2月23日の誕生花「ポピー」

「ポピー」

基本情報

  • ケシ科ケシ属に属する一年草または多年草
  • 学名:Papaver
  • 原産地:ヨーロッパから西アジア、北アフリカ周辺
  • 開花時期:春〜初夏(4〜7月頃)
  • 花色:赤・白・ピンク・オレンジ・黄色など多彩
  • 和名:「ヒナゲシ」「虞美人草(ぐびじんそう)」とも呼ばれる

ポピーについて

特徴

  • 薄く繊細な花弁が、紙のように軽やかで柔らかい
  • 風に揺れる姿が印象的で、一輪一輪の表情が異なる
  • 朝に開き、夕方には閉じたり散ったりする儚さを持つ
  • 群生すると一面が色彩に染まり、幻想的な景観をつくる
  • 野原や道端など、自然の中で自由に咲く生命力の強さがある


花言葉:「想像力」

由来

  • 透けるような花弁と独特の色合いが、現実と夢の境界を思わせたため
  • 風に揺れ続ける姿が、形にとらわれない自由な発想を連想させたことから
  • 一輪ごとに異なる印象を与え、見る人の心に多様な情景を描かせるため
  • はかなく消える花の時間が、空想や物語を生み出す余白として捉えられた
  • 現実を少し離れ、心を遊ばせる力の象徴として「想像力」という意味が結びついた


「風にほどける想像力」

 春の終わりに近づいた午後、空はどこまでも淡く、境界のない色をしていた。雲は薄く引き伸ばされ、まるで誰かが空想の途中で筆を止めたかのように、静かに漂っている。

 美咲は駅から少し離れた丘へ向かって歩いていた。住宅街を抜け、小さな坂道を上ると、視界が急に開ける場所がある。そこには毎年、ポピーの花が咲くことを彼女は知っていた。

 仕事を辞めてから、三週間が過ぎていた。

 理由は単純だった。疲れてしまったのだ。毎日同じ時間に起き、同じ電車に乗り、同じ言葉を繰り返す生活の中で、自分が何を考え、何を好きだったのかさえ分からなくなっていた。

 「少し休めばいいよ」

 友人はそう言った。けれど、休むとは何をすることなのか、美咲には分からなかった。何もしない時間は、むしろ自分の空白を際立たせるだけだった。

 丘の上に着くと、風が少し強くなった。

 そこには、色とりどりのポピーが咲いていた。

 赤、橙、淡い桃色、そして透き通るような白。薄い花弁は光を受けて揺れ、輪郭が曖昧になる。まるで現実の中にありながら、夢の側へ半分だけ足を踏み入れているようだった。

 美咲はしゃがみ込み、一輪をそっと見つめた。

 花弁は驚くほど薄く、指先で触れれば消えてしまいそうだった。けれど茎はしなやかに風を受け流し、折れる気配はない。

 風が吹くたび、花は同じ動きをしない。

 右へ揺れるものもあれば、少し遅れて動くもの、ほとんど動かないように見えるものもある。けれど全体として見ると、それは一つの流れのように調和していた。

 その光景を見ているうちに、美咲の胸の奥で、忘れていた感覚がゆっくりとほどけていった。

 子どもの頃、彼女は物語を作るのが好きだった。ノートの端に絵を描き、名前も知らない国や、まだ存在しない誰かの人生を想像していた。

 けれど大人になるにつれ、「正しい答え」を求められる場面が増えた。

 役に立つこと。
 効率がいいこと。
 意味があること。

 いつしか彼女は、想像することをやめていた。

 ポピーが風に揺れる。

 花は形を保とうとしない。風のままに姿を変え、その瞬間ごとに違う印象を生み出す。

 同じ花なのに、見る角度によってまったく違う表情を見せる。

 ――想像力って、こういうことなのかもしれない。

 美咲はふとそう思った。

 決まった形を持たず、揺れながら変わり続けること。見る人の心の中に、それぞれ異なる景色を生み出すこと。

 一輪の花を見て、誰かは懐かしい記憶を思い出し、誰かは未来の夢を思い描く。花そのものは変わらないのに、心の中では無数の物語が生まれていく。

 花弁が一枚、風に乗って離れた。

 空中をゆっくり漂い、地面へ落ちる。

 その短い時間は、どこか儚く、けれど美しかった。

 永遠ではないからこそ、人はそこに意味を見つけようとするのかもしれない。

 終わりがあるから、想像する。
 見えない続きを思い描く。

 美咲は立ち上がり、丘全体を見渡した。

 一輪一輪は小さい。けれど集まることで、風景そのものを変えている。色彩が重なり、世界に新しい印象を与えていた。

 自分の人生も、同じなのではないかと思った。

 特別な才能がなくてもいい。
 大きな成果がなくてもいい。

 小さな思いや選択が重なれば、いつか景色になる。

 未来が見えないことは、不安ではなく、余白なのかもしれない。

 何でも描ける余白。

 美咲は深く息を吸った。風の匂いと、わずかな土の温かさが胸に広がる。

 帰ったら、久しぶりにノートを開いてみよう。

 上手く書けなくてもいい。意味がなくてもいい。ただ思いついたことを並べてみよう。物語にならなくても、それはきっと無駄ではない。

 ポピーがまた揺れた。

 形を変えながら、それでも確かにそこに在り続ける。

 現実と夢のあいだで、静かに咲く花。

 想像力とは、遠い世界へ逃げることではなく、今いる場所に別の光を見つける力なのだと、美咲はようやく理解した。

 丘を下りる頃、空の色は少し深くなっていた。

 振り返ると、ポピーの群れが風の中で揺れている。まるで無数の物語が、まだ語られるのを待っているようだった。

 その景色を胸に刻みながら、美咲は歩き出す。

 未来はまだ白紙のまま。

 だからこそ、そこにはいくらでも物語を描けるのだと、信じながら。

富士山の日

2月23日は富士山の日です

2月23日は富士山の日

この富士山の日を、パソコン通信Nifty-Serve内の同好会「山の展望と地図のフォーラム」が1996年1月に制定し、これとは別に山梨県河口湖町が2001年12月、そして、静岡県が2009年12月に制定しています。この日付は、「ふ⇒2 じ⇒2 さん⇒3」と読む語呂合わせからです。また、この時期はきれいな富士山が眺められる季節でもあります。

富士山

紅葉から見える富士

富士山の歴史を辿ると、約10万年前に山の土台となる小富士火山が激しい噴火活動を開始しています。その後大規模な噴火を繰り返し、少しずつ裾野を広げて今の富士山へと成長。そして愛鷹山の北半分と小御岳の大部分を埋めて、現在のような標高2500mオーバーの大きな火山へとなりました。

貞観の噴火

富士山の噴火(貞観の噴火)でできた「青木ヶ原樹海」

それから数千年の間に数々の大噴火によって形を変え、平安時代の864年になると、富士山北西の斜面から大きな噴火が起こります。これが、一般的に知られている大噴火の一つの「貞観の噴火」です。この噴火により、現在の精進湖と西湖は、剗の海が溶岩流によって分断されて作られたとされています。そして、溶岩流の上に育った森林は、青木ヶ原の樹海と呼ばれる広大な森となったいわれます。

宝永の噴火

宝永の大噴火

宝永の噴火は、江戸時代の1707年12月16日午前10時頃、富士山南東の斜面で煙の柱が立ち上がったとされる歴史上最も新しい噴火です。その噴煙は、富士山の高さをはるかに超える、およそ2万メートルにまで達したといわれているそうです。

宝永火口(南東山腹)から噴火し、その日のうちに江戸までにも多量の降灰があり、房総半島まで被害が及んだとか。そして2週間にわたって、断続的に噴火があって家屋や農地が灰で埋まり、麓の村は餓死者が多数出たとされています。またこの大噴火の49日前には、宝永東南海地震で推定「M8.6」が発生したといわれています。

静かに佇む美しい富士山

絶景の富士山

富士山は、桜や紅葉、太陽にまでコラボして美しい景観を見せてくれます。しかし、富士山の歴史を辿ると今の景色とは想像のつかない恐ろしい姿を見せています。そして、今現在もその日本を代表する山の内部では今も火山活動が続いているそうです。そんな富士山と共存し、世界遺産となった財産を引き継いでゆくことは、現在の日本で暮らす我々の大切な役割なのかもしれません。


「富士山の日」に関するツイート集

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2024年の投稿

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2月10日、23日、3月16日、12月15日の誕生花「ジンチョウゲ」

「ジンチョウゲ」

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ジンチョウゲ(沈丁花)は、春先に甘く芳醇な香りを放つ花で、日本では庭木や生垣として親しまれています。特に玄関先や庭に植えられることが多く、その香りが春の訪れを告げる存在となっています。

ジンチョウゲについて

ジンチョウゲの基本情報

  • 学名:Daphne odora
  • 科名:ジンチョウゲ科
  • 原産地:中国
  • 開花時期:2月~4月
  • 花色:白、淡いピンク、赤紫など

ジンチョウゲの育て方のポイント

  • 日当たり:半日陰が適している(直射日光が強すぎると葉焼けを起こす)
  • 土壌:水はけのよい土を好む
  • 水やり:乾燥しすぎないよう適度に
  • 剪定:花後に形を整える程度に剪定する

香り高いジンチョウゲは、見た目だけでなく香りでも人々を魅了する花です。春の訪れを告げる花として、甘美な思い出を感じながら楽しんでみてはいかがでしょうか? 😊


花言葉:「甘美な思い出」

ジンチョウゲの花言葉

  • 甘美な思い出
  • 永遠
  • 不滅
  • 栄光

「甘美な思い出」という花言葉は、ジンチョウゲの強く甘い香りが、過去の大切な記憶を呼び起こすことに由来すると言われています。春の風に乗って香るジンチョウゲの匂いは、懐かしさや幸福な記憶を思い出させるものですね。

また、ジンチョウゲは常緑樹で冬でも葉を落とさないことから、「永遠」「不滅」といった意味も持ちます。卒業や旅立ちのシーズンにふさわしく、大切な人との思い出を大事にする気持ちを表す花とも言えます。


「甘美な思い出」

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春の訪れとともに、小さな町の路地裏にはジンチョウゲの甘い香りが漂っていた。その香りは、まるで過去の記憶を優しく呼び覚ますかのようで、通り過ぎる人々の心に懐かしさと温もりをもたらしていた。

その町に住む少女、優花は、毎年春になるとジンチョウゲの香りを感じるたびに、幼い頃の思い出が蘇ってきた。彼女の家の庭には、祖母が植えたジンチョウゲの木があった。祖母は優花が小さな頃から、「この花はね、甘美な思い出を呼び起こすのよ」と教えてくれた。その言葉通り、ジンチョウゲの香りは優花にとって、祖母との大切な時間を思い出すための特別なものだった。

「優花、またジンチョウゲの香りがするね」

優花の母が庭に出てきて、彼女の隣に立った。母もまた、ジンチョウゲの香りを感じると、祖母のことを思い出すようだった。

「うん、おばあちゃんが植えてくれたんだよね。この香りを嗅ぐと、おばあちゃんと一緒に過ごした時間が思い出されるよ」

優花は目を閉じ、祖母との思い出に浸った。祖母は優花が小学生の頃に他界したが、彼女の記憶の中ではいつも笑顔で、優花にたくさんのことを教えてくれた。特に、庭の手入れや花の育て方は、祖母から受け継いだ大切な知恵だった。

「おばあちゃんは、ジンチョウゲが常緑樹で冬でも葉を落とさないことから、『永遠』や『不滅』の意味があるって言ってたよね。だから、この花は私たちの思い出も永遠に残してくれるんだって」

母は優花の言葉に頷き、優しく微笑んだ。

「そうね。おばあちゃんは、私たちの心の中にいつまでも生き続けているわ。このジンチョウゲの香りが、それを教えてくれるのよ」

その夜、優花は庭に座り、ジンチョウゲの木を見つめながら、祖母との思い出を振り返っていた。彼女は、祖母が教えてくれた花言葉を胸に、これからも大切な人たちとの思い出を大切にしていくことを誓った。

翌日、優花は友達の結衣と一緒に、卒業式の準備をしていた。二人は同じ高校に通い、卒業後はそれぞれ別々の道を歩むことになっていた。結衣は遠くの大学に進学し、優花は地元で就職する予定だった。

「優花、これから会えなくなるのは寂しいけど、私たちの思い出は永遠に残るよね」

結衣が優花にそう言うと、優花はジンチョウゲの花を手渡した。

「この花には、『甘美な思い出』っていう花言葉があるんだ。私たちの思い出も、この花のように永遠に残るよ」

結衣はジンチョウゲの花を受け取り、その甘い香りを嗅いだ。

「うん、絶対に忘れない。これからも、私たちの友情は永遠に続くよ」

二人はジンチョウゲの花を挟んだアルバムを作り、これまでの思い出を詰め込んだ。卒業式の日、優花と結衣はジンチョウゲの花を胸に、新たな旅立ちに向かって歩き出した。

春の風が再び町を包み、ジンチョウゲの甘い香りが漂う中、優花は心の中で祖母に語りかけた。

「おばあちゃん、ありがとう。あなたが教えてくれた花言葉を、私はこれからも大切にしていくよ。甘美な思い出は、永遠に私の心の中に生き続けるから」

そして、優花は新たな一歩を踏み出し、未来に向かって進んでいった。ジンチョウゲの香りは、彼女の心の中で、いつまでも甘美な思い出として輝き続けるだろう。

2月22日の誕生花「ウスベニタチアオイ」

「ウスベニタチアオイ」

基本情報

  • 和名:ウスベニタチアオイ(薄紅立葵)
  • 英名:Hollyhock(ライトピンク系)
  • 学名:Althaea officinalis
  • 分類:アオイ科タチアオイ属
  • 原産地:ヨーロッパ
  • 開花時期:7月〜9月
  • 草丈:150〜250cmほど
  • 花色:淡い紅色、薄桃色
  • 利用:庭植え、花壇、切り花、薬用(近縁種)

ウスベニタチアオイについて

特徴

  • 背の高い直立した花姿
    茎をまっすぐ伸ばし、下から上へ順に花を咲かせる堂々とした姿が特徴。
  • やわらかく透けるような薄紅色
    強い主張はなく、光を含んだような優しい色合いが印象的。
  • 一輪一輪が大きく、素朴な形
    飾り気のない花形が、自然体の美しさを感じさせる。
  • 長い開花期間
    次々と花を咲かせ、夏の庭に静かなリズムを与える。
  • 古くから人の生活に寄り添う植物
    観賞用だけでなく、薬草や民間療法にも用いられてきた歴史がある。


花言葉:「慈善」

由来

  • 人を包み込むような穏やかな花姿から
    大きく開いた花が、与えることを惜しまない慈しみの心を連想させた。
  • 派手さよりも実用性を重んじてきた歴史
    薬用・食用・観賞用として人々の暮らしを静かに支えてきたことが、「無償の与え合い=慈善」の象徴となった。
  • 次々と花を咲かせる献身的な性質
    一輪が終わってもすぐ次が咲く姿が、見返りを求めない思いやりを思わせる。
  • 淡い色が示す控えめな優しさ
    主張しすぎない薄紅色が、押しつけない善意や静かな思いやりと重ねられた。


「薄紅は、見返りを求めない」

 その町には、観光地として地図に載るほどの名所はなかった。駅前の商店街も半分以上がシャッターを下ろし、夕方になると人通りは急に減る。それでも、春から夏にかけて、ひとつだけ町の景色を変えるものがあった。

 川沿いの細い道に沿って、ウスベニタチアオイが咲くのだ。

 誰が最初に植えたのか、正確な記録は残っていない。ただ、背の高い茎がまっすぐ空へ伸び、淡い紅色の花を下から順に咲かせていくその姿は、町の人間にとって「いつもの夏」の象徴だった。

 美咲は、その花の世話をしている数少ない一人だった。

 といっても、特別な情熱があったわけではない。町役場を辞め、地元に戻ってきたとき、母に頼まれただけだった。「誰かが見てないと、草だらけになるから」と。断る理由もなく、朝の涼しいうちに水をやり、枯れた花を摘む。それだけのことだった。

 ウスベニタチアオイは、近くで見ると不思議な花だった。
 一輪一輪は大きいのに、自己主張が強くない。色は淡く、花弁は柔らかく開いている。触れれば壊れてしまいそうなのに、風には案外強く、簡単には倒れない。

 まるで、人を迎え入れるために腕を広げているようだった。

 町に戻ってからの美咲は、どこか居心地の悪さを感じていた。都会で働いていた頃は、成果や評価が明確だった。だがここでは、誰も急かさない代わりに、誰も期待していないようにも思えた。

 「戻ってきてくれて助かるよ」

 そう言われるたび、胸の奥が少しだけ痛んだ。それは感謝なのか、それとも都合のいい言葉なのか、美咲には判断がつかなかった。

 ある日、花の手入れをしていると、見知らぬ女性が足を止めた。旅行者らしく、小さなリュックを背負っている。

 「この花、きれいですね」

 それだけ言って、写真を撮り、去っていった。
 名前を聞かれることもなければ、由来を説明することもない。

 だがその一瞬、美咲は胸の奥で何かがほどけるのを感じた。

 ウスベニタチアオイは、誰かに褒められるために咲いているわけではない。名前を知られなくても、意味を理解されなくても、淡々と花を咲かせる。終わった花は静かに落ち、すぐ次の蕾が開く。

 与えても、返ってこないことを前提にしているような咲き方だった。

 祖母は生前、この花を「役に立つ花」だと言っていた。
 喉を痛めたときは煎じ、皮膚が荒れたときは湿布にする。派手ではないが、暮らしの隅で人を支える花。

 慈善とは、きっとこういうものなのだろう。
 声高に善を語ることではない。感謝を求めることでもない。ただ、必要なときに、そこに在ること。

 夏が近づくにつれ、花は上へ上へと咲き進んだ。下の花が散っても、上にはまだ蕾がある。その姿を見ていると、美咲は自分が焦っていた理由が分からなくなった。

 何かを成し遂げなくてもいい。
 誰かに評価されなくてもいい。

 今日できることを、今日の分だけやればいい。

 夕暮れ、川面に風が走り、薄紅の花が一斉に揺れた。色は淡いのに、その景色は驚くほど豊かだった。

 美咲は如雨露を置き、しばらく立ち尽くす。
 与えることは、失うことではない。
 静かに、何度でも咲き続けることなのだ。

 ウスベニタチアオイは何も語らない。
 それでも、その大きく開いた花は、今日も変わらず、誰かの通り道をやさしく照らしていた。

 見返りを求めない、薄紅の慈善として。

2月13日、22日、6月27日の誕生花「ローダンセ」

「ローダンセ」

基本情報

  • 学名Rhodanthe manglesii(主にこの品種が観賞用として流通)
  • 別名:ヒロハノハナカンザシ(広葉の花簪)
  • 科名/属名:キク科/ローダンセ属(あるいはヘリクリサム属とされることも)
  • 原産地:オーストラリア
  • 開花時期:(4月~7月)頃
  • 草丈:20~50cmほどの一年草

ローダンセについて

特徴

  • 紙のような花びら
     花びらはカサカサとした質感で、まるで紙細工のような見た目をしています。この乾いた手触りがドライフラワーにも向いており、長く色や形を保ちます。
  • 明るい色彩
     ピンク、白、黄色など、色鮮やかで光沢感のある花を咲かせます。中心部は黄色でコントラストが美しい。
  • 乾燥に強い性質
     乾いた環境でも育ちやすく、ガーデニング初心者にも人気。日本では切り花や鉢花、ドライフラワー用途が一般的です。
  • 花が閉じない
     ローダンセの花は開いた状態のまま咲き、しぼみにくいため、いつまでも「咲いているように見える」という特性もあります。

花言葉:「変わらぬ思い」

花言葉「変わらぬ思い(unchanging affection)」は、主に以下の特徴に由来しています:

  1. 長く色褪せない美しさ
     ローダンセはドライフラワーにしても色や形がほとんど変わらず、長期間そのままの姿を保ちます。その「変わらない美しさ」から、永続する感情を象徴するとされます。
  2. 可憐なのに強い
     見た目は繊細で可愛らしいのに、実際は乾燥や環境の変化に強いというギャップが、「一途で変わらぬ愛情」や「強い想い」をイメージさせます。
  3. 枯れても咲いているような姿
     生花がしおれても、まるで咲き続けているように見えるその姿は、「時間が経っても薄れない気持ち」や「想いの持続性」を象徴しています。

「変わらぬ花」

小さな雑貨店の片隅に、ずっと売れずに残っている一輪のローダンセのドライフラワーがあった。花瓶に挿されたそれは、まるで時間の外にあるように、色褪せることなく、いつも変わらぬ笑顔で店を見守っていた。

「この花、ずっとあるよね」

 放課後、店に立ち寄った高校生の紗良がそう言うと、レジに座っていた老店主の悠一が笑った。

「ああ、もう十年くらいになるかな。そのローダンセだけは、どんなに日が経っても色が抜けないんだ。不思議だろう?」

「うん。……でも、ちょっと寂しくない? こんなに綺麗なのに、誰にも選ばれないなんて」

 紗良の言葉に、悠一はふと目を細めた。

「それは違うよ。選ばれたんだ、もうずっと前に」

「え?」

 店主はローダンセに目を向けながら語り始めた。

「むかし、この店によく来てた女の子がいてね。病気であまり外に出られなかったんだけど、晴れた日だけ母親と一緒に、決まってここに来てくれてた。小柄で、大きな瞳の子だった」

 その子は、ローダンセが好きだったのだという。

「毎回、同じ花を眺めては『これ、いつまでも咲いてるね』って。買うことはなかったけど、花の前でずっと立ち止まってた。ある日、その子が母親と来て、『もう、ここには来られないの』って言ったんだ」

 そしてその少女は、帰り際、レジに500円玉を置いていった。

「『お小遣いで買えるの、これだけだから、花はそのままでいい。でも、私のものにしていい?』ってね」

 それ以来、そのローダンセは売り物ではなくなった。店主は毎朝埃を払って、陽の当たる場所に置いてやる。それが彼女との「約束」だった。

「変わらず咲き続けているあの子の気持ちが、この花に宿ってるんじゃないかって思ってる。花は枯れても、想いは枯れない……そんな気がするんだよ」

 紗良は、ローダンセに目をやった。カサカサとした花びらは、それでもどこかあたたかさを持って、まるで誰かの心を守っているようだった。

「じゃあ、これは……その子の“変わらぬ思い”なんだね」

「そう。花言葉の通りだよ」

 その日、紗良は手帳にローダンセの名前を書いた。「いつか自分も、誰かの心に残るような想いを持てたら」と、小さく願いながら。

 数年後。大学進学で街を離れる前、紗良はもう一度店を訪れた。ローダンセは、変わらずそこにあった。

「この花、やっぱり変わらないね」

「うん。けど、想いは少しずつ広がってる気がするよ」

 悠一の言葉に、紗良は頷いた。

 そして静かに店を出ると、彼女は振り返って微笑んだ。

「ありがとう、変わらぬ花」

2月22日、4月19日、9月11日の誕生花「ムクゲ」

「ムクゲ」

Manfred RichterによるPixabayからの画像

🌺 基本情報

  • 和名:ムクゲ(木槿)
  • 学名Hibiscus syriacus
  • 英名:Rose of Sharon
  • 科名:アオイ科
  • 属名:フヨウ属(Hibiscus
  • 原産地:中国
  • 開花時期:7月~9月
  • 樹高:1~3mほどの落葉低木

ムクゲについて

HeungSoonによるPixabayからの画像

🌿 特徴

  • 花色の多様性:白、ピンク、紫、青紫などがあり、一重咲きや八重咲きの品種も存在。
  • 一日花:1つの花は基本的に1日でしぼみますが、次々に新しい花を咲かせるため長く楽しめる。
  • 丈夫で育てやすい:暑さや乾燥に強く、庭木や街路樹、公園などでも多く植えられる。
  • 象徴的存在
    • 韓国の国花としても有名(韓国語では「ムグンファ/무궁화」)。
    • 日本でも夏の風物詩として親しまれる。

花言葉:「純粋な愛」

HeungSoonによるPixabayからの画像

ひたむきに咲き続ける性質:1日でしぼんでしまう花にもかかわらず、毎日新しい花を次々に咲かせる姿は、あきらめずに相手を思い続ける「純粋な愛」や「永遠の愛情」を象徴しています。

見た目の清らかさ:白や淡い色の花びらは、清楚で控えめな印象を与えるため、「無垢」や「純粋さ」をイメージさせます。


「一日花の約束」

Manfred RichterによるPixabayからの画像

駅前の小さな花屋で、彼女はムクゲの鉢植えを選んでいた。
「これ、誰に贈るの?」
 店主の老婆が笑顔で尋ねると、彼女は少し照れたように言った。
「……七回目の命日なんです。彼に」

 ***

 大学時代、彼と彼女は同じサークルで出会った。暑い夏の昼下がり、彼が汗をぬぐいながら言ったのを、彼女はいまでも覚えている。
「この時期って、いつもムクゲが咲いてるよな」
 それが、彼の初めての言葉だった。

HeungSoonによるPixabayからの画像


「ムクゲって知ってる? 一日でしぼんじゃうけど、また明日咲くんだよ。強くて、健気で、なんか……いいよな」

 それから彼女はムクゲを見るたびに、彼の言葉を思い出すようになった。彼は不器用だけど誠実な人だった。何事にもまっすぐで、優しかった。そして、突然いなくなった。

 事故だった。信号無視の車に巻き込まれ、彼は帰らぬ人となった。彼女はしばらく何も考えられなかった。けれど、彼の部屋に飾られていた小さなメモが、彼女の心を少しずつ動かしていった。

HeungSoonによるPixabayからの画像

 そのメモには、こう書かれていた。
「来年の夏、ムクゲを見に行こう。○○公園、朝の8時、約束な」
 日付は、彼が亡くなった翌年の7月15日だった。

 彼女はその日、○○公園に行った。彼の姿はもちろんなかったけれど、そこには満開のムクゲが風に揺れていた。白、ピンク、淡紫色――まるで彼が言った通り、強くて、健気に咲いていた。

 それから彼女は、毎年その日、その場所にムクゲを持って行くようになった。

 ***

dae jeung kimによるPixabayからの画像

 花屋の老婆は鉢植えに水をやりながら、ふとつぶやいた。
「ムクゲの花言葉、知ってる?」
「はい。『純粋な愛』ですよね」
 彼女は微笑んだ。
「一日しか咲かないけど、また必ず咲く。まるで……会えなくても、心だけはずっとつながってるみたいで」

 老婆はうなずき、優しく花を包んだ。
「それはね、本当に誰かを思ってる人にしか似合わない花だよ」

 彼女は鉢植えを大事そうに抱え、ゆっくりと公園へ向かった。
ムクゲの花は今日もひとつ、静かに咲いていた。たった一日だけれど、その命の輝きは、永遠を信じる心とともにあった。

おでんの日

2月22日は「おでんの日」です

2月22日は「おでんの日」

2007年、新潟の名物に「おでん」で新潟をもっと元気にしようと活動している「越乃おでん会」がこの日を記念日として制定しました。この日付は、アツアツのおでんを「ふーふーふー」と食べることで、「2→ふー 2→ふー 2 →ふー 」と読む語呂合わせから決まりました。

おでんの日の目的

おでんの具

この「おでんの日」は、新潟県のラジオ番組「クチこみラジオ 越後じまんず」の「新潟発の記念日をつくろう」という企画からです。新潟のおでんをPRして、オリジナルおでんの開発や普及を行うことが目的です。

全国おでんマップ

おでんの定番

おでんといっても、日本の北から南、西から東と、地域によっては味付けや具が違ってきます。もちろん、基本は寒いときに好んで食べられるので、この時期が記念日となったのでしょう。そこで、これから各地域の特徴的なおでんをいくつか紹介します。

北海道の「札幌風おでん」

北海道の「札幌風おでん」は、出汁を強めの昆布風味であっさりとして、贅沢な海と山の幸が入ったおでんです。具は他にも、長いさつま揚、しらこ、ふきなどを入れるのが特徴です。

「青森風のおでん」

「青森風おでん」は、海と山の幸がバランス良く使われていて、竹の子やつぶ貝、ほたてなどが入っている特徴的なおでんです。味付けは、生姜みそだれを付けて食べます。

「東京風おでん」

「東京風おでん」は、濃口醤油とかつお節出汁をきかせた昔ながらのおでんです。店舗によっては、淡口醤油を使用しているところもあるそう。具は、 すじ(魚)、ちくわぶ、はんぺんという特徴があります。

「名古屋風おでん」

「名古屋風おでん」は、八丁味噌などで作る甘辛い汁が特徴で、豚もつなどにしみこんだ独特の味わいと香りがたまりません。名古屋市内のお店を中心に供されます。主な具は、焼き豆腐、角麩、豚もつです。

京都風おでん

「京都風おでん」は、昆布と淡口醤油のつゆで、豆腐類や京野菜の味わいを生かすため、ほんのりとした味付けに仕上げた淡い色合いが特徴的です。主な具は、がんもどき、豆腐、里芋などです。

四国の「高松風おでん」

「高松風おでん」は、香川県高松市内の讃岐うどん店で、おでんコーナーにあります。味付けは、2種類のみそだれを付けて食べます。主なな具は、白天、里芋、牛すじです。

福岡の「博多おでん」

福岡県の博多おでんは、魚のすり身で餃子を包んだ「餃子巻」をとして入るのが一般的です。 他にも、餅入りの巾着を入れるエリアもあります。味付けは、濃口醤油の効いたコクのある味わいで、見た目もインパクトがあります。

おでんに邪道は無し

おでんに邪道は無し

おでんの王道は、大根、玉子、竹輪などあります。しかし、それ以外の具材でも地域や人の好みもあるので、一概に邪道といわれるものは無いでしょう。今回、全国のおでんを簡単に紹介しましたが、一部の地域やそれぞれの家庭によっても味付けや具材か変わることは間違いないことです。また、それが個性でもあり、アレンジおでんの良いところでもあります。


「おでんの日」に関するツイート集

2026年の投稿

2025年の投稿

2024年の投稿

https://twitter.com/motikincha/status/1758832499424403575?s=20

2月21日の誕生花「サンシュユ」

「サンシュユ」

基本情報

  • 和名:サンシュユ(山茱萸)
  • 学名:Cornus officinalis
  • 科名/属名:ミズキ科/ミズキ属
  • 原産地:中国・朝鮮半島
  • 開花時期:3月〜4月(早春)
  • 花色:黄色
  • 樹形:落葉小高木
  • 果実:秋に赤い実をつけ、薬用としても利用される

サンシュユについて

特徴

  • 葉が出る前に、枝いっぱいに黄色い小花を咲かせる
  • 花は一つ一つは小さいが、集まって咲くことで強い存在感を放つ
  • まだ寒さの残る季節に咲くため、春の訪れを告げる花木として親しまれている
  • 派手さはないが、長く咲き続け、風雪にも耐える強さを持つ
  • 花が終わった後も、葉・実・紅葉と四季を通して楽しめる


花言葉:「気丈な愛」

由来

  • 早春の厳しい寒さの中でも、黙々と花を咲かせる姿が、弱音を見せない愛の強さと重ねられたため
  • 葉のない枝に寄り添うように咲く小花が、静かに支え合う関係を思わせたことから
  • 目立つ主張はしないが、確かに春を告げる存在である点が、控えめで揺るがない愛情を象徴したため
  • 長い年月をかけて実を結び、役に立つ果実を残す性質が、忍耐と献身を伴う愛と結びついた
  • 表に出る情熱ではなく、内に秘めた強さを持つ愛の象徴として解釈されるようになったため


「気丈な春を抱いて」

 三月の終わり、まだ吐く息が白くほどける朝だった。
 真理子は、いつもより少し早い時間に家を出た。特別な予定があるわけではない。ただ、家の中にいると、壁や天井に残った沈黙が、じわじわと胸に染み込んでくる気がした。

 夫が亡くなって、二年が過ぎていた。
 泣き暮らす時期は終わった。周囲から見れば、真理子はきちんと日常に戻っているように見えただろう。仕事もしているし、買い物もするし、笑顔を作ることもできる。それでも、ふとした瞬間に、心の奥に残る冷えが顔を出す。

 弱ってはいけない。
 そう思うこと自体が、いつの間にか癖になっていた。

 駅へ向かう近道の途中に、小さな公園がある。桜が咲くにはまだ早く、冬枯れの枝が空に細い線を描いている。その中で、ひときわ明るい黄色が目に入った。

 サンシュユだった。

 葉のない枝いっぱいに、小さな花が集まって咲いている。ひとつひとつは控えめで、派手な形でもない。それなのに、朝の薄い光の中で、確かな温度を持ってそこに在った。

 ——こんなに、静かな花だっただろうか。

 真理子は足を止めた。
 花の名前を知ったのは、結婚したばかりの頃だった。夫と初めてこの公園を通った日、「あれはサンシュユだよ」と教えられた。花木に詳しかったのは、いつも彼のほうだった。

 「寒いのに、ちゃんと咲くんだな」
 そう言って、彼は少し嬉しそうに笑っていた。

 その声が、胸の奥で小さく反響する。
 懐かしさと痛みが、同時に浮かび上がる。

 サンシュユの花は、寄り添うように枝に集まっている。一本一本が支え合うというより、ただ自然に、そこにあるべき距離で咲いているように見えた。励まし合う言葉も、誓い合う約束もない。ただ、黙って、春を告げている。

 真理子は思う。
 自分も、こうだったのかもしれない。

 大きな愛情表現をした覚えはない。感情を声高に語ることもなかった。それでも、朝食を用意し、帰りを待ち、体調を気遣い、何気ない会話を積み重ねてきた。特別ではない日々。けれど、それが二人の時間だった。

 「強いね」と言われることがある。
 夫を亡くしても、仕事を続けているから。泣き崩れる姿を見せないから。

 けれど、それは強さなのだろうか。
 真理子には、よく分からなかった。ただ、弱音を吐く場所を失っただけかもしれない。

 サンシュユの花は、寒さの中で咲く。
 寒いからこそ、咲かないわけではない。
 寒い中でも、咲く。

 その違いが、ふと胸に落ちた。

 目立つことを望まず、賞賛を求めず、それでも確かに春を告げる。その姿は、静かな覚悟のようにも見えた。誰かに見せるための愛ではなく、内側で灯り続けるもの。

 真理子は、長く息を吐いた。
 自分は、これからも生きていく。誰かを失っても、日々は続く。悲しみが消えるわけではないけれど、それを抱えたまま、歩くことはできる。

 それは、弱さではない。
 逃げでもない。

 忍耐や献身という言葉は、時に重たく感じられる。けれど、サンシュユを見ていると、それらはもっと自然で、当たり前のもののように思えた。ただ、そこに在り続けること。変わらず咲くこと。

 風が吹き、枝がわずかに揺れた。
 黄色の花は落ちることなく、しっかりと枝に留まっている。

 真理子は、そっと背筋を伸ばした。
 今日も仕事があり、やるべきことがある。特別な一日にはならないだろう。それでもいい。小さな積み重ねが、いつか実を結ぶことを、彼女はもう知っている。

 公園を出ると、街の音が戻ってきた。
 振り返ると、サンシュユは変わらず咲いている。誇ることも、引き止めることもなく。

 ——気丈な愛。

 それは、耐えることでも、我慢することでもない。
 静かに、揺るがず、そこに在ること。

 真理子は歩き出す。
 胸の奥に、黄色い灯りを残したまま。

1月28日、2月21日、4月7日の誕生花「ネモフィラ」

「ネモフィラ」

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ネモフィラ(Nemophila)は、春に咲く可憐な花として人気がある植物です。以下にネモフィラの特徴や基本情報、花言葉についてまとめました。

ネモフィラについて

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🌸 ネモフィラの基本情報

  • 学名Nemophila menziesii
  • 和名:ルリカラクサ(瑠璃唐草)
  • 科名:ムラサキ科(旧ハゼリソウ科)
  • 属名:ネモフィラ属
  • 原産地:北アメリカ(特にカリフォルニア州)
  • 開花時期:3月〜5月(春)
  • 花色:青、水色、白 など
  • 草丈:10〜20cm前後(這うように広がる)

🌼 ネモフィラの特徴

匍匐(ほふく)性がある:地面を這うように成長するため、グランドカバーとしても使われる。

鮮やかな青色の花:「空色」や「ベビーブルー」とも称される優しい青色が特徴的で、春の風景によく映える。

群生が美しい:一面に広がるネモフィラ畑は、空との一体感があり「青の絶景」として人気スポットに。

丈夫で育てやすい:寒さに強く、初心者でも育てやすい一年草。日当たりと水はけの良い場所が好ましい。


花言葉:「成功」

あいむ 望月によるPixabayからの画像

🌱 花言葉「成功」の由来

1. たくましく広がる性質

ネモフィラは、地面を這うようにして広がる匍匐(ほふく)性の植物です。見た目はとても可憐ですが、その育ち方は力強く、地面に根を張ってしっかりと広がっていきます。この**「見た目に反して、強く成長する」姿が、努力の末の成功を連想させる**とされています。


2. 春の代表的な開花と風景

ネモフィラは春に満開を迎え、広大な花畑を一面の青で覆う姿が有名です。たとえば茨城県の「国営ひたち海浜公園」では、450万本以上のネモフィラが咲き誇り、まるで青い空と地面が一体となったような絶景が生まれます。

このように、「小さな一つひとつの花が集まって壮大な景色を作る」ことから、

どんなに小さな努力でも積み重ねれば、大きな成功に繋がる
という意味が込められているとも解釈されています。


3. 英語の名前の由来も一因?

ネモフィラの属名 Nemophila は、ギリシャ語で「nemos(森)+philos(愛する)」が語源とされ、「森を愛する者」という意味です。これは自然との調和を大切にすることを示唆しており、自然に寄り添いながらも力強く咲くネモフィラに「成功」という前向きな意味を重ねたとも言われています。


「青い約束」

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 春の風が、丘の上をやさしく吹き抜ける。空と地面の境目がわからないほどの青一色。そこは、ネモフィラが咲き誇る秘密の丘だった。

「ここ、誰にも見せたくないくらい綺麗だね」

幼い頃、結衣は祖母に手を引かれて、毎年この丘に来ていた。小さな花が地面を這うように咲き、一面の青に染まる風景に、心を奪われた。

「この花ね、“ネモフィラ”っていうの。花言葉は“成功”なんだよ」

「せいこう…?」

「うん。どんなに小さくても、コツコツ努力して咲くから、そんな言葉がついたのかもね」

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祖母の言葉が、結衣の心に深く刻まれた。

それから十数年が過ぎ、結衣は一人、丘を訪れていた。祖母が他界してから、その場所はまるで閉じたアルバムの一ページのように遠ざかっていたが、ある日ふと、思い出したかのように足を運んだ。

だが、丘は荒れていた。草が伸び放題で、あの青い絨毯はどこにもなかった。

「どうして…?」

あの頃の輝きが消えてしまったことに、胸が痛んだ。けれど、結衣の胸には、祖母の言葉が今も響いていた。

「どんなに小さくても、努力をすれば咲ける」

そうだ、この丘をもう一度、ネモフィラでいっぱいにしよう。結衣はそう決意し、小さな種を買い、毎週末に通い、雑草を抜き、土を耕し、少しずつネモフィラの種を蒔いた。

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近所の人々は最初こそ不思議そうに見ていたが、やがて興味を持ち、一人、また一人と手伝いに来てくれるようになった。子どもたちは種を蒔き、大人たちは草を抜き、水をやった。

努力はすぐには報われない。何度も風にやられ、芽が出ても消えた夜もあった。でも結衣はあきらめなかった。

やがて、春が来た。

再び訪れた丘の上には、一面のネモフィラが広がっていた。風に揺れる青い波。空と地面が溶け合うような風景が、そこにあった。

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結衣は、目を細めて空を見上げた。あの時と同じ風が吹く。祖母と見た景色が、今、自分の手で蘇った。

小さくて、可憐な花。でも、その花が一面に咲いたとき、どんなに大きな感動を生むかを、結衣は知っていた。

ポケットから一枚の古びた写真を取り出した。祖母と手をつないでネモフィラの前に立つ自分。あの日の笑顔。

「おばあちゃん、やっと咲いたよ」

空を見上げて、そっとつぶやく。風が一層強く吹き、花が揺れる。まるで、応えてくれるかのように。

それは、花が教えてくれた「成功」の形だった。

1月8日、9日、2月21日の誕生花「スミレ」

「スミレ」

基本情報

  • 学名:Viola mandshurica
  • 科名/属名:スミレ科/スミレ属
  • 分類:多年草(種類によっては一年草)
  • 原産地:日本列島、中国東北部から東部、朝鮮半島、ウスリー
  • 開花時期:4〜5月
  • 草丈:5〜15cm程度
  • 生育環境:野原、道端、林縁、庭先など

スミレについて

特徴

  • 地面に近い低い位置で、可憐な小花を咲かせる
  • 紫・白・黄など花色が豊富で、種類も非常に多い
  • 強い香りはないが、やさしく親しみやすい印象を与える
  • ひっそりとした場所でもたくましく育つ
  • 早春に咲き、季節の訪れを静かに知らせる花


花言葉:「小さな幸せ」

由来

  • 小ぶりな花を足元でそっと咲かせる姿が、日常の中のささやかな喜びを連想させた
  • 目立たない場所でも確かに存在し、見つけた人の心を和ませることから象徴された
  • 派手さはないが、ふと気づいたときに心を温める美しさが「小さな幸せ」に重ねられた


「足元に咲く灯り」

 駅から自宅までの道は、特別なものではない。商店街を抜け、古い公園の脇を通り、少し坂を上る。それだけの、毎日変わらない帰り道だ。恵はその日も、スマートフォンの画面から目を離さないまま歩いていた。仕事の連絡、未読の通知、明日の予定。頭の中は常に先のことで埋まっている。

 ふと、足先に柔らかな違和感を覚え、恵は立ち止まった。舗道の端、コンクリートの隙間に、小さな紫色が見えた。しゃがみ込むと、それはスミレだった。背の低い花が、地面すれすれに、控えめに咲いている。踏まれそうな場所なのに、ちゃんとそこに在った。

 「こんなところに……」

 思わず声が漏れる。花は風に揺れても、こちらを見上げることはない。ただ、静かに、変わらぬ姿で咲いている。その小ささに、恵は胸の奥が少しだけ緩むのを感じた。

 最近、恵は「幸せ」という言葉が遠くなっていた。昇進もしたし、給料も上がった。周囲から見れば、順調そのものだ。それでも、満たされた実感は薄い。何かが足りない気がして、けれどそれが何なのか分からない。大きな目標ばかりを追いかけて、足元を見る余裕を失っていた。

 幼い頃、祖母と散歩をすると、祖母はよく立ち止まった。道端の草花を見つけては、「ほら、可愛いね」と微笑む。そのたび、恵は早く先へ行きたくて、手を引いたものだ。あの頃は、なぜ立ち止まるのか分からなかった。

 今、目の前のスミレは、まさに祖母が好きだった花だった。目立たない場所で、誰に褒められるわけでもなく、ただ咲く。その姿を見つけた人だけが、少しだけ得をする。そんな花。

 恵は写真を撮ろうとして、やめた。画面越しに残すより、今この瞬間を胸にしまいたかった。代わりに、深く息を吸う。春の空気はまだ冷たいが、どこか柔らかい。小さな花が、確かに季節を告げている。

 立ち上がると、いつもの道が少し違って見えた。公園の木の芽、店先の鉢植え、遠くの空の色。今まで見えていなかったものが、ゆっくりと浮かび上がる。

 幸せは、きっと大きな出来事だけではない。足元に咲く花に気づけること。少し立ち止まれること。その瞬間に、心が温まること。

 恵は歩き出した。スミレを踏まないよう、ほんの少しだけ進路を変えて。明日もまた、忙しい一日が始まるだろう。それでも、あの花を思い出せば、心はきっと軽くなる。

 足元に咲く、小さな幸せ。それは、いつもそこにあったのだ。気づかれるのを、静かに待ちながら。