3月5日、12日、15日の誕生花「クンシラン」

「クンシラン」

zrenateによるPixabayからの画像

クンシランは、光沢のある濃緑色の葉と、鮮やかなオレンジや赤色の花が特徴の多年草です。冬から春にかけて花を咲かせ、室内観葉植物としても人気があります。

クンシランについて

sandidによるPixabayからの画像

🌿 基本情報

  • 学名Clivia miniata
  • 科名:ヒガンバナ科
  • 属名:クンシラン属 (Clivia)
  • 原産地:南アフリカ

🌱 育て方

  • 日当たり:明るい日陰がベスト(直射日光は避ける)
  • 水やり:春~秋は土が乾いたら水やりし、冬は控えめに
  • 温度:5℃以上を保つと冬越ししやすい
  • 肥料:春と秋に緩効性肥料を施す

クンシランは丈夫で育てやすい植物なので、初心者にもおすすめですよ! 😊

🌿 豆知識

  • クンシランは「根が鉢いっぱいになると花がよく咲く」と言われています。
  • 寒さにはやや弱いため、冬は室内で管理すると安心です。
  • 葉の形が美しいため、花が咲いていない時期でも観葉植物として楽しめます。

クンシランは比較的育てやすく、長寿の植物としても知られています。大切に育てることで、毎年美しい花を咲かせてくれるでしょう✨


花言葉:「高貴」

Etienne GONTIERによるPixabayからの画像

💬 花言葉:「高貴」「誠実」「情け深い」
「君子蘭」という名前の通り、気品と威厳を感じさせる姿から「高貴」という花言葉がつけられています。また、ゆっくりと時間をかけて成長し、美しく咲くことから、「誠実」「情け深い」といった意味も持ちます。


「君子の花」

Peter HolmesによるPixabayからの画像

祖母の庭には、毎年春になると美しいオレンジ色のクンシランが咲いた。

 幼い頃から、それを見るのが好きだった。広く青い空の下、深い緑の葉に囲まれた花々は、まるで庭の王様のように堂々と咲き誇っていた。祖母はいつも、それを慈しむように水をやり、葉を優しく撫でながら語りかけていた。

sandidによるPixabayからの画像

 「この花はね、ゆっくりと時間をかけて育つの。すぐには咲かないけれど、ちゃんと根を張り、力を蓄えてから美しい花を咲かせるのよ。まるで君子のように、誠実で、情け深い花なの」

 私は祖母の言葉を聞き流していた。ただ、その優しい声と温もりが心地よかった。

 
 時は流れ、私は都会の大学に進学し、一人暮らしを始めた。忙しさに追われ、祖母の庭のクンシランのことなど、すっかり忘れてしまっていた。

 そんなある日、母から電話がかかってきた。「おばあちゃんが入院したの」

 私は急いで実家に帰った。祖母は高齢のため、体調を崩しやすくなっていたが、病室のベッドで微笑んで私を迎えてくれた。

 「久しぶりね、元気だった?」

 私は何かを言おうとしたが、言葉が詰まった。そんな私を見て、祖母は優しく笑った。

 「庭のクンシラン、もうすぐ咲く頃ね」

 私は黙って頷いた。祖母の言葉を聞いて、久しぶりに庭に足を運んだ。

Alun DaviesによるPixabayからの画像

 そこには、相変わらず堂々としたクンシランが咲き始めていた。鮮やかなオレンジ色の花が、静かに春の訪れを告げているようだった。

 私はそっと花に触れた。その感触は、どこか祖母の手の温もりを思わせた。

 祖母が亡くなったのは、それから数週間後だった。

 葬儀が終わり、私は祖母の部屋を片付けていた。そのとき、小さなノートが目に入った。開くと、そこには祖母の綴った庭の記録が残されていた。

ajabsによるPixabayからの画像

 「クンシランが咲いた。孫が帰ってくる頃には、もっときれいになっているだろう」

 涙がこぼれた。

 それから私は毎年、祖母の庭のクンシランを見に帰るようになった。時間をかけて、ゆっくりと花を咲かせるその姿は、まるで祖母の生き方そのもののようだった。

 そして私は、あの言葉を噛みしめる。

 「誠実で、情け深く、時間をかけて美しく咲く――まるで君子のように」

オリーブの日

3月15日はオリーブの日です

3月15日はオリーブの日

1950年3月15日、昭和天皇小豆島を巡幸の時に、オリーブの種を蒔かれました。そしてその種は発芽し、今では立派に成長しています。そのことから1972年、香川県小豆島の「オリーブを守る会」がこの日を記念日として制定しています。そして、毎年「オリーブの日」に合わせて様々なイベントが開催されているようです。

オリーブ

オリーブの樹

オリーブは、銀葉が美しく芝生が広がる洋風の庭にマッチします。オリーブの果実は苦く、食用とするには厳しいですが、塩漬けやオイルを楽しむことは可能です。また、一般的に大きめの果実は含油率が低いため塩蔵用に向き、小さめの果実は含油率が高いのでオイル用に向くといわれています。

オリーブ発祥の石碑を建立

小豆島のオリーブ

1908年の明治時代にアメリカから輸入され、その苗木から小豆島のオリーブ栽培がスタートしました。 1987年の昭和に入ってオリーブ植栽80周年を記念し、香川県が建立しました。そしてその「オリーブ発祥の地碑」が、現在も日本のオリーブ発祥の地を讃えるように存在しています。

オリーブの栄養価

オリーブの栄養価

オリーブには、「ビタミンE」や「オレイン酸」、「βカロテン」や「カルシウム」などの栄養素が豊富に含まれているそうです。なのでオリーブオイルを使ったレシピ(サバ缶パスタ本格ピザ)などありますが、普段の料理もサラダ油を使うところをオリーブオイルに変えたりして、ジャンジャン活用していこうと思います。


「オリーブの日」に関するツイート集

2026年の投稿

2025年の投稿

2024年の投稿

3月14日の誕生花「ブルーデイジー」

「ブルーデイジー」

基本情報

  • 学名:Felicia
  • 科名:キク科
  • 属名:フェリシア属
  • 原産地:南アフリカ
  • 分類:多年草(日本では一年草扱いされることも多い)
  • 開花時期:3〜6月、9〜11月
  • 草丈:30〜60cmほど
  • 別名:フェリシア、ルリヒナギク(瑠璃雛菊)

ブルーデイジーについて

特徴

  • 鮮やかな青色の花びらと黄色い中心が特徴の可憐な花
  • デイジーに似た花形で、爽やかな印象を与える
  • 日光を好み、晴れた日に花を大きく開く性質がある
  • 春から初夏にかけて長く花を楽しめる
  • 花壇や鉢植え、寄せ植えなどに人気がある園芸植物
  • 涼しげな青色の花は庭やベランダのアクセントになる


花言葉:「純粋」

由来

  • 混じりけのない澄んだ青色の花びらが、清らかな心や無垢さを連想させたため
  • 素朴で飾らない花姿が、まっすぐで純真な印象を与えることから
  • 太陽の光を受けて明るく咲く様子が、曇りのない心や誠実さを象徴すると考えられた
  • 青い花が持つ清潔感や透明感のある美しさが、「純粋」という花言葉につながった


「青い花の約束」

 春の風がやわらかく吹く午後だった。

駅前から少し離れた小さな公園の花壇に、ブルーデイジーが咲いていた。
澄んだ青色の花びらと、真ん中の小さな黄色い円。太陽の光を受けて、まるで空のかけらのように輝いている。

私は足を止め、しばらくその花を見つめた。

「きれいでしょう?」

後ろから声がした。

振り向くと、小さな園芸店の店主らしい年配の女性が、ジョウロを手に花壇に水をやっていた。

「ブルーデイジーですよ」

そう言って、彼女は優しく花に目を向けた。

「花言葉、知っていますか?」

私は首を横に振った。

「純粋、なんです」

その言葉を聞いたとき、不思議と胸の奥が少しだけ痛んだ。

――純粋。

その言葉を聞くと、いつも思い出す人がいる。

大学一年の春。
私はまだ新しい街にも慣れていなくて、講義が終わるとまっすぐ帰るような毎日だった。

ある日、キャンパスの裏庭で彼女に出会った。

「この花、好きなんです」

そう言って彼女が指差したのが、ブルーデイジーだった。

花壇の端に、ひっそりと咲いていた。

「青い花って、少ないでしょう?」

彼女はしゃがみこんで花を見ながら言った。

「でもこの青って、すごくきれいなんです。混じりけがない感じで」

私はその花を初めてちゃんと見た。

確かに、その青は不思議だった。
濁りがなくて、どこまでも澄んでいる。

まるで春の空をそのまま花びらにしたみたいだった。

「この花、純粋っていう花言葉なんですよ」

彼女は少し照れたように笑った。

「青がきれいだから。清らかな心を連想させるんだって」

そのときの私は、ただ「そうなんだ」と頷いただけだった。

花言葉なんて、どこか遠いもののように思えたからだ。

それから私たちは、よく話すようになった。

講義のあと、図書館へ行く途中。
学食の帰り道。
キャンパスのベンチ。

彼女はいつも、花の話をした。

「ブルーデイジーって、太陽が好きなんです」

ある日、彼女は言った。

「晴れた日に、いちばんきれいに咲くんですよ」

その言葉どおり、春の光の下でブルーデイジーはいつも明るく咲いていた。

「曇りのない心って、こういう感じかもしれませんね」

彼女は花を見ながら、そうつぶやいた。

私はその横顔を見ていた。

飾らない言葉。
素直な笑顔。

ブルーデイジーの花言葉が「純粋」だという理由が、少しわかった気がした。

彼女自身が、どこかその花に似ていたからだ。

けれど、時間は思ったより早く流れた。

夏の終わり、彼女は突然言った。

「引っ越すことになったんです」

家族の事情で、遠い街へ行くことになったという。

私は何も言えなかった。

ただ、あの花壇の前に一緒に立った。

ブルーデイジーはまだ咲いていた。

「またどこかで会えたらいいですね」

彼女はそう言って笑った。

その笑顔は、あの日と同じだった。

澄んだ青い花のような、まっすぐな笑顔だった。

私は結局、何も伝えられなかった。

好きだとも言えず、
引き止めることもできず、
ただ見送っただけだった。

それから何年も経った。

街も、仕事も、生活も変わった。

けれど、ブルーデイジーを見ると、必ず思い出す。

混じりけのない青い花びら。
素朴で飾らない花の姿。
太陽の光の中で、まっすぐに咲く花。

清潔で透明なその美しさが、「純粋」という花言葉になった理由を、今なら少しわかる気がする。

あの頃の気持ちは、きっと不器用だった。
言葉にもならないほど、まっすぐだった。

でも、それでよかったのかもしれない。

ブルーデイジーの青は、今も変わらない。

澄んだ空のように、静かに咲き続けている。

私は公園の花壇をもう一度見た。

太陽の光の中で、ブルーデイジーが揺れている。

その青は、あの日と同じだった。

胸の奥に残っている、
まだ少しだけ、純粋な気持ちのように。

2月14日、3月14日、11月3日の誕生花「カモミール」

「カモミール」

基本情報

和名:カモミール(カミツレ)
学名Matricaria chamomilla(ジャーマンカモミール)/Chamaemelum nobile(ローマンカモミール)
英名:Chamomile
科名:キク科(Asteraceae)
属名:マトリカリア属、カマエメルム属
原産地:ヨーロッパ、西アジア
開花期:5月〜7月
花色:白(中心は黄色)
草丈:20〜60cm程度

カモミールについて

特徴

  • 見た目
    小さな白い花びらと黄色い花芯が特徴。デイジー(ヒナギク)に似た可憐な姿をしています。
    優しい見た目に反して、風や踏まれても負けないたくましい生命力を持っています。
  • 香りと効能
    リンゴのような甘い香りが特徴で、「カモミール」という名前もギリシャ語の
    “chamaimēlon(大地のリンゴ)”に由来します。
    ハーブティーやアロマとして親しまれ、リラックス効果・安眠・炎症鎮静などの効能があります。
  • 種類
    主に「ジャーマンカモミール」と「ローマンカモミール」の2種類。
    ジャーマンは一年草でお茶向き、ローマンは多年草でアロマオイル向きです。
  • 性質
    日当たりと水はけのよい場所を好み、やせた土地でもよく育ちます。
    ほかの植物が弱るような場所でも花を咲かせる、強い適応力が魅力です。

花言葉:「逆境に耐える」

由来

花言葉のひとつである「逆境に耐える(Patience in adversity)」は、
カモミールの生命力と再生力に深く関係しています。


① 踏まれても、さらに強く育つ花

カモミールは、踏まれるとその刺激でより丈夫になり、
かえって花が増えるという性質を持っています。

そのためヨーロッパでは古くから、

「踏まれるほどに強くなる花」
“The more it is trodden on, the more it spreads.”
という言葉で知られてきました。

この性質が、「どんな苦境にも屈せず、むしろそれを力に変えて咲く花」
という象徴となり、**「逆境に耐える」**という花言葉が生まれました。


② 優しさと強さの共存

柔らかく香る姿からは想像できないほど、カモミールは環境の変化に強く、
冷涼な気候でも乾いた土地でも育ちます。
その姿が「穏やかさの中にある芯の強さ」を思わせることから、
「優しい人ほど、困難に負けない」という意味も込められています。


③ 古代からの癒やしの象徴

古代エジプトでは、太陽神ラーに捧げる花とされ、
病気や不安を癒す“光の薬草”と呼ばれました。
困難の中にあっても人々を癒やし、希望を与える花――
この役割もまた、「逆境を照らす強さ」の象徴です。


🌷 その他の花言葉

  • 「あなたを癒す」
  • 「清楚」
  • 「友情」
  • 「平和」

「踏まれても咲く花」

放課後の校庭には、夕陽がゆっくりと沈みかけていた。
足もとに広がる草の間に、小さな白い花が揺れている。
香織(かおり)はしゃがみこんで、その花をじっと見つめた。

――カモミール。
理科の授業で見た写真と同じだ。
けれど、ここに咲く花はどこか違って見えた。
校庭の隅、何度もボールに踏まれ、雨に打たれ、それでもなお、まっすぐ立っていた。

「……強いな」
つぶやいた声は、誰に向けたものでもなかった。

その日、香織は部活の練習を途中で抜け出していた。
チームの中心にいたはずの彼女は、最近どうにも調子が出ない。
少しのミスで冷たい言葉を浴びせられ、笑われ、責められる。
本当はやめてしまいたい――そんな思いを抱えたまま、ここに来たのだ。

風が吹き、カモミールの花が小さく震える。
けれど、倒れない。
その姿が、なぜか自分を見ているようで、胸の奥が熱くなった。

「どうして……そんなに平気そうなの」

答えがあるはずもない。
けれど、どこかで聞いた言葉が脳裏をよぎった。

“The more it is trodden on, the more it spreads.”
踏まれるほどに、よく育つ花。

そうだ。
先生が言っていた。カモミールは、踏まれても倒れない。
むしろ、それを栄養にして、さらに強く根を張るのだと。

そのとき、後ろから声がした。

「こんなとこにいたんだ」

振り返ると、同じ部の友人・遥(はるか)が立っていた。
「……部活、サボってるって思われるよ」
「もう、思われてるよ」
苦笑いがこぼれた。

遥は香織の隣に腰を下ろし、カモミールを見つめる。
「それ、かわいいね」
「うん。……でも、踏まれても咲くんだって」
「へえ、強いね」

「ね。私も、そうなれたらいいのに」

小さく呟くと、遥は少し考えてから、優しく言った。
「香織はもう、そうだよ。だって、今日も来てるじゃん」

その言葉に、香織ははっとした。
たしかに――泣いても、悔しくても、それでも自分はここに立っている。
もしかしたら、それだけで十分なのかもしれない。

沈みかけた夕陽が、カモミールを黄金色に照らす。
香織はポケットからスマホを取り出し、そっと花を撮った。

「ねえ、これ、明日みんなにも見せようかな」
「いいじゃん。……“強さのお守り”みたい」

二人は笑い合った。
風の中で小さな花が揺れる。
踏まれても、折れずに、香りを放ちながら。

その姿が、心の奥で静かに光を灯していた。

――優しさと強さは、きっと同じ場所にある。
――倒れても、また立ち上がれる。

香織は立ち上がり、部室の方へと歩き出した。
背中には、夕陽とカモミールの香りがやわらかく寄り添っていた。

数学の日

3月14日は「数学の日」、「円周率の日」です

数学の日

1997年、日本数学検定協会(公益財団法人)がこの日を記念日として制定しています。この日付は、円周率の日でもあり、(π)の近似値3.14から3月14日に決められました。目的は、数学を生涯の学習とし、全世代楽しめるように発展させるための日としているそうです。

数学について

数学

数学は、量・構造・空間、そして変化の研究であり、数学者はパターンを探し、新しい予想を定式化しています。そして、適切に選んだ公理や定義から厳格な推論によって真理を確立しています。 抽象概念や論理的推論から計算して測定する。そして、物体の形と動作の組織的研究して数学は次々と進化しました。数学は、「基礎と哲学」「純粋数学」「応用数学」の大きく三つに分類されてます。

円周率の日

円周率の日

円周率の小数表記、「3.141592653589793238462643383…」の上3桁に一致します。通常では、3月14日の1時59分か15時9分にこの記念日を祝うそうですが、この2つの時刻は数字で表記すれば、「1:59」と「15:9」であり、日付の「314」から円周率3.14の次にあたる6桁を表しています。

円周率

円周率とは

円周率とは、円の直径に対する円周の長さの比のことです。学生の時に数学でちょくちょく問題で出されていたと思います。例えば、円周の長さを求める公式では、『2×半径×円周率』です。その中の円周率は、直径を何倍したら円周になるかを表す数字ということになります。

円周率は数字が無限に続く

無限に続く円周率

円周率を単に3.14と習いましたが、これは計算しやすいように簡略化されたものであることも一緒に習ったと思います。円周率を正確な数字で出すと、3.141592…となり小数点以下の数字が無限に続いていく特殊な数が出てきます。  

測量と数学

数学で習った計算式

遠くにある山や建物の高さや距離を、数学で習った計算式で導き出すことができます。昔、工業高校で習った測量の際に使用した三角関数です。ちなみに、古くから「影の長さから太陽の角度を測る」ことも三角関数が利用されていたのだそうです。普段は、「足し算」や「引き算」、「かけ算」や「割り算」以外は直接生活に関わらないことが多いです。しかし、数学者が導き出した法則で、より早くそして正確な構造の建造物や機械などができていると思うと、ホントに奥深いものを感じます。


「数学の日」、「円周率の日」に関するツイート集

2026年の投稿

2025年の投稿

2024年の投稿

3月13日の誕生花「イカリソウ」

「イカリソウ」

基本情報

  • 学名:Epimedium grandiflorum var. thunbergianum
  • 科名:メギ科
  • 属名:イカリソウ属
  • 分類:多年草(山野草)
  • 原産地:日本(主に中部地方以北の本州)
  • 開花時期:4〜5月
  • 草丈:20〜40cmほど
  • 別名:サンシクヨウソウ(三枝九葉草)、ヨウラクソウ(瓔珞草)

イカリソウについて

特徴

  • 花の形が**船の錨(いかり)**に似ていることから「イカリソウ」と呼ばれる
  • 細い花弁が四方に伸びる、独特で繊細な花姿をもつ
  • 花色は白・ピンク・紫などがある
  • 山地や林の中など半日陰の環境に自生する山野草
  • 春になるとハート形に近い葉とともに可憐な花を咲かせる
  • 日本では古くから薬草としても利用されてきた


花言葉:「君を離さない」

由来

  • 錨(いかり)は船を海底に固定する道具であり、船をその場につなぎ止める象徴とされている
  • 花の形がその錨に似ていることから、大切な人を離したくないという想いが重ねられた
  • 錨が船を守るように、相手をしっかりとつなぎ留めたい気持ちを表す意味が込められた
  • そのイメージから「君を離さない」というロマンチックな花言葉が生まれた


「錨の花が咲く丘」

 春の終わりが近づくころ、山の道には小さな花が咲きはじめる。
白や淡い紫の、風に揺れる繊細な花。

その花の名を、イカリソウという。

花びらが四方へ細く伸び、その形が船の錨(いかり)に似ていることからそう呼ばれるようになった。
錨は船を海底に固定する道具だ。
波に流されないように、船をその場所につなぎ止める。

だからだろうか。
この花には、こんな花言葉がある。

――君を離さない。

それを最初に教えてくれたのは、直哉だった。

大学の裏山には、細い山道が一本だけ伸びていた。
舗装もされていない、ほとんど誰も通らない道だ。

私はその道を歩くのが好きだった。
講義が終わったあと、誰にも会いたくない日に、よくそこへ行った。

ある春の日、その道で直哉に出会った。

彼はしゃがみ込み、地面をじっと見ていた。

「何してるの?」

声をかけると、直哉は少し驚いた顔をして振り返った。

「ああ、花を見てた」

彼が指さした先に、小さな花が咲いていた。

白くて、細くて、まるで風にほどけそうな花だった。

「これ、イカリソウっていうんだ」

私は初めてその名前を聞いた。

「イカリ?」

「うん。錨の形に似てるでしょ」

言われてよく見ると、確かに花びらが四方へ伸びていて、どこか船の錨の形に似ていた。

「へえ……」

私はしゃがみ込み、その花を見つめた。

「この花、花言葉も面白いんだよ」

直哉はそう言って、少しだけ笑った。

「何?」

「君を離さない」

思わず顔を上げると、彼は照れたように肩をすくめた。

「錨って、船を海底に固定する道具だろ。流されないように」

「うん」

「だから、この花も“大切なものを離さない”って意味があるらしい」

私はもう一度、花を見た。

小さくて、頼りなさそうなのに。
どこかしっかりと地面に立っている。

「なんか、かわいいね」

そう言うと、直哉は静かにうなずいた。

「そうだな」

それから私たちは、時々その山道で会うようになった。

約束したわけじゃない。
ただ、気がつくと同じ時間に、同じ場所にいた。

春はイカリソウ。
初夏はヤマアジサイ。
秋には小さなリンドウ。

直哉は花の名前をよく知っていた。

「どうしてそんなに詳しいの?」

ある日聞くと、彼は少し遠くを見るような目をした。

「祖父が山の人だったんだ」

「山の人?」

「植物を調べる仕事してた。小さい頃、よく一緒に山に入ってたんだ」

そう言って、彼は足元の草を指さした。

「花ってさ、ちゃんと意味があるんだよ」

でも、その時間は長く続かなかった。

三年生の冬、直哉が突然言った。

「俺、来月から北海道に行くことになった」

「え?」

「研究室の関係でさ。向こうの大学に移るんだ」

私は何も言えなかった。

山道には、まだ冬の空気が残っていた。
草も、花も、まだ眠っている季節だった。

「急だね」

やっとそれだけ言うと、直哉は苦笑した。

「うん。俺も驚いた」

しばらく沈黙が続いた。

風が吹き、枯れ葉が転がった。

「向こう、寒そうだね」

「めちゃくちゃ寒いらしい」

私たちは、まるで他人事みたいに笑った。

直哉がいなくなった春。

私は一人で山道を歩いた。

雪はすっかり溶け、地面には柔らかな光が落ちている。

そして、あの場所に――

イカリソウが咲いていた。

去年と同じ、小さな花。

しゃがみ込み、そっと見つめる。

花びらは風に揺れていた。

錨の形をした、小さな花。

錨は船を守る。
波に流されないように、しっかりとつなぎ止める。

「君を離さない」

あの日、直哉が言った言葉がよみがえる。

でも、それはきっと、
離れないという意味じゃない。

距離ができても、
時間が流れても、
それでも心のどこかに留まり続けるもの。

錨は船を閉じ込めるためのものじゃない。

帰る場所を忘れないためのものだ。

風が吹き、花が揺れた。

私は少しだけ笑った。

「ねえ、直哉」

小さくつぶやく。

「今年も咲いてるよ」

イカリソウは、今年も静かに揺れていた。

まるでどこか遠くの海へ向かう船を、
そっと見送る錨のように。

青函トンネル開業記念日

3月13日は青函トンネル開業記念日です

3月13日は青函トンネル開業記念日

1988年のこの日は、本州の青森北海道函館を結ぶJR北海道の海底トンネル「青函トンネル」が開通した日で、その出来事を記念日としました。

青函トンネル

青函トンネル通過予定時刻表

青函トンネルは、日本鉄道建設公団が日本のトンネル建設技術を結集して建設された世界最長の53.9kmのトンネルです。その建設は長い年月が掛かっていて、開通した年から約40年前に地質調査が開始され、その7年後の8月になると、鉄道敷設法予定線が位置付けらています。そしてその後、「洞爺丸事故」をきっかけにトンネル建設の気運が盛り上がります。そして、10年後の4月に調査線となりました。その年の5月に調査斜坑掘削が開始され、7年後の4月に、工事線となります。それからその年の9月からようやく本格的な工事が着手されたそうです。

色々な困難を乗り越えて遂に開通

青函トンネル

その工事では、異常出水などの困難を克服して1988年の開通しました。そして、このトンネルによって本州と北海道が一本のレールで結ばれましたが、このトンネル自体の建設費が5,384億円、さらに津軽海峡線の青函トンネル以外のアプローチ等も含め、6,890億円もの巨額な大金がかけられたのも事実であります。しかしながら青函トンネルの建設は、世紀のプロジェクトともいうべきものであることもまた、事実でもあります。

洞爺丸事故

洞爺丸事故

1954年9月26日午後7時、風速50メートルの暴風の中で「青函連絡船の洞爺丸」は函館港を出港しました。その後、間もなく航行不能となり、午後10時過ぎに七重浜の沖で転覆しています。そして、死者が1004人出るなど日本の海難史上最悪の大惨事になりました。その翌の27日なって七重浜では、遺体が引き揚げられたそうです。そして、28日には本州から家族600人ほどが函館に着き、わずかな希望を頼りに、肉親の捜索を求めたといいます。

海底を掘り繋いだトンネル

シールド工法

一般的なトンネルは、山をくりぬき通すようですが、それでも十分リスクを背負っての工事です。しかし、今回の海底トンネルともなれば当然、工事期間も長くなり、崩落すれば土砂と水圧のリスクも伴います。そう考えると、日本のトンネル建設技術(シールド工法など)はどれだけ凄いことなのかということになります。


「青函トンネル開業記念日」に関するツイート集

2026年の投稿

2025年の投稿

2024年の投稿

3月12日の誕生花「シダレヤナギ」

「シダレヤナギ」

基本情報

  • 学名:Salix babylonica
  • 科名:ヤナギ科
  • 属名:ヤナギ属
  • 原産地:中国
  • 分類:落葉高木
  • 開花時期:3〜4月
  • 樹高:10〜20mほど
  • 別名:イトヤナギ(糸柳)、シダレヤナギ

シダレヤナギについて

Jessica P.によるPixabayからの画像

特徴

  • 細く長い枝が下に垂れ下がる独特の樹形をもつ
  • 風に揺れる姿がやわらかく、情緒的な景観をつくる
  • 葉は細長い披針形で春にやわらかな黄緑色の新葉を出す
  • 川辺や池の周囲など水辺に植えられることが多い
  • 成長が早く、古くから庭園や並木として親しまれてきた
  • 春に尾状の小さな花(花穂)をつけるが、観賞の中心は枝姿


花言葉:「悲哀」

Eveline de BruinによるPixabayからの画像

由来

  • 枝が地面へ向かって垂れ下がる姿が、うなだれて泣いているように見えるため
  • 西洋では「泣く柳(Weeping Willow)」と呼ばれ、悲しみや哀悼の象徴とされてきた
  • 墓地や追悼の場に植えられることもあり、失われた人を悼む木としてのイメージが広まった
  • 風に揺れる静かな姿が、しみじみとした哀しみや感傷を連想させたことから、この花言葉が生まれた


「風のなかの柳」

 川沿いの遊歩道には、一本のシダレヤナギが立っている。
細く長い枝を幾筋も垂らし、風が吹くたびに静かに揺れるその姿は、まるで何かを思い出している人のように見えた。

春先の柔らかな光のなかで、私はその木の前に立っていた。

祖母の葬儀が終わったばかりだった。
黒い服の人たちが帰り、家の中から声が消え、ようやく一人になれた午後だった。

祖母はよく言っていた。

「柳はね、泣いている木なんだよ」

子どもの頃、私はその言葉が不思議だった。
木が泣くなんて、そんなことあるわけがないと思っていたからだ。

祖母は川沿いのこの道を散歩するのが好きで、私が小学生の頃はよく一緒に歩いた。
そのたびに、このシダレヤナギの前で立ち止まった。

「ほら見てごらん」

祖母は空を指さすようにして、垂れ下がる枝を見上げた。

「枝がね、下に垂れてるでしょう。まるで、うなだれているみたいだと思わない?」

確かに、その枝は空に向かって伸びるのではなく、地面に向かって静かに流れていた。
風が吹くと、さらさらと揺れながら、まるで誰かが肩を落としているように見えた。

「西洋ではね、“泣く柳”って呼ばれてるんだって」

祖母は少しだけ微笑みながら続けた。

「悲しいとき、人はうつむくでしょう。柳も同じなんだよ。だから、悲しみの象徴なんだって」

そのときの私は、ただ枝が長い木だと思っただけだった。
悲しみの象徴なんて、遠い話だった。

それから年月が過ぎた。

祖母はゆっくりと年を取り、去年の冬、静かに息を引き取った。
家族に囲まれて、眠るような最期だった。

葬儀のあと、なぜか私はここへ来てしまった。

川の水はゆっくり流れ、空は春の淡い色をしている。
そして柳の枝は、あの日と同じように風に揺れていた。

さらさら、さらさら。

枝がこすれ合う音がする。

その音を聞いていると、不思議なことに涙が出てきた。

祖母はこの場所で、何を思っていたのだろう。

kiwiによるPixabayからの画像

若い頃のこと。
失った人のこと。
それとも、ただ流れる時間のこと。

柳は昔から墓地や追悼の場所に植えられてきたという。
泣く柳――Weeping Willow。

枝を垂らすその姿が、悲しみに沈む人の姿と重なったからだ。

確かに今の私も、きっと同じ姿をしている。
肩を落とし、うつむいて、思い出に触れながら立っている。

風が少し強くなった。

柳の枝が大きく揺れ、まるで涙を払うように空気を切った。

その瞬間、ふと思った。

この木は泣いているのではなく、
人の悲しみを受け止めているのではないだろうか。

ここで誰かが泣いた日。
誰かが別れを思った日。
誰かが大切な人を悼んだ日。

柳はただ静かに揺れながら、それらを見てきた。

だからこの木を見ると、人は悲しみを思い出す。
そして、少しだけ心がほどける。

祖母はそれを知っていたのかもしれない。

「悲しいときはね、泣いていいんだよ」

昔、そう言っていたことを思い出した。

「悲しみは、ちゃんと抱いてあげないとね」

私はゆっくりと柳の枝を見上げた。

細い枝の先には、新しい葉が芽吹いている。
まだ柔らかい黄緑色だった。

悲しみの象徴と言われる木なのに、そこには確かに春があった。

さらさら、と枝が揺れる。

祖母の声が、風に混ざって聞こえた気がした。

私は深く息を吸い、もう一度柳を見た。

うなだれて泣いているようにも見えるその姿は、
同時に、誰かの悲しみを静かに抱きしめているようにも見えた。

川は変わらず流れ続ける。
季節もまた巡っていく。

そして柳は、今日も静かに揺れている。

世界反サイバー検閲デー

3月12日は世界反サイバー検閲デー

世界反サイバー検閲デー

2008年、報道の自由のために活動するNGO「国境なき記者団」と国際人権団体「アムネスティ・インターナショナル」がこの日を記念日として制定しました。

World Day Against Cyber Censorship(世界反サイバー検閲デー)は、報道の自由や表現の自由を守るため、2008年(平成20年)に国境なき記者団(Reporters Without Borders)とアムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)によって制定されました。

この日は、中国や中東諸国をはじめとするインターネット検閲を行う国々に対し抗議するとともに、検閲を支援する企業に対しても中止を要請する重要な日です。例えば、過去にはYahoo!やGoogleに対してインターネット検閲の廃止を求める活動が行われています。

インターネット検閲

インターネット検閲

現在の国際社会では、特に中国や中東などで行われている「ネット検閲」に抗議していて、検閲を行っている国や企業に対し中止の要請が行われたそうです。現段階では、ネット上の言論や世論などを統制する手段として使用されています。また、それによって言論の自由が脅かされ、人権の保護などの最大の障害となっています。

検閲の可能性が高い国々

検閲している国々

検閲を行う国々は、インターネットの言論の自由を脅かす「インターネットの敵」とし、リストが発表されています。2014年の発表による19ヵ国を挙げると「中国や北朝鮮」「イラン」「シリア」「サウジアラビア」「ウズベキスタン」「エチオピア」「インド」「ベトナム」「アメリカ」「キューバ」「イギリス」「ロシア」などが含まれています。

国、人種、性別など全て言論の自由がある

ネット言論の自由

最近では、国際的にも男女差別人種差別が特に注目を浴びています。今やインターネットにより、グローバル化が進んで誰でも気軽に主張することができ、それに同調する人がたくさん集まります。そして、それを大きな力に変えることが可能です。過去の例からてみても、ネットを規制することはその言論や主張を押さえつける事となり、強者の思い通りの世界(独裁政治や奴隷制度)が存在する国に変えてしまうことになります。そういう事にならないためにも、私たちが一つになり、ネットを生かしてしっかりと監視をしていきましょう。


「世界反サイバー検閲デー」に関するツイート集

2026年の投稿

2025年の投稿

2024年の投稿

3月11日の誕生花「ピンクのミヤコワスレ」

「ピンクのミヤコワスレ」

基本情報

  • 学名:Aster savatieri(アスター・サヴァティエリ)
  • 分類:キク科シオン属の多年草
  • 原産:日本、中国
  • 開花時期:春~初夏(4~6月頃)
  • 花の色:紫、青、ピンク、白など
  • 草丈:30~60cmほど
  • 名前の由来:鎌倉時代、承久の乱で佐渡へ流された順徳天皇がこの花を見て都を思う気持ちを忘れた、という伝承から「都忘れ」と呼ばれるようになった

ピンクのミヤコワスレについて

特徴

  • 菊のような形をした可憐で素朴な花
  • 中心は黄色で、細い花びらが放射状に広がる
  • 半日陰でも育つため、庭植えや山野草として人気
  • 春のやわらかな季節に咲く、落ち着いた優しい色合いの花
  • 切り花としても使われ、和風の庭や花壇によく合う


花言葉:「しばしの別れ」

由来

  • 承久の乱で配流された順徳天皇が佐渡でこの花を見て、都への想いを忘れられたという伝承が名前の由来とされている
  • 「都を忘れる」という言葉には、
    離れた場所で都(大切な場所や人)を思いながらも、しばらくその想いを胸にしまうという意味合いが重ねられた
  • そのため、
    離れていてもまた会えることを信じる別れ
    を表す言葉として「しばしの別れ」という花言葉が生まれた
  • とくにピンクのミヤコワスレは、やわらかな色合いから
    優しさを伴う別れや、再会を願う気持ちを象徴する花として親しまれている


春の約束 ― ピンクのミヤコワスレ

 四月の風は、どこか少しだけ寂しい。

 桜の花びらが散り始めるころ、町の空気はふっと静かになる。
 春は始まったばかりなのに、どこかで「別れ」の気配が混ざっているからかもしれない。

 駅へ続く道の途中に、小さな花屋がある。

 店先には色とりどりの花が並び、季節の匂いがやわらかく広がっていた。

 由香はその前で足を止めた。

 ふと、目に入った花があった。

 小さな菊のような形の花。
 細い花びらが広がり、中心は黄色。
 そして、やさしいピンク色。

 ――ミヤコワスレ。

 小さな札に、そう書かれていた。

 由香はしゃがみ込み、その花をじっと見つめた。

 派手な花ではない。
 けれど、どこか心に残る色だった。

 静かで、やわらかな春の色。

 「好きなんですか?」

 店の奥から、花屋の店主が声をかけた。

 由香は少し驚いて顔を上げた。

 「ええ、なんとなく……」

 「ミヤコワスレですよ」

 店主は花を一輪持ち上げた。

 「花言葉、知っていますか?」

 由香は首を振った。

 店主は微笑んだ。

 「しばしの別れ、です」

 その言葉を聞いた瞬間、由香の胸に小さな波が広がった。

 しばしの別れ。

 それは、今の自分にぴったりの言葉だった。

 三日後、由香はこの町を離れる。

 仕事の都合で、遠い街へ引っ越すことが決まっていた。

 この町には、大学時代から七年間暮らしていた。
 小さな商店街も、古い公園も、毎朝通る駅前の道も、すべてが当たり前の景色だった。

 そして、ここには――

 大切な人もいた。

 そのとき、後ろから声がした。

 「由香?」

 振り向くと、涼太が立っていた。

 「やっぱり」

 彼は少し笑った。

 「ここにいる気がした」

 由香は思わず笑った。

 「どうして?」

 「なんとなく」

 それは、昔からの二人の口癖だった。

 理由はない。
 でも、なぜか分かる。

 涼太は花を見た。

 「ミヤコワスレか」

 「知ってるの?」

 「うん。祖母が好きだった花なんだ」

 彼はしゃがみ込み、花をじっと見つめた。

 「花言葉、知ってる?」

 由香が聞くと、涼太は少し考えてから言った。

 「確か……別れの花だったような」

 「しばしの別れ、だって」

 由香がそう言うと、涼太は小さくうなずいた。

 風が吹いた。

 ピンクの花びらが、やさしく揺れた。

 その姿は、とても静かだった。

 派手でもなく、誇らしげでもなく。
 ただ、そこに咲いている。

 「昔さ」

 涼太が言った。

 「順徳天皇が佐渡に流されたとき、この花を見て都を忘れられたって話があるんだよ」

 「都忘れ……」

 由香は花の名前をゆっくり口にした。

 「でも、忘れたっていうより」

 涼太は花を見つめたまま言った。

 「きっと、少しだけ心を休めたんじゃないかな」

 由香はその言葉を、胸の中で繰り返した。

 少しだけ心を休める。

 忘れるわけではない。
 大切なものを、手放すわけでもない。

 ただ、離れている間、
 その想いをそっと胸にしまっておく。

 それが「しばしの別れ」なのかもしれない。

 由香は花を見つめた。

 ピンクのミヤコワスレ。

 やわらかな春の色。

 「また会えるかな」

 思わず口に出ていた。

 涼太は少し驚いた顔をして、それから笑った。

 「当たり前だろ」

 その言い方は、昔と同じだった。

 何も特別なことは言わない。
 でも、その言葉には確かな温度があった。

 店主がミヤコワスレを小さな花束にしてくれた。

 由香はそれを受け取った。

 春の匂いがした。

 店を出ると、駅へ続く道に光が落ちていた。

 二人は並んで歩き出す。

 特別な会話はなかった。

 それでも、不思議と寂しさは少しやわらいでいた。

 しばしの別れ。

 それは終わりではない。

 また会える日までの、静かな時間。

 由香は胸の中で思った。

 遠い街に行っても、この春のことをきっと思い出すだろう。

 駅の前で、二人は立ち止まった。

 風が吹く。

 花束の中のピンクのミヤコワスレが、やさしく揺れた。

 まるで、小さな約束のように。