砂漠化および干ばつと闘う国際デー

6月17日は砂漠化および干ばつと闘う国際デーです

6月17日は砂漠化および干ばつと闘う国際デー
砂漠化および干ばつと闘う国際デー

6月17日は、国連が制定した「砂漠化および干ばつと闘う国際デー」です。1994年6月17日に「国連砂漠化防止条約」(UNCCD)が採択されています。そしてこの日は、砂漠化と干ばつへの理解と関心を深め、砂漠化を防ぐ活動を呼びかけ、国際協力の必要性を改めて考える日です。

砂漠化

砂漠化

「砂漠化」とは、乾燥や半乾燥地域、半湿潤地域(乾燥度指数値が0.2∼0.5の地域)で、気候変動や人間活動など様々な原因により、植物の生育が難しくなる現象を言います。簡単に言うと、乾燥した地域で人が住むところや植物の生えているところが、気候変動や人的な活動によって不毛の大地になることです。逆にもともと人も住めず、植物が生えていない砂漠では、砂漠化現象は起こりません。

砂漠化で受ける影響は?

ゴーストタウン化

乾燥地域で住んでいる人達は、作物と家畜、日用品や薪炭材などを生態系に依存しています。しかし、土地の劣化により生態系が劣化していけば、結果的に人々の生活環境が悪化するのは当然のことでしょう。また、乾燥地域の短期・長期での気候の変化は、作物や飼料などの確保に直接影響する家畜の生産や、水の供給を不安定にします。一度乾燥地の生態系が崩れると元に戻すことは厳しく、農業生産性の低下に繋がり、貧困が加速していきます。

現在、多くのアフリカ諸国は、こういった深刻な干ばつを頻繁に受け、食糧の生産基盤である土地の劣化に直面し、住民が生存するために森林、水などの自然資源の過剰採取を行っています。結局、このことが更なる土地の土壌劣化を進ませるという悪循環になっています。

環境森林省の考え方と目標

地球の1/4が砂漠!?

人々の日常生活に必要な活動が原因とされる気候変動と土壌劣化は、天然資源の減少や砂漠化を引き起こします。環境森林省は、これらを防止するために適切な土地管理と環境保全の取組みが重要であり、それを通じて貧困を削減できると考えています。また政府は、2022年までに国土の10%を樹木で覆う取組みを掲げ、目標達成に向け郡政府との密な連携が望まれています。

具体的な取り組み例

地球環境を農業から立て直す

サヘル地域は、アフリカのサハラ砂漠の南端に位置し、深刻な砂漠化が進んでいます。この問題に取り組むため、いくつかの具体的な取り組みが行われています。

改良カマドの普及と農業技術指導:

熱効率が良く薪の消費量が少ない改良カマドの普及や、植林、米作などの農業技術の指導が行われています。

西アフリカの内陸国ニジェールは、サヘルと呼ばれるサハラ砂漠の南縁に位置し、国土の3分の2をサハラ砂漠が占めています。

独立行政法人国際協力機構

緑の壁プロジェクト:

アフリカの11か国が共同で、サハラ砂漠の南端に植林による「緑の壁」を築くプロジェクトが進行中です。この壁は地球温暖化の進行による砂漠化を防ぐために立ち上げられました。

アフリカに築かれる「緑の万里の長城(Great Green Wall)」。サハラ砂漠の拡大防止で大陸横断の植林帯。計画から10年で15%を達成(RIEF)

(一社)環境金融研究機構

特定非営利活動法人「緑のサヘル」:

この団体は、サヘルの土地を「緑の岸辺」に戻すために活動しています。森林分野における活動テーマとして、持続可能な緑化を推進しています。

サハラ砂漠を越えた南側、ここは、かつて久しぶりに緑を目にしたアラビアの商人たちによって、「岸辺(サヘル)」と呼ばれました。今、その「岸辺」では砂漠化が進み、人々の生活基盤が奪われています。砂漠化の進むサヘルの土地を、人々が生活を続けていくことの出来る「緑の岸辺」に戻すため、活動を行っています。特定非営利活動法人 緑のサヘル:URL http://sahelgreen.org/

公益財団法人 国際緑化推進センター

ブルキナファソ国タカバングゥ村

ブルキナファソ国タカバングゥ村では、近隣地域に伝わる様々な知識や技術とそのノウハウから砂漠化防止に有効なものをピックアップし、そこから視察やワークショップから、住民自身が選択した技術の移転を行い、それと同時に村の普及と定着を目指しています。

チャド共和国

チャド共和国では、「育苗や植林支援」「金属製の物や粘土製改良カマド普及」「大豆・稲作普及」「穀物備蓄支援」「共同井戸建設」などを行っているようです。また他にも、砂漠化する地域で生活する人々の生活環境改善を目指し、「専門家の派遣」「研修員の受け入れ」「講習会の開催」などを行っているところがあるそうです。

我々も同じ地球の住人

我々も同じ地球の住人

これまで、砂漠地域に住む人々の生活環境について紹介してきましたが、森林伐採よって気候変動を起こす温室効果ガス排出によるオゾン層の破壊も、砂漠化も地球規模の問題として直結していると言えます。現在100億人が地球で生活しています。それだからこそ、我々は他人事と捉えず、プラスチックごみの削減、水道水の節約など、まずは個人で可能なことから意識していくことが一番の近道だと考えます。


「砂漠化および干ばつと闘う国際デー」に関するツイート集

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6月15日、8月5日の誕生花「ムラサキツユクサ」

「ムラサキツユクサ」

基本情報

  • 和名:ムラサキツユクサ(紫露草)
  • 学名:Tradescantia × andersoniana
  • 英名:Spiderwort(スパイダーワート)
  • 科名:ツユクサ科(Commelinaceae)
  • 属名:ムラサキツユクサ属(Tradescantia)
  • 原産地:北アメリカ
  • 開花時期:5月~7月(10月~11月)
  • 花の色:紫、青紫、青など
  • 草丈:30〜70cm程度

ムラサキツユクサについて

特徴

  • 花の寿命が短い
    一つの花は朝に咲き、昼にはしぼんでしまうという特徴があります。ただし、株全体としては次々と花を咲かせ、数週間〜数ヶ月にわたって楽しめます。
  • 強健で育てやすい
    日向〜半日陰の場所でよく育ち、寒さにも比較的強いため、初心者にも育てやすい植物です。
  • 葉は細長く、やや光沢がある
    草丈の割に細長い葉を持ち、群生すると見ごたえがあります。
  • 染色体や細胞観察に使われる
    花粉母細胞の観察などに適しており、教育や研究用植物としても活用されます。

花言葉:「尊敬しているが恋愛ではない」

ムラサキツユクサの花言葉の中で特に有名なのが:

「尊敬しているが恋愛ではない」(Respectful, but not romantic)

この少し複雑な花言葉には、以下のような背景が考えられています。

1. 一日花の儚さと非恋愛性

ムラサキツユクサの花は非常に儚く、一日でしぼんでしまうため、恋愛のような情熱的で長く続く感情というよりも、「一瞬の美しさ」や「静かな敬意」といった感覚が連想されやすいです。

2. 慎ましさと控えめな美

華やかさはあまりなく、控えめで落ち着いた色合いと佇まいを持つことから、「敬意を払う存在」にはなっても、「恋に落ちる対象」ではないという印象を与えることがあります。

3. 文化的解釈

一部の日本や西洋の花言葉には「非恋愛的な好意」や「精神的なつながり」を表現するものがあり、ムラサキツユクサもそうした精神性や冷静な感情を象徴しているとされています。


■ その他の花言葉

  • 貴ぶべき思い出
  • ひとときの幸せ
  • 恋ではない愛(spiritual love)

「紫の約束」

dae jeung kimによるPixabayからの画像

梅雨の晴れ間、祖母の庭先に咲くムラサキツユクサが、朝の陽を受けて静かに揺れていた。薄紫の花びらは、今にも溶けてしまいそうなほど繊細で、一日限りの命を咲き誇るように見せていた。

高校最後の夏休み。私は東京の大学に進学することを決めていた。田舎のこの町を離れるのは少し寂しいけれど、未来に胸が躍ってもいた。

そんな朝、祖母の家の隣に住む和彦さんが、畑の帰りに声をかけてきた。

「今年も咲いたね、ムラサキツユクサ。すぐしぼんじゃうけど、朝だけの美しさってのもいいもんだよ。」

和彦さんは祖母より10歳ほど若く、昔は教師をしていた人だった。私は小学生の頃、よく彼に作文や読書感想文を見てもらっていた。話し方は柔らかくて、目が笑っていて、でもどこか距離を感じさせる人だった。

「和彦さん、花言葉って知ってます?」

「ん? ああ、“尊敬しているが恋愛ではない”、だっけ?」

「…ちょっと不思議ですよね。その言葉。」

彼は笑った。「不思議だけど、ある意味、一番人間らしい感情かもしれない。誰かを深く想うけど、それが恋とは限らない。敬意とか、憧れとか。そういうのも、ちゃんと愛の形だと思うよ。」

私は頷きながら、どこか胸が締めつけられるのを感じた。

和彦さんは、私の憧れだった。恋とかではない。でも、彼の言葉にいつも救われて、背中を押されてきた。大人になった今でも、彼の考え方や生き方が、私にとって一つの指標になっていた。

「大学に行ったら、たくさんの出会いがあると思う。でも、誰かを“尊敬する”って気持ちは、案外長く残るもんだよ。」

そう言って彼は、庭のムラサキツユクサをそっと一輪摘み、私に手渡した。

「この花、咲いたその日にしぼむけど、根は強いから、また翌朝咲く。自分の中にある“静かな想い”も、そういうもんかもしれないね。」

私は花を受け取り、深く息を吸った。紫の花は、淡く香り立つようだった。

その年の夏、私は東京へ旅立った。

何年か後、祖母が亡くなり、久しぶりにこの町へ戻ったとき、和彦さんはすでに引っ越していた。家の前には、今もムラサキツユクサが咲いていた。あの朝のように、静かに、誇らしく。

私は花に手を伸ばし、小さな声で言った。

「今でも、あの言葉、覚えています。“尊敬しているが恋愛ではない”。たぶんそれは、ずっと私の中で咲き続けてる。」

花は何も答えなかったけれど、朝露に濡れたその紫が、優しく私の心を包んだ気がした。

アフリカの子どもの日

6月16日はアフリカの子どもの日です

6月16日はアフリカの子どもの日

この日は、教育のために立ち上がった多くの学生たちのことを忘れないため、アフリカの子供たちについて考える日です。そして、南アフリカではこの日を「青年の日」として祝日にもなっているそうです。1991年には、アフリカ統一機構(現在のアフリカ連合)が「アフリカの子どもの日」として制定しています。

教育のためにデモ行進

ソウェト蜂起

1976年6月16日、南アフリカ共和国のヨハネスブルグ郊外に位置するソウェト地区で、教育の質の向上と自国語で教育を受けるという権利を主張するために、黒人学生たちによるデモ行進を行ったそうです。そして次第に暴動に発展して「ソウェト蜂起」が起こりました。

当時、アパルトヘイト政策(極度の人種差別の政策)を行っていた南アフリカ政府は、学校でゲルマン語派のアフリカーンス語の授業の導入を決定しています。アフリカーンス語を「白人支配の象徴」と見なす黒人と主に学生たちの間で激しい反発が起こり、数週間に亘って黒人学生が授業をボイコットする事態に発展しています。

アパルトヘイトとは

アパルトヘイト(apartheid)は、南アフリカ連邦および、南アフリカ共和国で1948年~1994年まで施行されていた人種隔離政策のことです。この政策は、白人を優遇して有色人種に対し、政治的または経済的な差別を行っていました。具体的には、有色人種には選挙権がなかったり、移住区間が完全に区別されていたようです。

アパルトヘイトは、アフリカーンス語で「分離、隔離」を意味していてます。この政策の目的は、少数の白人の政治的・経済的特権を維持するため、黒人をはじめ白人以外の人種の権利や自由を奪い、様々な制限を与えました。

子供たちへの無差別な弾圧

子供たちへの無差別な弾圧

これらの暴動に参加した子供たちは、軍隊から無差別に銃撃を受けるなどの抗議活動が2週間も続きました。そしてその結果、100人以上が殺害されて1000人以上が負傷する事態となっています。この事が、反アパルトヘイト闘争の転換点となった出来事ともいわれているそうです。

日本からの支援活動

日本からの支援活動

2019年10月に日本政府の支援により「万人のための教育」プログラムの一環として「学校の修復作業」、また日本ユニセフ協会は、「インフラの復旧」と「学校の塗装」「机や椅子、ホワイトボード」「水と燃料タンク」の提供を行っています。さらには、「校庭の修復やフェンスの設置」、障がいのある子供のために「トイレの修復と改善」、そして教員研修用の教室の整備も行われたようです。

このように、日本でも1993年から毎年、「熊本県ユニセフ協会」(日本ユニセフ協会協定地域組織)が「アフリカ子どもの日」にイベントも開催されています。そして我々個人も、この日をきっかけに人種差別に限らず、身近な人権問題について考えることも大切な第一歩に繋がって行くのではないでしょうか!


「アフリカの子どもの日」に関するツイート集

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6月14日の誕生花「グラジオラス」

「グラジオラス」

Goran HorvatによるPixabayからの画像

グラジオラス(Gladiolus)は、美しくて力強い印象の花として知られ、夏から初秋にかけて庭や花壇、切り花として人気があります。

基本情報

  • 和名:トウショウブ(唐菖蒲)
  • 学名Gladiolus × hybridus
  • 科名/属名:アヤメ科/グラジオラス属
  • 原産地:南アフリカの原種をもとに育成
  • 開花時期:6月〜9月
  • 花色:赤、ピンク、白、黄、紫、オレンジなど多彩
  • 草丈:60〜150cm程度
  • 形状:球根植物(球茎)

グラジオラスについて

Genie Webber-HornsbyによるPixabayからの画像

特徴

  • 剣のような葉:「グラジオラス」という名は、ラテン語の「gladius(剣)」に由来しており、その名の通り細長くとがった葉が特徴的。
  • 花の並び方:茎の一方に沿って縦に並んで花が咲く「片側咲き」。華やかで豪華な印象を与える。
  • 生育が簡単:日当たりと水はけの良い場所で育てやすく、初心者にもおすすめの園芸植物。
  • 切り花として人気:花もちがよく、華やかさがあるため、フラワーアレンジメントや贈り物にもよく使われる。

花言葉:「熱愛」

Stefan SchweihoferによるPixabayからの画像

グラジオラスの花言葉にはいくつかありますが、「熱愛(passionate love)」は特に印象的な意味合いを持っています。

● 由来の背景:

  1. 真っ直ぐに咲く花姿
     グラジオラスは、まっすぐに空へ向かって伸び、力強く咲く姿が「一途な思い」や「情熱的な愛」を連想させます。
  2. 情熱的な花色
     赤やオレンジなど鮮烈な色合いの花が多く、「燃えるような恋」や「心の奥底から湧き上がる感情」と結びつけられてきました。
  3. ローマ時代の剣闘士との関係
     名前の語源「gladius(剣)」から、ローマ時代には勝利や栄光と結びつけられ、剣闘士の象徴でもありました。この「強さ」や「一心不乱な姿勢」が恋愛においても「燃え上がるような愛=熱愛」と解釈されるようになったと考えられています。

「グラジオラスの約束」

夏の終わり、大学の構内にある小さな温室の前で、茜は立ち止まった。窓越しに見える赤い花が風に揺れ、どこか彼女を呼んでいるような気がした。

「……咲いてるんだ」

温室の奥に咲く赤いグラジオラス。茜がこの花を最後に見たのは、一年前の夏だった。

「あのときのまま、まっすぐに咲いてるのね」

一年前のあの日、彼――祐真(ゆうま)は突然こう言ったのだ。

「俺、来年はこの花をもっとたくさん咲かせるから、見に来てほしい」

軽い冗談のように聞こえたけれど、彼の目は真剣だった。植物学専攻の祐真は、卒業研究でグラジオラスの育成に取り組んでいた。まっすぐに立ち上がる茎、燃えるような赤い花弁。それが彼の情熱そのもののように思えた。

でも、その約束は果たされることはなかった。

大学を出た直後、彼は交通事故に巻き込まれ、この世を去った。

あれから一年。茜は祐真との約束を胸に、この温室を訪れる決意をしたのだった。

扉を開けると、甘く淡い香りが立ち込める。奥の一角には、まるで彼の魂が宿っているかのように、無数のグラジオラスが咲いていた。赤、オレンジ、紫、白――まるで祐真の情熱が、色彩となって生きているようだった。

Stefan SchweihoferによるPixabayからの画像

温室の壁には、手書きのメモが残されていた。

「グラジオラス:花言葉は『熱愛』。
まっすぐに伸びる姿は、揺るがぬ想いの象徴。
今年も、君に見せたい。」

茜の胸が熱くなった。なぜ、あのとき彼の気持ちにもっと寄り添ってあげられなかったのか。どうしてあの花の意味を、あのときもっと深く考えなかったのか。

けれど今、この花が全てを語っている。

祐真の想いは、花に託され、こうして時を超えて茜の心に届いた。

彼はもういない。でも、この温室には、彼の愛がまっすぐに根を張っている。

「ありがとう、祐真……あなたの熱い想い、ちゃんと届いたよ」

そっと茜は、グラジオラスの一輪に触れた。

――花言葉は「熱愛」。

それは、静かに燃え続けるような、一途でまっすぐな想い。
言葉にできなかった愛が、今、ようやく花として咲いたのだった。

世界高齢者虐待啓発デー

6月15日は世界高齢者虐待啓発デーです

6月15日は世界高齢者虐待啓発デー

現在、国際的に見ても大半の国で高齢者の人口が増加し、その増加による高齢者の虐待数も増加するであろうと予想されています。これまで当然禁止されていた高齢者虐待の問題が、世界中でようやく認知され始めていますが、実際には国によっては最も関心のない暴力の一つです。

そして、その国の行動計画では最も取り扱いの少ない問題であることも一つだといわれています。そこで、2011年12月の国連総会でこの日を「世界高齢者虐待啓発デー」として制定されました。

高齢化になると高齢者虐待の数も増加する!?

高齢者への介護

世界各国、特に先進国で高齢者人口が増加しています。高齢者の増加に伴い、高齢者虐待の数も増加することが予想されまています。そのお陰で、禁止されてきた高齢者虐待の問題が、この問題から改めて注目を浴びはじめていますが、それでも現在では最も調査報告事例の少ない暴力であり、さらには国家実行計画として取り上げられる可能性の低い問題だそうです。

高齢者虐待の実例

介護は国際的な問題

現在、日本やカナダで高齢者虐待の事件がクローズアップされています。その加害者である虐待者は、 虐待の被害を受けている高齢者の信頼する立場(介護施設や医療施設の職員や介護をする家族)の人たちという例が大半を占めているそうです。よく問題として挙げられる介護施設職員による虐待ですが、現状では介護施設での虐待より、在宅で介護をする家族による虐待の件数が多いといわれているそうです。

その虐待に至る理由として挙げられるのは、介護行為から発生する「ストレスやうつ」、「高齢者介護の知識不足」、「アルコールや薬物への依存・乱用」が主に挙げられます。更には在宅介護の場合、「社会的支援の欠如」、「地域社会からの孤立」、「心理的または経済的な高齢者への依存」等も虐待理由の要因となるそうです。

世界28カ国が6人に1人の高齢者虐待を受けている!?

世界28カ国が6人に1人の高齢者虐待を受けている!?

2017年、世界保健機関(WHO)は世界28カ国の地域から高齢者虐待についての調査又報告をし、高齢者60歳以上の6分の1もの人が、何らかの虐待被害を受けた経験があると答えたそうです。中でも、精神的な虐待が深刻と考えられていて、その問題解決のために加盟している各国に対し、介護従事者の研修、電話相談などの対策強化を求めているようです。

高齢者が虐待される理由は様々

高齢者が虐待される理由は様々

WHOのウェブサイトでは、様々な高齢者虐待のデータが数字で提示されています。記述によると、16%の高齢者が前年1年間に虐待を経験しています。その中でも認知症の高齢者は、虐待を受けるリスクは高く、 3人に2人が虐待を受けているそうです。

虐待の事実が報告されているのは全体の4%に過ぎず、虐待を受けている当事者が通報したことへの仕返し、虐待者がトラブルに巻き込まれるのを恐れたりなどが、通報しない理由として挙げられているようです。また、自身が身体的な障害や認知機能の低下などによって通報できない場合もあります。

90%は同居中の家族による虐待

90%は同居中の家族による虐待

高齢者虐待の90%は、在宅介護している同居人である家族からの虐待行為です。配偶者やパートナーなどによるものでほとんどで、中でも最も多いのがその高齢者の息子による虐待で、それに続き「夫や娘」による虐待だそうです。虐待は加害者の他に誰もいない時、 恐らく周囲の人が気づくまで虐待は続くでしょう。

もし、ありえない打撲キズや物が無くなったりなど、不審に感じた心ある家族やケアマネジャーなどが隠しカメラやモニターを設置して証拠をつかみ、代わりに通報することも一つの虐待を防ぐ(抑止効果になる)方法ではないでしょうか!


「世界高齢者虐待啓発デー」に関するツイート集

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6月13日の誕生花「トケイソウ」

「トケイソウ」

hartono subagioによるPixabayからの画像

基本情報

  • 和名:トケイソウ(時計草)
  • 学名:Passiflora caerulea
  • 英名:Passion Flower
  • 科名:トケイソウ科(Passifloraceae)
  • 原産地:南アメリカ熱帯〜亜熱帯
  • 開花時期:5月〜10月(種類により異なる)
  • 種類:500種以上(代表種:クダモノトケイソウ=パッションフルーツ)

トケイソウについて

Dominik RheinheimerによるPixabayからの画像

特徴

  • 花の形状:中心に3つの雌しべと5つの雄しべがあり、放射状に広がる花弁と副花冠が特徴的で、時計の文字盤のように見えることから「トケイソウ」と呼ばれる。
  • つる性植物:巻きひげを出して他のものに絡みつきながら成長する。
  • 果実:一部の品種(Passiflora edulis など)はパッションフルーツとして食用にされる。
  • 花色:白、紫、青、赤など多彩。

花言葉:「聖なる愛」

トケイソウの英名 Passion Flower の「Passion」は、キリストの「受難(Passion of Christ)」に由来します。

17世紀、南米に布教に来たスペインの宣教師たちは、トケイソウの花をキリストの受難の象徴と見立てました:

  • 副花冠の糸:茨の冠
  • 5本の雄しべ:キリストの受けた五つの傷
  • 3本の雌しべ:十字架に打たれた3本の釘
  • 花びらとがくの合計10枚:キリストの忠実な10人の使徒(ユダとトマスを除く)

このような神秘的で象徴的な姿から、「聖なる愛」「信仰」「宗教的な情熱」という花言葉が生まれました。


「時を越える花」

hartono subagioによるPixabayからの画像

南米の赤土にまみれた十字架の前で、ひとりの若い宣教師・マヌエルは静かに祈っていた。彼の指先は、震えるようにロザリオをなぞる。その祈りの声は、風に乗ってジャングルの奥へと消えていった。

 時は17世紀、スペインから遥か海を越えて辿り着いたこの地で、マヌエルは言葉も文化も異なる人々に、神の教えを届けようとしていた。だが、思うように人々の心は動かない。異国の宗教に不信と恐れを抱き、村人たちは彼を避けた。

 ある日、村の少年がひとつの花を手に持って彼のもとへやって来た。紫と白の複雑な花弁、放射状に広がる糸のような副花冠――その奇妙な姿に、マヌエルは息をのんだ。

 「これは……?」

 少年は「トケイソウ」と呼ばれるその花を差し出した。村では薬草として使われており、特別な力があると信じられていた。

 マヌエルはその花をじっと見つめる。中央に整然と並んだ雌しべと雄しべ。その形に、彼の胸は高鳴った。まるで……キリストの受難を刻むように、花が語りかけてくるのだ。

touchingbeyondによるPixabayからの画像

 「この副花冠は……茨の冠のようだ」
 「雄しべの数は五……救い主が受けた五つの傷」
 「雌しべは三……十字架に打たれた三本の釘」
 「花弁とがくの数は十。ユダとトマスを除いた、忠実な十人の使徒か……」

 偶然とは思えなかった。神は、この地にもその姿を示していたのだ。マヌエルは涙をこぼし、ひざまずいた。神は異教の大地にも、希望と導きを咲かせていたのだと確信した。

 その日から、マヌエルはこの花を「Passion Flower(受難の花)」と呼び、村人たちに語りかけるようになった。キリストの愛と痛み、そして救いの約束をこの花に込めて。

Kurt BoudaによるPixabayからの画像

 「これは、神があなたたちにも愛を注いでいる証です」

 村人たちは初めこそ戸惑ったが、その話に静かに耳を傾けるようになった。やがて、マヌエルの言葉が心にしみこみ、信仰の芽が村に根を下ろし始めた。

 年月が過ぎ、マヌエルの墓にはいつしか野生のトケイソウが咲き誇るようになった。その紫の花びらは、まるで時計の針のように静かに時を刻み続ける。

 そしてその花に添えられた小さな札には、こう書かれていた。

 「聖なる愛は、時を越えて咲き続ける。」

五輪旗制定記念日

6月14日は五輪旗制定記念日です

6月14日は五輪旗制定記念日

1914年の6月14日、パリで開かれたオリンピック委員会にて5色(青・黄・黒・緑・赤)のオリンピック旗(五輪旗)が制定されました。これは、オリンピック復興20周年記念祭を行うにあたり、オリンピック創立者のクーベルタンが発案したものだそうです。

近代オリンピックの復興とクーベルタン

近代オリンピックの父

実は、古代オリンピックは4世紀末になるとすでに途絶えていたそうです。しかし、フランス人「ピエール・ド・クーベルタン」による働きで、近代オリンピックとして復興させました。1863年にパリで男爵の家に生まれたクーベルタンは、将来は軍人か政治家を期待される人物だったそうです。

しかし普仏戦争(1870~71年、プロシアとフランスの間で行なわれた戦争)の敗北によるフランスの沈滞ムードを打破するため、教育改革をはじめてスポーツを取り入れた教育の推進に力を入れたそうです。そして、ヨーロッパ各地の教育とスポーツ事情を視察するなど、積極的な活動をしています。そしてその中で、オリンピックの復興を模索していたといいます。

「近代オリンピック」の誕生

「近代オリンピック」の誕生

1894年6月、パリの万国博覧会の際に開催されたスポーツ競技者連合の会議で、「 クーベルタン」はオリンピック復興計画を議題に挙げています。そして、その案が満場一致で可決し、第1回大会は1896年に古代オリンピックの故郷オリンピアのあるギリシャで開催することも採択されたそうです。

またその会議では古代の伝統にならい、大会は「4年ごとの開催」、「世界各国の大都市で持ち回り開催」、そして大会開催に関する最高の権威を持つ国際オリンピック委員会(IOC)を設立するなど、近代オリンピックの基礎となる事柄が決定されました。現在は、定員115名で構成されているIOC委員ですが、最初に決定したIOCの委員は16名だったそうです。

五輪の意味は?

オリンピックの旗

五輪のマークは五大陸を指していますが、各リングの色がどこの大陸を指しているかは、決まっていないそうです。しかし、一説によれば「青→オセアニア・黄→アジア・黒→アフリカ・緑→ヨーロッパ・赤→アメリカ」といわれているそうです。また五輪マークが持つ意味は、「5つの自然現象」と「スポーツの5大鉄則」を意味しているそうです。

5つの自然現象とは「水・砂・土・木・火」のことであり、青=水・黄=砂・黒=土・緑=木・赤=火と表されいます。そして、スポーツの5大鉄則は「水分・体力・技術・情熱・栄養」であり、青=水分・黄=技術・黒=体力・緑=栄養・赤=情熱ということだそうです。

五輪開催の目的

五輪開催の目的

このように、五輪に関して実際に意味や目的を改めて考えてみると、単に世界一を決めるスポーツの祭典であることの他に、教育の観点からオリンピズムオリンピック憲章」「IOC倫理規程」「フェアプレー」「スポーツと環境」などから、この大会開催の意図が見えてきます。2021年の現在、新型コロナ感染拡大による影響で東京五輪の有無に関係なく、大会の存在目的をもう一度改めて考え直すと今後の五輪の未来像が変わっていくかもしれませんね!


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6月12日の誕生花「ユッカ」

「ユッカ」

Роман РаспутинによるPixabayからの画像

基本情報

  • 学名:Yucca
  • 和名:ユッカ属(イトラン属)
  • 別名:「青年の木」(若くシンボル的な存在感から)
  • 原産地:北アメリカ、中央アメリカ
  • 開花時期:5月~10月頃
  • 分類:リュウゼツラン科、バツリ系単子葉植物

ユッカについて

特徴

  • :剣のように鋭く、上へ向かって伸びる肉厚の常緑葉
  • :直立し、高い種では数メートルに達する木質の幹を形成
  • :初夏〜夏に白〜クリーム色のベル型の花を咲かせる
  • 耐性:乾燥・暑さ・寒さに強く、手間がかからないタフな観葉植物
  • 栽培しやすさ:日当たりを好み、水やりは控えめ。風通しの良い環境が適しており、初心者にも扱いやすい

花言葉:「勇壮」

ユッカの花言葉には「勇壮」「颯爽」「偉大」「立派」などがあり、これは

  1. 鋭く強靭な葉がまるで剣のように力強く伸びる姿
  2. 白い花が清々しく、空に向かって堂々と咲く様子
    から来ていると言われています。

「青年の木」という別名にも表されるとおり、若々しく勇ましいイメージが根底にあります


「青年の木の約束」

駅から少し離れた町外れに、小さな園芸店がある。看板には「緑の扉」と手書きの文字。古びているが、不思議と味がある。店の奥、日差しが差し込む窓際に、それはあった。

背筋を伸ばして立つ、ひときわ存在感のある観葉植物。鋭く尖った葉を天に向け、まるで剣士が静かに構えているようだった。

「それは、ユッカ。『青年の木』って呼ばれてるの。強くて、真っ直ぐで、そして勇ましいのよ。」

店主の言葉に、佐伯はふと足を止めた。

「花言葉はね、『勇壮』とか『颯爽』とか。若さの象徴みたいな植物なの。」

それは、彼にとって妙に引っかかる言葉だった。

大学を卒業して三年。夢だった職場に就いたものの、現実は理想とはかけ離れていた。やりがいも情熱も、日々の残業の中で、いつしか霧のように消えていった。

「でも、たまに花も咲くのよ。白くて清々しくて、堂々と空を見上げるような花。」

佐伯はその話に、胸の奥がわずかに震えるのを感じた。

「…この木、もらっていきます。」

その日から、彼の部屋に青年の木がやってきた。

初めはただの観葉植物だった。朝の光に晒し、水をやり、ときどき話しかけた。すると、少しずつ、変化が生まれた。彼の生活に、わずかだがリズムが戻ってきたのだ。

ふとした瞬間に、ユッカの葉の尖りを見ると、自分の姿勢が正される気がした。うつむきがちだった首が、少しだけ上を向く。白い花を咲かせる姿を想像するたびに、自分もまた何かを咲かせられるのではないかと思えた。

季節がひとめぐりしたある朝。

窓のそばで、ユッカが白い花を咲かせていた。まるで空に向かって誇らしげに咲く、希望の灯火のように。

その日、佐伯は会社に辞表を出した。勢いだけではなかった。新しい道を歩むため、準備もした。かつて諦めた、学生時代に夢見た小さな設計事務所を始める覚悟だった。

友人に言われた。

「なにがあったんだ? 急に変わったな。」

彼は笑った。

「毎日見てたんだよ、真っ直ぐ立ってるヤツを。」

青年の木は今も彼の部屋にいる。花はまた散ったが、葉は今も空に向かって剣のように伸びている。

若さは年齢じゃない、と佐伯は思う。

まっすぐ立ち、空を見上げる。その姿勢こそが、「勇壮」や「颯爽」を体現するのだ。人生に迷った時は、ふとあの木を見ればいい。きっと、背筋を伸ばせと言ってくれるだろう。

そして、白い花が咲いた日を、また迎えるために。

はやぶさの日

6月13日は「はやぶさの日」です

6月13日は「はやぶさの日」

2010年6月13日、小惑星探査機「はやぶさ」が様々なトラブルに遭いながらも往復60億㎞、7年もの長旅の末に地球に帰還しました。この探査機は、世界初の「サンプルリターン」、「イオンエンジンの長時間運行」をはじめとする数々の科学的な偉業を成し遂げています。

「あきらめない心」と絆

このプロジェクトに参加した全てのスタッフに「あきらめない心」と絆を伝えるために「銀河連邦共和国」では、この探査機が帰還した日付を「はやぶさの日」と宇宙航空研究開発機構(JAXA)の施設がある4市2町(秋田県能代市・岩手県大船渡市神奈川県相模原市長野県佐久市北海道大樹町鹿児島県肝付町)で組織する「銀河連邦」が制定しました。

銀河連邦

銀河連邦

銀河連邦は、1987年11月8日に宇宙開発最先端技術の研究に取り組む宇宙航空研究開発機構(JAXA)の研究施設がある地域と交流を始め、5市2町がユーモアとパロディ精神で創った「連邦国家」組織です。その各共和国が手を取り合い、相互の理解と親善を深め、宇宙平和という役割を担って人々の笑顔があふれるユートピアの創造をめざします。

また、この組織の役割は、子どもたちの留学交流事業やスポーツ交流や経済交流、銀河連邦サミット・フォーラムの開催などを通じて友好を深め、互いの発展と宇宙への夢とロマンを育むことです。

小惑星探査機「はやぶさ」

小惑星探査機「はやぶさ」


小惑星探査機「はやぶさ」は、近地球型とよばれる小惑星「イトカワ」の表面物質搭載カプセルを地球に持ち帰ること(サンプルリターン)に成功した探査機です。また「はやぶさ」は、将来本格的なサンプルリターン探査に必須となる技術を実証することを目的とした工学技術実証のための探査機であり、「イオンエンジン」「自律航法」「標本採取」「サンプルリターン」の4つの重要技術の実証を行っています。

そして、2010年6月13日に地球へ帰還し、搭載カプセルをオーストラリア・ウーメラ砂漠へ落下させて、その任務を終えています。この地球に持ち帰ったサンプルは、分析が行われて小惑星の形成過程を知ることで新しい発見をして、今後の小惑星探査の重要な指標になりました。

夢のある研究

ロケット

これら宇宙航空研究開発機構(JAXA)の研究は、結果や成果が明らかになるまで、もう少し先のことです。我々50代以上になる人にとって、この研究や開発結果を見届けることは不可能かもしれませんが、未来への夢が想像できて、今からわくわくします!


「はやぶさの日」に関するツイート集

2025年の投稿

2024年の投稿

2023年以前の投稿

6月11日の誕生花「ベニバナ」

「ベニバナ」

基本情報

  • 学名Carthamus tinctorius
  • 英名:Safflower
  • 和名:ベニバナ(紅花)
  • 科名:キク科
  • 原産地:エジプトなどの中東地域
  • 草丈:30~150cm
  • 開花時期:6月~7月
  • 用途:染料(紅・黄)、食用油、漢方薬、美容・健康食品など

ベニバナについて

特徴

  • 花は黄色から橙色、時間が経つと紅色に変化します。
  • 花弁からは紅色と黄色の染料が抽出されます。とくに紅色は「口紅」などにも使われた歴史があります(例:山形の紅花)。
  • ベニバナ油(サフラワー油)は種子から採取され、健康油として人気です。
  • 乾燥地でも育つ強い植物で、日本では主に山形県が有名な産地です。

花言葉:「包容力」

ベニバナの花言葉にはいくつかありますが、その中でも「包容力」は次のような由来があります:

● 色の変化と用途の広さ

  • ベニバナの花は開花とともに黄色から赤色へと変化し、その過程で複数の用途(染料・薬・油)に利用されます。
  • 一つの植物が多様な役割を持ち、人々の生活を支える存在であることが、「広く受け入れる・支える=包容力」と重ねられています。

● 厳しい環境でも育つたくましさ

  • ベニバナは乾燥や痩せた土地でも育つ強靭さを持ちます。これは「困難な状況でも耐え、他者を受け入れる力」に通じるとされます。

● 古来より女性の美と健康を支えてきた存在

  • 紅花は古来より女性の美容(紅=口紅)や健康(漢方)を支えてきました。この「支える・守る・包む」役割が、精神的な「包容力」に例えられています。

「紅に包まれて」

高原の小さな村。夏の初め、風に揺れる紅い花が一面を染める季節になると、人々は決まってこう言った。

「今年も、紅花が咲いたね。あの人を思い出す季節だよ」

その「人」とは、村のはずれに住んでいた老婆・ミネのことだ。

ミネが村に戻ってきたのは、戦後間もない頃だった。若い頃は東京の呉服屋に奉公に出ていたらしいが、空襲ですべてを失い、身ひとつでこの村へ帰ってきた。両親もすでに亡く、荒れ果てた家の柱を自分の手で立て直し、畑を耕し始めた。

畑の隅に最初に蒔いたのが――紅花だった。

「紅花は、痩せた土でも咲くんだよ。何もなくなっても、これさえ咲けば大丈夫」

ミネの言葉を、当時子どもだった私たちは覚えている。

春、まだ雪が残る頃に細い芽を出し、夏には茎を伸ばし、黄色い花を咲かせる。それがやがて、陽を浴びるごとに赤みを帯びていく。その様子が、まるで少女が大人の女性へと成長していくようだと、ミネは笑っていた。

村の誰かが病を患えば、ミネは乾かした紅花を煎じて届けた。顔色の悪い女性には紅花で染めた紅を一刷け。「お化粧は心の薬でもあるんだよ」と、そう言ってにこりと笑った。

紅花は染料にもなり、薬にもなり、油にもなる。

「何にでもなれる花さ。人の役に立てるって、すごいことだよ」

そう言って、自分の分よりも人に分け与えることを選んだミネは、まるでその紅花そのもののようだった。

ある年、ひどい干ばつが村を襲った。稲は実らず、野菜も萎れた。それでもミネの畑の紅花だけは、しっかりと根を張り、見事な紅を咲かせた。

「紅花はね、乾いた土を恐れない。むしろ、そういう土地でこそ強くなるんだ」

その言葉を、私は今も忘れない。

ミネが亡くなったのは、90を過ぎたある年の夏だった。畑に咲いた紅花を最後に見届けるように、静かに息を引き取った。

それからというもの、村の有志が紅花畑を守り続けている。誰もがその花に、ミネの姿を見出しているのだ。

広く、赤く、あたたかく咲く花。その一本一本が、ミネの「包容力」を語っているようだった。

私の娘が思春期を迎え、不安定な心を抱えるようになった時、私はこっそり紅花で染めた小さな紅を、彼女の机に置いた。

「紅花はね、どんなに痩せた心にも、必ず咲くのよ」

ミネが私に教えてくれたように、今度は私が誰かにその力を手渡していく。

紅花の色は、時間とともに深くなる。

包むように、染めるように、誰かの心をあたためながら。