発見されています。ノルウェー北極大学研究チームは、この発表で魔の海域として知られている「バミューダ・トライアングル」の謎も似たような現象で起きたのではないかと議論されているそうです。

謎に包まれると色々と想像が広がる

バミューダトライアングルの想像の世界

映画「バトル・オブ・バミューダトライアングル」

バトル・オブ・バミューダトライアングル

謎に包まれる事件があると人は、必ずフィクション映画が生まれて大ヒットしています。例えば、「バトル・オブ・バミューダトライアングル」や、太平洋戦争の話で「ファイナル・カウントダウン」などのような映画が、人の想像力が沸いてきて魅力を感じますね。


「バミューダトライアングルの日」に関するツイート集

2025年の投稿

2024年の投稿

2023年の投稿

12月4日の誕生花「サザンカ」

「サザンカ」

基本情報

  • 学名:Camellia sasanqua
  • 科名:ツバキ科
  • 分類:常緑広葉樹(小高木)
  • 原産:日本(本州南部〜沖縄)
  • 開花期:10月〜12月(秋〜冬)
  • 花色:白、桃、赤、絞りなど
  • 別名:カタシ(刈安)、茶梅(チャバイ)

サザンカについて

特徴

  • ツバキよりもやや小さめの花を咲かせ、花びらが一枚ずつ散るのが特徴。
  • 甘い香りを持つ品種が多く、冬の庭に香りを添える。
  • 寒さに強く、冬にも花を咲かせ続ける生命力がある。
  • 葉は小さく硬めで、縁に細かな鋸歯がある(ツバキとの大きな違い)。
  • 生垣としても利用され、風に強く、育てやすい。
  • 厳しい冬の時期に虫や鳥たちの貴重な蜜源となる。

花言葉:「ひたむきな愛」

由来

  • 冬の寒さにも負けず、長い期間ずっと咲き続ける姿から
    → ひとりの相手を思い続けるような「ひたむきさ」を連想したため。
  • 花びらが一枚ずつ静かに散る様子が、
    静かで控えめだが、揺るがない愛情を思わせたため。
  • 冬の庭に明るい色を添え、周囲をそっと支えるように咲く姿から
    健気でまっすぐな愛の象徴とされた。

「冬に灯る花」

初雪が降った朝、紗耶は庭に出た。白い息を吐きながら、指先でそっとサザンカの花びらに触れる。冬の冷たい空気の中でも、その花はほんのりと温かさを宿しているように見えた。

 「……今年も、咲いてくれたんだね」

 小さくつぶやくと、花へ向けた声が雪に吸い込まれていく。サザンカは、まるで紗耶の言葉に応えるように、風に揺れてかすかな香りをこぼした。

 この家に戻ってきたのは、三年ぶりだった。仕事に追われる毎日で、季節の移ろいを感じる余裕すらなかった。けれど一週間前、ふと思ったのだ。
 ――あの花は、今年も咲いているだろうか。

 サザンカは、紗耶が祖母と一緒に植えた花だった。寒い冬でも花をつけるその力強さを、祖母は「ひたむきさ」と呼んでいた。

 「どんな季節でもね、人は支えてくれる誰かがいるだけで、咲けるんだよ」

 祖母の言葉はやわらかくて、温かくて、雪が積もる庭先に何度も蘇った。

 その祖母が亡くなって三度目の冬。帰ってくるたびに花は変わらず咲いていて、紗耶は胸がぎゅっと痛くなる。あの日、自分は祖母の最期に間に合わなかった。
 「仕事が落ち着いたら必ず行く」と言いながら、ずっと先延ばしにしてしまった。

 サザンカの花びらが一枚、雪の上に落ちた。小さくて、あまりに静かで、凛としている。花は潔く散るのではなく、一枚ずつ丁寧に、見守るように地面へ降りていく。
 紗耶は思わず膝をつき、その花びらを拾い上げた。

 「……おばあちゃん、ごめんね」

 言葉にした瞬間、張り詰めていた胸の奥がほどけていくようだった。雪は静かに降り続き、景色はどんどん白く染まっていく。

 そのとき、ふと気づいた。冷たいはずの冬の庭に、ほんのりと明るさがある。赤や桃色のサザンカの花が、小さな灯りのように点々と咲いているのだ。

 祖母はいつも言っていた。
 「冬の花はね、人を励ますために咲くんだよ。寒さをわかっているからこそ、そっと寄り添うの」

 紗耶は掌の中の花びらを見つめる。
 ひたむきに咲き続ける姿。
 静けさの中で落ちる花びら。
 そして、冬の庭に色を与える健気さ。

 ――サザンカは、まるで祖母のようだ。

 「私、やっとわかったよ。おばあちゃんの言ってたこと」

 涙が頬を伝う。けれどその涙は、どこか温かかった。
 祖母はもういない。けれど、残してくれたいくつもの言葉も、過ごした時間も、この花も――ひとつも消えていない。

 紗耶は立ち上がり、ゆっくりとサザンカの前にしゃがんだ。

 「来年も、また会いに来るね」

 雪の中、サザンカの花が揺れた。まるで「忘れないで」と伝えるように。

 しかし、紗耶はもう知っている。
 忘れないのは自分のほうだ。
 ひたむきに咲く花のように、祖母への想いは胸の奥で静かに息づき続けている。

 冬の庭で、小さな色が灯っていた。
 それは失われたものではなく、受け継がれ、そっと寄り添うように残り続ける“愛”の形だった。

血清療法の日

12月4日は血清療法の日です

12月4日は血清療法の日

1890年のこの日は、「北里柴三郎」と「エミール・ベーリング」が連名で破傷風ジフテリアの血清療法の発見を発表した日です。

血清療法ってなに?

血清療法とは

血清療法は、まず菌体を少量ずつ動物に注射し、血清中に抗体を生み出し摘出します。そして、その抗体にある血清を患者に注射することによって、体内の毒素を中和して無力化する治療法です。

北里柴三郎

北里柴三郎

北里柴三郎は、全身を痙攣させる病気である破傷風の予防と治療方法を開発した人です。またその前に北里氏は、1889年に世界で始めて破傷風菌だけを増やすことに成功しています。

破傷風

感染症の研究

破傷風とは、傷口から体中に侵入した破傷風菌と呼ばれる細菌が、全身の筋肉を痙攣させます。これが悪化すると呼吸ができなくなり、死に至る大変恐ろしい病気です。

破傷風の治療

破傷風の治療

破傷風を予防と治療をするためには、破傷風菌だけを増やし、詳細を調査する必要があります。したがって、北里氏は破傷風菌を調べることで、破傷風の予防や治療方法を開発しました。そして、多くの人々を破傷風の恐怖から救ったといわれています。

2020年の脅威は新型コロナウイルス

新型コロナウイルス治療

2020年以降の脅威は、インフルエンザを上回る感染力で人々を震え上がらせている新型コロナウイルス感染症(COVID-19)です。現時点では、ワクチンの研究は進み、世界各国で使用されようとしています。しかし、専門の特効薬はまだ開発されていません。ワクチンは、感染者を減らすことはできても、死者を無くすことは出来ません。今後、北里氏のような研究者が登場してきっと、人々を安心させてくれると信じています。


「血清療法の日」に関するツイート集

2025年の投稿

2024年の投稿

2023年の投稿

3月5日、12月3日の誕生花「ストック」

「ストック」

ストック(学名:Matthiola incana)は、アブラナ科の植物で、甘い香りと美しい花を持つことで知られています。冬から春にかけて咲くため、寒さにも強い花です。

ストックについて

科名:アブラナ科 / アラセイトウ属
原産地:南ヨーロッパ
開花時期:11月~4月
花の色:白、ピンク、紫、黄、赤など多彩
香り:甘く優しい香りが特徴
花の形:一重咲きと八重咲きがあり、八重咲きは特に華やか
草丈:20cm~80cm程度(品種による)

ストックの特徴

  • 一重咲きと八重咲きがあり、八重咲きのものは特に華やか。
  • 白、ピンク、紫、黄色など、豊富なカラーバリエーション。
  • 切り花としても人気で、長持ちしやすい。

ストックの育て方

1. 栽培環境

  • 日当たり:日当たりの良い場所を好みます。特に冬はしっかり日光を当てると丈夫に育ちます。
  • 土壌:水はけの良い土を用意し、弱アルカリ性の土壌が理想的です。市販の花用培養土でもOK。
  • 温度:寒さには強いですが、霜が降りる地域では防寒対策をするとより安心。

2. 水やり

  • 土の表面が乾いたらたっぷり水を与える。
  • 過湿を嫌うため、水のやりすぎに注意し、特に冬は控えめに。

3. 肥料

  • 元肥:植え付け時に緩効性肥料を混ぜる。
  • 追肥:開花期には2週間に1回、液体肥料を与えると花がよく咲く。

4. 植え付け

  • 種まき:9月~10月(発芽温度は15~20℃)
  • 苗の植え付け:10月~12月(霜の心配がある地域では11月までがベスト)
  • 株間:20~30cmあけると風通しが良くなり病害虫を防げる

5. 手入れ

  • 花がら摘み:枯れた花をこまめに摘むと、長く花を楽しめる。
  • 支柱:草丈が高い品種は倒れやすいため、支柱で支えると安心。

6. 病害虫対策

  • アブラムシがつくことがあるので、見つけ次第駆除。
  • 風通しをよくし、過湿を避けることで病気を防ぐ。

まとめ

ストックは寒さに強く、冬から春にかけて長く楽しめる花です。日当たりの良い場所で適度な水やりを行い、花がらをこまめに摘めば、元気に咲き続けてくれます。甘い香りと豊富な色のバリエーションで、庭や鉢植えを華やかに彩ってくれる素敵な花ですね!


花言葉:「逆境を克服する力」

寒さの中でも力強く咲くストックの姿が、困難に立ち向かい乗り越える強さを象徴していることから、この花言葉がつけられました。冬の寒さにも負けずに美しく咲くストックは、まさに忍耐や努力の象徴といえます。

ストックの花言葉

  • 「逆境を克服する力」
    → 寒さの中でも力強く咲く姿からつけられた花言葉です。困難を乗り越えて成長する人の姿とも重なります。
  • 「永遠の美」
    → 長く咲き続けることから、変わらない美しさを象徴しています。
  • 「思いやり」
    → 優しい香りと可憐な姿から、温かさや愛情を連想させます。

ストックの特徴

応援したい人へのプレゼントや、自分自身を励ます花としてもぴったりですね。


「冬のストック」

冬の寒さが厳しい小さな町。その町の外れにある古びた家に、ゆうきという少年が住んでいた。ゆうきは幼い頃に両親を亡くし、祖母と二人で暮らしていた。家計は苦しく、冬になると暖房も十分に使えないほどだったが、ゆうきはいつも前向きに生きていた。

ある日、ゆうきは学校の帰り道で、道端に咲いているストックの花を見つけた。その花は、寒さの中でも力強く咲き、美しい香りを放っていた。ゆうきはその花に心を打たれ、毎日通るたびに花を見つめるようになった。

「この花みたいに、僕も強くなりたいな」

ゆうきはストックの花に励まされ、勉強や家の手伝いに精を出した。彼は将来、祖母を楽にさせてあげたいと夢を抱き、そのために努力を重ねていた。しかし、冬の寒さはますます厳しくなり、ゆうきの体調も悪化し始めた。

ある朝、ゆうきは熱を出してしまい、学校を休むことになった。祖母は心配そうに彼の額に手を当てた。

「ゆうき、無理をしないで。体が一番大事だよ」

ゆうきはうなずいたが、心の中では焦りを感じていた。彼は勉強が遅れることを心配し、早く元気になりたいと願っていた。

その夜、ゆうきは窓の外を見ると、ストックの花が風に揺れているのが見えた。彼はその花を見つめながら、心の中で誓った。

「僕もこの花みたいに、逆境に負けずに頑張る。絶対に夢を諦めない」

次の日、ゆうきは熱が下がり、学校に行くことができた。彼は授業に集中し、休み時間も勉強を続けた。先生や友達はゆうきの努力を認め、彼を応援してくれた。

しかし、冬の寒さはまだ続いていた。ある日、ゆうきは家に帰ると、祖母が倒れているのを見つけた。彼は慌てて祖母を助け起こし、医者を呼んだ。医者は祖母が風邪をこじらせたと言い、安静にするようにと告げた。

ゆうきは祖母の看病をしながら、家の仕事もこなさなければならなかった。彼は疲れを感じながらも、ストックの花を見て自分を奮い立たせた。

「僕は強い。絶対に諦めない」

ゆうきは毎日、祖母のために食事を作り、家の掃除をし、勉強も続けた。彼の努力は実を結び、祖母の体調も少しずつ回復していった。

春が近づく頃、ゆうきは学校の成績が上がり、先生から表彰された。彼はその喜びを祖母に伝え、二人で笑い合った。

「ゆうき、あなたは本当に強い子だね。おばあちゃんは誇りだよ」

ゆうきは祖母の言葉に涙を浮かべ、ストックの花を見つめた。

「おばあちゃん、僕はこれからも頑張るよ。この花みたいに、逆境に負けずに夢を叶えるから」

ストックの花は、ゆうきの努力と忍耐を祝福するように、風に揺れていた。彼はその花を見ながら、これからも強く生きていくと心に誓った。

「暮らしに除菌を」の記念日

12月3日は「暮らしに除菌を」の記念日です

12月3日は「暮らしに除菌を」の記念日

毎年、この時期にインフルエンザの流行が始まり、2020年は新型コロナウイルスの世界的な感染が起きたことから、 香料製品の企画と製造、アルコール除菌剤「暮らしに除菌を」を製造販売の株式会社プラネットが制定しています。この日付は「1に手洗い 、2にうがい、 3に除菌」ということを衛生的な生活習慣を目指すために決められています。

感染症について

感染症対策

感染症とは、ウイルスや細菌などの病原体が体内に侵入して増殖することにより、発熱や下痢、咳などの症状が出ることです。感染症には、インフルエンザなど人から人に感染するほか、破傷風などのように人から人にではなく、傷口または動物や昆虫から感染する感染症も呼びます。感染して発病する場合もあれば、ほとんど症状がでずに終わってしまう場合もあります。

感染源や経路

接触による感染

感染症の種類により、病原体の体内へ侵入の経路が各々違ってきます。それは大きく分けて2つに分類すると、人同士感染症と、それ以外の感染症があります。特に人同士の感染症は、「接触感染」「飛沫感染」「空気感染」の3つの経路があります。それを予防するために感染経路を断ち切るために除菌対策などが必要となってきます。

除菌対策

除菌対策

除菌対策というと、外出するときのマスクや最近では「ソーシャルディスタンス」、「咳エチケット」が重要とされていますが、自宅での対策帰っても手洗いとアルコール消毒は最低限必要な対策とされています。

外出先での対策

  1. マスク着用
    ウイルスや飛沫感染を防ぐ基本的な対策です。特に人混みや公共交通機関では必須です。
  2. ソーシャルディスタンス
    他人との距離を1~2メートル保つことで、直接的な接触や飛沫感染のリスクを低減します。
  3. 咳エチケット
    咳やくしゃみをする際には、マスクやハンカチ、肘の内側を使って飛沫を抑えるようにしましょう。

自宅での対策

  1. 手洗い
    帰宅後や食事前には、石鹸を使って20秒以上かけて手をしっかり洗うことが重要です。
  2. アルコール消毒
    手洗いでは落としきれないウイルスをアルコール消毒液で補完することが有効です。また、ドアノブやスイッチなど手が触れる箇所も定期的に消毒すると良いでしょう。
  3. 換気
    室内の空気を新鮮に保つために、1日数回窓を開けて換気を行うことが推奨されます。
  4. 清掃
    家具や床を定期的に拭き掃除し、ホコリや菌が溜まらないようにします。
  5. 健康管理
    バランスの取れた食事や十分な睡眠を心がけ、免疫力を維持することも重要です。

2020年はコロナ対策で飛躍の年!?

ソーシャルディスタンス

2020年は年始めから一年中、新型コロナ感染症によるパンデミックの年であり、2021年の12月以降もなお「デルタ株」、さらには「オミクロン株」が新たに拡がりつつあります。ここ数十年ににない感染の拡がり方は、世界経済をパニックに陥れ、大幅に株価や為替が下落しました。そして、最終的に世界大戦やリーマンショックなどをしのぐほどの大不況に陥りました。

新しい生活環境の構築

日常の感染対策

これを機に人々は、医療体制の強化や除菌対策、ソーシャルディスタンスなどによる自己防衛のすべを学んでいます。これからもコロナはもちろん、インフルエンザなどにも負けない体制が、経験を元に強化されていくのだと私は信じています。


「暮らしに除菌を」に関するツイート集

2025年の投稿

2024年の投稿

2023年の投稿

5月21日、12月3日の誕生花「バラ」

「バラ」

RalphによるPixabayからの画像

基本情報

  • 学名Rosa
  • 分類:バラ科バラ属
  • 原産地:アジア、ヨーロッパ、中近東、北アメリカ、アフリカの一部
  • 種類:およそ200種以上、園芸品種は2万以上存在
  • 開花時期:5月中旬~6月上旬(主な開花期)、6月中旬~11月(品種によって適時、開花)
  • 形状
    • 一重咲き〜八重咲きまでさまざま
    • 色は赤、白、ピンク、黄、オレンジ、青みを帯びた品種など豊富

バラについて

🌸♡💙♡🌸 Julita 🌸♡💙♡🌸によるPixabayからの画像

特徴

  • 美しい花姿:整った花びらの重なりや鮮やかな色彩が魅力。
  • 芳香:多くの品種が甘く濃厚な香りを放つ。
  • トゲ:茎に鋭いトゲがあり、外敵から身を守る役割。
  • 育てやすさ:種類によって異なるが、日当たりと風通しを確保すれば比較的育てやすい。
  • 用途:庭園用、切り花、香料(ローズオイル)、食用(ローズウォーター、ジャム)

花言葉:「愛」「美」

Нина ИгнатенкоによるPixabayからの画像

バラが「愛」と「美」を象徴する理由は、古代からの文化・神話・文学に深く根ざしています。

1. 古代ギリシャ・ローマ神話

  • 美と愛の女神**アフロディーテ(ヴィーナス)**がバラと深く結びつけられていました。
  • 神話では、アフロディーテが恋人アドニスを失った悲しみの涙がバラに変わったとも言われています。

2. 中世ヨーロッパの騎士道文化

  • 貴婦人への愛の証として騎士がバラを贈る慣習がありました。
  • バラは「秘めた愛」「高貴な美しさ」を象徴し、恋愛の贈り物として定着。

3. 花の象徴性

  • 鮮やかな赤は情熱的な愛を、
  • 純白は純粋な美と尊敬を、
  • ピンクは優しさと幸福を象徴します。

📝 補足

  • 赤いバラ:もっともポピュラーな愛の象徴
  • 白いバラ:純潔・尊敬
  • 黄色いバラ:友情や嫉妬(文化によって異なる)
  • 青いバラ:奇跡・不可能への挑戦(近年のバイオ技術で作出)

「薔薇の涙」

CouleurによるPixabayからの画像

古びた石畳の道を、一人の老婦人が静かに歩いていた。手には、一輪の赤いバラ。

その道の先には、小さな古書店がある。年に一度、この日にだけ彼女はその店を訪れる。そして、何も語らず一冊の本を棚から取り出し、ページをめくる。ページの間には、押し花になったバラの花びらが一枚、そっと挟まれていた。

「アドニスの日だね」と、店主の青年が声をかける。

老婦人は、微笑みながら頷いた。

彼女の名はクラリス。若かりし頃、舞踏会で出会った青年、アドニスと恋に落ちた。彼は芸術を愛する詩人で、繊細で美しい言葉を紡ぐ人だった。

出会った夜、彼は一輪の赤いバラをクラリスに手渡しながらこう言った。

「君は、この花よりも美しい。けれど、バラと同じで、人を愛する力を持っている」

その日から、二人は毎週のように会い、愛を育んだ。バラ園で過ごした時間、詩を読み交わした静かな午後、そして、雨の日に交わしたくちづけ。すべてが、宝石のように心に残っている。

だが、運命は残酷だった。

ekremによるPixabayからの画像

アドニスは戦火に巻き込まれ、帰らぬ人となった。最後に届いたのは、彼の詩集と一輪の赤いバラだけだった。バラはすでに枯れていたが、クラリスはそれを丁寧に押し花にして、詩集に挟んだ。

「なぜ、バラだったのか、最近ようやく分かったのです」とクラリスはつぶやいた。

「バラは、美しいけれどトゲもある。愛はそういうもの。傷ついてもなお、美しさを失わない」

その年、クラリスは詩を一つ書いた。アドニスの書いた詩と並ぶように、それは詩集に挟まれた。

あなたの涙がバラに変わるのなら
私の愛も、香りとなってあなたに届くでしょう
美は消えず、愛は枯れず
ただ、時の彼方に咲き続けるだけ

老婦人は本を閉じ、押し花をそっと戻した。

「また来年、会いましょうね」

その一輪のバラに、誰に向けたとも知れぬ言葉を残して、彼女は静かに店を後にした。

バラは「愛」と「美」の象徴。だがその裏には、失われた時間と、決して枯れぬ想いがある。

クラリスのように、誰かの心に咲き続ける薔薇が、今日もまた、一輪。

12月2日の誕生花「シネラリア」

「シネラリア」

基本情報

  • 別名:サイネリア、フキザクラ(富貴桜)
  • 科名:キク科
  • 属名:ペリカリス属(旧セネシオ属)
  • 学名Pericallis × hybrida
  • 分類:多年草(園芸では一年草扱いが多い)
  • 原産地:カナリア諸島
  • 開花時期:11月〜5月(冬〜早春)
  • 花色:青・紫・ピンク・赤・白・複色など非常に多彩
  • 名前の由来:旧属名「Senecio(セネシオ)」がもとで「シネラリア」と呼ばれるようになった

シネラリアについて

特徴

  • 花びらの色がとても鮮やかで、中心の“目”のような部分がくっきりしている。
  • 冬から春にかけて咲くため、寒い季節の室内を明るく彩る花として人気が高い。
  • 一株にたくさんの花をつけ、満開時は花のクッションのように見える。
  • 冷涼な気候を好み、暑さには弱い。
  • カラーバリエーションが豊富で、花壇・鉢植え・贈り物など幅広く使われる。
  • 日光が好きだが、直射日光にはやや弱いため半日陰が適している。

花言葉:「いつも快活」

由来

  • シネラリアは冬から早春の寒い時期に、鮮烈な色で明るく咲く花
    → 冬の室内や庭を明るく照らす姿が、「元気」「快活さ」を連想させた。
  • 一株いっぱいに咲き広がる華やかな花姿が、
    “いつも明るい笑顔を絶やさない人”
    を思わせるため。
  • 色彩豊かでポジティブな印象が強いことから、
    **「いつも快活」「元気を出して」「喜び」**などの花言葉がつけられた。

「冬の色、君の声」

冬の朝は、窓ガラスの向こう側が少しだけ遠く感じられる。
 外気の冷たさが、まるで世界そのものを薄い氷の膜で覆ってしまったようで、触れれば壊れてしまうような静けさが漂っていた。

 そんな朝でも、凪沙(なぎさ)の部屋にはひとつだけ、季節に逆らう色がある。
 机の隅に置かれた鉢植えのシネラリア。紫や青、ピンクが重なり合い、まるで春が少しだけ迷い込んだかのように鮮やかだった。

 「……ほんと、強いなぁ。君は」

 凪沙はカーテンを開けながら、小さく呟いた。
 最近、彼女は笑うことが減っていた。理由は単純だ。
 大切な友人・瑛斗(えいと)が遠い町へ引っ越したからだ。

 瑛斗はいつも明るい人だった。
 どんなに落ち込んでいても、彼の前ではなぜか笑ってしまった。
 からかうように覗き込んでくる顔も、ふざけて肩を突いてくる仕草も、冬の朝を照らすような温度を持っていた。

 ――あんた、笑ったほうが似合うって。

 最後の日に瑛斗が言ったその言葉が、凪沙の胸の奥でまだ消えずにいる。

 その朝、凪沙はふと気づいた。
 シネラリアの花が、一段と鮮やかになっている。

 「……水、あげたっけ?」

 昨日の夜、帰宅してすぐ寝てしまった気がする。
 でも花は元気に咲き誇っている。
 凪沙は少し不思議な気持ちで葉を撫でた。

 その瞬間、ポケットの中でスマホが震えた。
 画面に表示された名前を見て、凪沙は息をのみ、小さく笑った。

 瑛斗からだった。

 ――『そっち雪降ってる? こっちはめっちゃ晴れてる。なんか悔しい』

 くだらない一文。
 でも、それだけで胸が少し軽くなる。

 ――『シネラリア、まだ咲いてる? あれ、絶対凪沙に似合うと思ったんだよな。冬でも元気で、なんか可愛いし』

 思わず頬が熱くなった。

 あの日、瑛斗が凪沙の誕生日にくれたのが、このシネラリアだ。
 「いつも快活」
 それが花言葉だと教えてくれた。

 「お前さ、落ち込んだら顔に出るタイプだろ。でもさ」
 「冬みたいな日でも、絶対また笑うと思うんだよ」

 その言葉を聞いたとき、凪沙は一度だけ泣きそうになった。
 でも瑛斗は見て見ぬふりをして、ただいつもの調子で花を渡してきた。

 凪沙はスマホを握りしめ、シネラリアに目を向けた。
 先ほどよりも、さらに鮮やかに見える。
 まるで「ほら、元気出せよ」と背中を押してくれているようだった。

 ――『今日、学校の帰りに少し話さない? 電話でもいいけど』

 瑛斗のメッセージが続けて届く。

 凪沙は笑ってしまった。
 彼は相変わらずだ。
 遠くにいても、冬でも、姿が見えなくても。

 その存在は、いつだって凪沙の心を温めてくれる。

 「……うん。話したいよ」

 そう打ち込み、送信ボタンを押した。

 窓の外では雪が静かに降り始めていた。
 白い世界の中で、シネラリアだけが春を先取りするように明るい。
 その色に照らされるように、凪沙の表情も少しだけほころんだ。

 瑛斗がいなくても、冬は寂しいだけの季節じゃない。
 鮮やかな色は思いがけず心を照らし、
 その色は、あの日もらった言葉と同じ温度で胸に触れる。

 ――冬に咲く花は、強いんだよ。

 瑛斗が言ったその言葉を思い出しながら、凪沙はそっとシネラリアの花に触れた。

 そして、静かに微笑んだ。

 「私も、もう少し頑張ってみるね」