7月3日、8日、8月15日、9月25日の誕生花「ハス」

「ハス」

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ハスは清らかな水辺に咲く美しい花で、古くから神聖視されてきました。泥の中から芽を出し、純潔や再生の象徴とされます。その大ぶりな葉と花は心を落ち着ける力があります。

基本情報

  • 学名Nelumbo nucifera
  • 科名:ハス科
  • 原産地:熱帯~温帯アジア、オーストラリア北部(ヌシフェラ種)、北アメリカ(ルテア種)
  • 開花時期:7月~9月(夏の花)
  • 花色:ピンク、白、稀に黄色
  • 生育環境:池や沼などの水辺・浅い水中
  • 分類:多年性水生植物

ハスについて

lamosiによるPixabayからの画像

特徴

  • 泥の中から咲く花
     ハスは泥水の中に根を張りながらも、水面にまっすぐ茎を伸ばし、美しく大きな花を咲かせます。その姿は、汚れた環境にありながらも決して染まらず、凛とした美しさを持っています。
  • 大きな葉と花
     丸くて大きな葉が特徴的で、水を弾く様子から“ロータス効果”という撥水現象の語源にもなっています。花は直径20cmほどにまで成長することもあります。
  • 宗教や文化との深い結びつき
     仏教では非常に神聖な花とされ、仏像がハスの台座に座っている姿(蓮華座)が多く見られます。インドではヒンドゥー教や仏教の象徴でもあり、「悟り」「輪廻」「再生」の象徴です。

花言葉:「清らかな心」

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「清らかな心(Purity of Heart)」という花言葉は、ハスの生態的な特徴宗教的象徴性の両面から生まれています。

1. 泥に染まらず咲くという清らかさ

ハスは、泥沼という汚れた環境の中にあっても、美しく純白のような花を咲かせます。この姿が、人間にとっての理想的な「周囲に流されず、自分の美しさや信念を保ち続ける」というイメージと重なります。

2. 仏教での“浄化”や“悟り”の象徴

仏教では、ハスの花は“清浄”を意味する重要なシンボルです。仏陀の悟りや仏性の象徴として扱われ、人間の煩悩を超えた「清らかな心」を体現する存在とされています。

3. 朝に咲いて夕に閉じる儚さも

ハスの花は朝に開き、午後になると閉じ、数日間それを繰り返して散っていきます。その儚い美しさもまた、余計な執着を持たず、静かに咲く「清らかな心」を象徴しているのです。


「泥に咲く花」

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母の葬儀の日、奈緒は久しぶりに実家の池を訪れた。夏の陽射しが強く照りつける中、水面にはいくつもの蓮の花が静かに開いていた。濁った水の中から伸びた茎の先に、透き通るような淡いピンクの花が咲いている。その姿を見た瞬間、彼女の胸に、子どもの頃のある情景が蘇った。

 「奈緒、この花、なんて名前か知ってる?」

 小さな頃、手をつないで池のほとりを歩いたあの日。母はそう言って微笑んだ。

 「ハス、だよね?」

 「そう。泥の中から咲くんだけどね、泥に染まらないの。不思議だと思わない?」

 幼かった奈緒には、何が不思議なのか、正直よくわからなかった。ただ、母がその花をじっと見つめる横顔がとても穏やかだったことを覚えている。

 「人もね、そうありたいの。どんなに苦しい環境にいても、心は清らかでいたい。そういう意味で、この花には“清らかな心”っていう花言葉があるんだよ」

 あれから20年。奈緒はずっと都会で働き、母とは何度もすれ違った。価値観の違い、進路のことでの口論、介護の押しつけ合い――清らかな心なんて、いつの間にか忘れていた。

Bob WilliamsによるPixabayからの画像

 しかし、今こうしてハスの花を目の前にしてみると、不思議なことに、母の言葉がまっすぐ胸に届いた。

 母の人生は決して平坦ではなかった。若くして夫を亡くし、女手一つで奈緒を育て上げた。近所の噂、親戚の冷たい視線、貧しさ――そのすべてを母は引き受けながらも、決して誰かを恨むことなく、どこか澄んだ眼差しで生きていた。

 「泥より出でて、泥に染まらず」

 その言葉の意味が、ようやく理解できた気がした。

 池のそばにしゃがみこみ、奈緒はそっと水面に指を伸ばした。濁った水の底は見えない。でも、そこから生まれるものが、こんなにも美しいのなら――。

 「ごめんね、お母さん。もっと早くに、気づけばよかった」

 ぽろりと涙が落ち、静かに波紋が広がった。けれどその涙すら、今の彼女には清められていくような気がした。

 その日、奈緒は一輪のハスを抱えて帰路についた。自分もまた、どんな場所にいても、心のどこかに清らかさを灯していたい――そんな願いとともに。

七転八起の日

7月8日は七転八起の日

七転八起の日

7月8日は、「七→⑦ 転八→⑧ 起」という事で「七転八起の日」。熊本地震からの復興への気持ちで、何度でも起き上がる心意気を込め、「くまモンの起き上がりこぼし」を発売。「阿蘇壱番屋」がこれを制定しています。

七転八起の日

くまモン起き上がりこぼし

七転八起の日は、七転び八起き(何度失敗しても、諦めずに奮闘すること )としての意味で有名な言葉です。

七転八起の意味

  1. 読み方: しちてんはっき
  2. 意味: 何度失敗してもそのたびに立ち上がり、めげずに努力を続けること。人生には浮き沈みがあることを表す言葉でもあります。

七転八起の由来

  • 仏教の影響: 倒れてもすぐに起き上がるだるま像に由来していると言われています。
  • 数字の意味: 「七」と「八」は多くの回数を示すために使われており、正確には「七回転んで八回起き上がる」という意味ではありません。
  • 生まれてすぐ: 生まれたばかりのときは誰かの助けが必要で、その1回を含めて「八起」とされています。
  • 聖書の影響: 一部の説では、聖書に由来しているとも言われています。

七転八起と七転び八起きの違い

  • 七転び八起き: 読み方は「ななころびやおき」で、意味は「七転八起」と同じです。何度失敗しても立ち上がり続けるという意味を持ちます。
  • 使用頻度: 一般的には「七転び八起き」がよく使われますが、どちらの表現も正しいです。

七転八起と七転八倒の違い

  • 七転八倒: 読み方は「しちてんばっとう」。意味は、何度も転げ回り、起き上がらずに苦しむ様子を表します。
  • 対照的な意味: 「七転八起」が立ち上がることを強調するのに対し、「七転八倒」は苦しみや悲しみを強調した表現です。一般的に「七転八倒の苦しみ」として使われます。

まとめ

「七転八起」は、失敗してもあきらめずに挑戦し続ける姿勢を表す言葉です。人生の浮き沈みを乗り越える力強さを象徴しており、ポジティブなメッセージを持っています。関連する表現として「七転び八起き」や「七転八倒」があり、それぞれ異なるニュアンスを持っています。

くまモンの起き上がりこぼし

熊本地震の後、復興の気持ちを込め「七転八起」の精神の心意気を表す「くまモンの起き上がりこぼし」を商品化しています。しかし再び、2018年7月に西日本豪雨で、河川の氾濫や洪水、土砂災害などの被害が発生しています。

それでも、七転び八起き

2020年7月の今年、停滞する梅雨前線の影響で九州地方は4日、熊本県南部を中心に猛烈な雨に襲われています。7日も九州全域で被害がたくさん出ています。それに加え、新型コロナの感染リスクでの自粛ムード。それでも前に進まなければ…。

「七転八起の日」に関するツイート集

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チキン南蛮の日

7月8日はチキン南蛮の日です

7月8日はチキン南蛮の日
チキン南蛮の日

2011年7月8日は、宮崎のご当地グルメとして「チキン南蛮」をPRする同党が発足しました。そして、それをきっかけに宮崎県延岡市の市民グループ「延岡発祥チキン南蛮党」がこの日を記念日として制定しています。

また、この日の目的はマップの作成や給食のメニューにするなど、地域の食文化としての「チキン南蛮」の知名度を上げるためです。ちなみに、日付は「チキン南⇒7 蛮⇒8」という語呂合わせからもきていて、この日を中心にしてチキン南蛮料理教室などのイベントが実施されているようです。

チキン南蛮の発祥は?

チキン南蛮の発祥は?

宮崎県延岡市の発祥で知られている「チキン南蛮」は、昭和30年代に延岡市内の洋食店で、「まかない料理」として作られたのがルーツだとされています。当時は「鶏唐揚げの甘酢漬け」とも呼ばれる料理でしたが、その後はタルタルソースをかけ、その横にサラダなどを添えるスタイルになりました。

そして昭和40年代には、家族で出かける外食のご馳走メニューとして浸透していきます。それがいつの間にか、学校給食や家庭料理、県内全域で飲食店の定番メニューとして普通に食べられるようになったということです。

「南蛮」は来日ポルトガル人とその文化を表す言葉!?

「南蛮」は来日ポルトガル人とその文化を表す言葉!?

チキン南蛮の「南蛮」は、もともと戦国時代に来日してきたポルトガル人や、その文化を表す言葉です。彼らの食文化の中に「南蛮漬け」が存在していて、唐辛子入りの甘酢に食材を漬けてつくられるものでした。そして、この「南蛮漬け」に鶏肉を漬けたりして料理されていたため、「チキン南蛮」と呼ぶようになったといいます。

タルタルのない「チキン南蛮」

タルタルのないチキン南蛮の「直ちゃん」

1964年頃に提供された最初のチキン南蛮は、現在のチキン南蛮に必ず掛けられている「タルタルソース」はなく、揚げた鶏肉を甘酢に漬けただけのものだったようです。そしてその後の1970年頃に初めて現在のようなタルタルソースが掛かった定番のチキン南蛮が人気になったといわれているそうです。(今でも、元祖「直ちゃん」のチキン南蛮は揚げた鶏肉を甘酢に通すだけで、タルタルソースを掛けません)

延岡だけのソウルフードから全国へ

チキン南蛮、延岡だけのソウルフードから全国へ

初めは延岡市と周辺の人々だけしか知られていなかったこのチキン南蛮が、提供店の店舗数や地域の拡大、新規出店する店の増加によって知名度は増え、今やその人気は全国区になっています。宮崎に来てみると、チキン南蛮発祥の地である延岡はもちろん、県内全域にチキン南蛮の専門店が所々あります。

そして、地域の人々はもちろん、県外から訪れた人が「さすが本場の味」として舌を唸らせているそうです。皆さんも、まず宮崎県の延岡市に訪れた際は、一番最初にチキン南蛮の元祖の味を知るために「直ちゃん」に足を運んでみては如何でしょうか!

チキン南蛮レシピ動画集

元祖、直ちゃん直伝のチキン南蛮レシピ

ムネ肉を揚げるときのテクニックを実演にて説明しています。

元祖、直ちゃん直伝のチキン南蛮レシピ

宮崎発のチキン南蛮レシピ

宮崎発のチキン南蛮レシピ

至高のチキン南蛮レシピ

至高のチキン南蛮レシピ

「チキン南蛮の日」に関するツイート集

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7月7日の誕生花「スイレン」

「スイレン」

基本情報

  • 学名:nymphaea
  • 科名:スイレン科
  • 原産地:東南アジア、パプアニューギニアなど
  • 分類:多年生水生植物
  • 開花時期:5~10月(種類によって異なる)
  • 花色:白、ピンク、黄、赤、青、紫など
  • 草丈:水面から花を咲かせるため、葉は水面に浮かぶ
  • 池や水鉢などで広く栽培され、観賞用として人気が高い

スイレンについて

特徴

  • 水面に浮かぶ美しい花を咲かせる代表的な水生植物
  • 朝に花を開き、夕方に閉じる性質を持つ種類が多い
  • 丸く大きな葉が水面に広がり、涼しげな景観を演出する
  • 清らかな花姿と優雅な咲き方が古くから愛されている
  • 根は泥の中に張りながらも、美しい花を水面に咲かせる
  • 暑さに強く、日当たりの良い場所でよく育つ
  • 庭園や公園の池、ビオトープなどで親しまれている


花言葉:「信頼」

由来

  • 泥の中に根を張りながらも、毎年変わらず美しい花を咲かせる姿が、揺るぎない信頼関係を連想させることから。
  • 朝になると規則正しく花を開き、夕方には静かに閉じる様子が、誠実さや約束を守る心を象徴しているため。
  • 水面に穏やかに浮かびながらも、しっかりと根を張って生きる姿が、目に見えない信頼の土台を表していることから。
  • 濁った泥水の中から清らかな花を咲かせる姿が、困難の中でも変わらない真心や誠実な絆を思わせるため。
  • 美しい花と力強い生命力を兼ね備えた姿が、人と人との深い信頼や長く続く絆の象徴となり、「信頼」という花言葉が付けられた。


「水面に咲く約束」

 梅雨が明けたばかりの朝だった。

 柔らかな陽射しが、公園の池を静かに照らしている。

 水面には丸い葉がいくつも浮かび、その間から白いスイレンがゆっくりと花を開いていた。

 凛は足を止める。

 都会の喧騒を忘れさせるような静かな景色だった。

 二十八歳。

 出版社で編集者として働く凛は、この一年、大きな壁にぶつかっていた。

 担当していた人気作家が体調を崩し、連載は突然中断。

 新しい企画もなかなか形にならない。

 社内では「結果がすべて」という空気が漂い、自分の判断にも自信が持てなくなっていた。

 「私に任せて大丈夫なのかな……。」

 そう思う日が増えていた。

 その朝も早く目が覚め、気持ちを落ち着かせようと公園へ来たのだった。

 池のほとりでは、一人の老人がスケッチブックを広げていた。

 白いスイレンを静かに描いている。

 「きれいですね。」

 凛が声をかけると、老人は優しく笑った。

 「毎年、この季節になるとここへ来るんですよ。」

 「毎年ですか。」

 「ええ。何十年も変わりません。」

 凛は池を見つめた。

 泥の中から伸びた茎。

 水面に浮かぶ葉。

 そして汚れ一つない白い花。

 「不思議ですね。」

 「泥の中で育っているとは思えないでしょう。」

 老人はそう言って鉛筆を置いた。

 「花言葉は『信頼』なんですよ。」

 凛は思わず聞き返した。

 「信頼……。」

 その言葉が胸に静かに響いた。

 老人は続ける。

 「泥の中にしっかり根を張っているからこそ、美しい花を咲かせられるんです。」

 凛は水面を見つめた。

 目に見えるのは花だけ。

 根は深い泥の中に隠れている。

 けれど、その見えない根があるからこそ、花は毎年変わらず咲く。

 まるで人との信頼関係のようだと思った。

 翌日。

 会社では新しい書籍企画の会議が開かれた。

 若手作家との初めての仕事だった。

 作家の名前は悠斗。

 まだ新人だが、独特の感性を持っていた。

 しかし企画書は粗削りで、完成には程遠い。

 会議が終わると、先輩が言った。

 「この企画、難しいな。」

 「そうですね……。」

 「担当を替えてもらうか?」

 凛は少し考えた。

 確かに不安はあった。

 けれど悠斗の文章には、人の心を動かす何かがあった。

 「もう少し、一緒に考えてみます。」

 その言葉を口にした瞬間、自分でも驚いた。

 数日後。

 凛は悠斗と何度も打ち合わせを重ねた。

 企画を否定するのではなく、一緒に形にしていく。

 「ここは、こんな気持ちを書きたかったんです。」

 悠斗は少しずつ本音を話すようになった。

 凛も耳を傾けた。

 急がない。

 焦らない。

 少しずつ積み重ねていく。

 それは池の底で根を伸ばすスイレンのようだった。

 休日。

 凛はまた公園を訪れた。

 老人は今日もスイレンを描いていた。

 「こんにちは。」

 「おや、また来ましたね。」

 凛は笑う。

 「なんだか、この花を見ると落ち着くんです。」

 老人は池を見ながら言った。

 「朝になると必ず花を開き、夕方になると閉じる。」

 「毎日同じなんですね。」

 「約束を守る人みたいでしょう。」

 凛は頷いた。

 規則正しく咲く姿。

 決して急がず、決して怠らない。

 その誠実さが、人の信頼につながるのかもしれない。

 数か月が過ぎた。

 秋。

 悠斗の原稿は完成した。

 出版社でも高く評価され、書籍化が決まる。

 発売日。

 本は予想以上の反響を呼び、増刷が決定した。

 「ありがとうございました。」

 悠斗は深く頭を下げた。

 「僕、一人だったら途中で諦めていました。」

 凛は首を振る。

 「私も同じです。」

 「え?」

 「あなたを信じたから頑張れた。でも、あなたも私を信じてくれたでしょう。」

 悠斗は少し照れながら笑った。

 「はい。」

 その笑顔を見て、凛は胸が温かくなった。

 冬が過ぎ、再び初夏が訪れる。

 凛はあの日と同じ池へ向かった。

 水面には今年もスイレンが咲いていた。

 白い花は何も変わらない。

 泥の中に根を張りながら、水面では清らかに咲いている。

 老人の姿はなかった。

 代わりにベンチには、一冊のスケッチブックが置かれていた。

 管理人が言う。

 「あの方は高齢で施設へ入られたそうです。でも毎年、『スイレンは今年も咲いていますか』と電話をくださるんですよ。」

 凛は静かに笑った。

 きっとあの人にとっても、この花は信頼の象徴だったのだろう。

 池のほとりへ歩く。

 水面を吹き抜ける風が心地よい。

 白い花が静かに揺れている。

 花言葉の意味が、今ならよく分かる気がした。

 信頼とは、一度の言葉で生まれるものではない。

 泥の中に根を張るように、見えないところで少しずつ育まれていくもの。

 毎朝決まった時間に花を開くように、約束を守り、誠実であり続けること。

 困難の中でも相手を信じ、自分も信じてもらえるよう努力を重ねること。

 その積み重ねが、人と人との絆を強くしていくのだ。

 スイレンは濁った泥水の中から、美しい花を咲かせる。

 どれほど水が濁っていても、その花は清らかさを失わない。

 人もまた、苦しい日々や迷いの中でこそ、本当の誠実さが試されるのかもしれない。

 見えない場所で支え続ける心。

 変わらず相手を思いやる気持ち。

 それが信頼という根になり、美しい花を咲かせる。

 凛はそっと池へ向かって頭を下げた。

 水面には青空が映っている。

 その上に浮かぶ白いスイレンは、今日も静かに咲いていた。

 誰かに誇ることなく。

 誰かを急かすことなく。

 ただ変わらず、そこにある。

 その姿は、言葉よりも深く「信頼とは目に見えない根によって育まれるものなのだ」と教えてくれていた。

 風が吹く。

 水面に小さな波紋が広がる。

 それでもスイレンは揺らぎながら、静かに咲き続けていた。

 まるで、人と人との信頼もまた、時に揺れることがあっても、互いを思う真心がある限り決して失われることはないのだと、優しく語りかけるように。

3月16日、4月29日、5月6日、6月7日、30日、7月7日の誕生花「クチナシ」

「クチナシ」

Mary BrothertonによるPixabayからの画像

基本情報

  • 学名Gardenia jasminoides
  • 分類:アカネ科クチナシ属
  • 原産地:本州(東海地方以西)、四国、九州、沖縄
  • 開花時期:初夏(6~7月頃)
  • 花の色:白(咲き始めは純白で、やがてクリーム色に変化)
  • 香り:甘く強い芳香が特徴的

クチナシについて

Ben SoedjonoによるPixabayからの画像

花の特徴

  • :純白(咲き始めは白く、徐々にクリーム色へ変化)
  • :バラのような重なりのある花びら(八重咲きもある)
  • 香り:甘く濃厚で、ジャスミンに似た芳香がある
  • 咲き方:静かに咲き、花は長く保たないが香りは強く印象的

花言葉:「幸せでとてもうれしい」

Jenny jennysphotos7によるPixabayからの画像

クチナシの花は、甘く優雅な香りと純白の美しい姿で、見る人や香る人に幸福感を与えることから、「幸せでとてもうれしい」という花言葉がつけられました。また、初夏に咲き、静かに咲き誇る様子が、控えめながらも心を満たす喜びを象徴しているとも言われます。


「クチナシの庭で」

Duy Le DucによるPixabayからの画像

六月の午後、陽射しはやわらかく、風はどこか甘い匂いを運んできた。祖母の家の庭に咲くクチナシの花が、今年も静かに咲き始めたことに、私はようやく気づいた。

「今年も咲いたのね」と祖母は言った。細くなった指先で、そっと一輪に触れる。その指先には、長年土を触れてきた人だけが持つやさしさが宿っている。

hartono subagioによるPixabayからの画像

私は、大学に入学してからというもの、しばらく祖母の家に顔を出していなかった。ふとした休日に思い立ち、久しぶりに訪れたこの家は、あの頃とほとんど変わらない。それでも、私の目に映るものすべてが、少しずつ色褪せて見えるのはなぜだろう。時が過ぎて、私だけが変わってしまったような気がした。

クチナシの花は、いつもこの季節に咲いた。白く、凛として、どこか寂しげで、それでいて香りはとても甘く、記憶の奥深くにまで沁みこむような匂いだった。

「クチナシにはね、言葉があるのよ」と、かつて祖母は教えてくれた。「“幸せでとてもうれしい”。静かに咲くけれど、その存在だけで人を幸せにするのよ」

あの頃は、花に言葉があるなんて信じていなかった。ただの作り話か、きれいごとのように思えていた。でも、今は違う。クチナシの香りを胸いっぱいに吸い込みながら、私は少し目を細めた。

「どうしたの?」と祖母が訊いた。

「ううん、ただ懐かしくて。小さいころ、ここで寝転んでクチナシの匂いを嗅いでたの、覚えてる」

祖母は微笑んで、縁側に腰を下ろした。「あの頃、あなたはよく言ってたわ。“このにおい、幸せのにおいがする”って」

私は思わず笑った。「そんなこと言ってたんだ?」

「言ってたのよ。だから、この庭はずっとあなたの“幸せの庭”だと思ってる」

クチナシの香りが、まるで返事のように風にのってふわりと漂ってきた。目の前の白い花が、何かを語りかけているように見えた。祖母が静かに手を添えたその花は、声を持たずとも、確かにそこにいて、私の心を満たしてくれた。

日が傾き始め、庭に長い影が落ちた。私はゆっくりと立ち上がり、祖母の隣に座った。手を伸ばし、ひとつのクチナシにそっと触れた。

「ねえ、おばあちゃん」

「なあに?」

「私、この庭を守っていこうかな。これからも、この香りに会えるように」

祖母は少し驚いた顔をして、それからゆっくりとうなずいた。「それは、とてもうれしいわ」

まるでその言葉が、花言葉そのもののように、私の胸に深く染みこんだ。

「幸せで、とてもうれしい」

クチナシの庭には、言葉では言い表せないほどの温もりがあった。それは誰かの愛や記憶に静かに寄り添いながら、まっすぐに咲いていた。

7月7日の誕生花「アベリア」

「アベリア」

基本情報(概要)

  • 学名Abelia × grandiflora
  • 和名:ハナツクバネウツギ(花衝羽根空木)
  • 分類:スイカズラ科 ツクバネウツギ属
  • 原産地:野生種は、日本、中国、ヒマラヤ、メキシコに15種が分布
  • 形態:落葉または半常緑低木(地域により変化)
  • 樹高:およそ1~1.5メートル(品種により〜2m程度まで)
  • 開花時期:5月〜10月(長期間咲く)

アベリアについて

特徴

◎ 長く咲き続ける丈夫な花木

  • 花期は非常に長く、初夏から晩秋まで咲き続けるのが最大の特徴。
  • 花が小さいため派手ではありませんが、枝先にまとまって咲く姿は上品で可憐です。

◎ 萼(がく)も美しい

  • 花が散ったあとに残る萼が紅色に色づき、美観が続くため、長く楽しめる植物です。
  • 見た目は小花が咲いているように見えるほど美しいです。

◎ 丈夫で育てやすい

  • 耐暑性・耐寒性ともに高く、剪定にも強いため、初心者にもおすすめの庭木です。
  • 病害虫にも強く、放任でもある程度育つほどタフな植物です。

◎ 樹形がまとまりやすい

  • 半球状に自然に整う樹形なので、生垣や低めの植え込みにもぴったり
  • 強剪定にも耐え、管理がしやすいです。

◎ 観葉としての魅力も

  • 品種によっては斑入りの葉や、紅葉する葉などもあり、花のない季節にも楽しめます。

花言葉:「強運」

🌸 由来1:花が終わっても美しさが続く「萼(がく)」の存在

アベリアの花は咲いた後、すぐに散ってしまいますが、花の土台となる萼がそのまま枝に長く残り、紅色に色づいて美しく変化していきます
まるで、運が尽きたように見えても、その後も“魅力”が続いていく姿が、「強運」「運を手放さない」ことの象徴と捉えられました。


🌿 由来2:驚くほどの強さと生命力

アベリアは以下のような性質を持っています:

  • 長期間の開花(5月〜10月):半年近く咲き続ける花は珍しい
  • 病害虫に強く、手間がかからない
  • 強い剪定にも耐える
  • 乾燥や暑さ・寒さにも強い

このように、どんな環境にも適応し、丈夫で枯れにくい性質から、「どんな運命にも負けない強さ」「困難をはね返す強運さ」といった花言葉が生まれたとされています。


🌱 総合的に見ると…

アベリアの「強運」は、
ただ幸運が舞い込むという意味ではなく、

『試練に耐え、静かに、しかし確かに美しさを保ち続ける力』

に由来しています。

だからこそ、アベリアは「強さを信じて進みたい人」や、「困難を乗り越えた人」への贈り物にもぴったりな花です。


「強運の庭」

風がやわらかく吹いた。玄関先の鉢植えがわずかに揺れ、白い小花がそっと頬を撫でるように揺れた。

 アベリア。
 小さくて、誰の目にも留まりにくいその花は、あまり手入れの行き届いていないこの庭の中でも、変わらず毎年咲いてくれた。祖母が大切にしていた木のひとつだ。

 「この花ね、強運って花言葉があるのよ。あんたにも、少しわけてあげたいくらいだわ」

 子どもの頃、病弱だった私の手を握りながら、祖母はそう言って笑った。強運なんて、ずいぶん都合のいい言葉だと思った。けれど、あのころの私は、何かにすがりたかったのだろう。素直に「うん」とうなずいたのを覚えている。

 十年ぶりに戻ってきた実家の庭は、ところどころ雑草に覆われていた。けれど、アベリアだけは変わらず枝を伸ばし、小さな白い花を咲かせていた。萼(がく)もまだしっかり枝に残っていて、先のほうがほのかに紅色を帯びている。まるでまだ咲いているかのように、楚々とした美しさがあった。

 ――地味なのに、しぶとい。

 誰にも気づかれないように咲き、花が終わっても、その存在を静かに残す。
 そういえば祖母もそうだった。

 派手に誰かを引っ張ったり、人前で大声を出すような人ではなかったけれど、何か大事なときにはいつも後ろに立って、そっと背中を押してくれた。母が病気で倒れたときも、父が転職で悩んでいたときも、そして私が高校進学をあきらめようとしたときも。

 「強いって、こういうことなんだよ」

 祖母が亡くなったのは五年前。知らせを聞いたとき、私は海外にいた。夢だった建築の勉強のため、やっと奨学金をもらって留学していた最中だった。

 電話の向こうで、父がぽつりとつぶやいた。

 「おばあちゃん、最後まで庭のアベリア見てたよ。……今年は、花が長く咲いてたな」

 運がいい、って言葉は、どこか軽くて、努力も痛みも省略してしまうようで苦手だった。けれど、あの花を見ていると、少しだけその意味がわかる気がする。

 日当たりがいいわけでも、肥料をこまめに与えられていたわけでもない。それでも、気づけば毎年、風にそよいでいる。
 強い運というより、「運に負けない強さ」とでも言えばいいのかもしれない。

 私はスコップを持って、鉢の周囲の土を掘り返し始めた。草を抜き、枯葉を取り除く。大きな庭はとても手がかかる。けれど、祖母が遺してくれたこの小さな生命の庭を、もう一度きれいに整えてみたくなった。

 強運は、与えられるものではない。
 それはきっと、誰にも気づかれなくても、自分の居場所でひっそりと咲き続ける力なのだ。

 夕方、玄関の灯りに照らされたアベリアが、そっと風に揺れた。
 小さなベルのような花が、まるで微笑むように、こちらを見ていた。

七夕

7月7日は七夕です

7月7日は七夕

7月7日の「七夕」は、織姫と彦星が天の川を渡り、年に一度だけ会うことができるという中国の伝説に由来する日です。そして、この伝説が奈良時代の日本に伝わって、元々日本にあった七夕信仰と結びつけた行事としての「七夕」へと発展していったといわれます。

また、夏の夜空を見上げると、織姫星(織女星⇒しょくじょせい)はこと座の1等星「ベガ」、彦星(牽牛星⇒けんぎゅうせい)はわし座の1等星「アルタイル」があります。ちなみに、この二つの星とはくちょう座の1等星「デネブ」を加えた三つの星を結ぶと大きな三角形となって「夏の大三角」と呼ばれています。

七夕のルーツ

七夕のルーツ

七夕は、昔から伝わる日本のお祭り行事で、1年の重要な節句をあらわす五節句の一つです。毎年「七夕」7月7日の夜に、短冊に願いごとを書き、飾りなどと一緒に笹の葉に吊るして、星にお祈りをします。ほとんどの人たちが、幼稚園や保育園などで、たくさんの短冊をつるして織姫と彦星にお願いごとをして経験があるのではないでしょうか?
その七夕の始まった起源を調べると、「棚機(たなばた)」「七夕伝説」「乞巧奠(きこうでん)」というキーワード出てきます。

棚機(たなばた)

棚機神社(奈良県葛城市)

「棚機」とは、古い日本の禊ぎ(けがれのある人などや神事に従事しようとする人が、川や海の水でからだを洗い清めること)行事で、女性が着物を織って棚にそなえて神さまを迎え、秋の豊作を祈り人々のけがれをはらうというものだったそうです。また、その行事で 選ばれた女性は「棚機女(たなばたつめ)」と呼ばれるそうです。

そして、川などの清い水辺にある機屋(はたや)に籠ると、神さまに心をこめて着物を織り始めます。そのときに使用された織り機が、その「棚機」(たなばた)」というものです。 その後に仏教が伝わってくると、行事はお盆を迎える準備として7月7日の夜に行われるよります。現在では、七夕という二文字で「たなばた」と当て字で読んでいるのは、これが由来となっているとか。

七夕伝説

七夕伝説

この伝説というのは、織姫と彦星の天の川に関係する物語のことであり、実際に夏の空に琴座の「ベガ」と呼ばれている織女星は裁縫の仕事、鷲座の「アルタイル」と呼ばれている彦星(牽牛星)は農業の仕事をつかさどる星から、この物語のきっかけになったようです。

そして、二つの星は旧暦7月7日に天の川をはさんで最も光り輝いているように見えることから、中国でこの日を一年に一度に会えるの日と考え、そこから有名な七夕の物語が生まれたとされています。

乞巧奠(きこうでん)

乞巧奠(きこうでん)

「乞巧奠(きこうでん)」は、中国の行事7月7日に織女星にあやかり、機織や裁縫が上達するよう祈るという風習から始まったそうです。その風習は、庭先にある祭壇に針などをそなえ、星に祈りを捧げるもので、やがてそれが機織のみならず、芸事や書道などの上達も願うように祈るようになったいわれています。

みんなでコロナが終息するように願いましょう!

七夕の願い事

七夕は願い事をする日であり、そして叶えてくれる日だと、子供のころから信じ続けられるロマンチックな行事でもあります。さあ、今日は「七夕」であり、そして、「ドリカムの日」でもあります。ご存じ「ドリームズカムトゥルー」を辞書で調べると、念願の夢・長年の夢・究極の夢・夢のような話。など、夢かなう時の表現は様々です。

子供のころからの夢をかなえる、苦労に苦労を重ねてようやく夢をかなえる、これ以上ない最高の夢をかなえる等など、夢の実現への思いが詰まっている言葉です。まさに今こそ、みんなでコロナ終息へ向けて願い事を叶えて、元の楽しかった日々に戻していきましょう!


「七夕」に関するツイート集

2026年の投稿

2025年の投稿

七夕はドリカムの日!?

7月7日はドリカムの日

七夕はドリカムの日

2015年7月7日、ベストアルバム「私のドリカム」を発売。今年は、スーパー裏ベストアルバム「私だけのドリカム」発売。この日は、ドリカムとファンにとっても「夢がかなう日」、まさに「七夕」ピッタリですね。

本当に認定されてるの?

七夕とドリカム

実際、一般社団法人日本記念日協会より、ドリカムの日として認定されて来年のカレンダーに掲載される事になったそうです。

とんねるずのコンサートでサポート・メンバーの中村

ドリカムのコンサートツアー

ドリカムことDREAMS COME TRUEというメンバーは、1988年(昭和63年)1月に結成しています。実は、元々は1985年から1988年にとんねるずのコンサートツアーでサポート・メンバーをしていた中村が、1988年のコンサートツアー前に吉田をバック・コーラスにしたことがきっかけだそうです。

DREAMS COME TRUE

当初は「チャチャ・アンド・オードリーズ・プロジェクト」というグループ名で、その後「夢はかなう」(DREAMS COME TRUE)に改名。エピック・ソニー・レコードから1989年3月21日、シングル「あなたに会いたくて」とアルバム「DREAMS COME TRUE」の同時リリースでCDデビュー。

1990年代には、圧倒的な人気で1990年発売の「笑顔の行方」で初のオリコンTOP10入り。その後、「決戦は金曜日」などの5作品がミリオンセラーとなります。中でも「LOVE LOVE LOVE」は240万枚以上の売上げです。

ドリカムの人気が上がれば株価も上昇!?

ドリカムの人気が上がれば株価も上昇!?

2006年、大和総研が「ドリカム人気が上がれば、株価も上昇」とする調査結果を発表。ドリカム人気と株価指数が同時に上昇する確率が85%、更に下落時で66%というぐらい高い相関関係を示したことを発見しています。

庶民が共感が持てるドリカムの歌詞が、景気上昇時に前向きな気持ちなり、歌が景気の追い風になったという意見があります。

「コロナ禍」、「ロシアのウクライナ侵攻」、「急激な物価高」という大変なこのご時世ですが、こういう最悪な時期に負けずに、こういった良い曲を聞いて元気をもらいながら、この難局を乗り切りましょう!

「ドリカムの日」に関するツイート集

2026年の投稿

2025年の投稿

7月6日の誕生花「ツユクサ」

「ツユクサ」

基本情報

  • 学名:Commelina communis
  • 科名:ツユクサ科
  • 原産地:日本、中国、朝鮮半島など東アジア
  • 分類:一年草
  • 開花時期:6~9月
  • 花色:鮮やかな青(まれに白や淡い青)
  • 草丈:20~50cm程度
  • 日当たりから半日陰の湿り気のある場所を好む
  • 道端や野原、畑の縁などでよく見られる身近な野草

ツユクサについて

特徴

  • 朝に花を開き、午後にはしぼむ一日花として知られる
  • 鮮やかな青い花びらが涼しげで夏の風景によく映える
  • 露をまとったようなみずみずしい姿が名前の由来
  • 繁殖力が強く、毎年自然に芽を出して群生する
  • やわらかな茎と葉が風に揺れ、素朴で親しみやすい雰囲気を持つ
  • 昔は青い花の汁が染料や絵の具の下絵などにも利用されていた
  • 日本の夏を代表する野草として古くから親しまれている


花言葉:「懐かしい関係」

由来

  • 毎年変わらず夏になると咲く姿が、昔の思い出や大切な人との再会を連想させることから。
  • 道端や野原など身近な場所で親しまれてきた花であり、幼い頃の記憶を呼び起こす存在であるため。
  • 朝だけ美しく咲くはかない花姿が、過ぎ去った時間や懐かしい日々への思いを象徴していることから。
  • 素朴で飾らない青い花が、変わらない友情や幼なじみとの温かな絆を思わせるため。
  • 毎年同じ季節に変わらず咲き続ける姿が、時を経ても色あせない思い出や人とのつながりを象徴し、「懐かしい関係」という花言葉が付けられた。


「青い花が結ぶ夏の記憶」

 七月の朝だった。

 久しぶりに降った雨が上がり、道端の草花には小さな露が光っていた。

 遥は、生まれ育った町へ十年ぶりに帰ってきた。

 東京で働き始めてから、毎日が慌ただしかった。

 休日も仕事の連絡が入り、帰省する機会は少なくなっていた。

 父が退職することになり、家族が集まると聞いてようやく時間を作ったのだ。

 駅から実家まで続く細い道。

 子どもの頃、毎日のように歩いた通学路だった。

 懐かしい景色は少し変わっていた。

 新しい家が建ち、小さな商店はコンビニになっている。

 それでも田んぼを渡る風の匂いだけは昔のままだった。

 ふと足元を見ると、小さな青い花が咲いていた。

 朝露をまとい、澄みきった空を映したような青色。

 控えめなのに、不思議と目を引く花だった。

 「ツユクサだね。」

 草刈りをしていた近所のおじさんが声をかけてきた。

 「懐かしいな……。」

 遥は思わずしゃがみ込む。

 小学生の頃、この花の汁で友達と絵を描いて遊んだことを思い出した。

 指先が青く染まり、先生に笑われた夏休み。

 虫取り網を持って走り回ったあの頃。

 「今でも毎年咲くんですね。」

 「そうだよ。」

 おじさんは笑う。

 「誰も植えてないのに、夏になるとちゃんと顔を出す。」

 遥は青い花を見つめた。

 朝だけ花を開き、昼にはしぼんでしまう。

 それでも翌日にはまた新しい花が咲く。

 「花言葉は『懐かしい関係』なんだ。」

 その言葉に胸が小さく震えた。

 懐かしい関係。

 まるで今の自分のためにあるような言葉だった。

 実家へ着くと、母が笑顔で迎えてくれた。

 「おかえり。」

 「ただいま。」

 その二文字を口にするのは何年ぶりだろう。

 父も少し照れくさそうに笑っている。

 夕食では昔話に花が咲いた。

 父の失敗談。

 母のお弁当。

 運動会。

 文化祭。

 笑い声が絶えなかった。

 その夜。

 自分の部屋を片付けていると、一冊の古いアルバムが出てきた。

 中には幼なじみの航太との写真がたくさん挟まっていた。

 二人で川遊びをした日。

 夏祭りで金魚すくいをした日。

 卒業式の日。

 高校卒業後、航太は地元へ残り、遥は東京へ出た。

 最初は連絡を取り合っていた。

 けれど忙しさに追われるうちに、少しずつ疎遠になってしまった。

 翌朝。

 散歩に出かけると、川沿いの土手にもツユクサが群れて咲いていた。

 青い花が風に揺れている。

 その向こうから、自転車に乗った男性が近づいてきた。

 「あれ……遥?」

 聞き覚えのある声だった。

 「航太?」

 互いに目を丸くする。

 十年ぶりの再会だった。

 「帰ってたのか。」

 「昨日ね。」

 最初は少しぎこちなかった。

 しかし歩き始めると、不思議なくらい昔と同じだった。

 学校帰りによく歩いた川沿い。

 秘密基地を作った林。

 駄菓子屋のおばあちゃん。

 話は次から次へと尽きなかった。

 「覚えてる?」

 航太が笑う。

 「ツユクサの汁で顔に落書きしたこと。」

 遥も吹き出した。

 「あったね。」

 「先生に二人とも怒られた。」

 笑いながら涙がにじんだ。

 十年という時間が、一瞬で縮まった気がした。

 「東京はどう?」

 「忙しいよ。」

 「頑張ってるんだな。」

 その一言が温かかった。

 肩書きも。

 給料も。

 成功も失敗も。

 そんなことではなく、自分自身を見てくれている気がした。

 数日後。

 父の退職祝いが開かれた。

 親戚や近所の人たちが集まり、小さな宴会になった。

 父は照れながらも嬉しそうだった。

 最後に父が言った。

 「仕事は終わったけど、人との縁は終わらない。」

 その言葉が心に残った。

 翌朝。

 帰る日だった。

 駅へ向かう途中、またツユクサが咲いていた。

 朝日に照らされ、青い花がきらきらと輝いている。

 遥はしゃがみ込み、そっと見つめた。

 毎年変わらず夏になると咲く花。

 道端で何気なく見過ごしてしまうほど小さな花。

 それでも、その青さは幼い日の記憶を鮮やかによみがえらせる。

 あの頃の笑顔。

 家族。

 友達。

 何気ない毎日。

 すべてがこの花の中に詰まっているようだった。

 花言葉の意味が少し分かった気がした。

 「懐かしい関係」とは、過去へ戻ることではない。

 時が流れても心の中で生き続けるつながりのこと。

 会えない時間が長くても消えない絆。

 再会した瞬間、昨日のように笑い合える関係。

 それこそが、本当に大切な縁なのだろう。

 ツユクサは朝だけ花を開く。

 昼には静かに閉じてしまう。

 けれど翌朝にはまた新しい花を咲かせる。

 その姿は、過ぎ去った日々が終わったように見えても、思い出は何度でも心の中によみがえることを教えてくれているようだった。

 飾らない青い花は、幼なじみとの友情にも似ている。

 特別な約束を交わさなくても、変わらずそこにある安心感。

 毎年同じ季節に咲くように、人との絆も心のどこかで生き続けている。

 列車の発車時刻が近づく。

 ホームへ向かう前に、遥はもう一度振り返った。

 遠くの道端では、青いツユクサが風に揺れている。

 夏の光を受けながら、小さく、それでも確かに咲いていた。

 遥は静かに微笑む。

 また来年、この花はきっと咲くだろう。

 そして自分もまた、この町へ帰って来よう。

 懐かしい人たちに会うために。

 変わらない景色を歩くために。

 あの日の自分へ「ただいま」と伝えるために。

 列車がゆっくりと動き始める。

 窓の外に広がる夏空は、子どもの頃と何一つ変わっていなかった。

 ツユクサは今年も静かに咲いている。

 時を越えて、人と人との温かなつながりを見守るように。

 その青い花は今日も、「懐かしい関係」という優しい花言葉を、夏風に乗せてそっと語り続けていた。

7月6日、17日の誕生花「ハマユウ」

「ハマユウ」

基本情報

  • 学名:Crinum asiaticum var. japonicum
  • 分類:ヒガンバナ科・ハマオモト属の常緑多年草
  • 原産地:インドネシアとスマトラ
  • 開花期:6~9月、主に夕方から夜間に開花し、芳香を放つ
  • 外観:幅広く厚い葉が放射状に広がり、花茎に白い小花が10個ほど咲きます。花びらは細長く、中心部に赤い雄しべがアクセントに
  • 生育環境:日当たり・水はけの良い砂地(海岸沿い)を好み、暖地向き。地植え・鉢植えどちらも可能で、寒冷地では冬越しに注意が必要

ハマユウについて

特徴

  • 自生地:海岸線に群生し、葉が「オモト」(万年青)に似ているため別名「ハマオモト」とも
  • 香りと開花:夜に開花して強い芳香を放ち、主に蛾などを誘引する虫媒花
  • 種子の特性:種子はコルク質の厚皮で覆われ、水に浮く性質があり、海流に乗って遠くへ拡散・発芽する能力あり
  • 有毒性:全草有毒で、特に球茎は強い毒性を持つが、薬用としての利用もある

花言葉:「どこか遠くへ」

  • 主な花言葉
    • 「どこか遠くへ」
    • 「汚れがない」
    • 「あなたを信じます」

💡由来のひもとき

  1. 「汚れがない」
     神事で使われる白い布・“木綿(ゆう)” に似た清らかな白い花色から
  2. 「どこか遠くへ」
     種子が浮力を持って海流に流され、新たな土地で発芽する姿にちなむ
  3. 「あなたを信じます」
     「遠くへ流れても、必ず根を下ろし花を咲かせる」というたくましさと期待を込めた想いから

「どこか遠くへ、きっと届く」

あの夏の日、彼女は港に立っていた。
 セーラー服の襟が風に揺れ、白いハマユウの花が足元でそっと揺れていた。

「ここ、まだ覚えてる?」
 穂乃香がそう言って微笑んだ。

 海辺のこの小さな町で、僕らは育った。中学三年の夏。図書室で偶然隣の席に座ってから、毎週末、海沿いの堤防で話すようになった。彼女は東京からの転校生で、最初はよそよそしかった。でも、少しずつ距離が縮まり、名前を呼び合えるようになったのは、ちょうどハマユウが咲き始めた頃だった。

「この花、知ってる? ハマユウっていうんだって」
 彼女はそう言って、白く細長い花びらを指差した。

「花言葉はね、“どこか遠くへ” だって」

「なんか、君みたいだな」
 そう言ったら、彼女は少し驚いた顔をしてから、笑った。

 東京に戻ることが決まったのは、その翌週のことだった。

「私、ここが好きだったよ。思ったよりも、ずっと」

 最後に会った日、彼女はひとつだけお願いをしてきた。
 「この花、来年もちゃんと見ておいて。毎年ここで咲いてるか、教えて」って。

 あれから十年。
 連絡先も、手紙のやりとりも、いつの間にか途絶えていた。東京の高校に進学した彼女のその後は知らない。けれど僕は毎年、ハマユウが咲くこの場所に来ていた。

 白い花は、変わらずそこにいた。潮風に揺れながら、まるで何かを待っているかのように。

 ハマユウの種子は海に浮かび、遠くの浜辺まで運ばれていく。その途中で沈んでしまうこともあれば、知らない土地で芽を出し、やがて花を咲かせることもあるという。

 ――どこか遠くへ。それでも、きっと届く。

 ふと、誰かが近づいてくる気配がした。振り返ると、白いワンピースの女性が立っていた。風に揺れる髪の奥に、懐かしい面影があった。

「やっぱり……まだ咲いてたんだ」
 穂乃香だった。

 時が過ぎても、変わらない花の香りと、あの夏の記憶が、確かに僕らをつないでいた。

「ねえ、覚えてる? “どこか遠くへ”って」

 彼女の声に、僕はうなずいた。

 「そして、“あなたを信じます”――だったよな」

 笑いながら見つめ合ったその瞬間、海から吹いた風が、ふたりの間にハマユウの香りを運んだ。