「サンダーソニア」
学名: Sandersonia aurantiaca和名 : サンダーソニア英名: Christmas bell, Chinese lantern lily科名 : イヌサフラン科(旧分類ではユリ科)原産地 : 南アフリカ開花時期 : 6月~7月草丈 : 約30~60cm
サンダーソニアについて
特徴
花の色 : オレンジ(稀に黄色)花の形 : ランタン状の釣り鐘型の花栽培難易度 : やや難しい(湿気・寒さに弱い)ベル型の花が可愛らしい :ぷっくりとしたランタンのような形状の花をつけるため、非常に可憐でユニーク。切り花に人気 :花持ちが良く、フラワーアレンジメントやブーケに好まれる。クリスマスベル という英名は、花の形と開花期(南半球の夏=クリスマスシーズン)にちなんでいる。
花言葉:「愛嬌」
サンダーソニアの花言葉「愛嬌(あいきょう)」は、その愛らしい姿 に由来します。
小さなベルのような花が風に揺れる様子が、まるで人懐っこく微笑みかけているように見えることから、「愛嬌がある」「親しみやすい」といった印象を与えます。
また、オレンジ色の明るく元気な花色も、人の心を明るくするという意味で「愛嬌」につながります。
他にも「祈り」「祝福」「可憐」といった花言葉もあり、贈り物にもぴったりな花です。
「風に揺れるベルの声」
駅前の花屋で、彼女はサンダーソニアの花束をじっと見つめていた。
「珍しいお花ですね。ベルみたいな形で、可愛い」
花屋の若い店主が、にこやかに声をかけた。
「そうですね……なんだか、誰かに話しかけてるみたい」
「ええ。サンダーソニアの花言葉は『愛嬌』なんですよ。まるで人懐っこい笑顔みたいな花なんです」
彼女は少しだけ口元を緩めて、花に視線を戻した。 今日は彼の命日だった。
名前は航平。大学時代から付き合い始めて、就職後も遠距離で交際を続けていた。穏やかで、朗らかで、時にちょっとお調子者。でもいつも、彼の笑顔に救われてきた。
「愛嬌……あの人に、ぴったり」
ぽつりとつぶやくと、花屋の青年がふっと笑った。
「贈り物ですか?」
彼女は黙って頷き、財布を取り出した。
彼の眠る丘の上の墓地に着くと、春の風がサンダーソニアの小さな花を揺らした。まるで、彼の声が風にのって届いてくるような気がした。
「ねぇ、久しぶり。元気にしてた? 私はね、まだちょっとだけ泣いちゃうけど、ちゃんと生きてるよ」
墓石に手を置き、彼女はそっとサンダーソニアを添えた。オレンジ色の小さな花が陽の光にきらめいて、まるで彼の笑顔がそこに咲いたようだった。
彼と過ごした日々は、華やかでも劇的でもなかった。だけど、彼の言葉や仕草の一つひとつが、今も心のどこかで灯り続けている。
「あなたが笑ってくれるだけで、どんな日も明るくなったよ。まるでこの花みたいに」
風が吹いた。サンダーソニアの花が揺れる。まるで彼が「よく来たね」と微笑んでいるようだった。
彼女はふっと笑った。
「……うん、また来るね。今度はもっとたくさん話すから」
帰り道、彼女は足取り軽く坂道を下った。花屋の前を通ると、店主が手を振った。
「お花、喜んでくれましたか?」
「ええ、とっても」
日常に戻る音がする。車の音、人の声、風のささやき。そのすべてが、どこか愛おしかった。 そして、心のどこかに、オレンジ色の花が咲いていた。
それは、もう逢えない誰かがくれた、確かであたたかい「愛嬌」の記憶だった。