9月12日の誕生花「クズ」

「クズ」

基本情報

  • 和名:クズ(葛)
  • 学名Pueraria montana var. lobata
  • 科属:マメ科クズ属
  • 開花時期:7~9月
  • 分布:日本をはじめ、東アジア一帯に自生。山野、河原、道路脇など身近な場所で見られる。
  • 利用:根から採れる「葛粉(くずこ)」は吉野葛として和菓子や薬用に用いられる。生薬としても古くから親しまれ、解熱や解毒の効果があるとされた。

クズについて

特徴

  • つる性植物
    強靭なつるを伸ばし、木やフェンス、建物などに絡みつきながら繁茂する。1日で1m以上伸びることもあり、その生命力は圧倒的。

  • 3枚の小葉からなる複葉。大きく広がり、夏には緑陰をつくる。

  • 夏の終わりから秋にかけて、濃い紫紅色の蝶形花を房状につける。甘い香りがあり、ミツバチなどを引き寄せる。

  • 大きく肥厚した根にはデンプンが豊富に含まれ、葛粉の原料となる。

花言葉:「芯の強さ」

由来

クズに「芯の強さ」という花言葉が与えられた背景には、以下のような理由があります。

  1. 圧倒的な生命力
    クズは土壌がやせていても育ち、強い繁殖力でつるを四方に伸ばす。どんな環境でもしっかり根を張り、生き抜く姿が「強い芯」を連想させる。
  2. 根の存在感
    地上のつるは刈り取られても、地下の太い根が生きている限り、翌年また芽を出す。その「見えない部分の強さ」が芯の強さを象徴する。
  3. 薬用・食用としての力
    根から得られる葛粉は、古来より滋養や解熱の薬として用いられ、人々の健康を支えてきた。その「内に秘めた力」が強さと重ねられた。

→ これらの特性から、クズは「表面では絡みつく柔らかいつる」でありながら「内に強靭な芯を持つ植物」と見なされ、この花言葉が生まれたと考えられます。


「葛の物語」

祖母の庭の片隅に、葛のつるがからみついていた。
 夏の終わりになると、紫紅色の小さな花が房をなして咲き、甘やかな香りが漂ってくる。その香りは、いつもどこか懐かしい。

 私は幼いころから、その葛を少し厄介者のように思っていた。放っておくと、ものすごい勢いでつるを伸ばし、隣の木々を覆い隠してしまうからだ。祖母もよく「困った子だよ」と笑いながら剪定ばさみで切っていた。だが、切られても切られても、翌年になるとまた青々と芽を出す。まるで「私はまだここにいる」と言わんばかりに。

 高校に進学して間もなく、私は人生で初めて大きな挫折を味わった。ずっと目指してきた部活動の大会で、努力を尽くしたはずなのに、結果はあっけなく敗北。悔しさと虚しさが入り混じり、私はしばらく部室にも顔を出せなかった。
 そんなある日、祖母の庭でぼんやりと葛の花を見ていたとき、祖母が声をかけてきた。

 「負けたからって、全部が終わるわけじゃないんだよ」

 私はうつむいたまま黙っていた。すると祖母は葛の根元を指差して言った。

 「この子を見てごらん。毎年切られても、根っこがしっかりしてるから、また芽を出すんだよ。地面の下には太い芯がある。見えないけれど、それがあるから強いのさ」

 その言葉は、胸の奥にじんわりと染み込んだ。

 後で調べてみると、葛の根からとれる葛粉は、古くから滋養や薬として重宝され、人を癒す力を持っていると知った。外からはただの雑草のように見えるけれど、内には大切な力を秘めている。祖母が言う「芯」とは、きっとそういうことなのだろう。

 私は再び部室へ足を運んだ。すぐに結果が出せるわけではなかったが、それでも練習を続けた。刈られても、また芽を出す葛のように。

 やがて卒業の日、庭の葛は今年も伸びて、花をつけていた。私は祖母に言った。

 「葛って、やっぱりすごいね。あんなに柔らかそうなのに、芯は誰よりも強い」
 「そうだよ。人も同じさ。見た目じゃなくて、内に何を持っているか。それが大事なんだよ」

 祖母の言葉に、私は静かにうなずいた。
 風に揺れる葛の花が、まるで「負けても大丈夫。また立ち上がれる」と語りかけてくるように思えた。

 ――芯の強さ。
 それは倒れても根を張り続ける力であり、目には見えなくても心に宿る灯のようなもの。
 葛はいつも、そのことを私に教えてくれている。

9月13日の誕生花「ブッドレア」

「ブッドレア」

基本情報

  • 和名:ブッドレア(フサフジウツギ)
  • 学名Buddleja davidii
  • 科名:ゴマノハグサ科(※APG分類ではフジウツギ科)
  • 原産地:中国~チベット原産
  • 開花期:7月~9月頃
  • 花色:紫・ピンク・白・黄色など
  • 別名:バタフライブッシュ(Butterfly bush)
     → 強い香りと蜜で蝶を多く引き寄せるため。

ブッドレアについて

特徴

  • 花穂:小さな花が円錐状に集まり、20cm前後の房になって咲く。
  • 香り:甘く強い芳香を放ち、蝶や蜂を誘う。特にアゲハチョウなど大きな蝶が好む。
  • 樹形:低木~中木で、剪定に強く、庭木や生け垣にも利用される。
  • 繁殖力:丈夫で育てやすく、世界各地で観賞用に広まった。

花言葉:「恋の予感」

由来

ブッドレアに「恋の予感」という花言葉が与えられた背景には、次のようなイメージが関わっています。

  1. 蝶を呼ぶ花
    • ブッドレアの甘い香りと蜜は、遠くからでも蝶を惹きつける。
    • 「蝶=恋の訪れやロマンの象徴」とされる文化的な連想から、「恋の予感」という花言葉につながった。
  2. 長く伸びる花房
    • 先へ先へと伸びるように咲く花穂は、「これから始まる新しい出来事」や「未来への期待」を思わせる。
    • そこに「まだ始まっていない恋の兆し」のイメージが重なる。
  3. 甘い香りと華やかな姿
    • 見る者を引き寄せるような芳香と色彩が、「心を惹かれる瞬間=恋の予感」を象徴すると考えられた。

「恋の予感、ブッドレアの庭で」

その庭は、夏の午後になると甘い香りで満ちあふれる。濃い紫や淡いピンクの房状の花が風に揺れ、蝶たちが次々と舞い降りてくる。まるで誰かが秘密の手紙を撒いているかのように、ブッドレアは無数の羽音を呼び寄せていた。

 陽菜(ひな)は、その庭の隅に腰を下ろし、ノートを広げていた。大学の卒論の題材に「植物と人の感情の関係」を選んだのは、きっと自分でも気づかない心の欲求だったのだろう。最近、彼女は心の中で小さなざわめきを抱えていた。それはまだ「恋」と呼ぶには幼く、でも確かに胸を騒がせる気配だった。

 ノートには、こんな言葉が走り書きされている。
 「ブッドレア――蝶を呼ぶ花。蝶=恋やロマンの象徴。花言葉は『恋の予感』。」

 ペンを止めたとき、視界の端に蝶がひらりと舞った。淡い黄色のアゲハチョウだ。陽菜は思わず手を伸ばすが、その羽はするりと逃げるように花へ吸い寄せられていく。まるで「追いかけてごらん」と誘っているように見えて、胸がくすぐったくなった。

 そのとき、庭の門が開く音がした。顔を上げると、幼なじみの悠人(ゆうと)が立っていた。背に背負ったカメラが陽を受けてきらりと光る。

「やっぱりここにいたか」
「悠人……どうして?」
「夏の蝶を撮りたくて。ブッドレアが咲いたって聞いたから」

 彼はためらいなく庭に入り、ファインダーを覗き込みながらシャッターを切った。その真剣な横顔を見ていると、胸の奥にさざ波のような熱が広がる。

「ほら、見てみろよ」
 悠人が液晶画面を差し出す。そこには紫のブッドレアに止まる蝶と、その背後でノートを抱えた自分の姿が写っていた。

「……私まで映ってる」
「いいだろ。蝶と花と、君。全部そろって“予感”の絵になる」

 その言葉に、陽菜の心臓が跳ねた。なぜ彼が花言葉のことを知っているのか、考える余裕もなかった。ただ耳に残った「予感」という響きが、胸の奥を甘く震わせた。

 風が吹き、房の花々が揺れる。蝶が群れをなして舞い上がり、空へ溶けていった。陽菜は思った。――このざわめきは、ブッドレアの香りがもたらした一時の幻ではない。きっと新しい物語の始まりなのだ。

 悠人がレンズを下ろし、静かに言った。
「この庭で、来年もまた一緒に写真を撮ろうな」

 その約束は、まだ恋とは呼べない。けれど確かに「予感」として陽菜の胸に刻まれた。紫の花が揺れ、甘い香りが二人を包み込む。まるでブッドレア自身が祝福しているように。

 ――恋の予感は、いつだって蝶の羽音とともにやってくる。

北斗の拳の日

9月13日は北斗の拳の日です

北斗の拳の日

1983年9月13日、大ヒット漫画「北斗の拳」が『週刊少年ジャンプ』の連載を開始しました。 東京都武蔵野市に本社があるコミック事業・映像化事業などを運営する株式会社ノース・スターズ・ピクチャーズがこの日を記念日として制定しています。

北斗の拳

「北斗の拳」のアニメでは、1984年から1987年まで放送されています。この作品は元々「週刊少年ジャンプ」連載の漫画であり、原作である武論尊作の作品です。この物語は、核戦争によって崩壊された世界を舞台で暴力が支配する中、北斗神拳の伝承者となったケンシロウの生きざまを描いています。

この物語の構成!?

北斗の拳あらすじ

この北斗の拳の大まかなストーリーはというと、「サザンクロス編」「風雲龍虎編」「乱世覇道編」「最終章」の4部作に分かれています。登場人物は、「主役のケンシロウ(声:神谷明)」ケンシロウの仲間の「バット(少年期 声:鈴木みえ 青年期 声:難波圭一)」と「リン(少年期 声:鈴木富子 青年期 声:富永みーな)」、ケンシロウの兄の「トキ(声:土師孝也)」、長兄の「ラオウ(声:内海賢二)」が繰り広げる格闘アクションアニメです。

お前は既に死んでいる!?

ケンシロウの名台詞、「お前は既に死んでいる」で極悪人が強がりな言葉を発しながら殺られていくさまのシーンが印象的でした。現在の「半沢直樹」がまさにそれに値する面白さであると思います。ケンシロウもただ強いだけではなく仲間との信頼関係を大切しながら最強になっていくさま必見です。


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9月11日の誕生花「アロエ」

「アロエ」

基本情報

  • 学名:Aloe
  • 分類:ユリ科(またはアロエ科)アロエ属の多肉植物
  • 開花期:12月~2月、不定期 (種類による)
  • 原産地:アフリカ南部、マダガスカル、アラビア半島などの乾燥地帯
  • 形態:葉は多肉質で、鋸歯状のとげを持つ。品種によって葉の模様や大きさが異なる。
  • 利用
    • 葉のゼリー部分はやけどや切り傷の治療、整腸作用、化粧品原料として用いられる。
    • 古くから「医者いらず」と呼ばれ、民間薬として広く栽培されてきた。

アロエについて

特徴

  • 乾燥に強い:水分を葉にため込むため、砂漠のような環境でも生育可能。
  • 薬効成分:アロイン、アロエエモジンなどを含み、胃腸薬や便秘改善に用いられる。
  • :種類によるが、冬から春にかけて赤橙色〜黄色の筒状花を総状につける。観賞価値も高い。
  • 長寿の象徴:丈夫で枯れにくいため、家庭でも長年栽培できる植物として親しまれる。

花言葉:「悲観」

由来

アロエには「健康」「万能」などのポジティブな花言葉のほかに、意外にも「悲観」という言葉が与えられています。これには次のような背景があります。

  1. 葉の姿の印象
    厚くとがった葉が外側へ反り返り、棘を備えた姿は、近づきにくく冷たさを感じさせる。
    その孤独で厳しい姿から「悲観的」「閉ざされた心」というイメージが生まれた。
  2. 薬効との対比
    外見はとげと苦みをもち、触れると痛みや苦しみを連想させる。
    しかし中身には人を癒やす薬効がある。
    → こうした「外側は苦しみ・内側に救い」という二面性が、「悲観」という言葉と結びついた。
  3. 花の咲き方
    アロエは多年草でありながら、花を咲かせるまでに時間がかかる種類もある。
    めったに咲かないことから「希望を持ちにくい」「悲観的」というイメージにつながったとされる。

✅まとめると、アロエは「生命力や薬効の象徴」であると同時に、その鋭い葉姿や苦みの印象から「悲観」という花言葉も与えられた、二面性のある植物です。


「棘の中のやさしさ」

祖母の庭の隅には、大きな鉢に植えられたアロエがあった。子どもの頃、私はその鋭い葉に触れて何度も指を切り、痛い思いをした。だからずっと「怖い植物」だと思っていた。
 けれども、転んで膝をすりむいたとき、祖母はその葉を折り、透明なゼリーを塗ってくれた。ひんやりとした感触に痛みが和らぎ、私は不思議そうにその葉を見つめた。外側は固くて痛いのに、内側は優しいのだ。

 時が経ち、祖母が他界してから数年が過ぎた。私は仕事に追われ、未来を考える余裕もなくなっていた。うまくいかないことばかりで、自分の存在そのものが意味を失っていくように感じる。夜、ベッドに横たわるたびに「この先に希望なんてあるのだろうか」と思い、気づけば悲観的な考えばかりに囚われていた。

 ある休日、実家に戻ると、庭の片隅であのアロエがまだ生きていた。祖母のいない庭で、変わらず棘を広げている姿に思わず足が止まる。近づいてよく見ると、葉の間から一本の花茎が伸びていた。朱色の小さなつぼみが、空へ向かって並んでいる。
 「アロエって、花が咲くんだ……」
 私は初めてその事実を知った。祖母が生きていた頃には一度も咲かなかったのに。

 調べてみると、アロエには「健康」「万能」という花言葉と同時に、「悲観」という言葉も与えられていると知った。理由を読み進めるうちに、胸の奥に祖母の声が響いてきた気がした。

 厚くとがった葉は外側へ反り返り、棘を備えている。その孤独で厳しい姿から「悲観的」と見られる。だがその中には人を癒やす薬効が潜んでいる。めったに咲かない花は、簡単に希望を持てない人生そのもののようだ。
 ――でも、諦めなければ、いつかは花を咲かせる。

 私はしばらくその花を見つめていた。確かに、外から見ればアロエは冷たく、近寄りがたい。だが中には救いがあり、そして長い時を経て花を咲かせる。まるで、悲観に囚われていた自分自身を映しているようだった。

 祖母は生前、よく言っていた。
 「苦いものや痛いものの中に、本当の優しさが隠れてるんだよ」
 その言葉の意味が、今ようやく理解できた気がする。

 私は花をつけたアロエの鉢を玄関先に移し、毎日水をやることにした。世話をするたびに、自分の心にも少しずつ水が注がれていくように感じる。

 悲観は、希望の芽を隠すための殻かもしれない。外側に棘を持ちながらも、内側に癒しを秘めているアロエのように。そう思うと、不思議と心が軽くなった。

 朱色の花が空に向かって開いたとき、私はようやく祖母に「ありがとう」と言えた気がした。

マラソンの日

9月12日はマラソンの日です

9月12日はマラソンの日

紀元前450年、ペルシャの大軍がアテネを襲い、マラトン(”マラトンの戦い”の戦場となった場所)に上陸しました。そこへ、アテネの名将ミルティアデスの奇策により撃退することに成功しました。この時、フェイディピデスという名の兵士が伝令となり、アテネの城門まで走り続けてアテネの勝利を告げた後、そのまま亡くなったと言われるのがこの9月12日だといわれています。

世界初のマラソン競技

世界初のマラソン競技

マラソンの歴史は、まだ120年です。しかし長距離を走ることは、古代エジプト民族の時代から、様々な形態で存在しています。マラソンは、1896年の近代オリンピック誕生と共に生まれ、紀元前776年~紀元261年まで続いていた古代オリンピックに存在した長距離陸上競技とは全く別物だったそう。

近代オリンピックの目玉競技

世界の目玉競技

今や、近代オリンピックプログラムの中心的存在のマラソン競技として採用され、その人気で現在では世界各国たくさんの都市で大きな大会で盛り上がっています。

2020~2021年のマラソン競技は絶望的!?

マラソンは誰でもチャレンジ

2020~2021年にかけて、新型コロナ感染防止による延期や中止が相次いでいましたが、2022年のこれから秋冬は「オミクロン株」の感染者が若干ピークアウトしたように思える状況でもあり、さらには「オミクロン株対応ワクチン」やコロナ治療薬が多く出回るなど、今後のイベント等に関しては期待が持てます。そもそもマラソンは、器具を必要としない誰でも気軽に行えるスポーツです。コロナなど感染症に打ち勝つためにもジョギングでもして、健康体をつくるためにも身体を鍛えておきましょう!


「マラソンの日」に関するツイート集

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9月10日の誕生花「シュウカイドウ」

「シュウカイドウ」

基本情報

  • 和名:シュウカイドウ(秋海棠)
  • 学名Begonia grandis
  • 英名:Hardy begonia
  • 分類:シュウカイドウ科(ベゴニア科)・シュウカイドウ属
  • 原産地:中国南部
  • 開花期:7月下旬~10月中旬(夏の終わりから秋にかけて)
  • 生育環境:半日陰を好み、湿り気のある場所でよく育つ多年草。

シュウカイドウについて

特徴

  • 江戸時代初期に中国から渡来し、観賞用として広まった歴史を持つ。
  • 草丈は30〜60cm程度。ハート形の葉を持ち、裏は赤みを帯びる。
  • 花は淡い紅色で、下垂するように咲く姿が特徴的。
  • 花弁のように見えるのは萼片で、雄花と雌花が同じ株に咲く。
  • 見た目は儚げでありながら、球根やむかごで増え、冬を越してまた芽吹く強さを持っている。

花言葉:「片思い」

由来

  • 左右非対称の葉
    シュウカイドウの葉は左右対称ではなく、必ず片側が大きく、もう一方が小さい。
    → そのアンバランスな姿が「一方だけが大きい=一方通行の思い」を連想させた。
  • うつむいて咲く花姿
    鮮やかな色を持ちながら、花は下を向いて控えめに咲く。
    → 「想いを伝えられず胸に秘めている」姿になぞらえられた。

このように、シュウカイドウの「形の片寄り」と「うつむく控えめな花姿」が組み合わさり、花言葉「片思い」が生まれたといわれています。


秋海棠 ―片思いの庭―

古い寺の裏庭に、ひっそりとした小径がある。夏の終わりから秋にかけて、そこには淡い紅色の花が揺れていた。シュウカイドウ――秋海棠。参拝客の目に触れることは少ないが、私は毎年欠かさずその小径を訪れていた。

 きっかけは二年前。私は絵を描くための題材を探して寺を歩いていた。蝉時雨の中で、ふと視界に飛び込んできたのは、うつむくように咲く可憐な花。葉は左右に広がっていたが、よく見ると形が微妙に片寄っていた。私は不思議に思い、傍らにいた年配の僧に尋ねた。

 彼は微笑んで答えた。
 「この花には『片思い』という花言葉があるのです」

 そう言って、静かに由来を語ってくれた。

左右非対称の葉
シュウカイドウの葉は左右対称ではなく、必ず片側が大きく、もう一方が小さい。
→ そのアンバランスな姿が「一方だけが大きい=一方通行の思い」を連想させた。

うつむいて咲く花姿
鮮やかな色を持ちながら、花は下を向いて控えめに咲く。
→ 「想いを伝えられず胸に秘めている」姿になぞらえられた。

このように、シュウカイドウの「形の片寄り」と「うつむく控えめな花姿」が組み合わさり、花言葉「片思い」が生まれたといわれています。

 その説明を聞いたとき、胸の奥に小さな痛みが走った。なぜなら、私自身がまさに片思いの只中にいたからだ。

 相手は大学の同級生、詩織。明るくて、誰とでも自然に会話できる彼女に、私はずっと惹かれていた。しかし言葉にする勇気が持てないまま、季節だけが過ぎていった。隣で笑ってくれる時間が愛おしすぎて、壊してしまうのが怖かったのだ。

 以来、私はこの花を見に来るたびに、詩織の笑顔を思い出した。左右非対称の葉を指でなぞると、自分の心もまたどちらかに傾きすぎていることを突きつけられる。花がうつむく姿は、告げられぬ気持ちを抱えた自分のようでもあった。

 秋が深まる頃、私は決意した。シュウカイドウの花が枯れてしまう前に、気持ちを伝えよう。花が自ら咲くことをやめないように、私も想いを閉じ込めたままではいられない。

 その日、夕暮れのキャンパスで詩織を呼び止めた。言葉は震えていたが、なんとか告げた。彼女は少し驚いた顔をしたあと、やさしく微笑んだ。

 「……ありがとう。でも、ごめんね」

 その瞬間、心に冷たい風が吹き抜けた。けれども不思議なことに、涙は出なかった。むしろ胸の奥に、静かな温かさが残った。伝えられたこと自体が、私にとっては救いだったのだ。

 あれから一年。再び寺の裏庭に来ると、シュウカイドウは変わらず咲いていた。花はやはりうつむき、葉は左右に傾いている。けれども私の目に映るその姿は、以前よりも誇らしげだった。片思いは報われなかったが、想いを伝えたことによって、私は少しだけ強くなれたのだ。

 風に揺れる花に、私はそっと呟いた。
 「ありがとう。来年も、また会おう」

たんぱく質の日

9月11日はたんぱく質の日です

9月11日はたんぱく質の日

乳製品・菓子・スポーツ栄養などの食品や栄養事業などを手がける株式会社明治は、9月11日を「たんぱく質の日」として制定を記念したイベントを都内で開催しました。この日を「たんぱく質の日」とした由来は、「たんぱく質が9種類の必須アミノ酸」と、「11種類の非必須アミノ酸」で構成されていることにちなみ制定されました。また、目的としては、多くの人にたんぱく質を摂取することの大切さを知ってもらうことです。

たんぱく質

タンパク質が豊富な大豆

人の体の約60%は水分だといわれていますが、しかし残りの15~20%はたんぱく質でできているそうです。このことから、水分を除いた重量の半分近い成分をたんぱく質が占めることになります。そして、このたんぱく質から「筋肉や臓器」「肌」「髪」「爪」「体内のホルモンや酵素」、「免疫物質」などが作られ、体内に栄養素の運搬を行います。そして、たんぱく質は微量ですが、エネルギーが消費される時に、アミノ酸の一部にもなります。

アミノ酸からつくられるたんぱく質

アミノ酸とたんぱく質

全身に多数あるたんぱく質は、アミノ酸が結合して形成されていて、すべてのタンパク質は「20種類のアミノ酸」が色々な形の配列により構成されています。

20種類のアミノ酸と9種類の「必須アミノ酸」

「必須アミノ酸」について

このアミノ酸が20種類ある中で、9種類は「必須アミノ酸」と呼ばれています。その「必須アミノ酸」は、体内で合成ができないので、食事から摂取が必要です。それに対し、残りアミノ酸は体内で作り出すことが可能だといわれています。

またこれらのアミノ酸は、筋肉と関係が深いアミノ酸の「分岐鎖アミノ酸=BCAA」(バリン、ロイシン、イソロイシンの3つのアミノ酸の総称)、免疫力と関連があると注目されるアミノ酸は「グルタミン」、睡眠の質を改善することが期待される「グリシン」など、その種類により体内での働きはそれぞれではありますが、これら全てのアミノ酸が体内で重要な役割を果たしています。

たんぱく質の効果的な摂り方

たんぱく質が豊富な牛肉

食事を簡単に済ませることが多い人や朝食を抜いたり、昼食と夕食に偏ってたんぱく質を摂る食習慣の人に良くいわがちですが、実はたんぱく質を一度にたくさん摂取しても全てが筋たんぱく質の合成には使われません。したがって、少しずつでも継続的に摂取することが重要だといえます。たんぱく質を効率よくとるポイントと目的は、自分の状態に合った量を毎日継続的に摂取する事と、スポーツ選手の筋力をつけるだけでなく、健康維持をするという事だと思います。


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9月9日の誕生花「キク」

「キク」

基本情報

  • 学名Chrysanthemum morifolium(和菊の代表種)
  • 科名:キク科
  • 原産地:中国
  • 開花期:9月~11月(秋を代表する花)
  • 花色:白、黄、赤、紫、ピンクなど多彩
  • 利用:観賞用(庭園、切り花、仏花、茶花)、食用(食用菊)、薬用

日本へは奈良時代頃に中国から伝わり、平安時代以降は貴族の間で観賞されました。江戸時代には品種改良が進み、多様な形や色の菊が作られました。

キクについて

特徴

  1. 多様な花姿
    一重咲きから八重咲き、大輪や小輪、細管のような花びらや糸のように繊細なものまで、変化に富む。
  2. 長寿や繁栄の象徴
    中国では「四君子」の一つとされ、気品や節操を表す花。日本では天皇家の御紋(十六八重表菊)に用いられ、「菊花紋章」として高貴さの象徴。
  3. 強い生命力
    切り花でも長持ちし、仏花や供花としても広く親しまれている。

花言葉:「高貴」

由来

キクに「高貴」という花言葉が与えられた背景には、以下の理由があります。

  1. 天皇家の象徴
    菊花紋章は天皇および皇室のシンボルであり、古くから権威や高貴さを表してきた。
    → 菊は「高貴な家柄」や「格式の高さ」と直結する花となった。
  2. 品格ある花姿
    放射状に整然と広がる花弁は、端正で気品のある印象を与える。特に白や紫の菊は清楚で凛とした美しさを持つ。
  3. 文化的背景
    中国では菊が「君子の花」とされ、節操を保つ姿の象徴とされたことが、日本にも影響を与えた。

「菊花の紋の下で」

秋の澄んだ空気の中、宮中の庭には白い菊が一面に咲き誇っていた。香りは控えめでありながら、どこか背筋を正させるような清らかさを放っている。

 今日、この庭に足を踏み入れたのは、地方から選ばれて上京した一人の青年、悠真であった。代々続く家に生まれたが、決して高い身分ではなく、ただ学問と誠実さを買われて宮廷の小役人に任じられたに過ぎない。

 しかし彼の胸を占めていたのは誇らしさではなく、不安だった。自分のような者が、この由緒ある場にふさわしいのだろうか――。

 庭の奥で、彼は一人の老臣と出会った。長く仕え、今は引退に近いその男は、悠真のためらう心を見透かしたように微笑んだ。
「迷いを抱えているのか」
「はい。私は、ここに立つにはあまりに小さな人間です」
「ふむ。しかし小さきものをも包み込むのが、この菊花の紋の意味だ」

 老臣は庭の中央に咲く大輪の菊を指差した。放射状に整った花弁が、白い光の輪のように広がっていた。
「菊は古来、皇室の象徴であり、‘高貴’を表す花とされてきた。しかしなぜか、わかるか?」
「……気品があるから、でしょうか」
「それもある。しかし真の理由は、菊が誰にでもその美を見せ、長く咲き続けるからだ。権威や格式はもちろんだが、同時に人々に寄り添い続ける花なのだよ」

 悠真は目を見開いた。高貴とは、ただ高みにあることではない。周囲を照らし、人を導き、誰もが仰ぎ見る存在になること――それが菊に託された意味だった。

 ふと吹いた秋風に、花弁が揺れる。白い花びらは、一斉に同じ方向を向き、天へと気高く伸び上がるように見えた。その姿に、悠真の心は静かに奮い立った。

 その後、彼は宮廷で小さな役目を一つひとつ誠実に果たし、次第に人々から信頼を得ていった。決して派手な功績ではない。だが彼の態度は、白菊のように清らかで凛としていた。

 数年後。老臣の言葉を思い出しながら悠真は、庭の菊を前に深く頭を垂れた。
「私はまだ小さな存在かもしれない。しかし、この花のように誠実でありたい。人に寄り添いながら、気品を失わずに生きていきたい」

 その瞬間、頭上の雲間から陽が差し込み、菊の花々が輝いた。彼の決意を祝福するかのように。

車点検の日

9月10日は車点検の日です

9月10日は車点検の日

兵庫県神戸市姫路市に事務局がある兵庫県自動車整備振興会HASPA)が制定しています。この日に決めたのは、「く→9 るまてん→10 けん(車点検)」と読む語呂合わせからであり、交通安全には、自動車を整備しておくことも重要だということをアピールするためです。

日常点検の重要性

日常点検の重要性

実際に自分で点検するには、次のエンジンルーム5項目あります。これらを一つ一つ点検していきましょう!

ブレーキ液の量

ブレーキ液の点検

タンクから見える液の色が茶色くなってきてないかとか、リザーバタンクの線よりも低い位置にあるかなど、目視で判断します。普通自動車であれば、4年に一度が交換目安です。

エンジン・オイルの量

エンジンオイルの点検

ボンネット開け、エンジンのサイドにあるつまみを引き抜きます。最初のオイルはタオルで拭き取り、もう一度棒をさしてオイルをチェックします。ここでオイルの量と色をチェックし、ゲージの先端にある丸突起の間にオイルが付着していれば正常な量であり、さらに色が汚れで黒くなっていかもチェックしましょう。

冷却水の量

ラジエーターの点検

冷却水の量は、ラジエーターと呼ばれる一番前方の水の量です。そのサイドにあるプラスチックタンクをチェックします。その液量が上限ラインと下限ラインとの間にあるかチェックしましょう。交換目安は4年ぐらいだといわれています。ラジエーターの役目はエンジンのオーバーヒートを防ぐ効果と錆防止があります。

ウインドウォッシャー液の量

ウインドウウォッシャー液の点検

ウィンドウウォッシャー液とは、フロントガラスが汚れていた時にかけている水のことです。この液を空にならないようしておけば、ドライバーの視野を良くする事ができます。

ワイパーゴムのチェック

ワイパーの点検

ワイパーゴムは、特に雨の日に水滴を取り除いたり、ウィンドウォシャー液と合わせてフロントウインドウの汚れを落とすために重要な役割を果たすワイパー。劣化するとゴム部分が痛んでしまい、雨の時に水滴の掃けが悪くなり、前方の視野が見ずらくなって危険です。したがって、早めに交換しましょう。

常に愛車の異常が無いかを気にする

タイヤの空気圧の点検

自分がいつも運転している愛車は、自身の体と同じで異常があってもほったらかしすると、安全運転でも命に関わる事故に繋がります。ですので、こまめに自分で点検をして、定期的にプロの整備士に点検をしてもらいましょう!


「車点検の日」に関するツイート集

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9月8日、9月13日の誕生花「ゼフィランサス」

「ゼフィランサス」

varun_saaによるPixabayからの画像

基本情報

  • 学名Zephyranthes
  • 科名:ヒガンバナ科(Amaryllidaceae)
  • 原産地:アメリカ
  • 和名:サフランモドキ、タマスダレ など
  • 英名:Rain lily(レインリリー)、Fairy lily
  • 開花期:5月下旬~10月(種類による)
  • 草丈:20~30cm程度
  • 特徴:雨が降った後などに一斉に花を咲かせることから「レインリリー」と呼ばれる。

ゼフィランサスについて

特徴

  • 花の姿
    花はクロッカスや小型のユリに似た形で、6枚の花弁を放射状に広げる。白・ピンク・黄色など、品種により色合いが異なる。
  • 花の咲き方
    晴れた日に開き、曇りや夜には閉じる。雨後に一斉に花茎を伸ばして咲く様子は、可憐で清楚な印象を与える。

  • 細長く芝生のような線形で、球根から叢生して伸びる。
  • 丈夫さ
    寒さには弱いが、繁殖力が強く、庭植えにすると群生しやすい。
  • 別名「タマスダレ」
    日本では白花のゼフィランサス・カンディダが広く普及し、線形の葉に白花が群れ咲く姿を「玉簾(たますだれ)」と呼んできた。

花言葉:「汚れなき愛」

由来

ゼフィランサスに与えられた花言葉はいくつかありますが、その中でも「汚れなき愛」は代表的です。

背景

  1. 清楚な白花のイメージ
    特にタマスダレ(白花種)は、真っ白な花弁を持ちます。その純白さが「無垢」「純粋さ」を象徴し、愛の清らかさに重ねられた。
  2. 雨に洗われて咲く姿
    雨上がりに花茎を伸ばして咲くことから、「雨で清められて生まれる花」と見なされた。大地を潤す雨とともに咲く姿が「汚れなき心」を連想させる。
  3. 儚さと一途さ
    一輪一輪は数日で終わる短命の花ですが、次々と新しい花を咲かせる。その姿が「途切れない純粋な愛」を表しているとされた。

「汚れなき愛」

夏の夕立が過ぎ去ったあと、街路樹の根元に群れ咲く白い花が雨粒を抱いたまま揺れていた。ゼフィランサス――タマスダレ。通りがかる人々は気にも留めないが、志穂は足を止めずにはいられなかった。

 「……今年も、咲いたんだ」

 彼女にとってこの花は、ただの草花ではない。五年前の夏、病室の窓際に小さな鉢を置いてくれた人がいた。彼女の婚約者だった、悠人である。

 当時、志穂は病に伏し、未来を失ったかのように塞ぎ込んでいた。そんな彼女の枕元に、悠人は小さな白い花を携えて現れた。

 「ゼフィランサスっていうんだ。雨が降ったあと、一斉に咲くんだよ。清らかで、真っ直ぐで……志穂みたいな花だと思ったんだ」

 不器用な言葉に、彼女は涙を零した。儚い花なのに、毎日次々と新しい花を咲かせる。その姿が、どんな状況でも彼女を励まし続けてくれた。

 だが、その翌年。悠人は事故で突然この世を去った。志穂の隣に、彼が再び現れることはなかった。

 それでも、鉢の中のゼフィランサスは、雨のたびに白い花を咲かせた。まるで悠人がそこにいて、「生きてほしい」と語りかけているようだった。

 志穂は悲しみに押し潰されそうになりながらも、その花を枯らさぬように世話を続けた。花が咲くたびに、彼女は亡き人の声を胸に聞いた。

 「大丈夫。僕はここにいる。君をずっと見守っている」

 ――雨上がりの街角。志穂は群れ咲く白花を見つめ、静かに微笑んだ。
 「汚れなき愛」――花言葉を思い出すたびに、彼の不器用な優しさと真っ直ぐな眼差しがよみがえる。

 たとえ姿が消えても、心に宿るものは消えない。短い命を繰り返し咲かせるゼフィランサスのように、彼の愛は途切れることなく志穂を支えているのだ。

 夕陽が差し込み、花弁の雫がきらめく。志穂は深く息を吸い込み、歩き出した。
 ――この愛を胸に抱いて、今日も生きていこう。